こなた×かがみSS保管庫

騎馬戦

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kasa

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だれでも歓迎! 編集
(作者注:本作は、8-784氏が2008年09月24日に避難所スレPart2に投稿された4コママンガに触発されて作成しました。詳細はこちらをごらんください)

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『騎馬戦』

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「ありえないわ。泉さん一騎に、たった一分で五騎も喰われるなんて」
 激戦の合間のわずかな隙。生き残った何騎かの騎馬が打ち合わせたわけでもないのに集合する。
「とにかく、あの泉さんを潰さない限り、うちらに勝利はない」
「そうね」
 人の上に立つ。そんなオーラをまとった一人の少女が、強い決意を含んだ声で命じた。
「三騎ばかりついてきて。あたしが指揮を取る」
 志願者は全員だった。

 気がついたときにはすでに遅く、こなたは四騎の騎馬に完全に包囲されていた。ほぼ同時に八本の腕がこなたへと迫る。
「うわっ、ちょっと。や、やめ……っ」
 たちまちのうちに攻守は逆転し、こなたは一方的に追い詰められていった。

「こなたっ、今助けるわよ!」
 彼女の危機を見て取ったかがみが猛然と速度を上げ、支援へと向かう。クラスが違う、というささいな、しかし重要な事実は当然のようにどこかに置き忘れている。
 しかしその彼女の前に、一騎の騎馬が立ちふさがった。
「おい柊。ちびっ子を助けたかったら、このあたしの屍を踏み越えていくんだな」
「いいわ、今度こそ決着をつけましょう。日下部みさお」
 そう言い放ったかがみの顔には、まるで戦さ神が乗り移ったかのような凄惨な表情が浮かんでいる。
「私は、あんたを許さないっ!」

 同じ頃、みゆきもこなたの危機に気づいていた。
「泉さんが危ない!」
「申し訳ありませんが、ここを通すわけには参りません」
「峰岸さん、どうして……」
 思わぬ伏兵の出現に、みゆきは戸惑いを覚える。
「別に高良さんに恨みがあるわけではありません。でも私にも、意地というものがあるんです」
「もしや峰岸さん。ひょっとして、日下部さんのことを?」
「しょせん私は背景ですから」
 そう言うと、あやのは暗い笑顔を浮かべた。
「わかりました。もはや是非もない、ということですね」
 身体中にアドレナリンが駆けめぐるのを感じながら、みゆきはそう応じた。心の中にはただ悲しみだけがある。
 もはや何も語る必要はなかった。二騎の騎馬は、おのおのの思惑をかかえながら、無言で激突した。

 凶暴な敵たちの攻撃から懸命に逃げまくった結果、つかさは単騎で孤立していた。どうやら当面の危機は去ったらしい。ほうっと安堵の吐息を漏らした時、自分の身体が恐ろしい予感に震えたのを彼女は感じた。
(お姉ちゃんが危ない)
 双子だけに許された強い絆によって、彼女はかがみの危機を本能的に察知した。
(私が、お姉ちゃんを助けなきゃ)
 血がにじむほど唇をかみ締め、つかさはまるで何かに導かれるように姉の元へと向かう。さきほどまであれほど恐れていたはずの敵騎馬のことなど、すでに彼女の眼中にはない。

「燃えろ私のコスモッ。ペガサス、流星拳!」
 みさおの背後で何かが炸裂した。同時に無数の音速の拳が、かがみに向かって襲いかかる。その光景を目撃した全ての人間が、かがみの無残な運命を予感した。
 だがかがみは、まるで舞いでも踊るかのように、ふわりと円でも描くごとく右腕を振った。次の瞬間、逃れるすべなしと思われた拳が一つ残らず弾き飛ばされる。絶対の自信を持って放った流星拳をあっさりと退けられたみさおが、信じられないという表情を浮かべた。
「な、流星拳をすべて受け流した、だと……」
「あんまり甘くみないでよね、日下部」
「くっ、さすがはあたしの嫁。ただもんじゃないZE」
「誰があんたの嫁だよっ!」
 思わずかがみがツッコむが、みさおにはもはやその言葉は届いていなかった。
「だったらこれはどうよ。ペガサス、彗星拳!」
 先ほどの流星拳が散弾なら、今度の彗星拳はさながら大砲だ。音速拳を一点に集中する彗星拳を目の当たりにして、さすがのかがみも今度は避けられないと覚悟を決める。彼女にできることは、これから自分に襲い掛かるはずの強烈な打撃に備えてガードを固めることだけだった。

