今日の授業が全て終わった。
私が帰り支度していると日下部が私に近寄って来た。
「柊ー、一緒に帰ろーぜー」
「あーゴメン日下部、今日は用事があるから……」
「ちぇー、どーせまたちびっ子の所だろー?」
日下部が何か言っている様だけど……気にしないでおこう。
今日は……というより今日もこなた達と一緒に帰る約束をしている。
私のクラスを後にし、こなた達のクラスへと向かう。
「おーす、お待た……せ……」
クラスに入ったその刹那、私は有り得ない光景を見てしまった。
「……えぐ……ひっく……」
……こなたが……泣いている!?
――泣いているこなた――
「こ、こなた!?何で泣いているの!?」
私はこなたに駆け寄る。
「お、お姉ちゃん……」
つかさが何やら困惑した様子で私の方に顔を向けた。
「つかさ、何があったの?」
「わ、私にも分からないよぉ……急にこなちゃんが泣き出して……」
「急に?」
「う、うん……」
何の理由もなく泣き出したという事?
でも……こなたの様子はただ事ではない。
「うぐ……ひっく……っ!!!」
「ちょ!?こ、こなた!?」
私が困惑しているとこなたが突然立ち上がりどこかへ行ってしまった。
「もう!!こなた!!待ちなさい!!」
当然、私はこなたの後を追う。
……って早っ!!もうあんな所に……。
だけど……放っておけない!!
こなたが泣くなんて……失礼だけど珍しい……。
いつもあんなに飄々としているのに……どうして……。
こなたが泣いている理由が知りたい、それだけが今私の身体を動かしていた。
―――どれくらい走ったのかな……。
息切れしながら歩く私は今体育館に居る。
何故かというとこなたが体育館に向かって走っていたから……。
「はぁ……はぁ……こなた……」
……居た、小さい身体が更に小さく見える……。
膝を抱えて座り込んでいるこなた、やはりまだ泣いてるみたいだ。
「こなた!!」
「っ!!!!」
私がこなたを呼ぶと……って逃げようとしている!?
「待ちなさい!!!」
そうはさせるか!!という感じでこなたの腕を掴む。
「は、離して!!離してよぉ!!」
「離さないわよ!!絶対に離さない!!」
抵抗するこなた、私は腕を引っ張りこなたを引き寄せる。
「……やだぁ……離し……て……」
「離さないわよ……」
今もなお離してと言うこなた、勿論私は聞かない。
「何で……逃げたの?」
「……だって……!!」
涙声で説明し始めるこなた。
「……だって……私が……泣いて……いる……所……かがみに……見られ……たく……ない……!!」
……理由は簡単で深刻ではなかった。
「はぁ……それだけで逃げたの?」
「…………」
ため息を漏らす私、まさかこれだけの理由で逃げたなんて……って?
こなたは今……「私に見られたくない」って言った……?
「こなた、何で私に見られたくなかったの?」
「……っ!!」
するとこなたは黙り込んでしまった。
固く目を閉じていてそこから流れる涙がとても痛々しかった。
……言い出せないのかな……?
「……私に……からかわれると思ったから?」
「っ!!ち、違う!!そんなんじゃない!!」
即刻否定された、じゃあ何で……。
「……ひっく……えぐ……うわああああぁぁぁん!!!!」
「こ、こなた!?」
すると突然こなたが大声で泣き出した。
「お、落ち着いて!!ね!?」
「嫌だあああぁぁ!!かがみに嫌われたくない!!嫌われたくない!!」
急に叫び出すこなた。
嫌われたくないって……!!
「私がいつ嫌いになったって言ったの!?」
「嫌われたあああぁぁ!!かがみに嫌われたあああぁぁ!!」
「こなた!!」
無理矢理こなたを抱き寄せる私。
抱き寄せるとこなたは身体を震わせたが直ぐさま私の背中に手を回し泣き続けた。
「うわあああぁぁ!!えぐ、ひっく、わああああぁぁ!!」
絶叫する様に泣き、私に縋り付いてくるこなた。
私はギュッと抱きしめ、頭を撫でていた。
「やだやだ!!嫌われたくない!!かがみに嫌われたくないよぉ!!」
「嫌いになってない!!絶対に嫌いにならない!!」
「嫌!!嫌!!嫌ああああぁぁ!!!!!!」
「嫌いじゃない!!私はこなたの事嫌いじゃない!!」
必死に言う私。
私がこなたの事を嫌いになる?
天変地異が起こってもそんな事は有り得ない。
「嫌……だった……だって……好きな人に……見られたくない……よ……!!」
……好きな人?
誰が?誰に?
……こなたが……私を!?
「こなた……ちゃんと言って、何で私に見られたくなかったの?」
もしこなたが本当に私の事を……恋愛感情で見ていたら……私はどうする?
確かに私はこなたの事が好きだ、今までずっとこなたの事を想ってきた……。
でも……私とこなたは女同士……。
「……好き……なの……かがみの……事が……!!時々……厳しいけど……優しくて……ツンデレな……かがみが……!!」
ツンデレっておい……。
でもこれがこなたなりの告白だった。
泣きながら、必死に言うこなた。
……私は……。
「だから……見られたくなかった……嫌われると思ったから……えぐ……うぅ……」
……何を迷っている、何を躊躇っている。
答えは一つだけなのに、こなたがこんなにも必死に告白してくれたのに。
……戸惑う必要はない!!
「こなた……私の事を見て」
こなたが恐る恐るという風に私の方に顔を向ける。
赤く腫れた目、涙の跡、不安の色で覆われている瞳、今にでもまた泣き出しそうな顔……。
……うん、大丈夫……言える。
「私も……好きだよ、こなた」
その刹那、こなたの表情が変わった。
「か……が……み……」
「好き、私もこなたの事が好きだよ」
「……本……当……に?」
こなたの瞳から涙が溢れ出してくる。
「……冗談でこんな事……言わないわよ……」
後はもう言葉はいらない。
私は勢いに任せてこなたにキスした。
こなたは身体をビクンと震わせたが拒みはしなかった。
お互いの唇が離れる。
「……ひっく……えぐ……えぐ……」
「……おいで、こなた」
私が言うと思い切り抱き着いて来るこなた。
さっきみたいに泣き出したが悲しみの色はもう無かった。
「よかった……!!よかったよぉ……!!」
泣きながら叫ぶ様に言うこなた。
そんなこなたが愛おしくなった私は頭を撫で、ほお擦りをした。
―――落ち着いたこなたは今私の隣に座っている。
「こなた、何で泣いていたの?」
最初から思っていたこの疑問、泣き止んだこなたに聞いてみる。
「……かがみが……好きで……しょうがなかったから……」
「……もう……泣かなくていいからね」
「うん……」
それと同時にこなたが私の膝の上に倒れ込んできた。
「こ、こなた!?」
「……すー……すー……」
……コイツ……このタイミングで寝るか……。
……ま、仕方ないよね……あれだけ泣いたんだから……。
こなた、安心していいからね。
私はあんたの事を嫌わない。
いつでも私に泣き付いてきていい。
……今しばらく……お休み……こなた……。
「……かが……み……好き……」
オレンジ色に輝く夕日が私達を照らし続けている。
そして……この日から私達は恋人同士になった。
さて……これから先……何が待ち受けているのかな……。
- THE END……?-
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- GJ!!(≧∀≦)b -- 名無しさん (2023-07-03 04:30:25)
- ふむ。・・・・・・GJだ!
構わん、続けたまえ。 -- 名無しさん (2010-06-30 20:05:05) - 意味深な終わり方ですね。 GJです! -- 名無しさん (2010-06-30 19:50:49)