成人式

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成人式会場。つかさと分かれたかがみが馴染みの顔を探しているとき、不意に肩を叩かれた。
「おーっす柊、元気してたか?」「久しぶり、柊ちゃん」
「日下部に峰岸!久しぶりね!」
振り返ったかがみが声を上げる。大学に進学した今も電話やメールのやり取りはしていたが
このようにじかに会うのは1年ぶりの事だ。

久々の再開には「変わったな」と「相変わらずだな」の2語は欠かせない。
この3人も例外ではないらしく、その2語を存分に用いつつ、しばらく思い出話に花を咲かせていた。

「ところでさ、いつも柊とくっついてたちびっこは来てねーのか?」
みさおの何気ないその一言が瞬時にかがみの表情を曇らせた。
かがみ達とこなたは地元が違うため、この成人式で顔を合わせることは無い。
成人式の前夜、こなたとの再開に胸を高まらせていたかがみは、つかさからそのことを思い出させられてひどく落胆したものだった。

黙り込んでしまったかがみを見かねて、あやのがすかさずフォローに入る。
「泉さんは隣町だよ、みさちゃん」
「あっ、そかー。いつも一緒だったから今日も一緒かと思ってたぜ。わりぃ柊」
「ううん、私も昨日までこなたが来ると思ってたし…って、何で謝るのよ」
みさおはにやり、と笑い、
「べっつにー。ただ、柊は相変わらずだと思って。な」
言ってあやのに目配せする。それを受けたあやのが思わず苦笑を漏らす。
「わ、私より、あんたの方が相変わらずよ。まぁ、5年間同じクラスだったときも殆ど成長が見られなかった奴だからな。
成人したって、大して変わってないと思ってたけどね」
「うわっ、ひっでー。やっぱり柊は冷たいな。なぁ、あやの」
「同意を求められても困るわよねぇ峰岸。日下部が何と言おうと、事実なんだから」
「くぅぅ~っ…やっぱり柊は相変わらず容赦ない奴だぜ」

そうして、3人が高校生に戻った気分で笑いあったそのときである。みさおがおもむろにかがみの背後を指差して、
「お、柊。もしかしてあれってちびっ子じゃね?」
「え…」
みさおの指差した方を向いてみる。そこには振袖を着た青い髪の女の子がいた。
後ろ姿で顔こそ見えなかったが、長い髪とトレードマークのアホ毛は見間違えようも無い。
かがみはその姿を認めるや、
「ごめん、二人とも。また後でね」
と、一方的に話を打ち切って駆け出してしまった。
「やっぱ相変わらずだな~アイツ」というみさおの言葉は、かがみの耳には入っていなかった。


「こなた!」
「ん?お~っ、かがみ!」
呼びかけにこたえて振り向いたその人は、確かにこなたその人だった。
こなたは以前と変わりない笑顔とのんびりとした口調でかがみに話しかける。
「久しぶり~元気にしてた?」
「はぁ…はぁ…あんた、どうしてここに…自分の成人式は…?」
かがみは整わない呼吸を無視して尋ねる。対するこなたはやはりのんびりとした口調を崩さず、
「私の地元の成人式は昨日だったんだよ。で、折角だからこっちにも顔を出してみようかな~と思ってね。
 思ったとおり、見知った顔も居るみたいだしね」
こなたの視線が向く方を振り返ると、遠くでみさおとあやのが手を振っていた。こなたは2人に手を振り返しながら
「まぁもっとも、私よりもお父さんが張り切っちゃってるんだけどね、いつものとおり」
と言ってため息をついた。
こなたの言葉通り、その時そうじろうは運動会でも披露した愛用のカメラ(通称・バスターランチャー)を駆使して
女の子の振袖姿を片っ端からシャッターに焼き付けていた。

「あんたもおじさんも、相変わらずなのね。いや…」
そこまで言って、かがみは言葉が続けられなくなってしまった。
振袖姿のこなたは、背格好だけ見れば子供のようにも思えるが、
髪を後ろで束ねているためか、すらりとした首筋があらわになっており、
そこから僅かに立ち昇る大人の色気につい見とれてしまっていたのだ。

「かがみ、どったの?急に黙っちゃって」
「えっ!?い、いやぁその…」
「頬も真っ赤だし。あ、さては化粧を張り切りすぎたな~?」
大人の女に憧れてやりすぎたか。そう言ってにやにやと笑うしぐさも昔のままだ。
「ち、ちがうわよ別に…大人の女とか言うなら、あんたがそういう服着てても、成人式じゃなくて七五三にしか見えないわよ」
「むぅ、言いたいことを言いなさる…でも、かがみは相変わらずみたいだね」
「何がよ…ああ、私が容赦ない突っ込みを入れる所が、か?」
先ほどのみさおとのやり取りを思い出しつつ、かがみはわざとトゲのある聞き方をした。
勿論、それはこなたへの照れと本心を悟られぬための方便だ。
これで何とか話題を変えられたかな、とかがみが気を緩めたその時。
「ううん。突っ込みを入れる所がかわいい、って事が相変わらずだなって」
こなたそう言ってにっこりと笑ってみせた。
「なっ…な…あ…」
こなたの予期せぬ反撃に、かがみの頬がますます紅潮していく。こうなっては、もう冗談ではぐらかす事もままならない。
「ば、バカなこと言ってないで…ほら、いくわよ。つかさや日下部たちも待ってるわ」
恥ずかしさに耐えかねたのか、かがみは背を向けてさっさと歩き出してしまった。
「うん。いこう」
そう応えて後を追うこなたも、このとき化粧越しに頬を赤らめていたのだが、背中を向けているかがみには、ちょっとわからなかった。


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