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こなたを泣かせてみたい。」(2023/05/15 (月) 17:59:54) の最新版変更点

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こなたを泣かせてみたい。 それは人間なら誰しもが一度は抱く願望ではなかろうか。 え? ない? ああそうですか私だけですか。 ええそうですよ、どうせ私はこなタ(注:かがみの造語で『こなヲタ』の略)ですよ。ハイハイ。 ……なんて自己弁護だか開き直りだかはさておき。 こなたを泣かせてみることにした。 きっかけは、つかさがぼんやりと放った一言だった。 「そういえば、こなちゃんが泣いてるとこって見たことないよね」 確かに言われてみればそうだった。 つかさの泣き顔なら昔から何度も見ているし、みゆきも前に一緒に行った恋愛物の映画を観たときに泣いていた。 でも、こなたの泣き顔だけは未だかつて一度も見たことがない。 それなら、一回くらい見せてもらってもバチは当たらないわよね?……ね? うん。大丈夫。そもそも私神主の子だし。 ちょっとくらい羽目外しても神様も大目に見てくれるはずだわ。 勘違いしてもらいたくないのだが、私にはこなたを苛めたりする趣味はない(多分)。 ただ、上述のつかさの一言を聞いて、こなたが涙目で「かがみぃ……」とか言って上目遣いで見上げてくるのを幻視してしまった以上はなんていうかもう辛抱たまらんのです本当に申し訳ございません。 ……という訳なので、こなたには悪いと思いつつもこなたを泣かせてみることにした。 ごめんね、こなた。 後でアメちゃん買ってあげるから許してね。 「おはよー、かがみ、つかさ」 そんな不埒な計画を頭の中で練っていたら、何も知らない可愛い子猫ちゃんが目の前に現れた。 やっべなんかテラ興奮してきた。超ハグしてぇハァハァ。 なんて内心を微塵も見せることなく、私はいつも通りに挨拶を返す。 「おはよう、こなた」 さて、肝心の計画だが……実はもうほぼまとまっている。 後は機会を見て実行に移すだけ、といった按配だ。 「? どうしたの? かがみ」 流石は私のこなた。瞬時に私の異変を察知したわね。 私は即座にこなたを抱え上げて街中を疾走したい欲求を堪えながら返事をする。 「ん、別になんでもないわよ」 ここでいかにも『本当は何かある』的な雰囲気を醸し出すのがポイントだ。 言うなればこれは疑似餌みたいなもの。 「ふっふーん、さては恋の悩みかな?……かな?」 釣れた! てか食いつきよすぎだろ常考。 いや落ち着け。落ち着け私。 ここで焦っていつものような対応をしてしまっては元の木阿弥。 慎重にいかないとね。 今、こなたが期待している私の返答はおおよそこんなところだろう。 『な、何言ってんのよ! んなわけないでしょっ///』 そうやって照れる私を見てニマニマするのがこなたの目的。 でも、私の目的はこなたをニマニマさせることではないので、今回ばかりはこなたの期待を裏切らせてもらう。 「うん……実はそうなのよね」 なるたけ真顔で、でも少しはにかんだ表情で。 いかにもセンチで乙女な雰囲気を出してみる。 すると、どうだろう。 こなたが……あのこなたが! 「え………」 目を丸くして、不安と驚きと寂寥を溜め込んだ表情を作ったではないか! ああアカン、これだけでご飯三杯はいけるわ。 でも、私の目的はまだ達成されていない。 ごめんねこなた、もうちょっとだけ、私のワガママを許してね。 後でいいこいいこしてあげるからね。 「そ、そうなんだ……」 ああ、こなたは見るからに落ち込んだ様子で、心なしかアホ毛までしおれている。 ぞくぞくとした快感が背中を駆け巡った。 やばい、たまんないわこの背徳感。てゆーかこのこなたの寂しげな表情。 もうなんていうかくぁw瀬drftgyhこなたlp;@ 「お姉ちゃん好きな人いたんだ~。知らなかった~」 危うく幻想郷にタイムリープしかけた私を、つかさがのん気な声で引き戻してくれた。 グッジョブつかさ。