良い夢を

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あれ?ここは…

私は気がつくと見覚えの無い場所に立っていた

目の前には人だかり
良く見ると知っている人ばかり

つかさやみゆきさん、ゆーちゃんにみなみちゃん。峰岸さんにみさきち、それに、ひよりんやパティ

果てにはおとーさんやかがみの両親とお姉さん達もいた

そんなみんなに共通しているのは一つ

みんな泣いていた

私は何かに引き寄せられるように人だかりの中心へと歩いていく

そして中心で待っていたのは棺

中には私の大好きな、大好きな菫色のツインテールの恋人が静かに眠っていた

「うわぁぁ!!」

自分の悲鳴で目が覚める

そして自分が見知らぬ部屋にいることに気づく

パニックになっている頭でどうにか現状を把握しようとしてキョロキョロと辺りを見回すと、隣に寝ているゆーちゃんとゆい姉さんを見つけて……思い出した


(私、おじーちゃんのお葬式に来てたんだ‥‥)

おじいちゃんの危篤の知らせが家に来たのはつい先日のこと

泉家みんなで急いで田舎に戻り、なんとか死に目には会えた

その足でそのままお葬式に出るために、今はホテルに宿泊中というわけだ


(夢、か……)

安堵のため息が出ると共に、自分が少し泣いていた事に気がつく

寝間着が汗でぐっしょりと濡れて、体に張り付いて気持ちが悪かった


それは悪夢、悪い夢、けして現実ではない

現実では‥‥ない


自分にそう言い聞かせても心に沸き上がるのは底知れない不安

携帯を開き時間を確認する
現在午前2時過ぎ、かがみは寝ているかな?それとも……

ふと蘇るのは、頭の中に鮮明に記憶されている先程の夢

居ても立ってもいられずに、そのままかがみの携帯へと電話をかける

1コール、2コールと時間が経つに連れて、胸の中の不安や焦燥感は膨らんでいく

かがみ…かがみ、かがみ!!

