夕方、お姉ちゃんが怒った顔をして帰ってきた。
かと思ったら、晩御飯の時は少し悲しそうな、落ち込んだ顔をしてて……
今日はこなちゃんとデートって言ってたから、こなちゃんと何かあったんだと思う。
こなちゃんとお姉ちゃんの関係は特別だから、他人には言えない悩みとか苦しみとかがあるんじゃないかな。
だからこそ、力になってあげたいと思う。妹として、友達として……



『愚痴』



「どうした、つかさ?なにか用でもあるの?」

部屋のドアを開けてくれたお姉ちゃんは何時もと同じ、優しいお姉ちゃんだった。
でも、何か違う。何時もと同じお姉ちゃんだけど、何時もと同じじゃない。なんでそんな風に思うんだろう?やっぱり姉妹だからかな?

「えへへ、一緒にお茶にしようかなって思って。今日、スコーン焼いたんだ~。ほら!」

私は足元に置いてあるお盆を指差した。そこにはスコーンとジャムとクロテッドクリーム、それにミルクティーが二つ乗っかっている。
お姉ちゃんはいつもカロリーがとか、ダイエットしなきゃとか言ってるからスコーンは小さめに、その分数を多くして作った。
これならそういうの気にしないで食べられるよね。自分で食べる数も決められるし。
でもお姉ちゃんって全然太ってないのに、どうして体重のこと気にしてるんだろう?

「おお、いいね!それじゃあ、一緒に食べようか」

お姉ちゃんはお盆を見ると、優しく私に微笑んでくれた。よかった。いらないって言われたらどうしようかと思ったよ。

「それじゃあ、テーブルに持って行くね」
「ああ、お盆は私が持つわ。あんたが持つとつまづきそうだからさ」

お姉ちゃんはそう言って私を止めると、ヒョイとお盆を私の変わりに持ち上げた。そしてそのまま部屋のテーブルへと運び込んでいく。

「ひ、ひどいよ、お姉ちゃん!」

私はそんなお姉ちゃんに遅れないように慌てて部屋に入ると、部屋のドアを閉めた。

―――――

「つかさは相変わらずこういうのが得意よね」

私の作ったスコーンをお姉ちゃんはジッと見つめながら言った。

「そんなことないよ~。これくらい、お姉ちゃんにだって出来るって」
「だって…ね。それはイヤミとして受け取っておくわ」
「そ、そんなんじゃないってば!」

お姉ちゃんは自分の料理の腕前を低く見すぎだと思う。
お弁当だってちゃんと作れるんだから、全然大丈夫だと思うんだけどな。
それにこなちゃんだって、ものすごく食べたそうな顔してたし。質素って言ってからかうのはその照れ隠しなのかな?

「冗談よ、冗談。それにしてもこのスコーン、ちっちゃくて可愛いわね」

よかった。お姉ちゃんに合わせて作ったスコーンは気に入ってくれたみたいだ。でもそのことは内緒。
だって、そんなこと言ったら『よけいなお世話だ』とかって言われそうだもん。

「うん、今回は大きさを小さくして、その分数を増やしたんだ~。中にクルミも入ってるんだよ」
「へぇ~」
「それに今回は……ほら!クロテッドクリームとちょっと高いジャムも用意したんだ。お母さんに頼んで奮発してもらっちゃった」

ジャムやクロテッドクリームはスコーンには欠かせない。
特にクリームをスコーンに塗ると、スコーンのボソボソ感がなくなってとっても美味しく食べられる。
生地にチョコチップとか混ぜてるんだったらなくても大丈夫だけど、これはプレーンに近いから絶対に必要。ちょっとした私のこだわりかな?
けど、クロテッドクリームは最近スーパーで売ってないから、お母さんを困らせちゃった。ごめんね、お母さん。

「そりゃまた随分本格的だな。イギリス風ってやつ?」
「あたり~!だからそれに合わせて、ミルクティーも紅茶は硬水で抽出して、ミルクインファーストで淹れたんだよ。
 知ってる、お姉ちゃん?硬水と軟水だと、紅茶の水色が……」
「ああ、もういいわ。多分聞いても分からないし。それより、食べよう。ミルクティ、冷めちゃうわよ」
「う、うん」