流石は私の半身だわ。 とりあえず内心を気取られないように、努めて平静に返事をする。 「ああ、うん。まあ、ね……」 いかにも含みを持たせた感じで。 すぐさま、ちらっと横目でこなたの反応を伺う。 「…………」 さっきよりも一段と暗い表情になり、目は伏目がちになり、いつもの猫口も消えている。 アホ毛と鼻先がくっつきそうだ。 ごめんねこなた、もうちょっとの辛抱だからね。 後でたかいたかいしてあげるからね。 その後、つかさが色々と聞いてきたので、私は嘘だとばれないよう慎重な配慮をしつつ、かつ間接的にこなたの泣き顔を誘発するような応答に終始した。 しかし、こなたはずっとしょんぼりしてはいたものの、結局最後まで涙は見せなかった。 むーう。思った以上に手強いわね。 そう思ってこなたの方を向くと、こなたは「いかにも無理してます」みたいな作り笑いを私に向けて。 「……頑張ってね。かがみならきっと大丈夫だよ」 多分つかさがいなかったら、私はこなたに襲い掛かっていたと思う。 この時のこなたの儚げな笑みには、それくらいの破壊力があった。 そんなこんなで、お昼休み。 B組に来た私を見て、こなたは一瞬、安堵した表情を浮かべた。 そんなこなたを見ると胸がずっきゅんとして、また理性が飛びそうになった。 でもまだだ。 ここで計画を頓挫させては画竜点睛を欠くというもの。 私は心を鬼にして、普段どおりの口調で言った。 「皆、悪いんだけど、こっちでお昼食べるのは今日で最後にするわ」 「え」 こなたがチョココロネを落としかけたので、音速度の反応でそれをキャッチしてやる。 「はい。こなた」 「あ、ありがとう……ていうか、かがみ、今の……冗談だよね?」 「ん? 何が」 「いや、その、こっちでは食べるのは最後、って……」 「ああ、本当だけど」 あくまでもさらっと。 そう、例えるならこなたの美しい青髪の如くに、さらっと。 「…………」 お、おおお! こなたが、こなたがふるふると小柄な身体を震わせ始め、その愛くるしい瞳にはうっすらと……涙が! や、やばい。もう死んでもいいかも。 い、いや駄目だ。 堪えるんだ。 しかし……。 「お姉ちゃん、ど、どうして?」 つかさもつかさで、不安そうな顔で尋ねてくる。 胸がちくりと痛んだけど、ここは我慢だ。 「うん……ほら、今朝のあれ」 「あれって……お姉ちゃんに好きな人がいるって話?」 「そ。ちょっと勇気出して、手作りのお弁当でも持って行ってみようかなって。だからさ、その……」 我ながら神的に上手い言い訳だと思う。 「……そうなんですか。それでは仕方ないですね、頑張ってください」 みゆきが温かい笑顔で励ましてくれる。 これはこれで良心の呵責に苛まれるわね……。 と、少しばかりの懺悔心に囚われかけたそのとき。 「……ふっ…うっ……」 その微かな嗚咽を、私は聞き漏らさなかった。 光速度の反応で振り向くと、そこには。 「う……うぅっ……」 こなたが、泣いていた。 大きくてつぶらな瞳から、ぽろぽろと涙がこぼれている。 口は一文字に結んではいるものの、そこから漏れ出す嗚咽を抑えるには至っていない。 いつもはピンと張ったアンテナばりのアホ毛も、いまや完全にしんなりしている。 「ひっく……うっく……」 今まで一度も見たことのない、こなたの泣き顔。 幼い子が、お母さんとはぐれて泣いてしまった時のような、そんな泣き顔。 それはとっても儚げで悲しげで、でもでもとっても可愛くて。 もう……駄目だ。 堪え切れず、私はこなたを抱きしめた。 「……か、かがみ……?」 「ごめんねこなた。今の、全部ウソ」 「ふぇ?」 「ちょっと、からかってみたかったのよ。こなたを」 「しょ、しょんな……ひどいよぉ、かがみぃ……」 涙目で 上目遣いで 見上げてくる こなた。 ……それが、私がその日のお昼休みで最後に覚えている映像だった。 その後のことを聞くと、今でもつかさは口をつぐんでしまう。 「知らない方がいいと思うよ。お姉ちゃん自身のためにも……」 その苦笑いが何を意味するのか、私にはよく分からなかった。 