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【Creato】

 一つ目は塵芥以下。

 二つ目は劣化コピー

 三つ目は明らかな贋作。

 四つ目は玩具にもならない。

 五つ目は……まぁ、改良の余地あり。



 他人の手で作られた五つの出来損ない。
 使えるのは一つか二つ。
 彼らにはその程度の物しか作れなかった。
 期待外れも良い所だ。


「そう思わない?」
 何の前触れもない問いでも、少女は反応を返さない。
 驚きもせず、訊き返しもせず、怒り狂いもせず、ニコリともせず。
 彼が何をしようと、何と言おうと、少女は何も返さない。
「……つまらないな」
 クルクルと笑い、少女の頬に爪を立てる。
「やっと成功したんだよ? やっとやっとやっとやっと……やっぱり、あんな役立たずたちなんかに任せないで、最初から僕一人でやれば良かったんだ。そう思わない? そう思うでしょう? ねぇ、僕の愛しい小鳥」
 少女は痛みを堪える素振りすら見せない。
 それでも、彼はクルクルと笑い続ける。
「いつ僕を消してくれるの?」
 その一言で、ようやく少女の表情が変化した。
 不自然に歪められた笑み。
「誰が消すか」
 途端、少女の小さな身体は頑強な檻へと弾け飛んだ。
 全身を襲う無数の痛み。

“触れた者に堪えられるギリギリの痛みを”

 彼が檻に告げた命令は万全のはず。
 それでも、少女からは何も発せられない。
「可愛くないね。これも失敗かな?」
 少女の背に足をかけ、檻へ押し当てるようにゆるりゆるりと力を込める。
「無駄だよ、何もかも。君が何を考えていようと、全部無駄。君はね、僕を消す事しか許されてないの。分かる? 分かるでしょう? 君は成功作だもの。分かるよね? なのに、何でそんなに可愛くない態度しか取れないの? ……こんなに大事にしてあげているのに」
 小さな小さな鳥のためだけに用意した鳥篭。
 望む望まないに関わらず、何だって与えてきた。
 それなのに何が不満だと言うのか。
「……仕方ないな。今度は趣向を変えてみようか」
 諦めたように嘆息し、少女から足を退ける。
「明日は一人、明後日は二人、明々後日は三人……」
 軽やかに詩でも歌うかの如く――

「君に血を捧げよう。愛する君のために。君のために。君のために……自らの血を捧げよう」

 絶対的な暗示。
 そこでようやく少女の顔が絶望に染まる。
「さて、君は何人の血を望む?」
 少女が何かを口にするよりも早く、彼の姿は消え失せた。
 端から何もなかったかのように。