謹賀新年(こなた視点)

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「せーのっ」
『明けましておめでとうございます』
「今年もよろしくな、二人とも」

新年。作るのが遅かったせいでまだ暖かい年越しそばのどんぶりを目の前に置きながらの、おきまりの挨拶。

「それじゃあ年が明けましたので。お父さん、お年玉」
「ちゃんと用意してあるさ。二人とも計画的に使うんだぞ」
「え、私の分も?!」
「遠慮せずに貰っておきなよ、ゆーちゃん」
「そ、それじゃあ・・・」

今年・・・じゃない。去年からゆーちゃんが家に来てるから、お年玉はゆーちゃんのも込みだ。
去年と同じ額なら、お父さんの懐はさぞ寒いだろうに。

「じゃあ私、ネトゲの仲間に挨拶周りしてくるよ。黒井先生とか」
「おう、よろしく言っておいてくれ」
「私は友達と初詣に行ってきます」
「そうかい。行っておいで」

思い思いの元日。
部屋に戻ってPCの電源を入れ、起動が終わるまでにお年玉の内訳を確認する。
・・・やっぱり、去年より少なくなってる。
まあ、しょうがないか。ゆーちゃんも居るし。今度ゆい姉さんに何かおごって貰おう。

まだ立ち上がらないPCを後目に、コピー用紙を一枚持ってきて、筆箱からシャーペンを取り出す。
一年の計は元旦にありと言うしネ。今年こそは・・・そう思ってることを、私は書き出すことにした。
PCも起動したのでゲームにログイン。
右手にキーボード、左手にペン。
コピー用紙に箇条書きにしていく。

「大学落ちても受かっても後悔しない・・・っと。おっと、右手で打ってる文字が割り込んでる」

大学落ちてもヨロって何さ。
そりゃまあ、あの3人には私が大学落ちても仲良くして貰いたいけどさ。
・・・で、一番最後の項目。
やっぱり、これしかないよね。

「かがみに告白する・・・っと」

何時だったかな?かがみと話すようになったのは。
ともかく、吊り目、ツインテールと萌え要素そろってるかがみに、私は・・・うん、かがみは嫌がるかも知れないけど、『萌えた』。
しかも話していく内に、ツンデレもあるって分かって、ますます好きになっていった。
でもさ、萌えだけじゃ無いんだよ。

一目惚れ、なのかなぁ。つかさ経由で知り合う前から、時々かがみを見かけることはあった。
そのときから・・・何か惚れてたっぽいんだよね、私。
で、萌えと惚れの相乗効果(?)で、気づかない内に・・・かがみが大好きになってた。恋してた。
いつも会う度に、胸がキュンとなるあの感じ。わかるかなぁ、あれがずっと続くんだ。
大好きで大好きで仕方なかったんだよね。

でも、私はその気持ちを言えないで居た。
女同士だからって言うのもあるけど・・・一番の理由は、やっぱり今までの関係を崩したくなかったからかな。
私が原因で、昼休みのあの団欒がぎこちなくなるような事があれば、本当に学校行けなくなるかも知れない。
つかさやみゆきさん、それにかがみにあわせる顔がないから・・・

でも、卒業すれば、嫌だけど4人が顔をあわせることも少なくなる。
そうすれば多少ぎくしゃくしたところで、顔あわせる機会が少ないから付き合いに殆ど影響は無いはず・・・
って、後ろ向きなことばかり考えてるけど、それで今年こそは告白・・・卒業式あたりかな、それくらいに告白しようと思ってる。




一通り挨拶巡りしたところで、私はベッドに横になった。積んであるマンガに手を伸ばす。

「?」

手が止まる。
何かしなきゃ。
そんな感じがした。

結局、何であのときマンガに手を伸ばすのを止めたのかは分からない。

「お父さん、ちょっと出かけてきて良い?」
「こんな時間にかい?」

時計は0時30分を少し回ったところを指している。
こんな時間に外に出る理由といえば

「ちょっと私も初詣行こうかなと思って。かがみとつかさの家の」
「ああ、あの二人の巫女さんの所かい。でも今年は巫女さんで出てないんだろ?」
「でも会えそうな気がしてさ」


「そうか。じゃあ、挨拶に行っておいで。お父さんはまだこの部分は書かないと忘れそうだし、しばらく出られそうにないよ。・・・〆切近いしさぁ」

うわぁ、泣きそう。
かがみ達の巫女姿見に行けないのがそんなに悲しいのか。
だとしたら、やっぱり私のお父さんだ。

「う、うん・・・頑張ってね。行ってきます」

・・・私、何でかがみに会えそうな気がしたんだろ?