その日を境に、こなた、つかさ、みゆき以外のB組の人達から奇異な視線を向けられるようになったことと、何か関係があるのだろうか。 でもまあ、そんなことは既にどうでもよかった。 何故なら私は、あの日ついた嘘の通り、お昼をB組で食べることはなくなったから。 そう。結果的に、自分の欲望を実現するためだけについたあの嘘が、今では現実のものとなってしまったのだ。 いわゆる嘘から出たまことってやつだ。 そんなわけで、私はあの日以来、手作りのお弁当を持って行くことになっている。 私の大好きな人のところへ。 終 [[11-307氏>http://www13.atwiki.jp/oyatu1/pages/141.html]]によるイラスト化した作品はこちらです。 -[[泣きこなた>http://www13.atwiki.jp/oyatu1?cmd=upload&act=open&pageid=141&file=naki-konata.jpg]] **コメントフォーム #comment(below,size=50,nsize=20,vsize=3) - 好きな人ができたって嘘が現実になったんなら…こなたとくっついたんじゃないのかな?男とは言ってなかった気が… -- 名無しさん (2010-05-10 00:28:34) - ↓B組では気まずくなったので、こなたと屋上とかで二人で食べるようになったのでは? -- 名無しさん (2009-09-07 14:21:27) - これって結局、かがみに男が出来たって事? &br()いや、あの嘘がってことは『男がいる』ってことだから、こなたではないよな? -- 名無しさん (2009-09-07 00:27:13) - こなた&かがみがいちゃいちゃ屋上でご飯食べているところに、「そおぉぉぉおい!!!」とかいいながら全力でヘッドスライディングをしたい。 -- 名無しさん (2009-08-21 19:56:17) - うん、こんなこなただったらかがみんが野獣化するのは仕方ないよね。 -- 名無しさん (2009-02-12 20:16:59) - そんなかがみを泣かせたい僕がいる -- 14 (2009-02-10 17:14:56) - GJ &br()冬コミで誰か描いてくれないかなw -- 名無しさん (2008-10-21 01:53:35) - かがみ変態すぐるww泣いちゃったこなた萌え☆ -- 名無しさん (2008-09-25 23:33:35) - やっぱしかがみはドSで変態だなwwwwwwだがそれがいいwwww -- ハルヒ@ (2008-09-16 22:59:19) - ドS変態かがみとか救いようがありませんw -- 名無しさん (2008-09-07 11:51:17) - へんたいかがみさんがドSになったらこんな感じだろうな &br()いや本家へんたいかがみさんはドMだけど -- 名無しさん (2008-09-07 09:18:21) - 是非その時のB組に居合わせたかった。GJ!! -- 名無しさん (2008-09-04 21:49:41) - それはもちろん性てkry -- 名無しさん (2008-09-03 18:27:48) - GJ!! &br()俺に画力さえあれば、泣いちゃった可愛いこなたんを描くのだが…(滝涙 &br() &br()ところで、かがみが記憶を無くしている間、なにがあったのでせうかね…? -- 名無しさん (2008-09-03 11:03:55) - なんだ!?この破壊力抜群のこなたはww &br()可愛すぎる &br()それにしてもかがみドSだな &br()こなたは深いところでMっぽい気がするw -- 名無しさん (2008-09-02 08:04:03) - たまらんね。これはたまらんねw &br()あと、かがみの内心がおもしろすぎるw -- 名無しさん (2008-09-01 01:12:25) - かがみ、ドSだwそれにしても、泣きこなたの可愛さは異常。「しょ、しょんな……ひどいよぉ、かがみぃ……」と子供のように泣き出してしまうこなたがもう可愛すぎるっっ…! -- 名無しさん (2008-08-31 23:55:07)
