「催眠術ぅ?」
「そ」
突然何を言い出すかと思えば・・・
「そ」
突然何を言い出すかと思えば・・・
今は昼休み。いつものように、いつもの4人で昼食を取っていた所だ。
「昨日、ネットをブラブラしてたら見つけてさ?すべての技法をマスターしてしまったのだよ、私は」
意味もなくエラソーな態度でふんぞり返るこなた。はっきり言って眉唾物だ。
「そもそも催眠術って、人を操るようなヘンテコリンな物でしょ?あんたに出来るとは思えないんだけど」
「そんなこと無いよー。ね、みゆきさん」
「はい、催眠術とは、トランス状態という、夢うつつに近い状態まで人の意識を後退させ、そこで
命令をすると従ってしまう、という物を応用したものだったと記憶しています。ですが、飽くまで
本人の意識は残っているので、信頼している人にしか術はかけられないとか」
「さっすがゆきちゃん、物知りだねー」
ふむ・・・みゆきに言われると説得力がある。さすが生き字引みたいな人だ。
「でさ、今朝お父さんで試してみたんだよ。そしたらもう泣きっぱなし!涙ちょちょぎれ!」
「・・・一体何したんだよ」
「ん?私がお母さんに見えるよーって」
「お前は悪魔か」
大体、肉親の死を思い出させたりすると落ち込み具合がひどいと聞く。今頃キーボードを涙で故障させていたり、
悪ければロープでも探してるんじゃないか、と少しばかり心配になった。
「まあ、あらかじめ合意の上でだけどね。もちろん。お父さん、とっても喜んでたし。かなたとまた話せたみたいで
感激だ、って」
「・・・なら良いけどさ」
・・・ちゃんと人のこと考えてるのね。
急にこなたの頭をなでてやりたい衝動に駆られたが、つかさもみゆきも居る前だ。そういう訳にも行かない。第一、
二人っきりだとしても・・・気恥ずかしくて出来そうもない。
「昨日、ネットをブラブラしてたら見つけてさ?すべての技法をマスターしてしまったのだよ、私は」
意味もなくエラソーな態度でふんぞり返るこなた。はっきり言って眉唾物だ。
「そもそも催眠術って、人を操るようなヘンテコリンな物でしょ?あんたに出来るとは思えないんだけど」
「そんなこと無いよー。ね、みゆきさん」
「はい、催眠術とは、トランス状態という、夢うつつに近い状態まで人の意識を後退させ、そこで
命令をすると従ってしまう、という物を応用したものだったと記憶しています。ですが、飽くまで
本人の意識は残っているので、信頼している人にしか術はかけられないとか」
「さっすがゆきちゃん、物知りだねー」
ふむ・・・みゆきに言われると説得力がある。さすが生き字引みたいな人だ。
「でさ、今朝お父さんで試してみたんだよ。そしたらもう泣きっぱなし!涙ちょちょぎれ!」
「・・・一体何したんだよ」
「ん?私がお母さんに見えるよーって」
「お前は悪魔か」
大体、肉親の死を思い出させたりすると落ち込み具合がひどいと聞く。今頃キーボードを涙で故障させていたり、
悪ければロープでも探してるんじゃないか、と少しばかり心配になった。
「まあ、あらかじめ合意の上でだけどね。もちろん。お父さん、とっても喜んでたし。かなたとまた話せたみたいで
感激だ、って」
「・・・なら良いけどさ」
・・・ちゃんと人のこと考えてるのね。
急にこなたの頭をなでてやりたい衝動に駆られたが、つかさもみゆきも居る前だ。そういう訳にも行かない。第一、
二人っきりだとしても・・・気恥ずかしくて出来そうもない。
「じゃあ、体験してみたい人!挙手!!」
「おいおい、私らも実験台にする気か?」
「じゃあ、つかさ!」
「えっ?!」
「人募っといて指名するなよ!」
結局つかさが実験台になることになった。
「おいおい、私らも実験台にする気か?」
「じゃあ、つかさ!」
「えっ?!」
「人募っといて指名するなよ!」
結局つかさが実験台になることになった。
「えへへ、何かドキドキするなー」
期待半分、不安半分と言った表情だ。
「嫌ならちゃんと言うのよ。もし変なことになったら大変だから」
「大丈夫だよ、お姉ちゃん」
「じゃあ行くよー。まず私の目を見て下さい」
「はい、見てるよ」
インチキ占い師のような口調である。こういう占い師は当たらなさそうだ。
するとこなたが、おもむろに人差し指を立てた。
「次はこの人差し指の先をジーッと見て下さい」
「見てるよー」
「動かしますから、目で追って下さい」
今度は人差し指で、円を描くようにし始めた。