お姉ちゃんはそう言うと、さっそくスコーンを一つ手に取った。そしてそれを二つに割るとジャムとクリームを交互につけて食べ始める。

「美味しい…さすがつかさね」
「よかった。いっぱいあるから、遠慮しないで食べてね」

お姉ちゃんの感想を聞いたら、なんだか嬉しくなってしまった。私は弾むような気持ちのまま、お姉ちゃんと同じようにスコーンを手に取った。

「私じゃ絶対こんなの出来ないわ」
「だからそんなこと絶対無いよ」

スコーンにジャムをペタペタと塗りながら答える。塗ってる最中にポロポロとスコーンが零れ落ちるから、私は慌ててそれを拾って食べた。
さ、三秒ルールだよ、三秒ルール!

「絶対あるわよ」

お姉ちゃんは自分の意見を譲らない。こういうところでお姉ちゃんは妙に頑固だと思う。
こなちゃんやゆきちゃんだったら、こういう時なんて言い返すのかな?

「じゃあ、一緒に作ってみようよ。そうしたら、絶対ないって分かるから。
 それで、出来上がったスコーンをこなちゃんに持っていってあげるの。こなちゃんも喜ぶと思うな」

私にはこう言うのが精一杯。だって、やっぱりお姉ちゃんは凄いから、変なこと言っても言い返されちゃうし。

「……そうね」

私の言葉に、お姉ちゃんの顔が一瞬曇った。ううん、正確には『こなちゃん』という言葉に。
やっぱり、今日こなちゃんと何かあったんだ。

「ねえ、お姉ちゃん?」
「なに?」

何事も無かったかのように平然とミルクティーに口をつけるお姉ちゃん。私にはなんだかそれがワザとらしく見えた。

「今日、こなちゃんと何かあった?」
「……別に何も無いわよ。なんでそう思うわけ?」

それもそうだよね。「何かあったよ」なんてお姉ちゃんが言うはずがない。

「帰ってきた時にね、お姉ちゃん、怒った顔してたから。それにご飯の時には何か落ち込んでるみたいだったし。」
「……そっか。心配かけてごめん。でもね、本当に何でも無いのよ」

部屋のドアを開けてくれたときと同じ、優しい笑顔。
でも、やっぱり何時もと違う。なんていうのかな?何時もと違って……弱弱しい。

「ねえ、お姉ちゃん。私、お姉ちゃんに頼りっぱなしだけど、話ぐらいは聞けるよ?」

こなちゃんが言うには、お姉ちゃんは一人で抱え込んじゃう癖があるらしい。
私もこなちゃんの意見に賛成だ。お姉ちゃんは何でも出来ちゃうから、全部自分で何とかしようとしちゃう。

「うん」
「こなちゃんに対して言えないことがあるなら聞くよ?今日何があったかなんて聞かないから。ね?」

お姉ちゃんとこなちゃんの関係は特別だ。だから、こなちゃん本人に言いたくても言えないことがあるんじゃないかな。
こなちゃんにすら言えないことを、私が聞こうとするのはいけないのかもしれない。
でも……お姉ちゃんが話してくれるなら、聞いてあげたいな。

「でも、愚痴になっちゃうし」
「いいよ、愚痴でも!話せば楽になることってあるよ?」

愚痴でも何でもいい。お姉ちゃんが少しでも楽になるなら、私はそれでも構わない。

「…そうね。じゃあ、少しだけ」
「うん!」

ごめんね、こなちゃん。今だけ、今だけは完全にお姉ちゃんの味方だから……

「こなたはいっつもアニメやゲームとか自分の趣味の事ばっかりで…」
「そうだね。こなちゃん、自分の趣味に事ばっかだよね」
「もっと私のこと見ろっての!」
「恋人さんだもんね。自分のこと見て欲しいよね」
「その上自分勝手で、我侭で、それでいて鈍感で!」
「うん、こなちゃん確かに自分勝手かも」
「そう、そうなのよ!」

