何気ない日々:膝を抱え込むように悩むよりも相談する決意を(かがみ編)

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 この気持ちを胸に抱えてからどれ程の時間が流れたっけ・・・なんて言うほど時間は動いてはいない。
 気持ちの強さはかがみが私のお見舞いに来て、想いに気がついてしまった時からどんどん膨れ上がっていくように強くなってしまっていた。昨日が金曜日で本当に助かったヨ。今日が土曜日で学校は休みだからサ。今、かがみと顔を合わせたら何時も通りでいられるか不安だったから本当に助かったヨ。
「やっぱり、こういうのはお父さんにそれとなく相談するべきなんだろうか」
ネトゲを付けて、今日は黒井先生とのペア狩りも断って、ソロ狩りをしながら、考えるのは、かがみへの想い。
 いや、流石にゆーちゃんに相談するわけには行かないよね。ある意味、お父さんと同じくらい理解してくれそうだけどサ
 かがみが風邪で休んで、学校に来なかった次の日なのに、とても長い長い間この想いを抱えていたような錯覚に陥りそうになる。
 恋は盲目なんだって、よくアニメや漫画じゃいうけどサ。
 この恋は盲目に進まないんだよネ。世間の、周りの目って奴が、氷河に存在するどんな氷塊よりも冷たくて、針よりも鋭いものなのだ。
「お父さんは、そういうことにも理解はありそうだけど・・・。何でかなぁ、その前に相談しなくちゃいけない、この先を一緒に考える誰かを忘れているような・・・そんな気がしてならないんだよネ」
そんな相手、いるはずないんだけど・・・。お父さんに相談してみようかと思うと、そんな感情が小骨の様に引っかかって邪魔をするんだ。どうしてなんだろう。
「おっと、考え込んでる間に瀕死だー、ここで死んだらデスペナの回復に一日所じゃすまないよ・・・」
しばらく、ネトゲのほうに集中することにした。その方が余計なことを考えなくて良かったから。最初は断った黒井先生とのペア狩りを、やっぱりやりましょう!と意気込みいれて誘って、結局することに決めて、完全に頭をゲームに切り替えることにした。それが現実逃避だとわかっていたとしても、そうでもしないと私の心の何処かが壊れてしまいそうだった。


 見舞いには来ないでくれってつかさに言って欲しいと入ったけれど、誰も来てくれないのは寂しいものね。つかさに関しては出入り禁止にしているから、今日はまだ顔も合わせていない。
 とても見せられる顔じゃないしね。母の胸に涙の溢れる顔を埋めて泣き腫らしたのだから、瞼は腫れぼったくなっているし、目は充血してしまっている。
だから、今傍にいるのは母だけ。追い出す理由も良い言い訳も見つからなかったのだから仕方がない。
 でも、もう熱も大分下がったし、体の調子もそこまで酷くないのだから傍にいられるとなんだかとても気恥ずかしい。
「もう、お母さん。一人にしても大丈夫よ?熱も大分下がったし、つかさみたいに勝手にうろうろして悪化させたりしないから」
「たまには、かがみにも、お母さんに甘えてほしいわ。つかさは素直だからいいけど、かがみはある意味、昔の私にそっくりで、意地っ張りだから」
「私ってそんなに素直じゃないかしら」
「昨日のかがみはとても心配になる位に素直だったわよ」
そう言って母は、ベッドに横になっている私の頭を撫でる。
 この安心感は何だろう、この心地良さは何だろう。ただ、頭を撫でてもらっているだけなのに、眠たくなってくる。
 こなたは、こういう感じを知っているのだろうか。それを考えるという事は失礼な事ではないかと思う、胸が締め付けられるような気分になるのだから。
「かがみ、また誰かの事を考えてるわね。それも昨日と同じ人の事」
「あ、うん、ちょっと・・・ね」
歯切れの悪い、何とも言えない言葉しか返すことができない。
「そう、まだ、お母さんには相談できない誰かへの悩みなのね」
心配そうに私の顔を見つめて、頭を撫で続ける母。相談できない誰かではない。問題はこの持て余してしまっている感情の方だ。だから、相談できない感情という方がきっと正しいと思う。
 あの日、こなたをお見舞いに行ってずっと手を繋いで・・・・・・。あいつも、こういう温もりが欲しかったのだろうか?ゆたかちゃんに風邪を感染したくなくて、でも、本当は一人じゃ寂しくて。だから、ずっと手を繋いでいて欲しいと我侭を言いたかったのだろうか?