こなたを泣かせてみたい。 それは人間なら誰しもが一度は抱く願望ではなかろうか。 え? ない? ああそうですか私だけですか。 ええそうですよ、どうせ私はこなタ(注:かがみの造語で『こなヲタ』の略)ですよ。ハイハイ。 ……なんて自己弁護だか開き直りだかはさておき。 こなたを泣かせてみることにした。 きっかけは、つかさがぼんやりと放った一言だった。 「そういえば、こなちゃんが泣いてるとこって見たことないよね」 確かに言われてみればそうだった。 つかさの泣き顔なら昔から何度も見ているし、みゆきも前に一緒に行った恋愛物の映画を観たときに泣いていた。 でも、こなたの泣き顔だけは未だかつて一度も見たことがない。 それなら、一回くらい見せてもらってもバチは当たらないわよね?……ね? うん。大丈夫。そもそも私神主の子だし。 ちょっとくらい羽目外しても神様も大目に見てくれるはずだわ。 勘違いしてもらいたくないのだが、私にはこなたを苛めたりする趣味はない(多分)。 ただ、上述のつかさの一言を聞いて、こなたが涙目で「かがみぃ……」とか言って上目遣いで見上げてくるのを幻視してしまった以上はなんていうかもう辛抱たまらんのです本当に申し訳ございません。 ……という訳なので、こなたには悪いと思いつつもこなたを泣かせてみることにした。 ごめんね、こなた。 後でアメちゃん買ってあげるから許してね。 「おはよー、かがみ、つかさ」 そんな不埒な計画を頭の中で練っていたら、何も知らない可愛い子猫ちゃんが目の前に現れた。 やっべなんかテラ興奮してきた。超ハグしてぇハァハァ。 なんて内心を微塵も見せることなく、私はいつも通りに挨拶を返す。 「おはよう、こなた」 さて、肝心の計画だが……実はもうほぼまとまっている。 後は機会を見て実行に移すだけ、といった按配だ。 「? どうしたの? かがみ」 流石は私のこなた。瞬時に私の異変を察知したわね。 私は即座にこなたを抱え上げて街中を疾走したい欲求を堪えながら返事をする。 「ん、別になんでもないわよ」 ここでいかにも『本当は何かある』的な雰囲気を醸し出すのがポイントだ。 言うなればこれは疑似餌みたいなもの。 「ふっふーん、さては恋の悩みかな?……かな?」 釣れた! てか食いつきよすぎだろ常考。 いや落ち着け。落ち着け私。 ここで焦っていつものような対応をしてしまっては元の木阿弥。 慎重にいかないとね。 今、こなたが期待している私の返答はおおよそこんなところだろう。 『な、何言ってんのよ! んなわけないでしょっ///』 そうやって照れる私を見てニマニマするのがこなたの目的。 でも、私の目的はこなたをニマニマさせることではないので、今回ばかりはこなたの期待を裏切らせてもらう。 「うん……実はそうなのよね」 なるたけ真顔で、でも少しはにかんだ表情で。 いかにもセンチで乙女な雰囲気を出してみる。 すると、どうだろう。 こなたが……あのこなたが! 「え………」 目を丸くして、不安と驚きと寂寥を溜め込んだ表情を作ったではないか! ああアカン、これだけでご飯三杯はいけるわ。 でも、私の目的はまだ達成されていない。 ごめんねこなた、もうちょっとだけ、私のワガママを許してね。 後でいいこいいこしてあげるからね。 「そ、そうなんだ……」 ああ、こなたは見るからに落ち込んだ様子で、心なしかアホ毛までしおれている。 ぞくぞくとした快感が背中を駆け巡った。 やばい、たまんないわこの背徳感。てゆーかこのこなたの寂しげな表情。 もうなんていうかくぁw瀬drftgyhこなたlp;@ 「お姉ちゃん好きな人いたんだ~。知らなかった~」 危うく幻想郷にタイムリープしかけた私を、つかさがのん気な声で引き戻してくれた。 グッジョブつかさ。流石は私の半身だわ。 とりあえず内心を気取られないように、努めて平静に返事をする。 「ああ、うん。まあ、ね……」 いかにも含みを持たせた感じで。 すぐさま、ちらっと横目でこなたの反応を伺う。 「…………」 さっきよりも一段と暗い表情になり、目は伏目がちになり、いつもの猫口も消えている。 