「こなちゃん、目が回りそうだよ~」
「シッ!静かに、もう喋らないで」
こなたはいつになく真剣な表情をしている。こんなこなたも可愛いな・・・って、いつの間にか
ときめいてる私が居る事に気づいて、こなたに対する想いを再確認させられる。今頃になって、
何でさっき立候補しなかったんだろう、と後悔がこみ上げてきた。
こなたは、暫くおまじないか何かの様にウンダカダーと呪文らしき物を唱えたりしていたが、やがて手も口も止まった。
期待半分、不安半分と言った表情だ。
「嫌ならちゃんと言うのよ。もし変なことになったら大変だから」
「大丈夫だよ、お姉ちゃん」
「じゃあ行くよー。まず私の目を見て下さい」
「はい、見てるよ」
インチキ占い師のような口調である。こういう占い師は当たらなさそうだ。
するとこなたが、おもむろに人差し指を立てた。
「次はこの人差し指の先をジーッと見て下さい」
「見てるよー」
「動かしますから、目で追って下さい」
今度は人差し指で、円を描くようにし始めた。
「こなちゃん、目が回りそうだよ~」
「シッ!静かに、もう喋らないで」
こなたはいつになく真剣な表情をしている。こんなこなたも可愛いな・・・って、いつの間にか
ときめいてる私が居る事に気づいて、こなたに対する想いを再確認させられる。今頃になって、
何でさっき立候補しなかったんだろう、と後悔がこみ上げてきた。
こなたは、暫くおまじないか何かの様にウンダカダーと呪文らしき物を唱えたりしていたが、やがて手も口も止まった。
「これから私が手を叩くと、貴女は今から何か面白いことを言います。しかし貴女はそれを覚えていません、
記憶から消してしまいます。私が指を鳴らすと、術は解けて元に戻ります。はい!」
記憶から消してしまいます。私が指を鳴らすと、術は解けて元に戻ります。はい!」
パン!!
こなたが柏手の様に手を勢い良く合わせると、つかさが目を開けて、笑顔でこう言った。
「あははー、バルサミコ酢~」
「ぷっ」
思わず吹き出す私。見ればみゆきも口元を抑えており、こなたは目を細めて満足げな顔をしていた。
パチン!
「あ、あれ?私何て言ってた?!」
「バ、バルサミコ酢ーって・・・」
笑いが止まらなくて声が震える。
「わ、私そんなこと言ってたの?!でも何でバルサミコ酢なんだろう?」
顔を赤くして、俯いたまま考え込むつかさ。
「たぶん、昔テレビとか漫画とかで見た面白いものだよ。記憶にあるもの以外はどうしたって呼び起こせ無いもん」
人差し指を立ててこなたが言う。
「あ、そうだ!料理番組で司会の人が言ってたんだ!!思い出した!」
合点がいったのか、一転、顔を明るくするつかさ。
「あははー、バルサミコ酢~」
「ぷっ」
思わず吹き出す私。見ればみゆきも口元を抑えており、こなたは目を細めて満足げな顔をしていた。
パチン!
「あ、あれ?私何て言ってた?!」
「バ、バルサミコ酢ーって・・・」
笑いが止まらなくて声が震える。
「わ、私そんなこと言ってたの?!でも何でバルサミコ酢なんだろう?」
顔を赤くして、俯いたまま考え込むつかさ。
「たぶん、昔テレビとか漫画とかで見た面白いものだよ。記憶にあるもの以外はどうしたって呼び起こせ無いもん」
人差し指を立ててこなたが言う。
「あ、そうだ!料理番組で司会の人が言ってたんだ!!思い出した!」
合点がいったのか、一転、顔を明るくするつかさ。
「それにしても、本当にかかるのね」
これには感心した。
「そうだよ~。かがみんも試してみる?」
「何て言ってかけるつもりよ。変なのだったら許さないからね」
「大丈夫だよ、そんな変なのはかけたりしないって」
「・・・じゃあ試してみようかしら」
不安はあるけど、こなたがかけてくるのだ。期待の方が大きい。
「じゃあ行くよー」
これには感心した。
「そうだよ~。かがみんも試してみる?」
「何て言ってかけるつもりよ。変なのだったら許さないからね」
「大丈夫だよ、そんな変なのはかけたりしないって」
「・・・じゃあ試してみようかしら」
不安はあるけど、こなたがかけてくるのだ。期待の方が大きい。
「じゃあ行くよー」
暫くこなたの言うとおりに目を動かしたりしていると、段々と意識が遠のいていくのが解った。
「・・・・・・」
こなたが何か言っている・・・でも何を言っているのかは、もう解らない。
「・・・・・・」
こなたが何か言っている・・・でも何を言っているのかは、もう解らない。
パン!!
