それは、放課後のこと……
「かがみ、ハイこれ」
「……何コレ……?」
「私がやってるネトゲの、スタートキット。かがみにも1つあげるよ」
「ネトゲって……私、そういうの興味ないし。それに、タダで貰うのも悪いわよ」
「ああ、これは布教用だから、お金とか気にしないでいいよ。
月額料金もこのキットに含まれてるしね」
「で、でもやっぱり私、ネトゲとかやったことないし……」
「大丈夫! いつも宿題写させて貰ってるお返しに、
私が手取り足取り教えてあげるから。ね?」
「……何コレ……?」
「私がやってるネトゲの、スタートキット。かがみにも1つあげるよ」
「ネトゲって……私、そういうの興味ないし。それに、タダで貰うのも悪いわよ」
「ああ、これは布教用だから、お金とか気にしないでいいよ。
月額料金もこのキットに含まれてるしね」
「で、でもやっぱり私、ネトゲとかやったことないし……」
「大丈夫! いつも宿題写させて貰ってるお返しに、
私が手取り足取り教えてあげるから。ね?」
いやいや、宿題は自力でやらんかい!
と突っ込みたい所だけど、こなたが上目遣いで
おねだりしてくるのを見てると、どうにもそういう気になれない。
意志が弱いな、私……。
と突っ込みたい所だけど、こなたが上目遣いで
おねだりしてくるのを見てると、どうにもそういう気になれない。
意志が弱いな、私……。
「全く、仕方が無いわね……。
そこまで言うならちょっとだけよ?」
「ありがと、かがみ!
じゃパソコンにインストールして、男性のキャラ作ってね♪
私は先に帰って準備してるね~!」
「あ、ちょっとこなた!」
そこまで言うならちょっとだけよ?」
「ありがと、かがみ!
じゃパソコンにインストールして、男性のキャラ作ってね♪
私は先に帰って準備してるね~!」
「あ、ちょっとこなた!」
……もう、行っちゃった。
インストールして男性キャラ作ってって言ってたわね……。
インストールして男性キャラ作ってって言ってたわね……。
……って、ちょっと待て。何で私が男性キャラなんだ!?
やや腑に落ちないけれど、とりあえず私も家に帰ることにした。
待たせたら悪いしね。
やや腑に落ちないけれど、とりあえず私も家に帰ることにした。
待たせたら悪いしね。
家につくと、最近買って貰ったパソコンを起動した。
こなたに貰ったゲームをインストールし、キャラも作成。
準備はOKかな。
丁度そこに、こなたから携帯が。
こなたに貰ったゲームをインストールし、キャラも作成。
準備はOKかな。
丁度そこに、こなたから携帯が。
「やっほ~、かがみん。準備はOKかな~?」
「ちょっと、何で私が男性キャラなのよ?」
「え~、それはもちろん、かがみが男らし///」
「どういう意味よっ!!」
「きゃ~♪ かがみんが怒った~☆」
「ちょっと、何で私が男性キャラなのよ?」
「え~、それはもちろん、かがみが男らし///」
「どういう意味よっ!!」
「きゃ~♪ かがみんが怒った~☆」
ったく、こいつは……。
「まあまあ、とにかく始めようよ。私のキャラ名は○○で、女性キャラね」
「もう……私は××よ。……アレ?
こなた、男性キャラでプレーしてるって言ってなかったっけ?」
「それは1垢目の1stキャラだよ。
このキャラはかがみと一緒にプレーするための2垢目の3rdキャラ。」
「って、おい! どんだけキャラ持ってるのよ!?」
「大袈裟だなあ、かがみは。2垢持ちくらい、今時普通だって」
「もう……私は××よ。……アレ?
こなた、男性キャラでプレーしてるって言ってなかったっけ?」
「それは1垢目の1stキャラだよ。
このキャラはかがみと一緒にプレーするための2垢目の3rdキャラ。」
「って、おい! どんだけキャラ持ってるのよ!?」
「大袈裟だなあ、かがみは。2垢持ちくらい、今時普通だって」
……時折私は、こなたの感性についていけなくなる。
べ、別にそういう所が嫌いって訳じゃないんだけど……。
これがオタクと一般人の違いってやつなのかな……?
べ、別にそういう所が嫌いって訳じゃないんだけど……。
これがオタクと一般人の違いってやつなのかな……?