 ただ、あいつが私の胸を借りて、痛いほどに強く抱きついて泣いている姿は、幼い容姿のあいつを、どこか大人びている様に見せた。普通なら逆なのに、あの涙は何かを耐える様な、何かの痛みを忘れるための様な・・・そんな涙なんじゃないかと思った。
「かがみ、その、お母さん・・・」
「うん、もう大丈夫だから、今日は町内婦人会の集まりの日でしょ?まだ時間はあると思うけど、付きっ切りじゃなくても、全然大丈夫だから」
本当は、まだ頭を撫でてくれるこの手の優しさを感じていたかった。そして、この優しさを覚えたかった。
 母が立ち上がった時、ピンポーンと呼び鈴の電子音がした。家は、インターフォンじゃないから、呼び鈴という言葉で十分だと思う。
「誰かしら・・・」
今日は、母しかいないので、必然的に優しさを帯びた手は離れてしまう。
 はーい、今出ますから少し待ってくださいねー、と母が叫び、部屋から出て行った。
 あら、みゆきちゃんじゃない、どうしかしたの?つかさに用事かしら、それともかがみにお見舞い?・・・そう、ありがとう。おばさん、ちょっとこれから出かけなくちゃいけないから、つかさが帰ってくるまで、かがみのこと、お願いできるかしら。そう?ありがとう、みゆきちゃん。じゃぁ、よろしくお願いするわね。
 ドアを開けたまま入ってしまった母の声は丸聞こえだった。なので、訪問者の事もわかってしまった。
こなたでなかったことにほっとしている自分と、どこか寂しい気持ちを抑えきれない自分が相反してなんだかぐるぐるして、少し気持ち悪くなった。
 しかしそれもほんの束の間の事、みゆきが、私の部屋に上がってくるまでには、気分は戻っていた。そして、上体を起こして、服を正して、出迎える用意をする。
「つかささんから、お見舞いは駄目だと聞いていたのですが、心配でしたので来てしまいました。風邪のお加減、どうですか?」
そういえば、つかさはどこに言ったのだろう。わたしの部屋に入っちゃ絶対に駄目だからね、とドアに向かって叫んだ時、ひどくシュンとした声で、「わかったよ~」と言っていたのを聞いて以来、つかさは戻ってきてはいない。もう、お昼も過ぎたというのに・・・お昼ご飯にも帰ってこなかった。
 どうしているのだろう、少しきつく言い過ぎたかしら・・・。
「・・・・・・という予算配分に関して、かがみさんの意見も聞きたいと生徒会の方が言ってまして、それで・・・あの、かがみさん、聞いてくれてますか」
「え?あ・・・・・・ごめん、みゆき。考え事してた。全然聞こえてなかったわ、本当にごめん」
「いえ、もともとかがみさんのクラスの方が悩まれている生徒会の予算会議の話ですので、そう、謝らなくても大丈夫ですよ」
「というか、私にはそんなの、わからないわよ・・・みゆき」
「私も、そうではないかと思ったのですが、一応お伝えして考えを聞きたいと申されまして・・・あ、これ、昨日の委員会のプリントと議論を書き写したものです。お体に障りのない程度に目を通していただければ、と。それから、これはつまらない物ですが、お見舞いの果物です」
こういうものを母が気まぐれで買ってしまうんです、そう苦笑しながらみゆきが言う。
「みゆきのお母さんって何だか・・・すごいわね」
籠に入った果物のセットをなんとなく買ってしまうとは・・・ブルジョワだわ。
「ありがとう、みゆき。果物とかうれしいな・・・でも、毎回貰ってばかりで悪いわね。私も何かお返しを出来ればいいんだけど・・・」
笑顔でみゆきに言葉を返す。が、みゆきの表情は曇っていた。
「かがみさん、私は何があったとしてもかがみさんの味方でいると、誓えます。ですから、もし・・・つかささんには言えない悩みを抱えていらっしゃるなら、相談してもらえませんか?」
 まさか、そんな事を言われるとは思わなかった。私が何も言えないでいると、みゆきは私の言葉をまたずに続けた。
「何かお返しが出来ればと、仰っていましたね。それなら、私に悩みを打ち明けていただけることが何よりのお返しです。私は、かがみさんの友人として・・・」
そこだけは引っかかった。
「みゆきは、友人じゃないわ。そりゃぁ、日下部や峰岸と比べれば、付き合いこそ短いけれど、とても大切な親友だと思ってる・・・だから、ただの友人とは違うわ」
「でしたら・・・尚更、ご相談頂けると嬉しいのですが。もしかすると微力ながら、何か力になれるかもしれませんから」
みゆきの笑顔が、心に針のように突き刺さる。どうしてだろう、こんなにも優しい笑顔なのに、いつもなら、こんな風に感じたりしないのに・・・あぁ、そうか。