突然大きな音がしたので、私の意識は現実に引き戻された。
「・・・何をかけたって言うのよ。全然何とも無いじゃん」
目の前に広がる光景はいつもの昼食時だし、口を開いても変な言葉は出てこない。
(ちょっとがっかりかな・・・)
「ちょっとがっかりかな・・・!!思ったことがそのまま口に出てる!!」
私は慌てて口を押さえた。
「だーいせーこー」
「こなちゃんすごーい!」
「本当にこういう事が出来るのですね。驚きです」
「つかさもみゆきも喜んでないで、何とかしてよ!!考えてること筒抜けじゃない!」
「私にしかどうにも出来ないよ?かがみん」
「ちょっとぉ、何とかしなさいよっ!!」
兎に角さっさとどうにかして欲しかった。
「考えが筒抜けなんて恥ずかしいじゃない・・・」
「んー、具体的にどう恥ずかしいんだぃ、かーがみーん」
いたずら好きな子供のような目が、こちらを見つめている。
だって、だって
「・・・何をかけたって言うのよ。全然何とも無いじゃん」
目の前に広がる光景はいつもの昼食時だし、口を開いても変な言葉は出てこない。
(ちょっとがっかりかな・・・)
「ちょっとがっかりかな・・・!!思ったことがそのまま口に出てる!!」
私は慌てて口を押さえた。
「だーいせーこー」
「こなちゃんすごーい!」
「本当にこういう事が出来るのですね。驚きです」
「つかさもみゆきも喜んでないで、何とかしてよ!!考えてること筒抜けじゃない!」
「私にしかどうにも出来ないよ?かがみん」
「ちょっとぉ、何とかしなさいよっ!!」
兎に角さっさとどうにかして欲しかった。
「考えが筒抜けなんて恥ずかしいじゃない・・・」
「んー、具体的にどう恥ずかしいんだぃ、かーがみーん」
いたずら好きな子供のような目が、こちらを見つめている。
だって、だって
「だって、私がこなたの事が好きだってみんなに分かっちゃうじゃない!」
「!!」
私を含めた4人の驚きの反応。
私は、本心が大きな声で出てしまった事への驚き。
つかさとみゆきは普通に驚いていて・・・こなたは・・・
こなたは心底驚いた顔で、口を開けたまま固まっていた。
私の視界がにじみ始め、やがて涙がこぼれる。
(知られちゃった・・・)
「知られちゃった・・・」
次第に悲しみがこみ上げてくる。術は、こんな時も律儀に私の考えを口にさせた。
「好きなの・・・好きなのよ・・・好きで仕方ないのよぉ・・・ぐずっ」
「かがみ・・・」
「ひっ、・・・そうよね・・・女の子が、ひっく、女の子のこと好きになる・・・なんて、ひっ、どうか、ううっ、してる・・・もんね、ひっく」
なかなか呂律が回らない。
私は机に突っ伏して泣き出した。
「もう・・・、うう、喋れないわよぉ・・・」
「・・・かがみ、ちょっと顔上げて・・・」
こなたの済まなそうな声が聞こえる。
「ひっ、こ、これ以上、何しようって言うのよ・・・」
「いいから」
「・・・」
こなたに言われたとおり、顔を上げる。
すると
私を含めた4人の驚きの反応。
私は、本心が大きな声で出てしまった事への驚き。
つかさとみゆきは普通に驚いていて・・・こなたは・・・
こなたは心底驚いた顔で、口を開けたまま固まっていた。
私の視界がにじみ始め、やがて涙がこぼれる。
(知られちゃった・・・)
「知られちゃった・・・」
次第に悲しみがこみ上げてくる。術は、こんな時も律儀に私の考えを口にさせた。
「好きなの・・・好きなのよ・・・好きで仕方ないのよぉ・・・ぐずっ」
「かがみ・・・」
「ひっ、・・・そうよね・・・女の子が、ひっく、女の子のこと好きになる・・・なんて、ひっ、どうか、ううっ、してる・・・もんね、ひっく」
なかなか呂律が回らない。
私は机に突っ伏して泣き出した。
「もう・・・、うう、喋れないわよぉ・・・」
「・・・かがみ、ちょっと顔上げて・・・」
こなたの済まなそうな声が聞こえる。
「ひっ、こ、これ以上、何しようって言うのよ・・・」
「いいから」
「・・・」
こなたに言われたとおり、顔を上げる。
すると
「へ?」
その瞬間、何をされたのか、私には理解できなかった。