私の相槌にスイッチが入っちゃったのか、お姉ちゃんの話は続く。

「これはこの前の話よ。こなたと二人で出かけることになったのよ。それでその時言ったの。アキバだけは止めてくれって。
 それなのにデートの場所はアキバなわけ。信じられる?!」
「そ、それはちょっとひどいかも……」
「それでさ、なんでアキバなのかって聞いたのよ。そうしたら、あいつなんて答えたと思う?
 『だってここが私達が一番楽しめる場所じゃん?』よ!『達』をつけるなっての!『達』を!!私はオタクじゃない!!
 ああ、そうそう。オタクって言えばこんな話があるわ。こなたったら、美少女ゲームの袋を平然と持ち歩くときがあるのよ。
 一応女の子なんだから、止めなさいって言ったの。やっぱり、女の子がそういったのを持ち歩くのはどうかと思うし、私も隣にいるしね。
 そうしたら『あれ?かがみってばヤキモチ?』とかって言ってくるのよ!
 だれが美少女ゲームのキャラクターにヤキモチなんか焼くか!ああ、そうそう。美少女ゲームって言ったらこんなのもあったわね。
 こなたの部屋のクローゼット。あの中にゲームやら漫画やらがいっぱい入ってるんだけど、いっぱいありすぎてもう入りきらないらしいの。
 だから私の部屋に美少女ゲームやらゲームやらを置かしてって言ってきたの。まあ、100歩譲って漫画や普通のゲームはいいわよ。
 面白かったら私もやるかもしれないし、漫画だって読むかもしれないわ。でも、恋人の部屋に美少女ゲームを置かしてくれなんて普通言わないわよ。
 信じられないわ!!あいつには羞恥心や私を思いやる気持ちが欠けてるのよ!!ああそうだ、思い出した。羞恥心って言えばこんな話もある」

あ、あれ?

「つい一週間前の事よ。あいつったら道端で急に抱きついてきたのよ。しかも道の真ん中、人前でよ!どうしたのって聞いたら、『なんだか抱きつきたくなって』よ!
 少しは場所を考えなさいって感じよ。あの時の恥ずかしさとか気まずさっていったらなかったわ。こなたが抱きついてきた話だったらこういうの話もあるの。
 ついこの前電車の中での話よ。あいつ、つり革に手が届かないから代わりにとかいって私に抱きついてきてさ。それもやっぱり人前で。
 まあ、人前でって言うのは電車の中だし当然よね。私が恥ずかしいから止めろって言ったら、『じゃあ私が転んだり躓いたりしてもいいの?』とか言ってくるわけ。
 ああ言えばこう言うやつなのよあいつは!!言い訳といえば、前にこなたの部屋が余りにも汚かったから、掃除しろって言ったの。
 そうしたら、『じゃあ、ずっと私の部屋にいるかがみがやって』とかって言い返してくるわけ。当然私は断ったわよ。そう言うのは自分でやりなさいって。
 あいつ、その時の言い訳になんていったと思う?『かがみのこと考えると、何も手がつかなくなるんだよ』よ!そう言う嬉しいことはもっとちゃんとしたときに言えっての!」

と、止まらない……

「なんか思い出してきたわ。あいつさ、また私のことかがみ様って呼び出したのよ。かがみ様は止めろってあれほど言ったのに。
 あれだ、こなたには学習能力が無いのよ。それについては、ツンデレについても同じことが言えるわね。
 あいつったら、私がツンデレじゃないっていっても『ツンデレはかがみの個性じゃん』とかって言ってくるから本当にもう!あと、オタク。
 何?こなたの基準じゃ、ちょっとラノベを読んで、ちょっとゲーム好きならオタクなの?あいつのオタク基準を疑うわね。
 それに、こなたがオタクだから恋人である私がそういった知識がついちゃうのは自然じゃない!あとはあれだ、ラノベだ。こなたったら、全然ラノベを読まないのよ。
 私がどんなに進めても全然読まないんだから。だからさ、私も考えたのよ。こなたを抱っこして、逃げ出さないようにしたら諦めて読んでくれるんじゃないかって。
 まあこなたが恥ずかしがっちゃって、それは失敗したんだけど。あの時のこなたはとっても可愛かったんだけど、よくよく考えればただ逃げ出したかっただけなんじゃいかしら。 
 まったく、それでいて自分の好きなものは率先して進めてくるわけ。この前なんか美少女ゲーム進めてきたのよ。この私に!!恋人に美少女ゲーム進めるか、普通?
 普通嫌がるだろ、仮にも恋人が他の人とゲームの中とはいえ恋人同士になるんだから!!ああ、いいわよ白状するわよ。嫌よ、嫌!
 ゲームのキャラクターにヤキモチ焼いてるわよ。私だけを見て欲しいわよ。でも、そんなこと言えるわけ無いじゃない!!」

