何気ない日々~想い悩み、思い悩む君と私と~音に釣られて~

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 私は、リビングに雨水で小さな水溜りを作りながら、あたふたと動き回る彼女を見ていた。どうしようもなく寒いのに、その姿を見ると心が温まる気がした。
 ―あぁ、私のこの想いは間違っていないんだって。

 でも、同時に、私の心に生まれた小さな影が薄気味悪い声で高らかに笑い、耳元で囁くのだ。
 ―あんなに否定されたのに、良くそんなに楽観的な気持ちでいられるものだわね
と。その囁き声は、心の温もりを一気に奪い去り、震える体同様に冷たくしてしまう。心まで冷たく冷えてしまうと、頭がボーっとして、ただただ彼女を見つめることしかできなくなってしまう。
「かがみ、とりあえずこれで体拭いて!えっと……かがみのサイズに合う着替えとかあったかナ?いや、その前にシャワー!?あーいや、でもシャワーの前に着替えを用意しないとだ……」
彼女が目の前であれこれと口に出しながら考えたり、私にタオルを持たせたりしている中、自分でも驚くほど体は自然に彼女を求めた、こなたの唇を冷たく震える唇で塞いだ。彼女の目は大きく見開かれていて、とても驚いていた。
 まるで全てが他人事のように感じられた。そのまま、ゆっくりと体重をかけて、彼女の頭を抱きこんで押し倒した。
「か、かがみ……ど、どうしたの?」
どうしてしまったんだろう。何でこなたを押し倒してしまったんだろう?わからない、考えたくもない。
 濡れた服を通じて、こなたの体温が伝わってくる。頭は相変わらずボーっとしていて、唇は離れてしまったけれど、相変わらず抱きついたまま、押し倒していた。
「こなた、私……もうどうしていいのかわからない」
何時の間にか泣いていた。いや、本当はずっと泣いていたのかもしれない。それすらもわからなくて、相変わらず考える事はできなくて、こなたにしがみ付く。
「とりあえず、お風呂かシャワーかどっちかで温まらないと風邪引くヨ?」
「いっそ、こなたが……温めてくれればいいじゃない」
「そ、それは……その」
「私と違ってそういうゲームとかで一杯知ってるんでしょ……だったら、いいじゃない、あんたが、温めてくれたって」
こなたをみると顔を真っ赤にして絶句していた。


 かがみに温めてほしいと言われた。それは、つまり……だ、私とかがみが―

 頬が灼熱した。想像するんじゃなかったナと、後悔する。今のかがみは私がそうしたらそれを受け入れるに違いない。
 でも、心からの気持ちじゃない。本人は、気がついてないみたいだけど、言い方が投げやりだし、若干ヒステリックに泣きながら言われてもちっとも嬉しくないし……ここは自分に素直になろう、私はまだ、そこまでの覚悟はないだけ。だって、付き合い始めてそんなに立ってないし……ってそういう事に行き着くまでに時間は関係ないか。
 言い訳をやめよう、私には心の準備ができてない。かがみだって、たぶんそうだと思う。
 さて、問題は、この状況をどう切り抜けたものだろうかという事だネ。かがみのプランは流石にちょっとまだ無理という事で。
 ずぶ濡れだったかがみに抱きつかれて、不意打ちにキスまでされて、頭が真っ白になりそうだったけど、そうもいかないわけだヨ。お互い風邪引いちゃうしサ?
「そ、それに関しては、お互いもうちょっと話し合いをしてからに……」
「私じゃ嫌なの?」
な、何このデレタイム!?私の理性を破壊しないでほしい。曖昧な感情で微笑みながら涙を零しながらその殺し文句はヤバイって。
「い、嫌じゃないヨ。そんなの当たり前だって、でも、ま、まだ心の準備がネ?わ、わかってほしいなぁ、かがみんや」
思わず本音を口走って、余計に頬が灼熱する。うぅ、困ったな。
「そっか……」

それだけ呟いて、かがみは私の上で体の力を抜いた……というより、力尽きた感じだった。
「本当に嫌なわけじゃないのはわかってくれるよネ?かがみ」
「うん、ごめん。私、変な事して、変な事言ってるわよね。ごめん、こなた」
「こっちこそ、その、なんていうか、ごめん」
お互いに謝って、それまで重たい空気だったのに、何だかとてもおかしくなって笑いあった後、今度は、ごめんという気持ちをこめて、私からかがみにキスをした。
 それからやっと、かがみが起き上がってくれて、一人ずつお風呂に入って温まった。私とかがみの二人で入れなくはなかったけれど、あんな会話をした後じゃお互い恥ずかしさの方が寒さより勝ったわけで。

 やっとこさ、落ち着いて、向かい合ってホットミルクに蜂蜜を入れたものを飲んでほっと一息ついているところだったりする。

 私は、空にはなったものの暖かいカップを手の中で転がしながら、これからどうすればいいのか、もう一度考えていた。かがみに対して私はどうすればいいのかを表情に出ないように考え、悩んでいた。
 コトンッと、カップとテーブルのぶつかる音が聞こえて私はかがみの方を向いた。

 かがみは、うつらうつらと舟を漕いでいた。手はカップを持った形のままに私のと同じく空になったカップはテーブルの上を転がっているのにも気がついていない。彼女も泣いて、感情を思いっきり私にぶつけて、それから温まってほっとして気が抜けたんだと思う。舟を漕いでいるかがみを見て思った。
 きっと、さっきも“抱いて”という言葉も本当はただ、抱きしめてほしかっただけなんじゃないかってさ。
 私は、舟を漕いでいるかがみの手をとって立たせた。そのまま寝てしまいそうな表情をしているのに私の手をしっかりと握って立ち上がってこちらを見ていた。手を引いて、私の部屋に向かってベッドにたどり着いた所で、かがみが力尽きて私ごとベッドに倒れこむ。
 まるで甘えるように抱きついてくる彼女が愛おしかった。
「おやすみ、かがみ」
その言葉には寝息だけが帰ってくる。心地よかった……かがみも、今だけでもこんな気持ちでいてくれたらいいな、そんなことを思いながら、私は布団を手繰り寄せて二人で包まって、目を閉じることにした。
 目が覚めたら、何があったのかをきちんと話してもらうからネ?そしたら一緒に悩んで考えよう。
 それまで、お互いによい夢をみれたらいいなぁ……。


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  • ここから先は自分で想像しろということか…笑 -- 名無しさん (2017-04-13 17:53:19)
  • 続き、待ってます。
    ゆっくりと。 -- 名無しさん (2012-11-23 10:07:30)
  • この後柊家族どうなる? -- かがみんラブ (2012-09-18 21:46:01)
  • かがみとこなたのキス心に深く刻まれました! -- かがみんラブ (2012-09-14 19:39:18)
  • 待ってました!相変わらず素晴らしいです! -- 名無しさん (2011-01-12 14:51:19)
  • 続きだあ(*゚∀゚)=3ムッハァ


    作者様、色々大変だと思いますが、また是非続きを読ませて下さい! -- 名無しさん (2011-01-09 11:50:27)
  • 続きキタコレ‼
    かがみんの心情を繊細に描写しているのがとてもいい!
    こう言うのも何だけれど、弱ってるかがみんにとても萌えてしまいましたw
    敢えて言おう。GJであると‼(ギ○ン・ザビ風に) -- 名無しさん (2011-01-02 04:09:23)
  • おおぅつづきキターっ!!
    作者様、色々諸事情はあると思いますが、
    ご自分のペースで執筆なさって下さい。
    続編の期待と応援と共にGJを送らせていただきます。
    -- kk (2010-12-30 19:35:16)




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