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Happy birthday 宿彌様

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kisaku

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【Happy birthday 宿彌様】

「今年もこの日がきたなぁ」
と、しみじみと呟く序列9位【ドラグーンランス(竜騎槍)】の狗刀 宿彌。
お仕事をほっぽりだして、イーストヤードをウロウロしていた彼の後ろから聞きなれない声が掛けられた。
「はじめまして」
「…………おや。」
特に驚きもせずに後ろを振り向けば、やはり知らない顔があった。
「どちら様かな?」
「あ、すみません…。巫牙裂紅と申します。」
巫牙裂紅…やはり知らない名前だ。はて、いつこの子とかかわりを持っただろうか?
「えと・・・今日が狗刀さんのお誕生日だとお聞きしたので、」
なるほど、この子は僕の誕生日を何故か知って、それで誕生日を祝おうとしているのかな?
なんで知っているのかは聞かないほうがよさそうだなぁ。
「お祝いをしようと…!」
「ありがとう」
よくよく見てみれば髪に葉っぱがついていたり腕に擦り傷切り傷がついていたりしている。
宿彌が髪を見ていることに牙裂紅は不思議そうに眉を顰めていたが、しばらくして自分の頭に葉っぱがくっついている事に気付きあわてて払いのける。
「あ、あはは。イーストヤードは広いですね」
ふぅむ、どうやら迷っていたらしい。
「む・・・・・・・・・よしよし」
「!?」
「よしよし」
「え、えぇ!?・・・そ、それよりあのっ!」
あ、なんか楽しくなってきた?
「よしよし」
「ぁぅ…。」
宿彌が人を撫でるという行為はあまり見かけないためとても新鮮である。
「あぁあのあのっ、お誕生日プレゼントを用意したんですがっ、受け取っていただけますか…?」
「プレゼント?」
「はい。あ、でも甘いもの嫌いだったら受け取らない方が良いと思います。」
甘いのがプレゼントなのかな。
「じゃあ貰おうかな。」
そういうと彼女は嬉しそうに笑って、どうぞと小さな木箱をわたした。
そして、そのまま逃げるようにして宿彌と距離をとると、深々と一礼して駆けて行ってしまった。
「…………・・・・・・・・・・・・ふぅ…」
溜息を吐いてそろそろ帰るかなーと竜宮城へ歩を向ける。


「何処に行っていたんですかっ?」
宿彌が帰ると玄関のすぐ先に仁王立ちで序列30位【グラビスフィアジョッキー(重力圏騎手)】の万里小路 翔が声を荒げていた。
はて、今日は何か大事なことでもあっただろうか?
「今日は珠月社長方との会食の日です!あと1時間で約束の時間ですよ!?」
「そうだっけ?」
「そうです!」
カゴたちが会食を開くってことは中華料理店《花花》本店かな。
せっかく貰ったプレゼントは後で開けるか。
「わかったわかった。行くか牡丹。」




◆◇◆◇◆
いつもゆったりしていらっしゃる宿彌さんにお誕生日お祝いです。
宿彌さんって人撫でてそうだよなぁーと思っていたらこんなものに・・・。
口調も曖昧すぎてどうしましょう…本当に申し訳ないのです…。
木箱の中身はプリムラ・マラコイデスというお花の形をした和菓子で、花言葉は『運命を開く』だそうです。
 最近誕生日に贈るプレゼントがパターン化してきたような気もしますが、気のせいですよね。
 それでは改めて(遅れちゃいましたが…)、お誕生日おめでとうございます!
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