次第に感覚が戻って来る。目の前に見えるこれは、こなたの顔。私の頬に触れているこれは、こなたの手。私の唇に触れているこれは、こなたの唇。私の口の中にあるこれは、こなたの舌。
その瞬間、何をされたのか、私には理解できなかった。
次第に感覚が戻って来る。目の前に見えるこれは、こなたの顔。私の頬に触れているこれは、こなたの手。私の唇に触れているこれは、こなたの唇。私の口の中にあるこれは、こなたの舌。
「!!!!!」
ようやく自分が何をされているのかが分かった。
(こなたと・・・キスしてる・・・しかもディープ・・・)
「!!」
ショックと恥ずかしさは後から来た。慌てて顔を離す。
「こ、ここ教室よ!!」
「だってさ・・・かがみ。私、かがみの気持ち知っちゃったもん・・・」
(だからって・・・でも・・・)
そこで私は術が解けているのに気が付いた。
「あ、あれ?考えてることが口に登らない・・・」
「先ほどの術の解除条件は『かがみさんの唇に泉さんが触れること』でしたので」
少々困った顔をしたみゆきが解説してくれた。
「・・・ホントは、『かがみん、シーッ』って唇に人差し指当てて『はい、解けました』ってやるつもりだったんだけどね・・・・・・・・・」
こなたは何やらゴニョゴニョと言葉を続けているが、声が小さすぎて聞き取れない。私もショックの余韻が大きくて、こなたの言葉に意識が向かなかった。
ショックと恥ずかしさは後から来た。慌てて顔を離す。
「こ、ここ教室よ!!」
「だってさ・・・かがみ。私、かがみの気持ち知っちゃったもん・・・」
(だからって・・・でも・・・)
そこで私は術が解けているのに気が付いた。
「あ、あれ?考えてることが口に登らない・・・」
「先ほどの術の解除条件は『かがみさんの唇に泉さんが触れること』でしたので」
少々困った顔をしたみゆきが解説してくれた。
「・・・ホントは、『かがみん、シーッ』って唇に人差し指当てて『はい、解けました』ってやるつもりだったんだけどね・・・・・・・・・」
こなたは何やらゴニョゴニョと言葉を続けているが、声が小さすぎて聞き取れない。私もショックの余韻が大きくて、こなたの言葉に意識が向かなかった。
呆然とする私を、つかさが私のクラスまで送ってくれた。
「だ、大丈夫だよ、お姉ちゃん。たぶん見てる人居なかったから・・・」
「・・・うん」
「おーっす、柊ぃー。お、柊妹も一緒か。どうしたん?」
「柊ちゃん・・・何だか元気無さそうだけど、どうしたの?」
クラスの友人二人が、一人は野次馬根性丸出しで、一人は心配そうに聞いてくる。
「あ、あの・・・」
その辺りはつかさが適当にごまかしてくれた。事情の欠片を察してくれた峰岸が、日下部を引き離してくれた。
「じゃあ、放課後来るから・・・」
そう残してつかさはクラスに戻っていった。
「だ、大丈夫だよ、お姉ちゃん。たぶん見てる人居なかったから・・・」
「・・・うん」
「おーっす、柊ぃー。お、柊妹も一緒か。どうしたん?」
「柊ちゃん・・・何だか元気無さそうだけど、どうしたの?」
クラスの友人二人が、一人は野次馬根性丸出しで、一人は心配そうに聞いてくる。
「あ、あの・・・」
その辺りはつかさが適当にごまかしてくれた。事情の欠片を察してくれた峰岸が、日下部を引き離してくれた。
「じゃあ、放課後来るから・・・」
そう残してつかさはクラスに戻っていった。
その後の授業なんて頭に入るはずもなく、とても長い時間が過ぎていった。永遠とも思える時間。
その間、思い起こされるのはこなたの事だけ。
突然のキス。
こなたの唇・・・柔らかかったなぁ・・・
そこで疑問が湧いてくる。何故こなたは私にかけられた術を解くためにキスをしたのか。しかもディープ。
術を解くだけなら、当初の予定通り、ちょんと私の唇に触れるだけで良いのだ。
何故・・・・・・
その間、思い起こされるのはこなたの事だけ。
突然のキス。
こなたの唇・・・柔らかかったなぁ・・・
そこで疑問が湧いてくる。何故こなたは私にかけられた術を解くためにキスをしたのか。しかもディープ。
術を解くだけなら、当初の予定通り、ちょんと私の唇に触れるだけで良いのだ。
何故・・・・・・
