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【Intimita(団欒)】

「そういえば、今日ねー信君に轢かれそうになっちゃってさービックチしたよ。幸成の言った通り、交通事故に注意は大正解だったね!」
 夕食中のひとコマ。
 丈之助の首元に、三方向から箸が突きつけられる。
「もう、スズちゃんもシロちゃんもユキちゃんも、食事中なんだからダメよ。後からにしなさい。丈ちゃんも刀に手をかけないの!」
「……ビックリした」
 食事は静かに楽しく頂くものだ。
 不本意ながらも正論だからと素直に従い、食事に戻る。
 沙鳥は気にせず、幸せそうにご飯をかみ締めながら話を続けた。
「やっぱり、幸成の占いは凄いねぇ。毎回当たるもの」
「そうだね。聞き手が逆に笑えるくらい無駄にしちゃってるけど」
 藤司朗は柔らかい笑みを浮かべたまま、丈之助を冷たく睨み付ける。
「そうだ。いっそ、売り物にしちゃえば? かなりの儲けになるんじゃない?」
 照れ臭そうに食事を続けていた幸成の表情が、本気で不満気に歪む。
「ユキは極度のメンドくさがりですからね。小物の予約ですら無視しているくらいですし」
「占いの依頼も結構来てるんだけど、嫌がるから一度も受けた事がないのよね」
「そんなに嫌なの?」
 沙鳥に問われ、幸成は傷だらけの顔に小さな笑みを浮かべる。
「沙鳥以外どうでも良い」
 それゆえの沙鳥専属の占術師。
「それに、占ったとしても結果を伝えるのが大変でしょうね」
 幸成は沙鳥の前でしか喋らない。
 筆談や手話という方法もあるが、滅多に使わない。
 何と話し掛けられても、何と問われても、真っ直ぐ相手を見つめるだけで、身動き一つしない。
「私たちが通訳しても良いけど、正確な診断結果となると難しいわよね」
 そこまでの無理を強いるほど、生活が苦しい訳でもない。
 沙鳥は箸を置いてため息を吐く。
「皆に幸成の占いを自慢出来たら素敵だなって思ったんだけどな……」
 一瞬にして、一同の目つきが変わる。
「じゃあ、ネット上で占うというのはどうでしょう? 別に幸成本人が打たなくても良いですし」
「それだとレア度が減るから勿体無くない? それよりは数量限定とかにして、少しでも多くお金を落としてもらわないと」
「そうね……じゃあ、お店で売るのは? 星占いみたいに何種類かの結果を紙に書いて。それなら、書くのは一枚だけで、後はコピーすれば済むんじゃないかしら?」
「それで、ラッキーアイテムを万具堂の商品にすれば完璧だね」
 幸成も「それくらいなら、やってやっても良い」と頷く。
「にゅ?」
 いきなり積極的になったメンバーを訝しがる沙鳥の頭を撫ぜて、藤司朗は眩いほどの笑みを浮かべる。
「ありがとう、沙鳥」

 ――おかげで、しばらくは楽が出来そうだ。