満月の夜

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「かがみのこと…好き…なんだ」
全ては、この言葉から始まった。
放課後、突然校舎の裏に呼び出され、告白された。
あまりに急で、何がなんだか分からなくなった。
こなたは真剣なまなざしで、言葉を続けた。
「女同士で…変だって思うよね?でも本当に、好きでどうしようもないんだ…かがみ…」
あの時の潤んだ瞳と、切なそうな表情は忘れられない。
その言葉に嘘は一切ないことは、私でもわかった。いつもは冗談を言ったり、私をからかったりして喜んでいるこなたが、こんな顔をするなんて。
「…私はさ、子供みたいな体型だし、オタクで、生意気で、ひねくれ者の変人だけど、かがみは私を友達として見てくれたよ。すごく嬉しかった…ここまで仲良くなれるなんて」
「え…」
「いつの間にか、かがみのこと…友達以上の関係になりたいって思ってたんだ…人を好きになるってこういうことなんだって、初めてわかった」
「…」
必死で言葉を絞り出すように、こなたの告白は続いた。
私は言葉が出なかった。
「もう、どうしようもないんだ…かがみの近くにいるだけで、心臓がドキドキいっちゃうし、ゲームしてたら、ぼーっとしてることも…あって…」
大きな瞳から、大粒の涙が溢れ出してきた。
「かがみ…ごめん…もう……うぅ…」
手で目を押さえて、シクシクと泣き始めた。

私はこなたを静かに抱きしめた。
「こなた…そこまで私のこと、想ってくれてたの…」
「うぅ…あぁ…かがみ…」
「私ね…もしかしたら、って思ったこともあったんだ、でも女のあんたに告白したら笑われちゃいそうで…」
「うぅ…そんなこと、しないよ…絶対」
こなたが胸元に顔を埋めて泣き続ける。
「嬉しいな…そこまで私のこと好きになってくれて」
「うぅ…」


それから、私たちは以前より親密になった。
笑ったり、ふざけあったり…

時にはケンカもした。
それでも、互いの距離はいつの間にか埋まっていた。


「かがみーん」
「ん、何?」
「今度、旅行行かない?二人で」
「え?」
唐突に何を言い出すかと思えば…。こいつはサプライズの天才かもしれない。
「そんな事言ったって、そんなにお金あるわけじゃないし…」
「大丈夫だよ。泊まる所は確保してあるし、旅費くらいなら出せるよ」
「え、そんな…なんか悪いわ」
「かがみん…守りに入っちゃダメだよ。良いものには思い切ってドカンと投資する事が、成功の秘訣なんだよ」
「誰が言ったんだよ…まぁ、それは嬉しいけど、でも…」
「あ、つかさとみゆきさんは用事があるから、ちょうど私たち二人っきりになったんだ」
「え…」
「さぁ~…これで心配なことはなくなったよ…」
(なんか、都合が良すぎないか…)
こなたの手のひらで転がされているんじゃないか、ふと、そんなことを思った。
でも、時には受身に回るのもいいかもしれない。

地元の駅から電車で揺られて、かなりの時間が過ぎた。
着いたのは、美しい自然に囲まれた、のどかな田舎。
「んー、空気がおいしいわね…好きだわ、こういう所」
「ふふん…かがみって結構年寄り臭いかも…」
「なっ、失礼なこと言うな、私は…」
「動揺するかがみん萌え~~…」
「うーー…!!」
やれやれ…かなわないな、こいつには。

「うぉ、ここに泊まるの?」
「そだよー」
私たちが着いたのは、かなり豪華なログハウスだった。手入れも行き届いている。
「ここ…結構するんでしょ?大丈夫なの?」
「へーきへーき。ちょっとコネがあってね。お父さんの仕事関係で」

そう言えば、こなたのお父さんは物書きだった。親子二人で大きな家に住んでいるのだから、かなりの売れっ子なのだろう。今度読んでみようかな。

「うわぁ…」
思わず私は声を上げた。
ログハウスの中は品質の良さそうな家具や家電製品が完備されており、とても私たちの小遣いで泊まれるような場所ではない。
「すごい…」
「結構偉い作家さんと仲いいみたいだからね。ああ見えて社交的だし」
なるほど…人は見かけに…いや、失礼なことを考えるのはよそう。
「それより、これからどうする?ずっとここにいても退屈でしょ?」
「ん…とりあえず、その辺散歩しましょうか」
「そだねー」