アホ毛と鼻先がくっつきそうだ。 ごめんねこなた、もうちょっとの辛抱だからね。 後でたかいたかいしてあげるからね。 その後、つかさが色々と聞いてきたので、私は嘘だとばれないよう慎重な配慮をしつつ、かつ間接的にこなたの泣き顔を誘発するような応答に終始した。 しかし、こなたはずっとしょんぼりしてはいたものの、結局最後まで涙は見せなかった。 むーう。思った以上に手強いわね。 そう思ってこなたの方を向くと、こなたは「いかにも無理してます」みたいな作り笑いを私に向けて。 「……頑張ってね。かがみならきっと大丈夫だよ」 多分つかさがいなかったら、私はこなたに襲い掛かっていたと思う。 この時のこなたの儚げな笑みには、それくらいの破壊力があった。 そんなこんなで、お昼休み。 B組に来た私を見て、こなたは一瞬、安堵した表情を浮かべた。 そんなこなたを見ると胸がずっきゅんとして、また理性が飛びそうになった。 でもまだだ。 ここで計画を頓挫させては画竜点睛を欠くというもの。 私は心を鬼にして、普段どおりの口調で言った。 「皆、悪いんだけど、こっちでお昼食べるのは今日で最後にするわ」 「え」 こなたがチョココロネを落としかけたので、音速度の反応でそれをキャッチしてやる。 「はい。こなた」 「あ、ありがとう……ていうか、かがみ、今の……冗談だよね?」 「ん? 何が」 「いや、その、こっちでは食べるのは最後、って……」 「ああ、本当だけど」 あくまでもさらっと。 そう、例えるならこなたの美しい青髪の如くに、さらっと。 「…………」 お、おおお! こなたが、こなたがふるふると小柄な身体を震わせ始め、その愛くるしい瞳にはうっすらと……涙が! や、やばい。もう死んでもいいかも。 い、いや駄目だ。 堪えるんだ。 しかし……。 「お姉ちゃん、ど、どうして?」 つかさもつかさで、不安そうな顔で尋ねてくる。 胸がちくりと痛んだけど、ここは我慢だ。 「うん……ほら、今朝のあれ」 「あれって……お姉ちゃんに好きな人がいるって話?」 「そ。ちょっと勇気出して、手作りのお弁当でも持って行ってみようかなって。だからさ、その……」 我ながら神的に上手い言い訳だと思う。 「……そうなんですか。それでは仕方ないですね、頑張ってください」 みゆきが温かい笑顔で励ましてくれる。 これはこれで良心の呵責に苛まれるわね……。 と、少しばかりの懺悔心に囚われかけたそのとき。 「……ふっ…うっ……」 その微かな嗚咽を、私は聞き漏らさなかった。 光速度の反応で振り向くと、そこには。 「う……うぅっ……」 こなたが、泣いていた。 大きくてつぶらな瞳から、ぽろぽろと涙がこぼれている。 口は一文字に結んではいるものの、そこから漏れ出す嗚咽を抑えるには至っていない。 いつもはピンと張ったアンテナばりのアホ毛も、いまや完全にしんなりしている。 「ひっく……うっく……」 今まで一度も見たことのない、こなたの泣き顔。 幼い子が、お母さんとはぐれて泣いてしまった時のような、そんな泣き顔。 それはとっても儚げで悲しげで、でもでもとっても可愛くて。 もう……駄目だ。 堪え切れず、私はこなたを抱きしめた。 「……か、かがみ……?」 「ごめんねこなた。今の、全部ウソ」 「ふぇ?」 「ちょっと、からかってみたかったのよ。こなたを」 「しょ、しょんな……ひどいよぉ、かがみぃ……」 涙目で 上目遣いで 見上げてくる こなた。 ……それが、私がその日のお昼休みで最後に覚えている映像だった。 その後のことを聞くと、今でもつかさは口をつぐんでしまう。 「知らない方がいいと思うよ。お姉ちゃん自身のためにも……」 その苦笑いが何を意味するのか、私にはよく分からなかった。 その日を境に、こなた、つかさ、みゆき以外のB組の人達から奇異な視線を向けられるようになったことと、何か関係があるのだろうか。 でもまあ、そんなことは既にどうでもよかった。 何故なら私は、あの日ついた嘘の通り、お昼をB組で食べることはなくなったから。 そう。