そして、5コール目

「もしも「かがみ!?」」

かがみが出た

「どうしたのよ?こんな遅くに電話して」

3日ぶりのその声に安心して、思わず泣きそうになる

でも……泣いたらかがみは優しいから心配しちゃうよね

だからいつもどうりを心掛けて……

「な、なんでもないヨ~ただ、愛しのかがみんが寂しがってないかと心配してね!」

予想したのは照れ隠しと怒声
返って来たのは予想外の

「……」

沈黙だった

冷静に考えれば夜中の2時にいきなりの電話

普通に考えれば迷惑だよね

「ごめ「こなた」」

謝ろうとしたところ、かがみに遮られた

「言いたくなければそれでも良いから」

「……」

「ただ…やっぱり……私にだけは頼って欲しいし、甘えて欲しい」

「だから…なんでもないだなんて言わないで。私に何かできることがあれば遠慮せずに言いなさいよ?」

「…うっぐ……ひっく………んっぐ……かがみぃ‥」

もう限界だった、電話越しで泣きじゃくる私に優しい言葉を掛けてくれるかがみ

いつの間にか私はかがみが死んでしまう夢をみたこと、夢から覚めても心配で電話しちゃったこと、全て話ていた

「大丈夫よ、私はここにいるし、まだ死ぬ予定もないわよ」

「そんなのわかんないじゃん!未来のことなんて…わかんないよぉ…」

おじーちゃんの時だってそう、この間まで元気だったのに…

「あんたねぇ…」

電話越しに聞こえるのはかがみのため息

「それを言うならあんたも同じでしょ?」

「!?」

言われて初めて気がついた

「未来のことなんて誰にもわからないわ、だから今を大切に生きるのよ」

その‘可能性’は私にもあることを
そして自惚れじゃなければ

「それに…こなたが……いなくなるなんて、私嫌なんだから!」

かがみも同じことを思っているはず

「なんだかんだ言って心配してくれるかがみん萌え~」

「う、五月蝿い!あ~もうっ!!」

だから……

「…ありがとうね、かがみ」

「……うん」

「こなた、そこから月見える?」

かがみの一言で敷き布団の上から体を起こし、窓際まで歩いていく

「うん」

そこにあったのはまんまるのお月様

「人ってさ、どこから来てどこに行くんだろうね?」

何でこんなこと言ったのかな?
あまりにも綺麗な月の魔力か
かがみに泣きついたことで今の私は少しおかしいのか

どちらにしろ私らしくない言葉が自然と口からでていた

「どうしたのよ?あんたらしくないわよ」

「ん~いや、何か今突然思っただけだから気にしないでくれたまへ」

そう言うとかがみは少し黙りこんだ

「どうしたの、かがみ?」

考え事をしていたのだろう、暫くして再びかがみが口を開く

「私にはどこから来たのかなんて知らないし、さらにどこに行くのかなんてわからない…」

「うん」

「でもどこから来たのかも、どこへ行くのかも今の私達には関係ないわよ!」

かがみの言いたいことがいまいち掴めずに無言の催促をする

「私達は出会って一緒にいる、その事実だけでどこから来たのかなんて関係ないわ……それに、あんたはどこへ行くにも一緒についてくるんでしょ?」

風が吹いた気がした
その一言で心の中のモヤモヤ、負の感情が確かに吹き飛んだ

「ふっふっふ、ついて来れるかじゃねぇ…お前の方こそついてきやがれ!!」

「ハイハイ、また何かのネタか?」

うん、いつもどうりだ

「まあね~でもかがみん随分とくさいことを言ったね♪」

「う、五月蝿いな!そう言うあんたも随分らしくないことを言ってたじゃない!」

ちょっと訂正、ここでカウンターは予想外だ

「私は…月、そう!月の魔力に当てられてしまったのダヨ!」

「奇遇ね、私もよ。今夜は月が綺麗だからね」

「じゃ、しょうがないよね」

「そうよ、しょうがないわよ」

電話口で私達は何をしているのだろう?
そう考えると自然に笑いが込み上げてくる
どうやらそれはお互い様のようで

私達は満月の下、2人で笑いあった

暫くの談笑のうちに電話先からの欠伸が聞こえてきた

「かがみ大丈夫?眠い?」

「まあね、どこかの誰かさんの電話でこんな夜中に起こされればそりゃ眠くもなるわよ」

「それは‥ごめんね?」

その点に関しては全部私が悪いので素直に謝る

「ま、別に良いんだけど…」

「ツンデレ」

「五月蝿いな!私はツンデレなんかじゃない!!……それより‥」

「それより?」

「あ、あんたは‥その…大丈夫なの?」

「私はネトゲで馴れているからね~これくらいは夜更かしに入らないのダヨ!」

「はぁ~そうじゃなくて…」

呆れたようなため息と共に出た言葉

「?」

「あんたはもう大丈夫?寝れる?」

その言葉を文字だけで捉えたら、悪い夢を見た友達をからかっているように見えるだろう

でも、かがみの声にはそんな気持ちは欠片もなく

純粋に私を心配してくれている、大切に想ってくれている

そんな声だった

「うん、大丈夫。かがみのおかげだよ!」

「そう、大丈夫ならそれで良いわ」

ふと、唐突に
ここにかがみがいればギュッって抱き締めてくれるかな~

なんて思って、1人で赤面

「最近はかがみんもデレが増えて来ましたなぁ~」

かがみが目の前にいたらいつもどうりに茶化せなかっただろう、その点ならば今日は電話で良かったかもしれない

「誰もデレてない!!」

「その反応がす「~っ!!んもう寝るわよ!」」

「つれないな~かがみ様ぁ~」

「つれなくて良いわよ!もぅ…おやすみ、こなた」

「うん、おやすみ、かがみ」

一旦電話を耳から離す
かがみはもう電話を切っちゃったかな?

それでもこの言葉は言いたかった
誰にも繋がってない電話に再び言葉を投げ掛ける

「かがみ…今日はありがと、おかげで助かったよ。本当に…ありがとう、大好きだよ」

ふぅ、と一息つく
たとえ誰に聞かれてなくても、自分の本音を口に出すのはいつでも慣れないものだ

「私も大好きよ、こなた。今度こそおやすみ」

え?

携帯に目をやると液晶にはすでに通話終了の文字が

ふらふらと自分の布団まで戻る
携帯電話を枕元に放り投げ布団に潜り込む

あれ、かがみ聞いてたんだよね?

答えがすでに出てる問を自分に投げ掛ける

顔に熱が集中している、外から見たら確実に真っ赤なのが自分でもわかる


うぅ~かがみのせいだ!!

この行き場のない感情を全てかがみにぶつけ、数回深呼吸

落ち着いてくるとようやく眠気がやってきた

本能に従い目を閉じる
瞳を閉じても見えるのは優しい笑みを浮かべる愛しい恋人

あぁ、でもその前に

「うん、今度こそおやすみ、かがみ」

そうして私は夢の世界に落ちていく
今度は良い夢を見る
そんな予感ではない確信を持ちながら



月が大分傾き、夜明けは近い
後数十分もすれば陽が昇るだろう
そんななか寝返りをうつ蒼髪の少女
微かな月の光に照らされたその寝顔はとても幸せそうに笑っていた



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コメント:
  • こなたの夢に一瞬泣いた -- かがみんラブ (2012-09-23 15:30:18)
  • 電話切る時の
    かがみの一言にやられた -- 名無しさん (2010-09-07 01:32:43)
  • かがみの思いやりがステキです -- シーソー (2010-07-25 00:19:30)
  • ご馳走様です!素晴らしい! -- KK (2010-04-03 01:47:21)
  • かがみの優しさにやられた -- 名無しさん (2010-04-01 01:31:43)
  • とりあえずGJ!と百回連呼させていただきます
    良いこなかがをごちそうさまでした -- にゃあ (2008-10-23 04:22:47)

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