 きっと相談すれば、みゆきの笑顔は消えてしまう。異端者のレッテルを貼られた人間に人間は悲しいほどに冷たいから。
 親友を一人無くしてしまう・・・かもしれない。
「かがみさん?」
みゆきの手が、私の利き手に重なる。あの日、繋いだ手は右手だから、あの温もりとは全く違うけれど、まるで母のような優しさがあった
 母には相談できなかった。それに、つかさよりもまず、みゆきに相談しなければいけないような気がしていたから・・・何せ、今は、家にはつかさはおろか誰もいない。非常にいい機会なのかもしれない、都合がよすぎる程に。
「こ、これは、その、私の、えっと、日下部や峰岸とは違う・・・みゆき達が知らない中学時代の友人の話なんだけど」
「はい」
みゆきはそっと手を離すと、自分の膝の上に手を組んで置き、話を聞く体勢をとった。
「その友人は、自分の友人の・・・その、女の子の事を好きになってしまったらしいのよ。でも、おかしいわよね・・・ちょっと気持ち悪いわよね?それも大切な親友の女の子の事を好きになってしまったの。それで、私ならその悩みを聞いてくれるだろうって電話をくれたんだけどね。それで、その、あのさ、みゆきは、どう思う?女の子が女の子の事を好きになってしまうって事」
みゆきは、頬に手を当てて、少し考えていた。ただ、その表情に迷いは無く、自分の考えをどう言葉にまとめているかを考えているようだった。
「それは・・・本当にご友人の方の話ですか?」
みゆきの言葉が胸に突き刺さった気がした。出るはずの無い心の血液が変わりに涙として溢れそうになる。だが、ここで泣いてしまっては駄目だ・・・本当は私の話だということがバレてしまうから。
 そうしたら、みゆきは私の親友・・・友人ですら無くなってしまう。その恐怖が、私の涙を押し留めた。
「そ、そうよ。中学のと・・・・・・」
ぽろっ・・・ぽろぽろぽろぽろ・・・・・・言葉が続かなかった。涙が、目から零れてしまう。頬を伝うことも無く、俯いた顔から、まるで雨の様に、雫の様にぽろぽろと布団の上に零れた。
「かがみさん、私は何があっても、かがみさんの味方ですから・・・嘘を付かないでください」
嘘を付くなって?私が・・・同性に恋して、しかも親友にだぞ。そんなの、信頼への裏切りなのに、どうして、嘘を付いてはいけないの?
「かがみさんは、嘘を付く度に心を深く切り裂いてしまう、繊細な方ですから。ですから、お願いします。どうか、私の事を親友だと、かがみさんにとって信頼をする事ができる人間であると思ってくださっているなら、本当の事を仰ってください」
みゆきの言葉は穏やかで、優しくて、迷っている私の方が間違っている気がした。
涙が止まらない時点で、もう嘘なんてバレてしまっている。両手で、涙を拭おうとすると、みゆきにそっと抱きしめられる。苦しくは無い、涙を受け止めるだけの優しい抱擁だった。
「そうよ、私に好きな人が出来たの。でも、その人は同性だから、叶わない恋なのよ!」
私は喚くように叫んだ。そのまま、泣きじゃくる子供が駄々をこねる様に言葉を続ける。
「気持ち悪いでしょ?もう、親友でいたいとは思わないでしょ、親友だなんて思われたくないわよね?同類だなんて思われたら同じように気持ち悪がられるもの!同情なんていらないの、もう全て壊れてしまうんだわ!私の周りには誰もいなくなってしまう、誰も、誰一人として・・・みゆきだって気持ち悪いと思うでしょう?同類だと思われたくないでしょう?・・・それに私は、私が恋をした相手にそんな思いをさせたくないのよ!」
叫ぶだけ叫んで、みゆきから離れようとしたが、先程とは違い、力が込められていたので抜け出すことが出来なかった。
「・・・・・・私は、かがみさんのことを気持ち悪いだなんて思いません。ですから、暴れないでください。私のことを信用してはいただけませんか?味方になれる人間だと信頼していただけませんか?」
「嘘よ!気持ち悪いと思っているんでしょう。そうやって強く抱きしめて顔が見えない様にして、本当は汚らわしいものでも見るような表情で私を見ているんでしょう?当然よ!当然なのよ・・・恋なんて、男と女がするものなんだから、離してよ、同情なんていらないんだから・・・お願い。みゆき・・・・・・同情はいらないのよぉ」


