泊まった日・夜

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お風呂で火照った体に、扇風機の風が心地よい。
窓からは、徐々に秋へと移り変わっていく涼風。
それでも、こなたの部屋は暑かった。

二つずつ向かい合うように並んだ四つの布団の一つに、座り込む。
今、この部屋には誰もいない。
かといって、もうあんな危険を冒すようなことをしようなんて思わなかった。

こなたは、男となんてメールしていない。
受信ボックスを隅から隅まで見たわけじゃないけど、多分そうだ。
そもそも、こなたが男とメールするなんて考えられない。
相当失礼だけど、普段のこなたを見ているとそう考えるのが普通だ。

でも、でももし、私の知らないこなたがいるのだとしたら……。
何も学校内だけとは限らない。

……コスプレ喫茶。
あのこなたが可愛い格好をして接客しているのだから、何人もの男がアプローチをしていても全くおかしくない。
いや、こなたがそんな奴等に振り向くわけがない。
考えすぎだ。忘れよう。

あれから。
あれから、みんなでいつも通りの会話をしたり、ゲームをしたり、色々と楽しかった。
時間はすでに十一時半を回っている。

微かな空虚感を覚えた。祭りの後の空しさのような、そんな感じだ。

「ふ~。あ、お姉ちゃん。いたんだ」
振り向くと、ドアの前につかさがいた。
つかさも私の前にお風呂に入ったので、頭が僅かに上気している。

そういえば、前にこなたの家に泊まった時、つかさと髪型を入れ替えたんだっけ。
ふと、そんな昔のことが頭に浮かんできた。
二度ネタになるから、またやろうとは思わないけど。

……あれから、もう一年か。
去年は、どんな気持ちでこの家に泊まったんだろうか。
今となっては、もう分からない。
去年と今では、確実に何かが違っているから。

「そういえば、こなたとみゆきは?」
「こなちゃんは今お風呂に入ってるよ~。ゆきちゃんは、戸締りするって」
「普通逆じゃないのか、それは……」

昔と今で、何が変わってるんだろう。
考えたけど、答えは見つからなかった。


しばらくして、こなたとみゆきが一緒に部屋に戻ってきた。

それからもう遅いから寝ようということで、四人で布団に入って、電気を消した。
こなたもベッドを使えばいいのに、態々布団を敷いてその中に入っている。
律儀なのか、そっちの方が楽しいのか。多分後者だろう。
豆電球の明かりのみとなった部屋の中、全員で円を描くように顔を寄せ集めた。

修学旅行みたいだな。
ふと、そう思った。

「じゃあ、みんなで泊まる夜だし、恒例の本音トークでもしますか」
「え~? なにそれ~」
「皆で隠し事をせずに本当のことを言い合うんだよ。修学旅行のときやらなかった?」
「あー、やったやった~」
「修学旅行の夜は、誰しもテンションが上がって大胆になりますからね」

そういえば、こなたは今までの学校生活をどうやって過ごしてきたんだろう。
親しい友達はいたのかな。一人いたっていうのは聞いたけど……。
もしかしたら、修学旅行のときも独りだったのかもしれない。
……こなた……。

いや、そんな何の確証もない過去のことなんて関係ない。

私たちと過ごすこの日々が。
今が、こなたにとって一番幸せな時間でありさえすれば。
自信はないけど、そうであって欲しい。

こなたの楽しそうな笑顔を見て、強く、そう思った。
だからこそ、押し殺してひっそりと処分したいものもある。

そこまで考えていると、
不意にこなたの声が聞こえてきた。

「うーん、ベタだけど、まずは恋話で行ってみようかー!」

……はあ?


「じゃあ、一番気になる大本命は置いといて、まずはみゆきさん!」
「は、はい」
「みゆきさんは、好きな人いる?」

大本命って何なのよ。私のことか?

