こなた×かがみSS保管庫

『そばにいたい理由』

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匿名ユーザー

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「顕微鏡、観察できる様になりましたよ。」
「本当!さすがゆきちゃん。」
「さすがみwikiさん。」

 12月のある日。私たちは今、生物の実験をしている。
 この授業は選択科目であり科目選択者のみが受講する授業で、
一緒に選択したこなた、つかさ、みゆきと私こと柊かがみの4人で
班を作り実験を行っている。

「私いつまでたっても顕微鏡の使い方が苦手で、
特に高倍率でピントを合わせるのはむずかしいの~。」
「大丈夫だよつかさ、私も細かい作業はホントにがて~。」
「二人でダメさ加減を共感しあってないで、とっとと進めるわよ。」
「え~と、それでは泉さん、観察してみてもらいますか?」
「まかせたまへ~。」

こなた・つかさがダメさ具合を共感し始めたところ無理やり中断させ、
実験に入らせる。こなたが顕微鏡を覗き込んだところで、みゆきが話しかけた。

「泉さん、何が見えますか?」
「女心が見えます……みゆきさんの!!」
「ふぇ!?」
「アメーバみたいな女心があるか!!」

みゆきが話しかけると、急なボケを始めるこなた。
みゆきの女心がアメーバって、相当失礼だろ。

「泉~、遊んどらんで真面目に実験しい。」

 そうやっていると、臨時監督者の黒井先生が注意しに来た。
 担当の先生がインフルエンザで休みであることに加え、他の理科系教員
も研修等の出張であったりと適任者がいなかった為、何故か社会科教員
の黒井先生に白羽の矢が立ったというわけだ(一応安全対策については聞いているそうだ)。
 それにしても前の時間で今回の実験の手順・注意点等を聞いているとは
言え専門外の教員に監督を任すとは、大丈夫かこの学校。

「あれっ、おかしいな?」

黒井先生の注意をうけると急にキョドり始めたこなた。
一体どうした?

「泉、どうした?」
「先生!先生とかがみの女心が顕微鏡でさっぱり見当たりません。」
「「なんだと!!」」

こんなこと言うためにわざとキョドり始めたのか。
なんちゅうくだらないことを………。

「はあ、そんなことしているからお前らのグループ、優等生と真面目な生徒が
揃っているのに、一部でお笑いグループと言われるんやで。」
「「「「え~、なんだって~~!!」」」」

なんじゃそりゃ~。
私たちのグループ自体も大丈夫じゃなかった………。

そう言われへこむ私たちと一緒に、おずおずと実験にもどるこなた……

「このアメーバ、みゆきさんの女心と思うと妙に興奮するよね。」

ではなかった。本当に大丈夫じゃないのはこいつかもしれない。


そんなこんなで今日の授業は終了し、下校時間となった。

「さあ辺境の地へ帰ろうぞ、皆の衆。」

そんなこなたの言葉と一緒に家路についたはずなのだが。

「やっぱ浅草寺はハトがたくさんいるよね。つかさハトのえさ食べちゃダメだよ。」
「そ、そんなことしないよ、こなちゃん。」

 どうして、糖武スカイツリーラインの上り線最終駅にあるお寺の境内でハトにエサを
あげているのだろうか。そして幼い頃浅草寺に来た際、余裕でハトのエサを食べていた
つかさがひどく狼狽しながらを否定している。

「こなた、なんで私たちは下り線の最終駅に向かっていたのに、上り線の最終駅にいるんだ?」
「そりゃ、3人そろって2回寝過ごしたからさ、かがみん。」
「こなちゃん、一回そうやって浅草まで来ちゃったって言ってたけど、私たちも姉妹
そろってやっちゃった~。冬場の電車って本当に暖かいよね~。でも浅草駅の
ホームと電車のスキマの広さにはホントにびっくりしたよ。」
「私はつかさがハマることを期待したんじゃが。」
「え、それはひどいよこなちゃん。」
「おまえ、そんなん私の妹に期待すんな。それを言うならちんちくりんなアンタの
方がハマる率のほうが高いんじゃないの?歩幅もちっちゃいし。」
「にゃーそれこそ酷いよかがみ~ん。」
「だったら最初っからそんなん言うんじゃない。それとなんで観光しているのよ私達。」
「そう来ることないし、折角だからまわろうよ~(ぎゅっとかがみに抱き着く)。」
「ええい、ひっつくな!うっとうしい……わかったわよ、少しだけよ。」
「わーい、それじゃ行こ、つかさ。」
「こなちゃん待って~。」