ゲームを始めると、私とこなたのキャラは街らしき場所に現れた。
私がタイピング苦手なのに配慮してか、
当分は、携帯で会話しながら一緒に進めてくれるみたい。
私がタイピング苦手なのに配慮してか、
当分は、携帯で会話しながら一緒に進めてくれるみたい。
「ここが、私が拠点にしてる街だよ。まずは資金をあげるね。
何かと必要になるだろうし」
「わざわざごめんね……って、ちょ!
こなたさん! 何すか、この金額!?」
「大丈夫だよ。私の全財産の20分の1だから」
何かと必要になるだろうし」
「わざわざごめんね……って、ちょ!
こなたさん! 何すか、この金額!?」
「大丈夫だよ。私の全財産の20分の1だから」
500万で20分の1って……恐るべきはネトゲ経済のインフレか
それとも、こなたの資金力か……。
それとも、こなたの資金力か……。
「んじゃ~、街の施設を案内するね」
こなたから、店や重要な施設の案内を受けていく。
ある程度廻ったところで、教会に辿り着いた。
ある程度廻ったところで、教会に辿り着いた。
「ここは教会。異性のキャラ同士が結婚できるんだよ」
「結婚、ねえ……。こなたも、別のキャラでしてるんだっけ。
ゲームの中でまで、結婚したいものなの?」
「いやあ、結婚してると専用装備の婚約指輪とか
婚約者同士で使えるスキルとか貰えるからさ。
後は勢いでネ♪」
「あー……要は、情より利を取ったんだな……」
「まあNE☆ というわけで、かがみんや」
「何よ?」
「結婚、ねえ……。こなたも、別のキャラでしてるんだっけ。
ゲームの中でまで、結婚したいものなの?」
「いやあ、結婚してると専用装備の婚約指輪とか
婚約者同士で使えるスキルとか貰えるからさ。
後は勢いでネ♪」
「あー……要は、情より利を取ったんだな……」
「まあNE☆ というわけで、かがみんや」
「何よ?」
「結婚しよか」
ブッ!!!
思わず、パソコンの前で吹き出してしまう。
思わず、パソコンの前で吹き出してしまう。
「な、なな、何言ってるのよ!?
大体、私達女同士だし……」
「リアルの性別は関係ないんだよ。
クランの皆も、その辺り気にせず結婚してるしね。
ゲームなんだしいいじゃん、ね?」
「う……ま、まあたしかにゲームだし……」
大体、私達女同士だし……」
「リアルの性別は関係ないんだよ。
クランの皆も、その辺り気にせず結婚してるしね。
ゲームなんだしいいじゃん、ね?」
「う……ま、まあたしかにゲームだし……」
そうして、流されるままに
私としこなたは式をあげることになった。
私としこなたは式をあげることになった。
「かがみのタキシード姿、凄くお似合いだね♪」
「その言い方、非常に納得がいかないんだが」
「そして私はウェディングドレス装備、っと。
んじゃ始めよっか♪」
「その言い方、非常に納得がいかないんだが」
「そして私はウェディングドレス装備、っと。
んじゃ始めよっか♪」
私の不満は華麗にスルーされて、式が始まった。
教会に入り、こなたと並んでヴァージンロードを歩く。
まさか、こんなことになるなんてね……。
……でも、不思議と嫌な感じはしなかった。
教会に入り、こなたと並んでヴァージンロードを歩く。
まさか、こんなことになるなんてね……。
……でも、不思議と嫌な感じはしなかった。
ゲームにしては意外と本格的で、
聖書朗読、賛美歌、神前での誓い……と、一通り進んでいく。
そして、指輪の交換に。
聖書朗読、賛美歌、神前での誓い……と、一通り進んでいく。
そして、指輪の交換に。
「アイテムの交換はさっき説明したよね?
それで指輪を私に渡してくれればOKだよ」
「分かったわ」
それで指輪を私に渡してくれればOKだよ」
「分かったわ」
交換すると、キャラクターが自動的に指輪をはめる動作をとる。
思わず、その動作に私は魅入ってしまった。
思わず、その動作に私は魅入ってしまった。
「何だか、こそばゆい感じね……」
「そだね♪ さ、かがみ、次はいよいよお待ちかねの……」
「え……まさか……!?」
「そだね♪ さ、かがみ、次はいよいよお待ちかねの……」
「え……まさか……!?」
「……誓いの口づけを」
神父の声、というよりもメッセージが画面に表示された。
「き、きき、キスって……どうすればいいのよ!?」
「ほら、エモーション機能の中にあったじゃん。
私に近づいて、キスエモでOKだよ」
「ほら、エモーション機能の中にあったじゃん。
私に近づいて、キスエモでOKだよ」
う……機能の説明はさっき受けたし、
操作が分からない訳じゃないけど……
なぜか、ためらわれてしまう。
操作が分からない訳じゃないけど……
なぜか、ためらわれてしまう。
「……? どったの、かがみん?
