KEEP YOURSELF ALIVE2 第二話

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人間というのは不思議な生き物で、何でもやってみれば順応できるものである。
私も初めはシステムの複雑さに面食らったが小一時間も練習すればどうにか
そこそこの動きが出来るようになっていた。
しかし相手はあのこなた、そう簡単に勝てる相手ではない。

「うお、一発喰らっただけでこんな連続で…」
「ふっふっふ。かがみんに主導権は握らせないよ」

なんであんな肘打ち一発で体力が三割以上も減らされるのか理不尽すぎる。
飛び込む私も悪いが対空性能が異常に強いなこの金髪の雷のお兄さん…。
剣が緑色に光って回転しながら叩きつける技で何度も打ち上げられた。

「おのれ…調子に乗りやがって…」
「勝負の世界は非常なのだよかがみん」

邪悪な笑みを浮かべながらこなたはまだ勝負がついていないのに
もう勝った気でいるようだ。
手も足も出ずに不機嫌な私を尻目に容赦なく起き攻めを続けようとする
Sっぷりにこなたの本性を垣間見た気がする。
ムカツクがゲーセンでやり込んでいるだけあってさすがに強い。
だがここで大人しくやられるほど私はお人好しではない。
このゲーム最大の理不尽を今度は私がこの場でお見舞いしてやる事にした。

「ねぇこなた…。私は初めてだからこれくらいはしても
別にアンフェアじゃないわよね?」
「へ?この状況をひっくり返せる手段が―」

気をとられて一瞬動きが鈍ったところに炎を纏って飛び出す
無敵の対空技を見舞う。

『寝てろぉおおッ!!』

ヒット確認をして即座にロマンキャンセルする。
(ゲージを消費して攻撃の動作をキャンセル出来るらしい。)
カウンターヒットなので雷のお兄さんは遥か上空にぶっ飛ぶ。
するとこなたは予想通りこちらの罠にはまってくれた。

「おっとそうはいかないよっと。サイクバースト…ってあれ?」

私のキャラは地上に留まり、哀れにも宙に浮き上がった
雷のお兄さんに渾身の一撃を喰らわす。

「このまま追撃するとでも思った?それじゃそろそろ終わらせるわよ」

炎のお兄さんが赤いオーラを纏う。

『終わりにするか…!』

そして次の瞬間…。勝負はついた。

『ナパァアムデスッ!!』

画面にはDESTROYEDの文字が浮かび上がる。
これぞ最大の理不尽、一撃必殺技である。
まさか本当に決まるとは思わなかった。
そこにはボロボロになった金髪の雑魚が倒れていた。

「え、ちょ、今のハメでしょ?私のシマじゃ今のノーカンだから」

突然の出来事にこなたはこんな事ありえないといった表情で
訳の分からないことを言い出した。

「決められたルールの中で勝利条件を満たしただけよ。
なかなか楽しいゲームだったわ」
「かがみんの鬼~!」
「聞き捨てならないわね!あんたこそあの理不尽なコンボは何よ?」
「あーお腹すいたなっと!」
「話を逸らすなって!まぁいいわ…。私もお腹空いてるし今日はこれで
勘弁してあげる」
「あれ?かがみんがいつもより優しい…。さては本気で私に惚れたね!?」

少しどきりとするがなんとか平静を装って返す。

「な…、ばっ…!バカ何言ってんのよ!」
「照れてる照れてる~。そろそろ正直になろうよ~」

あぁもう、うるさい。
期待に満ちた表情で見つめてくるので先回りしてみた。

「はいはいどうせツンデレ萌えとか言うんでしょ?良かったわね」
「あ…先回りされた…」

これ以上はグダグダになるのでこれでお開きにすることにした。
時間もちょうど十二時を過ぎてるしね。
するとこなたが思いついたようにある提案をしてきた。

「ねね、お昼ごはん私が作ってあげようか?あ、なんならこれからのために
かがみにも教えようか?」

気持ちの切り替えが早いとでも言うのだろうか。見てて飽きない。

「作るのはいいけど料理ならつかさに時々教えてもらってるし、せっかくだけど
今日は待ってるわ。っていうかこれからのためにって意味が分からん」
「いやいや炊事当番がかがみの日は色々大変になりそうじゃん?」
「待て待てー!なんで同棲することになってる!」
「あはっ♪」