「わ、私は、特にそういう人は……」
「えー? 本当? 本音で答えてよー」
「ゆきちゃん、嘘は駄目だよ~」
「いえ、嘘というわけではなくて、本当にいないんですよ……」

「あー、そうかー。大体分かってたんだけどね。じゃあ、次はつかさ! いい話期待してるよー」
「え~、私も好きな人とかいないよ~」

壁として並んでいた会話が、凄い速さで壊されていく。
落ち着け落ち着け落ち着け……。
平静を装わないと。

心臓の鼓動が早くなってくる。
体が熱くなっているのは、お風呂上りで布団に入っているからだろうか。
とにかく、簡単なことだ。
ただこう言えばいいだけ。

――私も好きな人なんていないわよ……って。

こなたが食いついてくるかもしれないけど、そこはうまく誤魔化すんだ。
いないの一点張りで。悟られないように。

「う~ん、やっぱり予想通りかー。よく考えたら、私たちの中でそういうのがありそうなのって……」
こなたがにやにやとこちらを見てくる。動揺しないように。平常心を保って。

「かがみは好きな人いるの?」
――来た。

自分が何に怯えて、何を隠そうとしているのか。
多分分かってるんだろうけど、今は押し殺そう。

●●●

かがみはいるにしてもいないにしても、絶対いないって言う。
でも、かがみは嘘をつくときどうしても動作に現れる。

言葉に詰まったり、目をきょろきょろと動かしたり、視線をそらしたり、必要以上に強く否定したり。
もう長い付き合いだもん。これくらい分かって当然だよ、かがみ。

かがみから目を離さないように、じっと見つめる。
かがみは視線を左上に向けて、少し口をもごもごさせて、
「わ、私も好きな人なんて、い、いないわよ……」

あー、かがみは正直だな。それとも天邪鬼っていうのかな。
――かがみの好きな人って誰なんだろう。

「かがみ、これは本音トークだよ。ちゃんとほんとのこと言わないと」
「な、ほ、ほんとだって。好きな人なんているわけないじゃない!」

「かがみ、隠してるつもりかもしれないけど、もうばればれだよ」
「え、何で、え、や、何、あ、わ、ななな……」

すごい動揺だな。自分で好きな人がいるって言ってるようなものだよ。

「かがみの好きな人って、誰なの?」
「そ、それは、その……」

かがみは顔を赤く染めて、私から顔を背けようとする。
もう好きな人がいるって言うのは確定だな。

顔が自然とにやついてくる。
誰なんだろうなー。突き止めたいなー。
かがみは何か言いたそうで、でもそれは言葉になっていなかった。

「お姉ちゃん、もしかして、本当に好きな人いるの?」
「い、いや、その……」
「それは気になりますね」
「だ、だからそんなんじゃ……」
「かがみ~ん、正直に言った方が楽だよ~」

もうかがみの顔はりんごのように真っ赤で、いつ頭から蒸気が吹いてもおかしくない状態だった。
顔を枕にぎゅっと押し込んで、上目使いで私たちを見回している。

まるで怯えている子犬のようだ。
可愛いなあ~。かがみは子犬っていうのもありかな?

「も、もうその話はやめてよ。なんでもいいじゃない」
ある意味好きな人はいるって認めてるともとれるけど、相当焦ってるんだろうな。
「お姉ちゃん、教えてくれたっていいじゃない。私たち、応援してあげるからさ~」
「言いたいことが言えないというのは、体に悪いですよ」
「誰なのさー。教えてよー」

「だ、誰だって関係ないじゃない! ほっといてよ」
そう言ってかがみは布団の中に潜り込んでしまった。
……どんどん墓穴を掘ってるなあ。

でも、ちょっとやりすぎちゃったかな。
あの中で、かがみはどんな表情をしてるんだろう。どんな気持ちでいるんだろう。
――そうだ。

ゆっくりと、かがみの布団の前まで這っていく。
つかさとみゆきさんに人差し指を立てて、喋らないように合図を送る。
布団の端っこから、するすると中に入り込んだ。

頭が何かに触れる。
かがみの足かな?
その上に馬乗りになって、顔の方へと進んでいった。

「……な、ちょ、こなた?」
かがみが体を左右に揺らして私を振り落とそうとする。
でも抱きついて我慢だ。

薄暗くて、まだ目が慣れていない布団の中、かがみの体温が服越しに伝わってくる。
相変わらず枕に顔をうずめて、俯いているかがみの後頭部が目に入った。
必死に布団の端を掴んでいる。あ~、愛らしいなぁ……。

後ろから、かがみの首に両手を回す。
「か~がみん」

「や、やめてよ。離れなさいってば!」
「いや~、さっきはちょっと調子に乗っちゃったかなって。かがみはいじりがいがあるっていうか」
「な、何よそれ」
「だってかがみの反応見てると、本当に可愛いんだよ~」
「ば、馬鹿! 何言ってるのよ……」
「うんうん、それだよ~」

