こなた×かがみSS保管庫

~想いが重なるその前に(2)~

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匿名ユーザー

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「えぐっ…えぐっ…えぐっつ…」
「おはようございます。つ、つかささん、どうされたんですか?」
「おはよ~みゆきさん。なんか学校着くなりいきなり泣き始めちゃって…」
「ほらつかさ、どうしたのよ?」
「ひぐっ…う、ううん、なんでもないよ。」
「ならいいけど…なにかあったんならちゃんと言いなさいよ。」
「うん、ごめんねお姉ちゃん。」

キーンコーンカーンコーン

朝会の始まりを告げる鐘が響く。夏休みまであと三日――


~想いが重なるその前に(2)~


「おーっす、お前らー早く席に着けー。」
朝会が始まる前の騒がし光景。
どこの学校にでもあるありふれた朝の喧騒を桜庭先生が切り裂く。
先生が教室に来た途端にみな慌てて席に戻る。これもどこにでもある光景だろう。
私も自分の席に着き、いつもと同じ時間の流れに身を委ねる。
「あー、もうすぐ夏休みが始まりわけだがー、休みだからってダラダラせずに何か一つでも目標をもって過ごすようにー。」
お決まりのような先生の台詞。だが私の胸に少し引っ掛かる。
「そういえば何か目標を持って過ごしてきたかな…?」
ぽつりと洩らす。


考えてみれば今までの夏休みとかってだらけず計画的に勉強してきちんとした生活を送って、模範生なような過ごし方をしてきたつもりだけど、なにか「やるぞ!」
と心に決めた燃えるような、そう、まるで漫画や映画みたいな、情熱・青春・感動といった言葉がぴったりとくるような過ごし方―したことなかったっけな。
だからと言って後悔しているわけでもないし、今までの生き方を否定したいわけでもない。
ただ…あいつと、こなたと付き合うようになってから私の中で何かが変わったのかもしれない。いや、もっと前。こなたに恋をした時から。
「おーい、ひいらぎぃ!今日は一緒にメシ食おうぜっ。」
いつものように始まった昼休み、いきなり日下部に話しかけられる。
「あ~、わるいっ、今日もあっちで約束してて…」
「またかよ~、最近付き合いわりぃぞ柊。」
「みさちゃん、柊ちゃんにも都合があるんだから…」
「柊ってばここ最近ちびっこのトコばっかじゃねーかっ。あたしとの愛は冷めちまったのかよー。」誰があんたとの愛だ!そう心で突っ込みながら「ごめん、また今度ね。」と一言残し教室を去った。我ながらちょっと薄情かもね…


「んがぁー!ひいらぎってばそんなにちびっこがいいのかよー、なぁ、あやのぉー。」
「まあまあ、私が作ってきたミートボールあげるから機嫌直して。ごはん食べよう。」
「マジで!食う食う!あやのの作る料理うめーんだよなっ。…ってこんなんで柊を譲ったわけじゃねーかんなっ。柊はウチんだっ!覚悟しとけよちびっこめ!」「…みさちゃんのボルテージが上がってるわ~。」


「おーっす、来たよー。」
「かがみ~ん!待ってたよ~!!」
「お姉ちゃんいらっしゃい。」
「こんにちは、かがみさん。」
いつもの三人がそこにいた。いつもの光景、だが私にとっての幸福の地。
するとこなたがいつもの猫口と線のような目でこっちを見ると、ちょいちょいと隣のイスへ私を手招きする。誘われるまま私は腰をかける。「かがみんがいないこの三時間ちょっとすごい寂しかったよ~。」
とびっきり甘えた声で私に擦り寄ってくる。あ~もう愛いやつだよ。でもここは公衆の面前、ひとつビシッと…
「あ、あんたこんな人前でそんなこと…」
「え?じゃあ誰もいないとこ行こっか??そこなら思いっきりラブラブできるよね!?」
「ちょ、ちょっとぉ!!少しは自重しなさいよね!学校終わったらいっぱいしてあげるからっ。」
「ほんとー!?じゃあ約束のちゅーね!」
ちゅっ
ふいに攻撃を受ける。こなたの唇の感触が熱く頬に残る。
「あ・ああああ・あああんんあんたはーーーー!!!!」
耳まで真っ赤にしながら私は叫ぶ。こんなところでまで私は弄られるのか?神様なんで?なんで?なんで?いつも弄られるのなんで??
「…泉さん、かがみさん……どんだけ~」
「はぅ!ゆきちゃんそれ私のセリフ…」「つかささん、そういえば今朝はどうされたのですか?なにかお悩みがあるのでは…」


「う、うん…ゆきちゃん。実はね…」
―――――――――「そうだったんですか、分かりますよそのお気持ち。」
「ゆ、ゆきちゃん…」
「私はいつでもつかささんの味方ですから。」
「ゆきちゃん…」
「つかささん…」

なにやら前の方ですごくいい雰囲気を感じたが、こなたにペースを握られっぱなしの私には気を向ける余裕は無かった。「かがみんあのさ、ちょっと話しがあるんだけど…」
突然まじめな顔をしてこなたが話しを振ってくる。
「な、なによ?」
「実はさ……」


チチチチチチチチチ……………
学校の帰り道、辺りにはほとんど人はいない。ただひぐらしの太陽が沈むことを知らせるもの悲しい鳴き声がこだまする。
私はこなたと一緒に歩いていた。
帰り道。いつもと変わらない道。でも今回はなにかが違っていた。
ふと繋がれた手に目を落とす。
もうすぐ夏休み。なにかが始まるかもしれない夏休み。
私はそんな期待を抱かずにはいられなかった。
気がつけばこなたは私を見つめていた。視線が合う。こなたも何か大きな目標をもっているんだ。言葉を交わさず見つめ合うだけで分かった。
私は心の中でずっとあの言葉を反芻していた。こなたのあの言葉……
「夏休み、一緒に旅行に行こう?」


もうすぐ夏休み。でも今までとは違う、なにか新しいことが始まりそうな…夏休みはもうそこまで迫っていた。



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  • GJ!!(≧∀≦)b -- 名無しさん (2023-02-24 23:47:23)

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