「あぁ…たまにはこういう何も無いところに来てみるのも悪くないわねー」
「私たちの地元だって何もないじゃん」
「はいはい、そういう事言わない」
楽しい時間。こなたと二人っきり…。幸せって、こういうことなのかな…。
「ねぇ」
「ん?」
「手…つなごうか」
「…そうね」
私はゆっくりと、こなたの手を握り締めた。
「うふふ…恋人握りとは、粋なことをしてくれる」
「あ…こ、これはっ」
「…嬉しいよ」
「え?」
「さ、行こうかー!」
「ちょっと、早いってば」
こなたにぐいぐい引っ張られ、見知らぬ街を駆け回った。
見たことも無いものがたくさんあって、ものすごく楽しかった。
何よりも、こなたの笑顔がいっぱい見られたことが嬉しい。
愛らしくて、まぶしい笑顔…。

ログハウスに戻ると、早速こなたが台所へ向かって駆け出した。
「さて、今夜は私の特製料理でも作りますかね」

「え、材料あるの?」
「…じゃーん」
冷蔵庫の中には野菜や肉、魚、ジュース類まで豊富に詰め込まれている。
「これ好きなだけ使っていいってさー」
「…太っ腹な人がいるのねぇ」
「というわけでー、高そうな食材だけジャンジャン使っちゃおう」
「卑しいぞ…すっごく」

こなたは手際よく調理している。
私はと言うと、お皿を並べたり、材料を取ったりすることしか出来なかった。
ジャガイモの皮むきをやってみたが、こなたに見せた瞬間ダメ出しされてしまった。
「いつか、練習して絶対にうまくなってやるわ」
「いつかっていつですかー?」
「そ、そのうちよそのうち!」
「そのうちっていつですかー?」
いつも通り、私はイジられる立場だ。だが、不思議と嫌じゃない。
こなたと一緒にいると、楽しくて、時間があっという間に過ぎてしまう。

食事をすませて、後片付けが終わると、私はぼんやりとテレビを見ていた。
こなたは風呂に入っている。
(かなり前に見たやつじゃない…相当な田舎ね…)
再放送のバラエティを眺めていると、バスタオルを巻いたこなたが上がってきた。
「かがみーん、すっごく大きいお風呂だからさ、すぐ入ってきなって!あぁもう…こんなことなら最初から二人で入ればよかったー!!」
「テンション上がりすぎよ…あんた元気ねぇ」

確かにこなたの言うとおり、広くて快適ではあった。うちのお風呂の何倍だろう…。
(あ…パジャマ持ってくるの忘れた……)
今更気づいても遅いが、普段着で寝ても構わないだろう…こなたしかいないのだから。
湯船につかりながら、私は深呼吸した。



「私が…これを?」
寝室に来た私は驚愕した。
「…うん」


どこで用意してきたのか、肌が透き通る素材のネグリジェを着たこなたが言う。
それも、下着は一切つけずに…。
「かがみん…私たちもう、ただの友達じゃないよね…?」
「…うん」
「こういうことだって、経験するよね、普通は…」
こなたが何を言いたいかは理解できる。

「あぁ…いいよ、似合ってる…」
「裸よりいやらしくないか…コレ…」
そのとき、突然こなたが抱きついてきて、激しくキスしてきた。
「んっ…」
その細腕からは想像もできない強い力で抱きしめられ、身動きが取れなくなった。
息苦しくなってきたところでやっと解放されたかと思えば、また唇を奪われ、舌を入れられ、理性が少しずつ崩されていく。
「ん…ハァ…かがみ…きれいだよ…」
「…こなた」
「お願い…私…かがみに、抱かれたい…」
こなたは、頬を紅潮させて、私を見つめている。月明かりに照らされたその顔には、幼さと妖艶さが同居している。
今、私の前にいるこなたは、きっと私しか知らない。
「わ…私…こういうこと、初めてなの…」
「…」
「あんたが…満足するか、わからないけど…それでも、いいのね…?」
「…かがみ」
「え?」