その後は、言葉にならず嗚咽が漏れるだけだった。
「かがみさん、少し落ち着いてください。そしたら私の表情が見えるように、力を緩めますから、怯えないでください。お願いですから」
みゆきの私を抱きしめる力が少し弱まり、私は顔を上げた。みゆきも泣いていた。それは、拒絶の涙ではなく、信頼を得るに足らなかった自分への腹立たしさと親友からの罵倒の言葉によって深く心が傷ついてしまった涙。
 それに気が付くまで、私達は涙を零し続け、声を上げて子どもの様に泣いた。

 二時間くらい立っただろうか。お互いに落ち着きを取り戻しつつあった。とても長い間泣いていたような気がする。
「かがみさん、私は、何があっても、かがみさんの味方でありたいと思います。それを信じていただけますか?」
みゆきの言葉に、私は頷くことしか出来なかった。どうして彼女は受け入れられたのだろう。
「私は、女性が女性に恋をしたとしても、男性が男性に恋をしたとしても、おかしいとは思いません」
「でも・・・」
「わかっています。世間では、男性と女性が恋をする事が当たり前だと信じられています。しかし、かがみさんは、本当に・・・女性だからその方に恋をしたのですか?女性なら誰にでも恋をするのですか?男性には一切そういう思いを抱かないのですか?」
どうなんだろう・・・私は、あいつが女の子だから恋をしたのだろうか?そして男の人にそういう気持ちを一切抱かないと言い切れるだろうか。
「わからないわ。あいつが女の子だから好きになったかどうかなんて、私にはわからない」
頭を振る、私の頬をみゆきがすっぽりと覆う。それはまるで・・・。
「かがみさん・・・」
みゆきの顔が近づいて来る。どんどん、ゆっくりと目を閉じたまま、近づいて来る。
 嫌だ・・・そう思った。みゆきじゃ嫌だ。みゆきの事は親友としては好きだ。物知りだし、それをひけらかしたりせずに、知識を欲するものには丁寧に優しく教えてくれる、そんな優しさを持つ彼女を親友に持てて、嬉しく思う。嫌いじゃない。
―でも、みゆきじゃ嫌だ。
 あいつとならこんな封には思わないだろう。でも、みゆきじゃだめなのだ。これは明らかな嫌悪感。
 私は両手でみゆきの顔を受け止める。唇が重ならないように。
「私では、駄目なようですね」
みゆきは始めからそれがわかっていたような表情をしていた。
「みゆきの事は嫌いじゃないわ。私が本当に女性だけしか愛せないなら、きっとみゆきを受け入れられたと思う。でも違うの・・・みゆきじゃ・・・だめなの」
「かがみさんは、その方だからこそ、恋をするほど好きになったのですよ」
そうなのかしら?あいつのどこにそんな魅力があるのだろう。考えても、思い浮かぶ父子は無い。
 ただ、口付けをする相手は決まっているのだ。それは、みゆきでも、峰岸でも、日下部でも、つかさでも、名も知らぬどんなに素敵な男性でもなく、青空色をした元気な女の子。
 あいつでなければ、だめなのだ。受け入れられない。
「でも、女の子を好きな事には変わりないわよ?」
みゆきは私から体を離し、最初に話を聞くときと同じように椅子に座っていた。