お姉ちゃんが止まらないよ~~~!!

「そうよ、あいつ本当に私の気持ちも考えないのよ。これはついこの前の話ね。私がベットに座って本を読んでたら、こなたったら急に私を押し倒して無理やり……」


――――――


「……というわけでこなたは優しすぎるのよ。分かった?」

お姉ちゃんの愚痴とも惚気とも私の恋人自慢とも取れる話は続く。続いていく。かれこれもう2時間くらい続いてる。

「大体、こなたは可愛すぎるのよ、それはもう反則的なまでに。この前なんか急に私の手を握ってきたのよ。まあ、それはいいわ。いつものことだしね。
 でもこなたのやつ、その時だけは顔を赤らめたの。こなたが言うには時々急に私のことを意識しちゃうらしいの。なによ、それ!可愛すぎるじゃない!!
 まあ、いつでもこなたは可愛いんだけどね。でも、そのことにこなたが気が付いていないのが問題よ。
 こなたの可愛さのせいで悪い虫がついてるんじゃないかって、私は毎日心配で心配で……まったく、こなたも私の心情を察して欲しいわよ」

お姉ちゃんはここまで言い終えると、とっくの昔に冷めきったミルクティーを飲み始めた。
多分ミルクティーを飲みたいんじゃなくて、ただ水分が欲しいだけだと思う。
それにしても、こんなにこなちゃんの愚痴?があるなんて思わなかった。っていうか、絶対途中から愚痴じゃないよね。

「ねえ、お姉ちゃん?」
「なに?」
「今のって愚痴……だよね?」
「当然じゃない。こんなのまだまだ序の口よ?」

どんだけー。

「お、お姉ちゃん。そんなに文句があるのに、こなちゃんのこと好きなの」
「うん……好きよ」

私の質問に答えたお姉ちゃんの顔は、恋する女の子の顔そのものだった。
お姉ちゃんとはずっと一緒にいるけど、こんなお姉ちゃんの顔は初めてかもしれない。
……ああ、ようやく分かったよ。お姉ちゃんはびょーきなんだ。こなちゃん病だ。1日3回、朝昼晩。欠かさずこなちゃんを服用してください。
前にこなちゃんが『かがみ分が足りないよー』とかって言ってたことがあったけど、少しだけ意味が分かった気がするよ。

「何よ、その顔……あっ、もしかして信用してないな。いいわ、分かった。
 この際だから、私がどれだけこなたが好きか教えてあげる。まず、こなたの魅力と言ったら……」
「お、お姉ちゃん!!」
「なによ?つかさ」

愚痴だけで2時間もこなちゃんの話が続いたんだ。お姉ちゃんのこなちゃん自慢が本格的に始まったら、どれだけ話しが続くか分からないよ!
な、何か違う話題にしないと……

「さ、さっき聞かないって言ったけど、やっぱり聞いちゃう。今日、こなちゃんと何かあったの?」
「あ、ああ、あれね。…いいわ、なんだか言いたい気分だし」

お姉ちゃんの顔が途端にくもった。それを見て私は少しだけ罪悪感を感じた。やっぱり聞かなかったほうがよかったかな。
ああ、やっぱり私は駄目な妹だ。でも、もう遅いよね。だったらせめて真剣に話を聞こう。それで、お姉ちゃんの負担を軽くしてあげよう。

