パーフェクトスター番外編 Interlude:分岐

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幕が閉じたみたいに、映像は一度そこでプツリと途絶えた。
しかし、私の意識は未だこの場に残っているからまだこの空間は幕間途中なんだろう。
…幕間の幕引きとはおかしな話だ。

── 正しく言い換えるならば、“夢”はまだ終ってない。

《Interlude:分岐》

暖かい日差しが私の視界を開き、目をつぶっている少女の瞼をノックした。
自分の意思で動かせないカメラに難儀しながら、
辺りを確認すると──ここは何処にでもありそうな民家の縁側だった。

かがみは庭へ足を垂らし、縁側に身体を預けていて、その顔からは疲労の色が見て取れた。
縁側を通じて背に響く足音に気づいたかがみは、気怠そうに瞼を開いて来る者を待ち構えた。

「お姉ちゃんが、そこでそうやってしてるの珍しいね」
「…そうでもないわよ」
「そう、かな」

遠慮がちに、でも心配そうに話しかけたつかさに対し、身を起こしながらかがみは苛立を隠さずに返答する。
その声は前回のシーンよりも冷たく響き、まるで別人のようにも思えた。

かがみは堅くなった背を伸ばしながら立ち上がり、つかさと対峙する。
つかさは寝間着のままだった。

「つかさ、今何時かわかる?」
「う、うん、お昼、だよね…」
「はぁ…休みだからって。私たち一応受験生なんだし、休みの日こそ勉強しないと」
「…そうだね」

厳しい突っ込みに、しょぼんと萎れたつかさ。
素直な妹の様子に一瞬頬を緩ませたかがみはハッとした後、再び表情を引き締めた。

「自分のペースは大事だけど、つかさの場合はゆっくりすぎるから心配だわ」
「…」

図星をつかれてさらに萎れるつかさを他所に、かがみは部屋の奥へ歩みを進めた。
未だに凹んだ表情のまま立ち尽くすつかさとすれ違ったところ、つかさがかがみを呼び止めた。

「ねぇ…お姉ちゃん」
「何?」
「勉強も大切だけど…その、無理しちゃだめだよ?」

つかさの見えないところで、かがみの表情が強張る。
その表情は何かを決心した表情とも取れた。
聞こえない程度の溜め息をつくと、かがみは歩みを進めながらこう言った。

「そうね…でも、つかさには言ってなかったけど、
私陵桜やめて──高校目指す事にしたから、多少無理してでも頑張らないと、ね」
「…お姉ちゃん!?どうして!?」

自室へと戻ろうとするかがみに追いすがろうとするつかさ。
その間、かがみはずっと硬い表情をしたままだった。


家の奥、日の当たらない暗がりに入ると景色が変わった。
デスクライトが照らしていたのは、ぎっしりと問題の掛かれた問題集とノート。
それとそこにユラユラと動く影──その影がデスクへ着地する寸前、かがみは意識を戻した。

「…顔洗ってこよう」

そう独り言を呟いてから部屋を出ると、かがみの部屋とは別に、違う部屋から廊下へ光が漏れていた。
丑三つ時もいいところなのに、その部屋から光が漏れている事を不信に思ったかがみはその部屋を覗いた。
部屋の主であるつかさは机に突っ伏したまま動かないでいた。

「すぅ……すぅ……」

広げた問題集とノートの上で、規則正しい寝息を立てているつかさ。
その顔には涙を流した後がくっきりと残っており、寝顔もどこか悲しそうだった。
かがみはベッドからタオルケットを取り、持ち主の肩へと優しくかけた。

「…ごめんね、つかさ」

せめて、寝ている間だけでもと。
かがみは起こさないように軽く、つかさの頭へ触れる。

「本当は一緒の高校に行きたい…」

頭を優しく撫でる。
その手は微かに震えていた。

『でもね、それじゃ…つかさに甘えちゃうから……強くなれないから…ごめん』




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