「かがみさん、逃げてっ!」
 彗星拳の発動を目撃したみゆきが悲痛な声で叫ぶ。
「どこを見ているんですか!」
 それをみたあやのが隙あり、とばかりに間合いを詰めてくる。
「邪魔をしないでください!」
 いったいどこに、これほどの力が残されていたのか。二騎の騎馬が交錯した次の瞬間、今までほぼ互角と見えていたみゆきの左手に、あやののハチマキがしっかりと握られていた。
「まさか……そんな」
 唖然としたあやのが自分の頭を押さえる。しかし、みゆきの関心はすでにあやのにはない。その場で騎首を翻す。そのまま猛然とダッシュ。限界を超えるGに彼女の顔が歪む。しかしワープでもしない限りとても間に合う距離ではない。アインシュタイン力学が、みゆきの手足を縛り付けていた。

(今度こそもらったZE)
 みさおの身体に勝利の確信が満ちあふれる。これで、今度こそ柊はあたしのモンだ、と思う。だが次の瞬間、何かが彗星拳の軌道に割り込んできたのをみさおは見た。

「う、そ」
 目の前で展開される信じがたい光景に、かがみは全てを拒絶したくなった。
(なんで、なんでこんなところに、つかさがいるのよっ)

「つか、さ」
 一対四という劣勢で防戦一方だったはずのこなたも、想像を絶する事態に一瞬目を奪われる。
「つかさぁーーーー!」

 彗星拳の直撃を食らったつかさはあっけなく落馬し、その身体だけがふわりと宙を舞う。すでにぼろ雑巾のような状態で地面に叩き付けられれば命も危ない。それに気づいた観客席の生徒達が口々に悲鳴を上げる。だが間一髪で救いの手が伸ばされた。みゆきだった。
「つかささん、よく頑張りましたね。偉いですよ」
 そうつぶやくとみゆきは、つかさの身体を強く強く抱きしめた。

「ああ、なんて無茶をことを」
 運営席でこの戦いを目撃していたふゆきが思わずつぶやいた。同時に、半ば無意識のうちに手探りで応急キットを探している。一方その傍らでは、ひかるが瞬間湯沸かし器ぶりをいかんなく発揮していた。
「まったく信じられん。確か柊つかさだったか。あのようなラフプレイ、絶対に認めるわけにはいかん。全校生徒に厳しく通達しなければ」
「桜庭先生?」
 しかしひかるはふゆきの問いかけを完全に無視し、そばに控えていた放送委員に命じた。
「全校に放送」
「全校に放送、よろしい!」
「本文」
「本文!」
「〝汝ラ、彼女ノ勇気ヲ忘ルルコトナカレ〟」
 わずかな沈黙があり、やがて悲鳴のような放送委員の声が響いた。
「はい、先生!」

 遂に白熱の騎馬戦はその絶頂を迎える。多くの一般生徒が見守る中、陵桜学園の運動場は今まさに狂熱の惑乱に飲み込まれようとしているのだった。



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  • リクエストありがとうございます。
    スレの方に『騎馬戦・その2』と『騎馬戦・いんたーみっしょん』
    投下しました。
    近日中に保管庫の方にも収録されると思います。
    えと、枕元で囁かれるのはお許しを。自分って結構ビビリなものでw -- H2-156 (2008-10-17 06:41:20)
  • 続きを書いてもらうにはどうすれば良いのでしょうか?
    やっぱり夜な夜な枕元で囁いてみるか…
    GJ!! -- にゃあ (2008-10-13 19:24:38)
  • 続き!続き!!!早く! -- 名無しさん (2008-10-02 22:45:37)

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