「実はね…」
「うん。」
「今日、こなたが好きって言ってくれなかったのよ。」
「………………え?」

あはは……私にはよく分からない言葉が聞こえたよ。

「ご、ごめん、お姉ちゃん。もう一度言ってくれる?」
「だから、今日のデートでこなたが好きって言ってくれなかったの!!」
「えーっと、それだけ?」
「何言ってるのよ、つかさ!凄い問題なのよ、これは!!」
「そ、そうなんだ……」

なんだろう?どこが凄い問題なんだろう?私には分からないよ、お姉ちゃん…

「そうよ。それに、デートのときは絶対好きって言うってこなたが言い出したのよ。
 私、毎回毎回、何時言ってくれるのかなって楽しみにしてるのに、今回に限って一度も言ってくれなかったの!ったく、信じられないわ!」

ねえ、ゆきちゃん?人のどんな話でも真剣に聞くって、すっごい事だったんだね。私気が付かなかったよ。
ゆきちゃん、いつも私のくだらない話を真剣に聞いてくれてありがとう。今度、クッキー持ってくからね。
そんな私のゆきちゃんへの謝罪のことなんて露知らず、お姉ちゃんの話は続く。

「というわけで、帰ってきたときまで怒ってたのよ。でもさ、部屋に戻ったらこう思っちゃったのよ。
 こなたったら約束を忘れるくらい、私とのデートを楽しんでくれたのかなって。そうしたら、こんなことで怒ってる私が悲しくなっちゃってね。」

お姉ちゃんはここまで話すと、軽くため息を吐いた。どうやら、言いたいことは言い終えてくれたみたい。
だけどまさか、お姉ちゃんがこんな理由で怒ったり落ち込んだりするなんて。

私はチラッとお姉ちゃんの顔を見た。なんでも私より出来て、何時でもしっかりしてるお姉ちゃん。
そんなお姉ちゃんがこうして怒ったり、悩んだり、喜んだり……
人を好きになると、こんなにも変わっちゃうのかな?だとしたら、やっぱり人を好きになるってことは凄い事なんだね。
その事に女の子同士とか、特別だとか、そんなの関係ないんだ。
今のお姉ちゃんを見てるとそんな風に思えて、なんだかそれが嬉しかった。

「どうしたのよ、なんだか嬉しそうな顔して。」
「ううん。なんでもないよ、絶対に」
「ホントか~?また、くだらない事を考えてるんじゃ……ごめん、つかさっ!!」

話の途中に、お姉ちゃんがいきなりテーブルに置いてあった携帯電話を手に取った。それも見えないくらいの速さで。

「おーっす、こなた。」

えっ?こなちゃん?
で、でも着メロ鳴ってないしもバイブもしてないのに、何で?!

「当たり前でしょ。こなたの考えてる事ぐらい、手に取るように分かるんだから!で、何の用なの?……
 うん。……い、いいのよ、それくらい。気にしてないから。……えっ、そんなことないわよ……ごめん、ちょっと怒ってた。……ツンデレって言うな!」

どうやら、お姉ちゃんには目にはもう私は写ってないみたい。きっとお姉ちゃんには、電話越しで話してるこなちゃんが見えてるんだろう。

「………え?明日?ま、まあ開いてるけど?……明日も?………そうね、偶には2日連続デートなんてのもいいかもね。でも、アキバ禁止だからね。
 ………分かった、分かった。私が飛びきりの場所に連れてってやるから。………うん。……こなた。……えっ?今から?で、でも迷惑にならない?
 …………そんなことない!私だって、こなたと一緒にいたい!!……いいのよ、好きなだけ甘えてくれても。それに……私もこなたに甘えてるし、おあいこよ。
 ……………馬鹿。それじゃあ、今から行くから。……うん、それじゃあね。」

お姉ちゃんはそこまで言うと、名残惜しそうに携帯電話の通話ボタンを押した。
そしていきなりガバッと立ち上がると、クローゼットからカバンを取り出した。そしてその中に洋服やら下着やらを詰め込んでいく。
やっぱり、ものすごい速さで。
きっと一通り用意が出来たのだろう。唖然としている私を見てこう言った。