そうやってちょっとした浅草観光が始まった。
まず浅草寺の境内から見えるスカイツリーを、持っていたスマホで3人そろって撮り、
仲見世商店街を通って雷門へと向かう。
道中土産物屋に寄ったり、人形焼・雷おこし・揚げ饅頭と食べ物が出てくるたびに弄られつつ
(揚げ饅頭はおいしくいただきました、みんなで…私だけ少し多めだった気がするけど気にしない)
進んでゆく。そして、

「おお、攻撃力40から60の間の武器がたくさんあるよ、つかさ・かがみん。」
「え~でもここにあるのは模擬刀だからそんなに攻撃力ないよ、こなちゃん。」
「うん、よくわかってきたねつかさ。」
「えへへ。」
「おまえら、ゲームと現実がごっちゃになったことを言ってるんじゃない。」

間違いなくこなたが即反応しそうな、模擬刀が販売されている店にたどり着いた。
あとつかさよ、すっかりこなたの影響を受けてしまって…。

「でも私非力だからせいぜい十手までしか装備できないよ。」
「こなちゃんはまだいいよ、私なんか銭投げの銭しか持てないよ。」

急にFFの話をし始めた二人にたじろぐ私。
そしてつかさよ、それはただの財布だ。

「しかしかがみ様ならこれらの刀を装備できるに違いない。」

私まで話に巻き込まれた!!

「そうだね、お姉ちゃんなら間違いなく装備できるよ。昔お父さんの居合刀を
勝手に持ち出して怒られたことなかったっけ?」
「ちょ、つかさ、昔の恥をここで晒すことないでしょ。」

しかも妹に過去の恥ずかしい思い出まで晒されてしまった。

「(にま~)へぇ~それなら全く問題ないね、それでかがみに一言言ってほしい
『安心せい、峰打ちじゃ』と。」
「誰がするか(ぺしっとはたく)。」
「あうち、今のかがみのツッコミのおかげで私、ムチ打ちになりました。
これぞ『安心せい、ムチ打ちじゃ』。」
「うっさいよ。」

そんなやりとりをしつつ、仲見世通りの石畳の上を歩きながら
残りの揚げ饅頭をパクつきながら歩き出す。冬らしい澄み切った青空と
石畳の上に降り注ぐ日差し、そしてひんやりとした冷気が温かさが残った
揚げ饅頭をよりおいしく感じさせる。なんとなくほっこりとした気分
になりちょっぴりしあわせだ。

その前には相も変わらずこなたとつかさがはしゃぎ続けており、
見ていてすごく楽しげでこちらも明るい気持ちになる。

 特にこなた。この子は自由奔放で放っておくと何をしでかすかわからない
自分の感情に素直に行動する子だ。後先考えず突っ走ることが多いからか、
うまくいったときは大きくても、失敗することの多いタイプで、本人も
失敗したときは『もっとよく考えればよかった』と反省する。しかしその
経験が生かされることは全くない。
 けれど嫌なことは都合よく忘れる、気持ちの切り替えが早い性格をしており、
非常にあっけらかんとしているため、比較的好意的にとらえられることが
多い。私もそんな一人だ。
 たとえいつの間にかたどり着いたアサヒビール本社ビル前で

「おいしさを笑顔に。キリンビール!」
「イインダヨ!グリーンダヨ! キリン淡麗グリーンラベル。」
「お前ら、場所を考えてモノを言え!!」

午後の紅茶を片手にそんなことをのたまっていたとしても。
ちなみにこなたの隣にいる妹はキリンレモンを片手に同様のことをのたまっている。

「いやいやうまいんだな、これがっ。」
「それはサントリーだよ、こなちゃん。」
「男はだまってサッポロビール。」
「どんどんあさっての方向に向かってるじゃないの。」

こなたが暴走、それに燃料をぶっかけるつかさ、そしてそれをなんとか
火消しようとする私、ここにはいないがおろおろするみゆきと…うん、
間違いなくお笑いグループだ私たち。

でもそれがすごく心地よく感じられ、同じクラスになりたいと感じるくらいだ。
こうして来年の元旦の朝には同じことをお願いするんだろうな。

そう思いながら、はしゃぐ彼女たちを横目に目の前のビル群を見上げた。



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  • GJ!!(≧∀≦)b -- 名無しさん (2023-11-29 09:12:14)


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