「別に構わないのではないでしょうか?私は、かがみさんがそれで幸せならいいのではないかと思います。もちろん、世間的には同性で付き合うことに対して偏見が強くあります。しかし、それは、昔に誰かが、そういうレッテルの付くような病名をつけてしまい、それがずっと息づいているだけではないかと、私は思うんです」
良くわからない。みゆきが言っていることはきっと、そんなに難しいことではないのだと思う。ただ、今の私にはまだ理解しきれないだけで。
「でも、医者を志す者がそんなことを言っていていいの?みゆき」
「何度もくどいようですが、私は、かがみさんの味方でありたいですし、親友と言ってくれたかがみさんの言葉がとても嬉しいですから・・・」
「でも、同性だと子どもは作れないのよ。もちろん、私は今、恋をしているだけだし、実る可能性が絶対なわけじゃない。それでも、もしも、私の恋が成就して、そういう事になったとしても、みゆきは味方でいてくれるの?」
もう、隠すのやめよう。ただ、誰を好きであるのか、予測されていたとしてもまだ言いたくは無かった。だから、そこだけはあえて言わなかった。
「・・・・・・かがみさん、世の中には先天的にであっても、後天的であっても子どもを得ることが出来ない、男性も女性もいるのですから、今の言葉はよくありませんよ。私には経験がまだありませんが、恋をするのも結婚をするのも結局は、幸せになるための過程に過ぎないと私は思うんです。だから、そこは重要ではないと思いますよ」
みゆきの言葉は少し厳しかったが、目には優しさがあった。


「そうね、子どもを作るために・・・好きになるわけじゃないものね・・・」
でも、だからこそ、子どもを得ることが出来ない恋は禁忌とされているのではないだろうか。皆が皆そうであっては、人間という種族は潰えてしまうのだから。
「そうですね。でも、かがみさんの想いは汚らわしくも、気持ち悪くも無いと思いますよ」
考えていたことが表情に出てしまったのだろうか、みゆきの言葉は私の心の内を語っていた。
 少しだけ、心が軽くなった気がした。みゆきが味方になってくれる。世間がどんなに冷たい視線を浴びせて、心が冷え切ってしまいそうになったとしても、みゆきという味方が温かなスープのような優しさで救ってくれる。
 たった一人。そう、たった一人だけど、胸の内を打ち明けた味方。それも大切な親友の温かな言葉。
 私の胸は本当に少し軽くなった気がした。
 けれど、思いを伝えるのにはまだ時間がかかりそうだ。
私の好きな、恋をした相手―泉こなた―、彼女が私の重い受け入れてくれるかどうかなんてわかっていないのだから。それでも、一歩進めた気がした。だからいつか伝えることも出来る。

 気が付けば、私もみゆきも笑顔を浮かべて涙を零していた。悲しくて苦しい涙ではなく温かくて優しい涙を。

「かがみが、女の子を好きになってしまったのね」
その会話を、廊下で盗み聞きをしていた、みきがぼそりと呟く。そして、そのまま、みきは肯定と否定の入り交ざった複雑な胸中のまま、町内婦人会へと向かうのだった。



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