「私さ、かがみのそういうところ、すっごく好きだよ」

もう、言葉なんていらなかった。
ただ、抱きしめて、唇を重ね合わせた。
長い口付けが終わると、こなたの肩に手を伸ばし、衣服を引き下ろした。そのまま押し倒し、体が重なり合う。
「もう、引き返せないわよ」
「あぁ…かがみ、とうとう野獣になってしまった…」
「あんたのせいよ…責任取ってもらうわ」
「…お…おてやわらかに…」




「あっ…」



朝の日差しが、窓から差し込んでいる。
「ん…あぁ…」
軽く伸びをして、ふと横を見ると、こなたが気持ち良さそうに寝ている。
(昨日……なんか、いろいろとあったな)
全部は思い出せない…。何故だろう。
(こいつの寝顔…かわいいじゃない)
思わず顔を近づけたその時、

ガバッ!

「ひゃあ!」
「かがみーん、油断したね。昨日のお礼、これからたっぷりしてあげましょう…」
「え、何?私が一体何を…」
「本当に初めてだったの?あんな事やこんな事まで…よく体が持ったよ…」
「え…」
こなたがニヤニヤ笑う。
「さぁ…始めようか」
「え、ちょっと待って!…ちょ、あ、そんな…やぁ…!」

結局、夕方近くまで滞在してしまった。
あの後、何があったかは、誰にも話すことは無いだろう。
ただ、こなたがやりたい放題だったのは事実だ。


夕焼けが綺麗なこの時間、私たちは駅のホームにいる。
「もう帰るのか、楽しい時間はあっという間だね…」
「…うん」
「何、かがみん、もじもじしちゃってさ」
「いや、なんか…一気に階段を上ったような、そんな感じがするのよね…」

「もー、やっぱかがみは純粋で可愛い!」
「な…恥ずかしいこと言うな」
「むふふ…だってさ、かがみって理性が吹き飛んじゃうと、もう手がつけられなくて、どうしようもないんだよね~…」
「人を性欲の塊みたいにいうな!!!」
生きてきた中でワースト5に入るくらいの、恥ずかしい失敗をしてしまった。
ホームにいた数人が、こちらに注目したのだ。
「かがみ、自滅するの巻」
「う、うるさい!!!!!」
私が叫ぶと同時に、発車のベルが鳴った。

その後、電車の中では他愛の無いおしゃべりを続けた。
周りの人には、旅行に来た女友達同士にしか見えなかっただろう。

翌日からは、いつものように学校へ行き、以前と変わらない生活が始まった。
相変わらず、宿題見せろとか、色々と面倒なことにも巻き込まれるが、どこか憎めない…。

「かがみー、帰り一緒にゲマズ行かない?」
「また?あんたお金使いすぎよ」
「今日はいつもとは違うんだよ、何せ今年最大の…」
「あ、待って、今日、進路希望調査があるんだった。遅くなるから、また今度ね」
「…じゃあ、待ってるから」
「え…?」
「終わったらすぐ来てよね!」

やれやれ…。

今も、私とこなたの付き合いは続いている。
友達とは違う、特別な付き合いが…。



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コメント:
  • きのうは おたのしみでしたね・・・ッス!! -- 名無しさん (2011-05-15 03:48:14)
  • ふつくしい...... -- 名無しさん (2010-10-15 14:17:25)
  • いいシチュエーションです!!! -- 名無しさん (2010-07-17 22:58:16)
  • 二人とも可愛いよWWWもうニヤニヤが止まんない…!!
    早く二人とも結婚しちゃえばいいのに -- 名無し (2010-06-11 02:06:05)
  • 二人ともかわいい! -- 名無しさん (2010-04-25 18:02:16)
  • 公式のひよりん妄想イラストが鮮明にフラッシュバックした。GJ -- 名無しさん (2009-04-16 18:59:49)
  • 好きです。13-351さん -- 名無しさん (2008-05-21 17:21:13)
  • 今微妙にソレっぽい話書いてたりします。
    こなたの誕生日までには書き上げたいのですが、間に合うかな。 -- 13-351 (2008-05-21 01:54:00)
  • 次は結婚後の話とか聞きたいですねwww -- 名無しさん (2008-05-21 01:01:57)
  • 吹いてくれてありがとうございます。
    たまにはこういったものもよろしいかと。 -- 13-351 (2008-05-19 22:54:24)
  • 鼻血吹いた -- 名無しさん (2008-05-19 21:26:00)

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