季節は春、厳しかった寒さも今は懐かしい。
そんな風に思うくらい温かい日が続いている。
そして春といえば桜。
お花見のシーズンである。
……かがみ……元気にしてるかな……。
――桜舞い散り、蘇る記憶――
いつも桜が咲く季節になるとかがみの事を思い出す。
……桜が咲く季節に私はかがみに告白した。
きっかけは分からない、いつの間にかかがみの事を好きになって……。
でも私とかがみは女同士、もし付き合えたとしても世間から見たらイレギュラーな存在だ。
それに……かがみには夢がある、私と一緒に居たら夢は潰えてしまうかもしれない。
……でもかがみは言ってくれた、『私も好き』って……。
……桜が舞い散った後、かがみは私の側から離れた。
別れている訳じゃない、かがみは一人暮らしをする為にこの街を後にした。
今でもかがみとは連絡を取り合っている。
昨日は……確かメールが100通来てたかな……。
かがみも向こうで頑張っている様子、弁護士を目指して……。
……私は?
私は……夢がない……。
今も適当に大学へ通い、適当に毎日を過ごしている。
……こんな時かがみは何て言うだろう……。
――――――――――
今私は一本の桜の木の前に居る。
今私は一本の桜の木の前に居る。
ここはかがみに告白した思い出の場所。
……そして……かがみと離れ離れになった場所……。
――何で……行っちゃうのさ!!――
――かがみは……私と離れてでも……行くと言うの……!?――
――嫌だよぉ……行っちゃやだぁ……――
ここに立つとあの頃の記憶が蘇ってくる。
ドキドキしながらかがみに告白した事。
その時散った桜が私達を包み込んでくれた事。
……かがみから一人暮らしすると言われた事。
その時……桜がかがみを連れていく様に……散った事。
……いくら連絡が取れたとしても……逢いたい……逢いたいよ……。
かがみ……今……凄く逢いたい……。
その時だった。
突風がこの街を走った。
――桜が散っていく、遥か彼方まで続いている空へと舞い上がる。
まるで天までの道の様に。
……誰かがこちらへと歩いてくる。
夕日を背に、茜色に染まった太陽を背に歩いてくる。
……私は目を疑った。
忘れる筈がない、高校時代幾度も見つめたツインテール、私がプレゼントしたリボン……。
そして……私の心を見抜く瞳。
私は走りだしその人物の名前を呼ぶ。
……今まで逢いたかった私の大切な人の名を大声で……叫ぶ。
「かがみ!!」
全速力で走り、跳ぶ。
かがみに向かってダイビングジャンプ。
サイコクラッシャー。
「こなた!!」
私のサイコクラッシャーをいとも簡単にかがみは受け止め、抱き合う。
「逢いたかった……逢いたかったよぉ……」
「私も……私も逢いたかった……!!」
今まで感じる事が出来なかった温もりを互いに求め合い、感じ合う。
……全然変わってない……あの頃と……優しいまま……。
「かがみぃ……!」
「こなたぁ……!」
嬉し泣きかな?私とかがみは互いに泣き始める。
再開の涙……ってやつだ、きっとそう。
舞い散った桜が私達をあの頃の様に包み込む。
……桜舞い散り、蘇る記憶。
――私ね……私……かがみの事が好きです!!――
――……こなた……――
――……っ……――
――……私も好き、だよ!!――
脳裏に今でも浮かぶあの告白。
そして……私は何かに操られる様に顔を近付け……。
「……お帰り……かがみん」
「……ただいま……こなた」
- END-
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- (≧∀≦)b -- 名無しさん (2023-07-03 14:41:42)
- メール100通…だと…?
-- 名無しさん (2009-02-23 06:51:24) - 桜を見ていると思い出が蘇って切なくなる、そんな気持ちになりますよね。
告白と別れ、再会‥‥こなたとかがみにはなんだか泣ける情景です。
GJです! -- 名無しさん (2009-02-07 23:29:58)