かがみの顔を横から覗き込む。
よく見えないけど、たぶん予想通りになってるだろうな。
見ても分かんないから、肌で感じてみよう。

かがみの頬に、自分の頬をくっつける。
柔らかくて、熱い感触。
ふにゃふにゃしてて気持ちいいなぁ~。

「ちょ、な、何するのよこなた!」
急にかがみが顔を上げる。
あー、照れてる照れてる。

「それで、かがみん」
一息。
しつこいなと思うけど、やっぱり気になる。

「好きな人って、誰なの?」
「ま、まだその話なの? もういい加減にしてよ。誰だっていいじゃない……」

やっぱり簡単には言ってくれないかー。
でも、なんとしてでもかがみの口から言わせたい。
これくらいじゃ、諦めないよ。

かがみの耳に、そっと息を吹きかける。

「ひゃっ!」
かがみはこそばゆさに耐え切れないのか、何度も背中を揺らした。
効果は抜群だ。やっぱりこういうのには弱いのかな?
本当にかがみは……。

今度はかがみの耳たぶを甘噛みしてみた。
おもちみたいに柔らかくて、溶けそうで、食べてみたいな、なんて変なことが、一瞬頭に浮かんだ。
「くっ、や……」

かがみは肘を上げたり、体を揺らしたり、凄い力で私を引き剥がそうとする。
でも、ぴったりかがみにくっついてるから、そんなのじゃ落ちないよ。

「ほらほら、早く好きな人言わないと、もっと色々やっちゃうよー」
「そ、それは……でも……」
むー。まだ駄目か。どうしようかな。

両手を離して、腰の方まで後退する。
これをしたら、かがみはどんな反応をするだろう。
想像するだけで、顔が自然とにやついてくる。
でも、早く言ってくれないのがいけないんだからね。

服の中に手を突っ込む。
かがみの肌は相当に火照っていた。冷や汗までかいている。
やっぱりやりすぎちゃったかな。でも……。
両手の指の一本一本で、撫でるように、かがみの脇腹に触れる。

「ひゃっ、く、くすぐったいってば! やめなさいよ」
「わははは、かがみん! もはや、のがれることはできんぞ」
そのまま指で背中を上るように這わせていく。

「ふっ、ひっ、うぅ……」
かがみの体が小刻みに震え始めた。
「かがみが好きな人を言ってくれるまで、やめないよ」
「だ、だから、それは、言、えないっ、て……」

かがみも相当強情だな~。私たちに言えないような人を好きになったのかな?
ますます知りたくなったよ。

左手でうなじの辺りをくすぐる。
「や、やめ、やめてって。もういいでしょ!」
体を激しく動かして抵抗してきた。
まだまだいくよー。

落ちないように気をつけながら、体を前に倒して、かがみのうなじを舐めた。
「――っ!」
かがみは声にならない声を出して、全身をびくんと震わせた。

「かがみ~ん、いい加減に本当のことを言いなよ。減るもんでもないんだからさ。それとも、もっとこういうのされたいのかな~?」

「わ……、分かったわよ。言えばいいんでしょ言えば。だから、は、早くやめてよ!」
動きを止めた。
少しの沈黙。ただかがみの洗い息遣いだけが聞こえてくる。

「言ったね! 約束だよ。絶対に好きな人が誰か告白するって」
「う、うん……」

かがみから降りて、布団から出る。
「こなちゃん、一体中で何やってたの?」
「かがみさんの悲鳴も筒抜けでしたよ」
「うーん、ちょっと色々といたずらをね」

ていうか、すっかり二人の存在を忘れてたよ……。
呆気にとられたような顔をしている二人に、とりあえずVサインを送る。
誰なんだろうな。誰なんだろうな。
気になりすぎるのか、好奇心が限界を超えたのか、胸の動悸がすごく早くなってきた。

しばらく待っていると、かがみが布団から顔だけを出した。
頭に乗った布団を両手で下に引っ張って、出来るだけ小さくなろうとしている。
「かがみー。じゃあ、みんなの前で言ってみようかー」
「わ、かってるわよ……」
かがみの顔は、イチゴのように赤く赤くなっていた。

