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「続・お見舞い(2009年版)」(2022/12/16 (金) 02:45:21) の最新版変更点
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「はい、かがみの大好きなアイスだよ。
今、食べさせてあげるからね~」
「ちょっ…… そんな事しなくていいってば。
一人で食べられるわよ」
私がこなたのアパートにお見舞いに行ってから一週間後、
今度は私が『たちの悪いカゼ』にかかってしまっていた。
そして今日は、前回のお礼だといわんばかりに、
息を巻いたこなたが、スプーンとアイスの容器を持ちながら、
私の部屋で看病を始めていた。
「ダメダメ、かがみは病人なんだから、
私が色々してあげなくちゃね」
「全く、そういうセリフはもう少し早く聞いてみたかったわよ。
特に、高校生位の時にね」
「まあまあ、こうやってアイスとかたくさん持ってきたんだし、
その位で勘弁してよ~、かがみぃ」
こなたは、髪の毛をぴょこぴょこ揺らしながら言い訳をしていた。
そんなこなたの仕草が、今はたまらなく面白い。
ふと、自分の机に視線を移してみる。
そこには、こなたが持ってきてくれたお見舞いの花である、
赤と白に彩られたバラが飾られていた。
(それにしても、こなたがここまでしてくれるとはね~)
今までとは明らかに考え方が変わったこなたを見ていると、
自然と心が温かくなってくる。 それと同時に私は、
少し前に自分がしていた事を思い返していた――
『それでは、花などを持って行かれてはどうでしょうか』
「うん。 それいいわね~、どんな花がいいかしら」
話は、十日程前の午後にまでさかのぼる。
その日は、こなたがカゼをひいた事を初めて知った日だった。
数日中にお見舞いに行く、とこなたに約束したものの、
どんなものを持っていけばいいのかいまいちピンとこない。
そこで、みゆきに電話して聞いてみる事にしたのだった。
『そうですね…… では、バラ等はいかかでしょうか。
泉さん、よくバラについての話をされていましたから』
「な、なるほどね~。 そうしようかしら」
いやいや、それは多分違う意味でのバラだと思うんだけど。
こなたの言う事を真に受けちゃう所は、相変わらずね。
ま、そこがみゆきのいい所なんだけどね。
『――以上の様な準備をすれば大丈夫だと思いますよ』
「うん、ありがと。 参考にさせてもらうわね。
そういえば、みゆきもこなたの所へお見舞いに行くの?」
『ええ、近い内に伺おうと思っていますよ。
ただ、講義が多いので合間を縫って行くことになると思いますけど』
ちなみに、みゆきの方はたっての希望通り有名大学の
医学部に進学して、優秀な成績を残しているらしい。
……と言っても、私たちの通っている大学のすぐそばに、
その有名大学があるもんだから、みゆきともしょっちゅう
会ってるんだけどね。
「うん、わかったわ。 こなたもきっと喜ぶと思うわよ。
それじゃあまたね、みゆき」
『はい。 それではごきげんよう、かがみさん』
通話が終了したのを確認してから、携帯電話を折りたたむ。
そして、携帯電話を机の上に置いてから、ふと窓の外を見てみる。
強烈な日差しが容赦なくアスファルトを照らしだし、
そして空は、一片の陰りのない青に覆われていた。
「こなたの奴、大丈夫かしら。 暑さにやられてなきゃいいけど」
そんな事を呟いた矢先、玄関のドアが開く音がした。
『ただいま~』という声が家の中に響き渡り、
ガサガサッという音と、パタパタという足音がそれに続く。
私は、その足音の主が真っ先に向かうであろうキッチンへ、
そそくさと先回りして出迎える事にした。
「おかえり~、つかさ」
「あっ。 ただいま~、お姉ちゃん」