などと、くだらないやりとりをした後じゃあ行ってくるねとこなたは台所に向かった。

部屋に一人残された私は何気なく周囲を見渡すと、意外にも整理されたこなたの机に
ふと目が留まる。机の周りは漫画とか置いてないんだな…。その代わりにいつもは
教室の机の中に監禁されているであろう教科書やノートがそこに整列していた。
という事はちゃんと勉強しているのだろうか?ただの気まぐれかそれとも考えにくいが
私に対するカムフラージュか。ところでこなたのノートってどうなってるんだろう?
彼女が宿題を忘れるたびに、こちらが見せるのはしょっちゅうだったけど、
逆に向こうのノートの中身を見せてもらったことがない。

「ちょっと見てみたいかも…」

好奇心は人の性、こうなると常識というのは脆いものである。
誘惑に負けてついに実行に移してしまう。

「ちょっとくらいならいいよね」

独りで言い訳しながらノートを一冊手に取って開いてみる。
そして私はここでGEARも月までブッ飛ぶ衝撃を受けた。
パラパラと捲ると色を変えて書き分けてあったり枠で囲ってあったりして、
割と見やすく書いてあった。どうやら授業はちゃんと寝ないでノートを取ってるみたいだ。
ん?この書き方どっかで見たような…?あぁそうか、私のを真似たんだ。
何度も写させていたから参考にするようになったらしい。
些細な事かもしれないが、私にとっては大きな進歩のように感じられた。

「少しは真面目にやるようになったみたいね」

すると次に気になるのは宿題をやっているかどうかだ。
手付かずならばまた写させる事になるから今から心の準備ができるというものだ。
ところが…。

「おお、やってある!明日雪でも降るんじゃない?」

しかも答えが合っている。ここまで来るともはや奇跡である。
何度も言い聞かせてきたので少しは成長したようだ。
これが最後にならなければいいのだけど。
それはさておき、喜ばしい事だと独りでニヤついてしまった。
しかしここで近づいてくる気配に私は気が付かなかった。

「かがみーん、ご飯できたよ…って―おわ!?」

うきうきした顔から驚いた表情でこなたは硬直した。

「あっ…!」

慌てふためく間も無く私も硬直する。だがこなたは黙ったまま今度は
何故か赤くなり始めた。二、三秒ほど二人とも黙ったまま見つめ合っていたが、
先にこなたが口を開いた。

「ごめんねかがみん…すごく見やすかったからつい真似しちゃって…」
「え?」

まさかこなたの方が謝ってくるとは意外である。
だがここは勝手に見たことを私が先に謝るべきだろう。

「私の方こそ勝手に見たりしてごめんね…。
そ、その、退屈だったから気になって…。って何言い訳してるんだ私は!」

と言うとこなたはニマニマしながら

「あぁ大丈夫気にしてないよ。かがみは私が居なくて寂しくなっちゃんだよね?
分かるよ~。待たせてごめんね?」
「な、別に寂しくなんかなってないッ!せっかく謝ったのに茶化さないでよ」
「嫌だ。シリアス嫌い。ノートくらい見ても減るもんじゃないしね。
それにかがみだったら許せるし」

危うく関係がこじれるかと思ったがこれでとにかく場は収まったみたいだ。

「はいっこれでこの話はおしまい!ご飯できてるから行こうっ」

やれやれ、私よりこなたの方が意外とさばさばしているらしい。
こなたの性格に助けられたかも。

「ほらほら早くしないとご飯冷めちゃうよ~」

いつもの猫口に戻ったこなたに私は安堵して流されてついていく。



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