ようやく最後の授業の終了のチャイムが鳴った。しかし、私はまだ動けなかった。
頭がボーっとする。今口を開けば、第一声は「こなた」だろう。つかさが迎えに来てくれなければ、
いつまでもそのままだったかも知れない。
頭がボーっとする。今口を開けば、第一声は「こなた」だろう。つかさが迎えに来てくれなければ、
いつまでもそのままだったかも知れない。
その日の帰り道は、つかさと二人だった。
私は何も言わない。つかさも何も言わなかった。
私は何も言わない。つかさも何も言わなかった。
家に帰っても頭の中はこなた色一色。何とか服を着替えると、そのままベッドへ倒れ込んで、
しばらくそのままで居た。
(明日も、こなた来るかなぁ・・・)
そう思っていると、携帯が着信音を奏で始めた。メールの着信音。みゆきからのメール。
開くとこう書かれていた。
『泉さんは今日のことを大変気にしていらっしゃる様です。もう一度よく泉さんとお話されてみては?』
「こなたっ!!」
気が付くと、力の限りこなたの名前を叫んでいた。
「お姉ちゃん、どうしたのっ?!」
慌ててつかさが飛び込んでくる。
「な、何でもないわよ・・・何でも・・・」
「そ、そう・・・」
お互いの間に気まずい雰囲気が流れる。
しばらくそのままで居た。
(明日も、こなた来るかなぁ・・・)
そう思っていると、携帯が着信音を奏で始めた。メールの着信音。みゆきからのメール。
開くとこう書かれていた。
『泉さんは今日のことを大変気にしていらっしゃる様です。もう一度よく泉さんとお話されてみては?』
「こなたっ!!」
気が付くと、力の限りこなたの名前を叫んでいた。
「お姉ちゃん、どうしたのっ?!」
慌ててつかさが飛び込んでくる。
「な、何でもないわよ・・・何でも・・・」
「そ、そう・・・」
お互いの間に気まずい雰囲気が流れる。
「あ、あのね、お姉ちゃん・・・」
切り出したのはつかさの方だった。
「私はね、女の子が女の子のこと好きになっても、別におかしくないと思うよ」
「つかさ・・・」
「だからね、・・・勇気出してこなちゃんと、もう一回、真剣に話してみたら良いと思うの。
お姉ちゃんの為にも、こなちゃんの為にも・・・」
「・・・」
パタン、と軽いドアの音と共に、つかさは部屋を出ていった。
「・・・」
そっと唇をなでてみる。ショックが大きく、あのときの感覚はあまり覚えていない。
唯一覚えているのは、あの柔らかさ。
「・・・」
もう一度、さっきみゆきから来たメールを読み返す。
私はこなたの携帯の番号を呼び出し、通話ボタンを押した。
切り出したのはつかさの方だった。
「私はね、女の子が女の子のこと好きになっても、別におかしくないと思うよ」
「つかさ・・・」
「だからね、・・・勇気出してこなちゃんと、もう一回、真剣に話してみたら良いと思うの。
お姉ちゃんの為にも、こなちゃんの為にも・・・」
「・・・」
パタン、と軽いドアの音と共に、つかさは部屋を出ていった。
「・・・」
そっと唇をなでてみる。ショックが大きく、あのときの感覚はあまり覚えていない。
唯一覚えているのは、あの柔らかさ。
「・・・」
もう一度、さっきみゆきから来たメールを読み返す。
私はこなたの携帯の番号を呼び出し、通話ボタンを押した。
プルルルル・・・プルルルル・・・
呼び出し音の度に、心臓の鼓動が激しさの度合いを増して行く。そのせいで頭に血が巡ってきたのか、
まともに物を考えられるようになってきた。
まともに物を考えられるようになってきた。
プルルルル・・・プルルルル・・・
何故ずっと頭が真っ白だったのか。もっと早くこなたと話すべきでは無かったのか。
ショックが大きかったから、頭が真っ白だったのだ。
では何故、ショックだったのか。
ショックが大きかったから、頭が真っ白だったのだ。
では何故、ショックだったのか。
不本意な強制告白。しかも意中の相手は目の前に。おまけに同性に対する、多少なりともやましい恋。
それから、突然のキス。公衆の面前で。
果たしてそれらはショックと呼べるのか。
(ううん、こなたのキスだったんだもの。あのときこなたを引き離した私がどうかしてたのよ???人の目を気にするなんて???)