結果的に、自分の欲望を実現するためだけについたあの嘘が、今では現実のものとなってしまったのだ。 いわゆる嘘から出たまことってやつだ。 そんなわけで、私はあの日以来、手作りのお弁当を持って行くことになっている。 私の大好きな人のところへ。 終 [[11-307氏>http://www13.atwiki.jp/oyatu1/pages/141.html]]によるイラスト化した作品はこちらです。 -[[泣きこなた>http://www13.atwiki.jp/oyatu1?cmd=upload&act=open&pageid=141&file=naki-konata.jpg]] **コメントフォーム #comment(below,size=50,nsize=20,vsize=3) - GJ!!(≧∀≦)b -- 名無しさん (2023-05-15 17:59:54) - 好きな人ができたって嘘が現実になったんなら…こなたとくっついたんじゃないのかな?男とは言ってなかった気が… -- 名無しさん (2010-05-10 00:28:34) - ↓B組では気まずくなったので、こなたと屋上とかで二人で食べるようになったのでは? -- 名無しさん (2009-09-07 14:21:27) - これって結局、かがみに男が出来たって事? &br()いや、あの嘘がってことは『男がいる』ってことだから、こなたではないよな? -- 名無しさん (2009-09-07 00:27:13) - こなた&かがみがいちゃいちゃ屋上でご飯食べているところに、「そおぉぉぉおい!!!」とかいいながら全力でヘッドスライディングをしたい。 -- 名無しさん (2009-08-21 19:56:17) - うん、こんなこなただったらかがみんが野獣化するのは仕方ないよね。 -- 名無しさん (2009-02-12 20:16:59) - そんなかがみを泣かせたい僕がいる -- 14 (2009-02-10 17:14:56) - GJ &br()冬コミで誰か描いてくれないかなw -- 名無しさん (2008-10-21 01:53:35) - かがみ変態すぐるww泣いちゃったこなた萌え☆ -- 名無しさん (2008-09-25 23:33:35) - やっぱしかがみはドSで変態だなwwwwwwだがそれがいいwwww -- ハルヒ@ (2008-09-16 22:59:19) - ドS変態かがみとか救いようがありませんw -- 名無しさん (2008-09-07 11:51:17) - へんたいかがみさんがドSになったらこんな感じだろうな &br()いや本家へんたいかがみさんはドMだけど -- 名無しさん (2008-09-07 09:18:21) - 是非その時のB組に居合わせたかった。GJ!! -- 名無しさん (2008-09-04 21:49:41) - それはもちろん性てkry -- 名無しさん (2008-09-03 18:27:48) - GJ!! &br()俺に画力さえあれば、泣いちゃった可愛いこなたんを描くのだが…(滝涙 &br() &br()ところで、かがみが記憶を無くしている間、なにがあったのでせうかね…? -- 名無しさん (2008-09-03 11:03:55) - なんだ!?この破壊力抜群のこなたはww &br()可愛すぎる &br()それにしてもかがみドSだな &br()こなたは深いところでMっぽい気がするw -- 名無しさん (2008-09-02 08:04:03) - たまらんね。これはたまらんねw &br()あと、かがみの内心がおもしろすぎるw -- 名無しさん (2008-09-01 01:12:25) - かがみ、ドSだwそれにしても、泣きこなたの可愛さは異常。「しょ、しょんな……ひどいよぉ、かがみぃ……」と子供のように泣き出してしまうこなたがもう可愛すぎるっっ…! -- 名無しさん (2008-08-31 23:55:07)

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