そうして、かがみの家の(?)神社に着いた。
かがみ達が出てきてるとしても何処にいるのか見当も付かない。
取りあえず、初詣の列に並ぶことにした。

「はふぅ」

手がかじかむ。手袋はしているけれど、流石にこの寒さはきつい。
見渡せば地面には霜柱。昔よく踏んづけて遊んだ記憶がある。
それから絵馬。かがみは俺の嫁、とか書いて帰ろうかな。それじゃ単なるストーカーか。
そしてかがみ・・・

「へ?」

かがみが居た。しかもこちら目掛けて歩いてくる。

「・・・」

開いた口が塞がらなかった。

「おーっす、こなた」
「おー、かがみじゃん。あけおめー」
「あ、そうね。明けましておめでとう」

いつものかがみだ。

「あれ?おじさんは?去年来てたわよね。それからゆたかちゃん」
「ああ、お父さんなら、何でも締め切りがマズいらしくて、今必死になってワープロにかじりついてるよ。ゆーちゃんは友達と初詣だって。だから今年は私一人で来たわけ」

長い話になりそうだ。
私は参拝客の列から抜けるように歩いた。
かがみも付いてくる。

「ふーん、大変そうねぇ。・・・所であんたはどうして来たの?受験でしょ」
「何をおっしゃる、かがみ様。こうしてかがみの顔を拝みに来たんじゃないかえ。御利益ありそうだしネ」
「なっ!」

いつも通りの冗談。かがみの顔がボッと赤くなった。
可愛い。
そして、胸がときめく。

「それにかがみだって、仕事じゃないのにこうして出てきてるじゃん。かがみこそ何で?」
「わっ、私は・・・・・・こなたが来る、って気がしたから・・・」
「・・・そっか」

予感はこれだったのだ。運命の巡り合わせか、はたまた神様の悪戯か。
そんなことはどうだって良い。

「私もかがみに会えるような気がしたんだ。だから出てきたんだけど・・・当たったね」
「・・・あのね・・・」
「ん?」

かがみが俯いて、何か言いたそうにしている。

「私、こなたのこと・・・好き」

驚いた。ラックの種って、リアルに存在したっけ?
衝撃に固まること、しばし。

「・・・良かった・・・」

思わず口に出てしまった様だ。
かがみが好いてくれていた・・・だったら、私も言っても良いよね?
計画前倒し。

「私も好きだよ、かがみ」

うれし涙が止まらなかった。
見ればかがみも涙を流している。

「今年もよろしくね」
「うん」

次第にお互いの顔が近くなっていく。

最高のお年玉だった、と思う。

「寒いわね」
「寒いねー」

二人手を繋ぎ、境内をぶらぶらと歩く。
かがみが手袋を持っていなかったから、片方を貸して、素手を握りあった。

「で、晴れてお互いの気持ちが伝わったは良いけどさ」
「ん?」
「報告・・・どうする?つかさや、みゆきさんに言う?」
「・・・どーしよっか・・・」

二人の間ならべつに女同士だろうと何だろうと、関係ない。
が、周りの目はそうも行かない。
世間体を気にしない生き方が出来れば良いんだろうけど、そのせいでかがみが辛い目に遭うようなことがあれば、問題は深刻だ。
百合作品が最近よく出回ってるとは言え、飽くまでそれは作品であり、リアルで百合は好かない、という人だって居るだろう。
隠れてしか二人きりになれないとか、そんなのは嫌だ。

「みゆきは・・・多分話せば分かってくれるわよ。つかさだったら別に問題ないんじゃない?」
「何で?」
「こなたから・・・そう、何て言うの?女の子同士イチャイチャしてるような・・・」
「百合?」
「まあ、そう言うマンガ貸していって抵抗無くせば・・・あの子、そういうのに影響受けやすいから」
「かがみも結構スゴいこと考えるねー。世間一般ではそういうの、洗脳って言うんだよ」
「わ、分かってるけど・・・」

でも確かに、そういう手は有効かも知れない。
紅白でも、性同一性障害(だっけ?)で性転換した歌手が出てたし。

「よし、決めた」
「何をよ」
「ふっふふふふー、良いこと」
「どんなよ」
「私が世間に影響力を持てるようになって、恋人がかがみだってカミングアウトするの。そうすれば、少なからず賛同者が出てくるじゃん?その勢いで署名集めて、同性婚出来るように法改正要求して、かがみの家に『かがみを幸せにします』って言いに行くの」
「!・・・何かまた突拍子のない考えを・・・」
「・・・ダメ?」
「良いんじゃない?でも、どうやって影響力持つのよ」
「コスプレ喫茶で鍛えた演技力で、俳優やるとか。そうじゃなかったら声優とか!私、平野綾そっくりの声出せるよ!」
「それじゃぁ、今からやることは?」
「・・・はい、お勉強します・・・」
「あとそういう声優養成学校みたいな所のパンフの取り寄せね」

やることは決まった。さっきのコピー用紙に書き足しておこうか。

「ところでさ、こなた」
「ん?」
「・・・この後、予定入ってる?」
「無いけど?」
「じゃあ、家に来ない?つかさしか居ないし、多分また寝てるし」
「え。え、えぇっ?!」
「よし、決まりね!さぁ、行こう」
「ちょ、ちょ、まっ」

体の小さな私は、かがみに引きずられるようについていく。
かがみの手がさっきより熱い。
・・・可愛いなぁ、かがみ。

「ねぇ、ちょっとかがみ」
「ん?何?」

振り向いたかがみの頬に、タイミングを図ってキス。
頬は手よりも熱かった。

「好きだよ」
「私も」

初日の出の時間まで、あと何時間あるかな?



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