(ううん、こなたのキスだったんだもの。あのときこなたを引き離した私がどうかしてたのよ???人の目を気にするなんて???)
プルルルル・・・プルルルル・・・
(今度こそ・・・私の本心から「こなたが好き」って言うんだ!)
プルルルル・・・プルルルル・・・
呼び出し音の度、緊張は高まって行く。心臓は早鐘の様に打ち、今にも口から飛び出すのではないかという程だ。
が、いつまで経っても電話に出る気配がない。
(何でよ・・・私と話さないつもりなの?)
にじみ始めた視界の中、私は終話ボタンを押した。
今度は泉家の番号を呼び出し。再び響く呼び出し音。
が、いつまで経っても電話に出る気配がない。
(何でよ・・・私と話さないつもりなの?)
にじみ始めた視界の中、私は終話ボタンを押した。
今度は泉家の番号を呼び出し。再び響く呼び出し音。
プルルルル・・・プルルルガチャッ
「はい、泉です」
電話口に出たのは、この間から泉家の居候になっている、ゆたかちゃんだった。
「あ、あのっ柊です、こなた居ますか?」
早口になってしまった。緊張は隠せそうもない。
「こなたお姉ちゃんですか?今出かけちゃってますけど・・・」
「そ、そう・・・ごめんなさい、どうもありがとうございます」
「いいえ、こちらこそ」
「あ、じゃあこれで」
「はい、さようなら」
電話口に出たのは、この間から泉家の居候になっている、ゆたかちゃんだった。
「あ、あのっ柊です、こなた居ますか?」
早口になってしまった。緊張は隠せそうもない。
「こなたお姉ちゃんですか?今出かけちゃってますけど・・・」
「そ、そう・・・ごめんなさい、どうもありがとうございます」
「いいえ、こちらこそ」
「あ、じゃあこれで」
「はい、さようなら」
プッ、ツーツーツーツー・・・
途端に大きなため息と、涙がこみ上げてきた。
「・・・私のこと避けてるのかな・・・あのキスで全部おしまいのつもりだったのかな・・・」
嗚咽をかみ殺せなくなり、喉から声が漏れる。
「うぅっ、こなたぁ、こなたぁ・・・うう、うわぁぁん」
枕に顔を埋め、つかさに鳴き声を聞かれないようにする。そのせいで私には、周りの音が聞こえていなかった。
「・・・私のこと避けてるのかな・・・あのキスで全部おしまいのつもりだったのかな・・・」
嗚咽をかみ殺せなくなり、喉から声が漏れる。
「うぅっ、こなたぁ、こなたぁ・・・うう、うわぁぁん」
枕に顔を埋め、つかさに鳴き声を聞かれないようにする。そのせいで私には、周りの音が聞こえていなかった。
こんこん
控えめなノックの音がすることに気づいたのは、涙が枯れかけてきた頃だった。
「おねぇちゃーん?お姉ちゃん?」
「・・・開いてるわよ・・・」
「おねぇちゃーん?お姉ちゃん?」
「・・・開いてるわよ・・・」
ガチャ
ドアを少しだけ開けたつかさが、心配そうな目をしていた。
「・・・何?ご飯出来たの?」
「ううん、お客さん」
「悪いけど帰って貰って・・・とても人に会えるような状態じゃないし・・・」
「それでも会って貰いたいお客さんなんだけど・・・」
「・・・何?ご飯出来たの?」
「ううん、お客さん」
「悪いけど帰って貰って・・・とても人に会えるような状態じゃないし・・・」
「それでも会って貰いたいお客さんなんだけど・・・」
キイィィ・・・
少し油が切れてきた様な音を立てて、部屋のドアが開く。誰だろう、私がこんな状態でもつかさが「会わせたい」という客人とは。
「かがみ・・・」
「!!!!!」
心臓が跳ね上がる。息が止まる。思考が止まる。
私のすべてが止まってしまったのではないかと思った。
枯れかけていた涙が、再び溢れ始める。
「・・・こ・・・こなた・・・」
「かがみ・・・ゴメンね。私・・・」
これ以上、こなたは先を続けなかった。否、私が続けさせなかった。
とっさに駆け寄った私が、こなたの唇を私の唇で塞いだ。
「かがみ・・・」
「!!!!!」
心臓が跳ね上がる。息が止まる。思考が止まる。
私のすべてが止まってしまったのではないかと思った。
枯れかけていた涙が、再び溢れ始める。
「・・・こ・・・こなた・・・」