「頼んでいたもの、ちゃんと買えた?」
「うん、大丈夫。 メールの内容通りに買ってきたよ。
だいこん、にんじん、それにほうれん草……」
つかさは、左手で持っていた買い物袋に手をいれながら、
順番に中身を確認し始めた。 額からは汗がしたたっており、
外がどれだけ暑かったというのが伝わってくる。
「これでよし……と。 大丈夫、全部揃ってるよ~」
「ありがと、助かったわ。 けどごめんね~、
大学からの帰りだったからって、色々頼んじゃって」
「ううん、平気平気。 お姉ちゃんは今日、
講義無い日なんだからゆっくりしてなきゃ、ね」
そういうとつかさは、いつもの様ににっこりと笑っていた。
屈託のない、その笑顔をみるだけで、私はとても幸せな気持ちになる。
そして私は、この溢れ出る気持ちを『あいつ』にも伝えてあげたいと、
思うようになっていた。 その為には、私自身が頑張らなきゃね。
「……さてと、材料も揃った事だし、そろそろ始めよっかな」
「でも、本当にいいの? 手伝わなくて……」
つかさが、いかにも不安そうな顔をして私を見つめていた。
「大丈夫。 一人でも平気よ。
つかさの方こそ、レポートは上手く書けてるの?」
「はうう……。 それはちょっとまだまだかな。
何とか、こなちゃん家に行く時間が出来るように頑張ってみるよ」
「まあ、いざという時はこなたにちゃんと理由を言えば大丈夫よ。
……それはさておき、いよいよ本題ね」
目の前のキッチンには、戦いに使用する材料が勢揃いしていた。
小鍋に包丁にまな板。 冷やご飯に調味料少々。
そして、つかさが買ってきてくれた野菜がそれに続く。
(見てなさいよね、絶対に美味しい料理を食べさせてあげるんだから!)
心配そうなつかさを横目にして、私は左手に包丁を握った。
そして私は、あまり慣れていない料理の練習を始めた――
「お……、かが……」
「……」
「お~い、かがみ様~」
「わっ、こなた!?」
不意に、声をかけられて体がびくんと震えた。
そんな中こなたは、アイスを片手に持ちながら、
不思議そうに私を見つめていた。
「全く、どうしちゃったのかと思ったよ。
もしかして、熱がひどくなっちゃったとか?」
「だ、大丈夫。 ちょっと考え事してただけよ」
「……ほっほ~う」
こなたは、顔をにやにやさせながら、スプーンを回し始めていた。
私は、こなたが次にいう言葉がなんとなく分かっていた。
「かがみ! それはずばり、おと……」
「男の事とか考えてないっつ~の!
ていうか、もう少し病人をいたわりなさいよ!」
ついつい、いつもの調子で突っ込んでしまった。
こういう所は、大学生になっても全然変わらないのよね。
「まあまあ、落ち着きなさいって。
時間はたっぷりあるんだからさ」
「何言ってるのよ。 レポートもろくに書いてないくせにさ。
このカゼが治った後で、みっちり面倒みてあげるから、
覚悟しなさいよね!」
「うひゃ~。 ありがたいような、恐ろしいような……」
小さい体を揺らしながら、気のない声を上げている
こなたを横目に、久しぶりに窓の外を見てみる。
どこまでも広がる空は、一面のうろこ雲に覆われて 、
青と白とがまんべんなく溶け合っていた。
季節は、一歩ずつ秋へと向かっていた――
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- ↓その発想は無かった -- 名無しさん (2013-05-03 11:11:06)
- 俺はてっきり酒鬼薔)ry -- 名無しさん (2010-01-09 21:36:17)
- 馬鹿な考えですが、秋葉原のばらかとおもた -- 名無しさん (2009-09-04 00:37:20)
- ベルサイユの薔薇…… いやなんでもない -- 名無しさん (2009-01-06 19:28:09)