●●●

周りを見ると、こなたとみゆきとつかさが、興味津々といった表情で、こちらを凝視している。
私が喋るのをじっと待ってるんだろう。

あの時は本当に苦しくて、あんなことを言っちゃったけど、今では相当後悔してる。
じっと我慢してればよかったのに。どうしても耐えられなかった。
くすぐったいのもあるけど、こなたに色々されているということ、そのものが。

私の背中に乗って、私の死角から。
頬を擦り付けてきたり、息をかけてきたり、くすぐってきたり。
それから、首とか耳たぶを、舐めてきたり……。

なんだか変な気持ちだった。
やめてもらいたいのか、もっとやって欲しかったのか。
嬉しかったのか、嫌だったのか。
……今となっては、もう分からないことだけど。

何にしても、何か、大事な何かがおかしくなりそうで、つい条件を飲んでしまった。
私にとって、最悪の条件を。

誰か適当な男子の名前でもあげるか、それとも、本当のことを言うのか……。
でも、こなたと約束したんだから、本当のことを言うしかないかな。
それに嘘をついても、こなたには簡単に見透かされそうな気がする。

だけど、こんな、みんなの前で。
私の好きな人を告白するなんて……。
恥ずかしさに、体が病気にでもなったみたいに熱い。
……どうしよう……。

誰も何も喋らない。動きもしない。
時が止まったかのように、全てのものが静止している。
口を噤んでいても、全然時間が進まない。
言うしかないのかな。

妹が見てる中、親友が見てる中、
……好きな人の目の前で。

私がこれを言ったら、どんな反応をするだろうか。
出来れば言いたくなかった。知られたくなかった。
こんなの、おかしいから。
女同士なんて、普通じゃない。絶対に変だ。

言いたくないのに。
幸せになってもらいたいから。
こんな感情、相手に迷惑をかけるだけだから。

それなのに、全然気づかないで、私に好きな人を言わせようとして……。
なんで、分かってくれないんだろ。いや、分かってくれない方がいいのかな。

「かがみ? 早く言ってよ」
時が動き出した。

もう言うしかない。言って、その後は、もうどうにでもなってしまえ。
あんたが悪いのよ。言いたくなかったのに。このままの状態が続いていけば、それでよかったんだから。

「い、一回しか言わないわよ。わ、私が好きな人は……」
口ってこんなに重かったっけ。
呼吸ってこんなに難しかったっけ。

たった三文字を言うだけ。
それが、本当に難しい。

つかさがじっとこっちを見てくる。みゆきも好奇心に溢れた眼差しを向けてくる。
そして、当のこなたも、わくわくした楽しそうな目でこちらを見つめてくる。

この三文字が。
普段は普通に言ってる三文字が。
今だけは重くて、禁断の呪文のように思えた。

こなた。
こなたこなたこなたこなたこなたこなたこなた。

「――――

●●●


……えっ?
今、何て言ったの? 聞き取れなかったよ。
いや、分かるけど、分からないって言うのかな。
確かに、かがみは今、はっきりと、
私の名前……。

いつの間にか、かがみは泣いていた。

どういうこと? 全然わかんないよ。
かがみが好きな人が、私?

それってうまい逃げ口なの? それとも、本当に私のことが……。

「お、お姉ちゃん、今、何て……」
「本当に、泉さんのことが……」
「そ、そうよ。私は、こなたのことが好き。大好きよ。悪い?」

「い、いえ、そういうわけでは……」
「でもゆきちゃん、それって同性愛なんじゃ……」

かがみは私と目を合わせないようにして、ずっと左上の方を見ている。
もうその顔は、世界中で一番赤いものになってるんじゃないかと思うほど。
それは多分、私も……。

「こなた!」
すごいスピードで、かがみが私の目の前まで来る。
肩を掴まれて、びっくりするほどの力で後ろに押し倒された。

「こなた、ごめんね。こんなこと言われて迷惑かもしれないけど、私、こなたのことがずっと好きだったのよ」
泣きじゃくって、
「本当はこんなこと言いたくなかったのに……。押し殺しておきたかったのに……。こなたのせいなんだからね。こなたがあんなことするから……」

かがみの目から零れ落ちた涙が、私の頬に落ちる。
かがみはこんなに悩んでたのに、私は、無理矢理言わせようと、面白がって色々しちゃって……。
ごめんね、かがみ。謝るのは私の方だよ。