「かがみ・・・ゴメンね。私・・・」
これ以上、こなたは先を続けなかった。否、私が続けさせなかった。
とっさに駆け寄った私が、こなたの唇を私の唇で塞いだ。
「ふっ・・・むぅ・・・ふぁぁ・・・んっ・・・」
時々、水音が部屋に響いた。
どれくらいの間こうしていただろうか。ゆっくりと顔を離す。つかさはいつの間にか、ドアを閉めて出て行ってくれていた。
こなたには、まだ聞きたいことがある。
「どうして電話に出なかったのよ!」
「い、いや、携帯は制服のポケットに入れっぱなしで・・・」
「どうして・・・あの時私にキスしたのよ!催眠術解くだけなら普通に触れば良かったじゃない!」
「・・・それは・・・」
こなたが俯いて口を噤む。
「何よ!言えないの!?」
私は声を荒げた。こなたに隠し事をされるのが嫌だったから。
「・・・それは・・・」
「さっさと言いなさいよ!!」
こなたの肩が震え始める。
そこでハッとなった。
時々、水音が部屋に響いた。
どれくらいの間こうしていただろうか。ゆっくりと顔を離す。つかさはいつの間にか、ドアを閉めて出て行ってくれていた。
こなたには、まだ聞きたいことがある。
「どうして電話に出なかったのよ!」
「い、いや、携帯は制服のポケットに入れっぱなしで・・・」
「どうして・・・あの時私にキスしたのよ!催眠術解くだけなら普通に触れば良かったじゃない!」
「・・・それは・・・」
こなたが俯いて口を噤む。
「何よ!言えないの!?」
私は声を荒げた。こなたに隠し事をされるのが嫌だったから。
「・・・それは・・・」
「さっさと言いなさいよ!!」
こなたの肩が震え始める。
そこでハッとなった。
こなたを泣かせてしまった・・・私の一番望まないものなのに
「ご、ゴメン・・・わ、私・・・どうしてもこなたに隠し事とかされたくなくて・・・」
こなたを抱き寄せる。小さい肩が震えている。
「ゴメンね・・・ゴメンね・・・本当はこなたの涙なんか見たくないのに・・・ううっ」
「違うんだよ、かがみぃ・・・違うの・・・」
こなたが顔を上げる。
こなたを抱き寄せる。小さい肩が震えている。
「ゴメンね・・・ゴメンね・・・本当はこなたの涙なんか見たくないのに・・・ううっ」
「違うんだよ、かがみぃ・・・違うの・・・」
こなたが顔を上げる。
「私もね、かがみの事大好きなの」
そこにあったのは、涙まみれの満面の笑み。
その顔を見たとき、私はどうしようもなくなって。
その顔を見たとき、私はどうしようもなくなって。
きつくこなたを抱きしめて、ただただこなたの名前を呼び続けた。
「こなたぁ・・・うぐっ・・・こなたぁ!」
「心配しなくてもかがみん、私はここにいるよ?」
「うわあぁぁん!こなたぁ!!」
「っちょ、ちょっとかがみ、・・・苦しい・・・」
「あ、ご、ごめん・・・」
こなたの苦しげな声にようやく気づき、力を緩めた。しかし絡めている腕は解かない。
「あ、あのさ、いつか・・・ら?」
「知り合って少ししてから・・・」
「・・・何で?」
「とっても良さそうな人で・・・みんなに気配りが出来る人で・・・でも、とっても寂しがりな人だから・・・私が何とかしてあげたいなって思って・・・それから次第に・・・」
こなたの顔が次第に俯いて行く。
「そっか・・・有り難う、こなた」
「へ?」
こなたがゆっくりと顔を上げる。
私はこなたへの感謝の言葉を、ゆっくりと、出来る限りの笑顔で紡いだ。
「理由話してくれて、また私に会いに来てくれて。それから、私を好きになってくれて」
「かがみ・・・」
「でもっ、私に無理矢理告白させたことは許さないわよ!」
「・・・ごめんなさい・・・」
こなたがシュンとなる。
そんなこなたがまた愛おしくて。
「じゃあ・・・責任・・・取ってよね?」
「・・・うん、分かった。取るよ」
その台詞を聞いて、再び唇を押し当てる。
こなたの味を出来る限り味わうように、こなたの口の中で舌を蹂躙させる。
「うむぅっ、んんっ」
少々甘い。今日の昼に食べたチョココロネの味だろうか。
「ふぁっ、うむんぅ・・・」
どちらからともなく、お互いの舌を絡める。