- こなたの考えるバラは薔薇(隠語)のほうですね。分かります。 -- 名無しさん (2008-07-02 10:49:29)
「はい、かがみの大好きなアイスだよ。
今、食べさせてあげるからね~」
「ちょっ…… そんな事しなくていいってば。
一人で食べられるわよ」
私がこなたのアパートにお見舞いに行ってから一週間後、
今度は私が『たちの悪いカゼ』にかかってしまっていた。
そして今日は、前回のお礼だといわんばかりに、
息を巻いたこなたが、スプーンとアイスの容器を持ちながら、
私の部屋で看病を始めていた。
「ダメダメ、かがみは病人なんだから、
私が色々してあげなくちゃね」
「全く、そういうセリフはもう少し早く聞いてみたかったわよ。
特に、高校生位の時にね」
「まあまあ、こうやってアイスとかたくさん持ってきたんだし、
その位で勘弁してよ~、かがみぃ」
こなたは、髪の毛をぴょこぴょこ揺らしながら言い訳をしていた。
そんなこなたの仕草が、今はたまらなく面白い。
ふと、自分の机に視線を移してみる。
そこには、こなたが持ってきてくれたお見舞いの花である、
赤と白に彩られたバラが飾られていた。
(それにしても、こなたがここまでしてくれるとはね~)
今までとは明らかに考え方が変わったこなたを見ていると、
自然と心が温かくなってくる。 それと同時に私は、
少し前に自分がしていた事を思い返していた――
『それでは、花などを持って行かれてはどうでしょうか』
「うん。 それいいわね~、どんな花がいいかしら」
話は、十日程前の午後にまでさかのぼる。
その日は、こなたがカゼをひいた事を初めて知った日だった。
数日中にお見舞いに行く、とこなたに約束したものの、
どんなものを持っていけばいいのかいまいちピンとこない。
そこで、みゆきに電話して聞いてみる事にしたのだった。
『そうですね…… では、バラ等はいかかでしょうか。
泉さん、よくバラについての話をされていましたから』
「な、なるほどね~。 そうしようかしら」
いやいや、それは多分違う意味でのバラだと思うんだけど。
こなたの言う事を真に受けちゃう所は、相変わらずね。
ま、そこがみゆきのいい所なんだけどね。
『――以上の様な準備をすれば大丈夫だと思いますよ』
「うん、ありがと。 参考にさせてもらうわね。
そういえば、みゆきもこなたの所へお見舞いに行くの?」
『ええ、近い内に伺おうと思っていますよ。
ただ、講義が多いので合間を縫って行くことになると思いますけど』
ちなみに、みゆきの方はたっての希望通り有名大学の
医学部に進学して、優秀な成績を残しているらしい。
……と言っても、私たちの通っている大学のすぐそばに、
その有名大学があるもんだから、みゆきともしょっちゅう
会ってるんだけどね。
「うん、わかったわ。 こなたもきっと喜ぶと思うわよ。
それじゃあまたね、みゆき」
『はい。 それではごきげんよう、かがみさん』
通話が終了したのを確認してから、携帯電話を折りたたむ。
そして、携帯電話を机の上に置いてから、ふと窓の外を見てみる。
強烈な日差しが容赦なくアスファルトを照らしだし、
そして空は、一片の陰りのない青に覆われていた。
「こなたの奴、大丈夫かしら。 暑さにやられてなきゃいいけど」
そんな事を呟いた矢先、玄関のドアが開く音がした。
『ただいま~』という声が家の中に響き渡り、
ガサガサッという音と、パタパタという足音がそれに続く。
私は、その足音の主が真っ先に向かうであろうキッチンへ、
そそくさと先回りして出迎える事にした。
「おかえり~、つかさ」
「あっ。 ただいま~、お姉ちゃん」
「頼んでいたもの、ちゃんと買えた?」
「うん、大丈夫。 メールの内容通りに買ってきたよ。
だいこん、にんじん、それにほうれん草……」
つかさは、左手で持っていた買い物袋に手をいれながら、
順番に中身を確認し始めた。 額からは汗がしたたっており、