「ごめん、かがみ。そんなこと思ってたなんて、知らなくて……」

でもね、今だから分かるけど、私だって、かがみに好きな人がいるんじゃないかもしれないって、怖かったんだよ。
だから、どうしても聞きたかった……。

多分、今までのことは、全部その為だったんだよ。
私がこの本音トークを始めたのも、もしかしたら、家に泊まらないかって言ったのも。

どうしても、確かめたかったこと。
でも、今では普通に聞いたりは出来なくなっていたこと。
昔はふざけあいながら、言えてたのにな。
いつからだろう。それを言うことに、恥ずかしさというか、ためらいを感じるようになったのは。
――かがみは、好きな人いるの?

本音トークっていう場じゃないと、そういうのは言えなかったから。
でも、ようやく言えたし、ようやく聞けた。

何なんだろう。
よく分かんない、変な気持ち。

本当に、反応が可愛いだけなのかな。
さっきみたいに、色々いじってたのも。

私にとって、かがみは何なんだろう。

友達かな? それとも親友かな?
……どっちとも、何かが違う気がする。
確かに、かがみは私の親友だけど、それだけじゃないっていうか……。

料理を作るときも、考えていたこと。
あの時は、適当に理由をつけて流してたけど、あれは、逃げてただけだったのかな。

何で好きな人がいるかなんて聞いたんだろう。
親友として気になるから? 興味本位とか好奇心で。
それは……違う。そんなんじゃない。

それなら、いつも通りに、普通の会話の中で聞けるから。
それに、親友に好きな人がいるのを、怖いなんて思うはずがない。
かがみには、普通に好きな人が出来て、普通にその人と付き合って、普通に幸せになって欲しい。

だけどやっぱり、それは私には辛いこと。
もしそうなったら、私の気持ちはおかしくなっちゃう。
多分哀しくて哀しくて泣き続けちゃうよ。
私にとってのかがみと、かがみにとっての私は違うんだなって。
怖かったんだ。それが分かっちゃうのが……。

だけど、そうじゃなかったよね。
かがみは、好きな人は私だって、言ってくれた。
ほっとしたし、とっても、嬉しかったよ。
今でも信じられない。

こんな日が来るなんて思わなかった……。
妄想がそのまま現実になったような、夢物語のような。
これって、現実だよね。夢なんかじゃないよね。

私もね、押し殺しておきたかったんだよ。
かがみのせいなんだから。かがみがあんなこと言うから。
多分この気持ちは、かがみと一緒だと思うから……。

私も、正直にならないとな。かがみも、勇気を出したんだから。
それに答えないと。

「こなた、私のことどう思ってる? 嫌いになった? 引いた? 
私はそれでも構わないわよ……。こんな気持ちを、あんたが無理に受け入れる必要はないんだから」

頬に、いくつもいくつも熱い雨が降ってくる。
あー、これが、かがみの気持ちなんだね。

「わ、私は……」

さっきかがみが通った道。
みんなの前で、自分の好きな人を言うっていう。
そういえば、私だけ言ってなかったな……。
今度は私の番かな。

「私も、かがみのこと、好きだよ」
「え? 本当? 本当に私のこと……」
「……うん。大好きだよ」
「うぅ……こなたぁ!」
「わ、ちょ、ま」

かがみが私の体をきつくきつく抱きしめてくる。
私もかがみをきつくきつくきつく抱きしめた。

「え? こなちゃんもお姉ちゃんのことが……好き? も、もう訳わかんないよ~」
「つかささん、私たちはもう蚊帳の外みたいですね。別の部屋で寝ましょうか」
「う、うん……」

視界の端っこ、つかさとみゆきさんが部屋を出て行こうとしてる気がする。
その二人が、外に出る間際に、頑張ってくださいとか、応援してるよとか、言ったような気もする。
ああ、もうそんなことも分かんなくなってきちゃった……。

かがみが私の唇にキスをしてくる。
私もそれに応える。

まるで時間が止まったように、
風は吹かず、ただただ室内は暑くなっていく。

太陽が止まって、この夜がずっと続いていけばいいのにな……。




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  • かがみがこなたのメールを覗いちゃうのが かわいかったです -- 名無しさん (2010-05-14 08:04:37)

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