今はそうしているだけで幸せで。
私は、そのとき、自分が世界で一番幸せな女の子だと思った。
「心配しなくてもかがみん、私はここにいるよ?」
「うわあぁぁん!こなたぁ!!」
「っちょ、ちょっとかがみ、・・・苦しい・・・」
「あ、ご、ごめん・・・」
こなたの苦しげな声にようやく気づき、力を緩めた。しかし絡めている腕は解かない。
「あ、あのさ、いつか・・・ら?」
「知り合って少ししてから・・・」
「・・・何で?」
「とっても良さそうな人で・・・みんなに気配りが出来る人で・・・でも、とっても寂しがりな人だから・・・私が何とかしてあげたいなって思って・・・それから次第に・・・」
こなたの顔が次第に俯いて行く。
「そっか・・・有り難う、こなた」
「へ?」
こなたがゆっくりと顔を上げる。
私はこなたへの感謝の言葉を、ゆっくりと、出来る限りの笑顔で紡いだ。
「理由話してくれて、また私に会いに来てくれて。それから、私を好きになってくれて」
「かがみ・・・」
「でもっ、私に無理矢理告白させたことは許さないわよ!」
「・・・ごめんなさい・・・」
こなたがシュンとなる。
そんなこなたがまた愛おしくて。
「じゃあ・・・責任・・・取ってよね?」
「・・・うん、分かった。取るよ」
その台詞を聞いて、再び唇を押し当てる。
こなたの味を出来る限り味わうように、こなたの口の中で舌を蹂躙させる。
「うむぅっ、んんっ」
少々甘い。今日の昼に食べたチョココロネの味だろうか。
「ふぁっ、うむんぅ・・・」
どちらからともなく、お互いの舌を絡める。
今はそうしているだけで幸せで。
私は、そのとき、自分が世界で一番幸せな女の子だと思った。
どれ位の間、そうしていただろうか。窓越しに見える空は、すっかり闇に染まっていた。
「・・・もう8時だよ」
「・・・そだね」
「あ、あのさ・・・こなた。今日は泊まっていったら?」
「え、良いの?」
「お姉ちゃん達は私がどうにかして説き伏せるわよ。今日からお父さんとお母さん、旅行行っちゃってるし」
「じゃあ私はお父さんに電話してくるよ。電話貸して?」
「オッケー」
さっきまでのモヤモヤは綺麗さっぱり、跡形もなく姿を消していた。
「・・・もう8時だよ」
「・・・そだね」
「あ、あのさ・・・こなた。今日は泊まっていったら?」
「え、良いの?」
「お姉ちゃん達は私がどうにかして説き伏せるわよ。今日からお父さんとお母さん、旅行行っちゃってるし」
「じゃあ私はお父さんに電話してくるよ。電話貸して?」
「オッケー」
さっきまでのモヤモヤは綺麗さっぱり、跡形もなく姿を消していた。
その日の夜、かがみの自室から、二人の押し殺したような喘ぎ声が漏れていたのは言うまでもない。
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- GJ! -- 名無しさん (2022-12-15 02:27:39)
- つかさGJ!
ボクもまぜちょくれーッ!=(つ>▽<)つ -- ぷにゃねこ (2013-01-27 18:16:04) - こなたの「シーッ」の声を聞いてみたい -- 名無しさん (2012-11-12 20:54:15)
- かがみんとこなた可愛すぎるぞ!
-- アオキ (2012-01-19 18:16:29) - 全く、イチャイチャしおって -- 名無しさん (2010-04-20 15:04:06)
- かがみがねぇ -- 柊まつり (2010-01-22 17:44:49)
- その喘ぎ声は、いのりさんとまつりさんとつかさに、ドアごしにバッチリ聞かれているわけか。 -- 名無しさん (2009-12-05 22:38:40)
- つかさ出来る子!
良い話でしたw -- (2009-03-19 12:01:35) - つかさGJwww -- 0210 (2009-03-13 19:24:37)
- 良いです。 -- 名無しさん (2008-05-27 21:00:18)
- GJ!
-- ゆん (2008-04-14 16:59:13)