外がどれだけ暑かったというのが伝わってくる。
「これでよし……と。 大丈夫、全部揃ってるよ~」
「ありがと、助かったわ。 けどごめんね~、
大学からの帰りだったからって、色々頼んじゃって」
「ううん、平気平気。 お姉ちゃんは今日、
講義無い日なんだからゆっくりしてなきゃ、ね」
そういうとつかさは、いつもの様ににっこりと笑っていた。
屈託のない、その笑顔をみるだけで、私はとても幸せな気持ちになる。
そして私は、この溢れ出る気持ちを『あいつ』にも伝えてあげたいと、
思うようになっていた。 その為には、私自身が頑張らなきゃね。
「……さてと、材料も揃った事だし、そろそろ始めよっかな」
「でも、本当にいいの? 手伝わなくて……」
つかさが、いかにも不安そうな顔をして私を見つめていた。
「大丈夫。 一人でも平気よ。
つかさの方こそ、レポートは上手く書けてるの?」
「はうう……。 それはちょっとまだまだかな。
何とか、こなちゃん家に行く時間が出来るように頑張ってみるよ」
「まあ、いざという時はこなたにちゃんと理由を言えば大丈夫よ。
……それはさておき、いよいよ本題ね」
目の前のキッチンには、戦いに使用する材料が勢揃いしていた。
小鍋に包丁にまな板。 冷やご飯に調味料少々。
そして、つかさが買ってきてくれた野菜がそれに続く。
(見てなさいよね、絶対に美味しい料理を食べさせてあげるんだから!)
心配そうなつかさを横目にして、私は左手に包丁を握った。
そして私は、あまり慣れていない料理の練習を始めた――
「お……、かが……」
「……」
「お~い、かがみ様~」
「わっ、こなた!?」
不意に、声をかけられて体がびくんと震えた。
そんな中こなたは、アイスを片手に持ちながら、
不思議そうに私を見つめていた。
「全く、どうしちゃったのかと思ったよ。
もしかして、熱がひどくなっちゃったとか?」
「だ、大丈夫。 ちょっと考え事してただけよ」
「……ほっほ~う」
こなたは、顔をにやにやさせながら、スプーンを回し始めていた。
私は、こなたが次にいう言葉がなんとなく分かっていた。
「かがみ! それはずばり、おと……」
「男の事とか考えてないっつ~の!
ていうか、もう少し病人をいたわりなさいよ!」
ついつい、いつもの調子で突っ込んでしまった。
こういう所は、大学生になっても全然変わらないのよね。
「まあまあ、落ち着きなさいって。
時間はたっぷりあるんだからさ」
「何言ってるのよ。 レポートもろくに書いてないくせにさ。
このカゼが治った後で、みっちり面倒みてあげるから、
覚悟しなさいよね!」
「うひゃ~。 ありがたいような、恐ろしいような……」
小さい体を揺らしながら、気のない声を上げている
こなたを横目に、久しぶりに窓の外を見てみる。
どこまでも広がる空は、一面のうろこ雲に覆われて 、
青と白とがまんべんなく溶け合っていた。
季節は、一歩ずつ秋へと向かっていた――
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- GJ! -- 名無しさん (2022-12-16 02:45:21)
- ↓その発想は無かった -- 名無しさん (2013-05-03 11:11:06)
- 俺はてっきり酒鬼薔)ry -- 名無しさん (2010-01-09 21:36:17)
- 馬鹿な考えですが、秋葉原のばらかとおもた -- 名無しさん (2009-09-04 00:37:20)
- ベルサイユの薔薇…… いやなんでもない -- 名無しさん (2009-01-06 19:28:09)
- こなたの考えるバラは薔薇(隠語)のほうですね。分かります。 -- 名無しさん (2008-07-02 10:49:29)
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