「ごめん、つかさ。これからこなたの家に行かないといけないから。お母さんにもそう言っといて。それと、スコーン美味しかったから。それじゃ!」

そうして、勢いよく部屋から飛び出していくお姉ちゃん。
今のお姉ちゃんの頭の中はこなちゃんのことでいっぱいなんだろうな。
いきなりのことで頭がよく回らなかったけど、ふとそんなことを思った。


―――――


「ふぅ、なんだかすっごく疲れたよ~」

スコーンやミルクティーを片付けた私は、こうしてベットに倒れこんだ。
ふわふわと暖かいベットの上で私は思う。

私にこなちゃんの愚痴を言うお姉ちゃん。こなちゃんが好きだっていうお姉ちゃん。こなちゃんがどれだけ好きかを話そうとするお姉ちゃん。
こなちゃんに対して怒ってるお姉ちゃん。こなちゃんの電話に嬉しそうにするお姉ちゃん。大急ぎでお泊りの用意をするお姉ちゃん。

そのお姉ちゃんのどれもが……

本当に幸せそうだったなって。

こんなお姉ちゃんを見れただけでも、愚痴を聞いてよかったかもしれない。なんだか、本来の目的とは違ってる気もするけど、気にしちゃいけないよね。

「ふあぁ……なんだか、眠くなってきちゃったよ……」

うん、今日はもう寝てしまおう。それで朝早く起きて、このことをゆきちゃんにも話すんだ。
こんな幸せなことを、ゆきちゃんが知らないなんて不公平だもんね。あっ、でもこういうのって言っちゃいけないのかな?
でも、お姉ちゃんとこなちゃんなら、笑って許してくれそうな気もするし……

「ん~。もう……だめだ…」

ああ、まぶたが重い……もう起きていられないや……明日起きたら考えよっと。

お休み、お姉ちゃん、こなちゃん。明日は晴れるといいね。

そう思いつつ、私はゆっくりと深い深い眠りに落ちる。

眠りに落ちる直前、幸せそうなお姉ちゃんとこなちゃんの顔を見たような気がした。




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コメント:
  • そしていちゃいちゃへ。。。 -- ぷにゃねこ (2013-01-25 16:58:52)
  • あんたら可愛すぎだよ…。つかさは優しいし…。GJだよちくしょう… -- 名無しさん (2013-01-01 19:51:17)
  • ↓つかさは、みゆきが好きなんですよ。 -- 名無しさん (2010-10-23 09:29:34)
  • つかさもかがみが好き・・・とか?WW -- いすみ (2010-08-06 23:07:53)
  • うーむ重症ですな…(苦笑)しかし、最後まで付き合ってあげるつかさってメチャいい娘だ -- 名無し (2010-07-27 20:31:03)
  • うんうん平和だ -- 名無しさん (2010-04-07 16:31:41)
  • つかさもそのあとみゆきさんのところへいってきてはどうでしょう?w

    そして作者さん、ニヤニヤするような文章をありがとうございましたw -- HiRO (2009-06-14 13:59:39)
  • こなかががあと3組いればア○リカは負けていた -- 名無しさん (2009-05-26 18:11:09)
  • やっぱりつかさはいい子←結論

    こんな惚気…じゃない、愚痴を聞かされたら、普通は殺意を覚えてしまいそうだ(;^_^A

    GJ!! -- にゃあ (2009-03-09 11:21:10)
  • あーえーと…かがみ様…?
    それは世間一般では「惚気」と言われる物なのですが…(汗)
    あ、気付いていらっしゃらない…うん、今日も平和だ(爆)
    取り敢えず(おそらくは)2人きりであろう『夜のイチャイチャ』をして下さいませ(笑) -- こなかがは正義ッ! (2009-03-07 10:20:29)
  • 個人的にかがみの愚痴がが尽きるまで聞いてみたいぜ! -- 名無しさん (2009-03-07 07:28:06)

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