操作方法忘れちゃった?」
「え!? いや、そうじゃなくって、その……」
「……? ……ははーん、さてはかがみん
私とチューするのが恥ずかしいんだ?」
「な、そ、そんなんじゃないわよ!」
「もう、ホントかがみは可愛いんだから♪」
「ああ、もう、うるさいっての!」
操作方法忘れちゃった?」
「え!? いや、そうじゃなくって、その……」
「……? ……ははーん、さてはかがみん
私とチューするのが恥ずかしいんだ?」
「な、そ、そんなんじゃないわよ!」
「もう、ホントかがみは可愛いんだから♪」
「ああ、もう、うるさいっての!」
こうなったらヤケよ!
キスのエモーションを選択して……
キスのエモーションを選択して……
私のキャラとこなたのキャラが顔を近づける。
そして……
そして……
式は全て終わり、私とこなたのキャラは
晴れて夫婦となった。
晴れて夫婦となった。
「これで、私達夫婦だね☆」
「あー……うん」
「おや、かがみは照れてるのかな?
全くカワイイやつめ♪
「だ、誰が照れてるってのよ!」
「あー……うん」
「おや、かがみは照れてるのかな?
全くカワイイやつめ♪
「だ、誰が照れてるってのよ!」
全くもう……こいつはいつもこうなんだから……
「……でもさ」
「ん? 何よ、改まって?」
「いつかは本当にこういう式挙げたいよね……」
「ん? 何よ、改まって?」
「いつかは本当にこういう式挙げたいよね……」
ブハッ!!!
本日二度目の吹き出し。
確かに、このゲームでの結婚式ではちょっとドキドキしたけど……
まさかリアルでも……?
まさかリアルでも……?
こなたって、まさか私のこと……
でもそんな女の子同士で……
でもそんな女の子同士で……
「こ、こなた……それって……」
「え? 何、かがみ?」
「あ、あのねこなた……。
私も……その……こなたのことは嫌いじゃないけど……。
でも、いきなりそんなこと言われても……。
何より、私達女の子同士だし……」
「……あ、あのー……もしもし、かがみさんや……?」
「でも、その……こなたの気持ちが
どうしても固まってるのなら……私……」
「す、ストーーップ!!
かがみ、何か物凄い誤解をしていない……?」
「え……?」
「え? 何、かがみ?」
「あ、あのねこなた……。
私も……その……こなたのことは嫌いじゃないけど……。
でも、いきなりそんなこと言われても……。
何より、私達女の子同士だし……」
「……あ、あのー……もしもし、かがみさんや……?」
「でも、その……こなたの気持ちが
どうしても固まってるのなら……私……」
「す、ストーーップ!!
かがみ、何か物凄い誤解をしていない……?」
「え……?」
「いやさ、私は『二人もいつかこういう式を挙げて、
花嫁になれたらいいね』って意味だったんだけど……」
「……え……!?」
花嫁になれたらいいね』って意味だったんだけど……」
「……え……!?」
時既に遅し。
私は自分の早とちりを、ちょっぴり後悔した。
私は自分の早とちりを、ちょっぴり後悔した。
「ふーん……でもそっか~……。
かがみ、私のこと嫌じゃないんだ~♪」
「ば、バカっ! それは、あんたが紛らわしいこと言うから……!」
「照れるな照れるな☆
私も、かがみのそういうツンデレなとこに萌えちゃうしね♪」
「あー、もう! 知らない!」
かがみ、私のこと嫌じゃないんだ~♪」
「ば、バカっ! それは、あんたが紛らわしいこと言うから……!」
「照れるな照れるな☆
私も、かがみのそういうツンデレなとこに萌えちゃうしね♪」
「あー、もう! 知らない!」
そう言って、私は携帯を切り、ゲームをログアウトさせた。
「え、ちょ、かがみ!? もしもーし!!?
あちゃ~、本気で怒らせちゃったかな……」
あちゃ~、本気で怒らせちゃったかな……」
「全く……人の気も知らないで……」
……勢いで切ってしまったとはいえ、
冷静になると、ちょっと罪悪感を感じてしまう。
明日、学校できちんとこなたに謝ろう。
冷静になると、ちょっと罪悪感を感じてしまう。
明日、学校できちんとこなたに謝ろう。
そう決意し、その日は早めに休むことにした。
- 中編「いつか見た夢」へ続く