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無題(6-824氏)」(2022/12/23 (金) 20:26:13) の最新版変更点

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「ちわーす♪」  声とほぼ同時にドアが開いて、小さな体が飛び込んでくる。  ブルーのロングヘアに、実用一点張りの子供っぽい服――こなただ。 「体調どう?」 「別に、あんまり変わんないわね」 「じゃあ体重は?赤ちゃんじゃなくてかがみの」 「ああ、そっちも順調に増え……って、をい」  捕まえて頭をぐりぐりしてやろうと伸ばした手をかいくぐって、ニヤニヤこっちを見つめるこなた。  こっちがロクに動けないのをいいことに、毎回やりたい放題だ。  まぁ、退屈で殺風景な病室では、そんなこなたの悪ふざけも貴重な癒しなんだけど。 「おや?今の初デート中の中学生みたいな視線……どうしたのかなかがみんや?」 「別に気のせい、何でもないわよ」  ……こなたにバレたら一生後悔しそうだから、絶対言えないけどね。 「けどさこなた、あんたも別に無理して通わなくてもいいのよ?」  とりあえず、絡まれる前に話題転換。 「こなただって仕事あるんだし、最近新しいネトゲも出たんでしょ?私の方は、ご飯とかの心配は  いらないし、みゆきやつかさだって……」 「かがみ、それ以上言ったら怒るよ」  普段からは想像できない、強い口調。  それを聞いて今更のように、心にもないこと言い過ぎたかなと反省する。  そうだよね、もし逆の立場で、こなたにそんなこと言われたら、私だって怒ってるもんね。  でも、こいつは。 「本当は四六時中『好き』って言って欲しいのに、思わず強がっちゃう寂しがり屋のかがみ萌え」 「そっ、そんなこと……別に、……」  時々酷過ぎる失言をしても、こんな身勝手な私をからかってくれる。 「ね、覚えてる?どっちが『産む』か話した時に、『こなたは取材とか趣味とか色々あるでしょ?  だから、今回は私に産ませて』って言ってくれたよね」  吐息がくすぐったい位の距離まで、可愛い顔を寄せて。 「でも、そんなの言い訳だよね。本当は、大好きな私との子供を産みたいから、私が無理をして、  お母さんみたいになっちゃうのが嫌だったから……そうだよね」 「え、なんで……」 「あれからすぐつかさに聞いたけど……本当は、あの時から知ってたよ。かがみは昔から、  嘘つくのが下手だから……どんなに隠しても、すぐ分かっちゃうんだよ」  何も言えずに固まる私を、さわさわと撫でてくれるこなた。  恥ずかしいのに、隠してた自分を今更後悔してるのに、思わず優しい感触に甘えてしまう。  かなわないな、こなたには。  子供を宿してる私以上に、だだっ子をなだめるのがうまいみたい。 「だから、こういう時くらい、もっと私のこと頼ってよ。私だって、そんな優しいかがみを支えたいし、  少しでも一緒にいたい。勘違いしてるみたいだけど、私はアニメとかゲームより、かがみが  一番好きなんだから……。  あ、でも、一緒にアニメ見たり音楽聞いたりするくらいはいいよね?」 「勝手にどうぞ。そこにプレーヤーあるから」 「おぉ~、さんきゅーっ! これであと10年は戦えるヨ♪」  アニメを承認した途端に瞳を輝かせるこなたに、小さくため息。  ほんと、あんたも素直じゃないんだから。恥ずかしさとしんみり感に、思わず茶化しちゃって。  でも、そういうどうしようもない所も、愛してるんだけどね……。  早速流れ始めたBGMに合わせて『だんごっ、大家族ぅ~♪』とか口ずさむこなたに、  (本人にはバレないように)くすっと笑みを零す。 「……って、やば!某としたことがっ」  それまでののんびりした仕草から一転、こなたは突然立ち上がってあたふたし始めた。  もしかして忘れ物?放置してた仕事を思い出したとか? 「どうしたの?まさか本当は締め切りとかあったの?」 「いや、ゆーちゃんがお見舞いに来たいって言ってたのすっかり忘れてて……本当は荷物置いて  すぐ戻る予定だったんだけど、いやーお姉さんうっかりだー」 「おいおい……」  ド忘れてた割には案外平然とした顔で、けらけらと笑う。  ああ、やっぱりこいつは昔も今も……というかその前に人の決め台詞パクるな。 「とゆーわけだから、ゆい姐さん直伝走行でちょっくら行ってくるね♪」 「普通に行きなさいよ。事故に遭ったら嫌だから」 「ぐふっ、さすがかがみん、何度食らってもそのデレは反則……」 「変なこと言ってないで、さっさと行ってきなさいっ!」  プレーヤーから聞こえるこなたらしい歌と、元気に手を振りながら駆け足……もとい早歩きで  一時撤退いくこなたの声を聞きながら。 「貴方も、こなたみたいないい子に育ってね……ヲタクな所は似ちゃだめだけど」  私はお腹の中で足踏みしている命を、そっと手でさすった。  ……ちなみに。 「って、きしめんってなんじゃこりゃあああああっ!!!」 「かがみさん、大声を出すと他の患者さんがびっくりしてしまいますよ。確かに妊娠中に大声を  出したり好きな歌を歌ったりしても赤ちゃんに影響が出たりはしないそうですが以前米国の(ry  こなたメドレーの余りのオワタっぷりに思わず絶叫したかがみが、回ってきた桃色長髪眼鏡の  ないすばでいな女医さんに見つかり、  その後保健体育や病院でのマナーについて小一時間語り倒されたのは、また別の話。 **コメントフォーム #comment(below,size=50,nsize=20,vsize=3)
「ちわーす♪」  声とほぼ同時にドアが開いて、小さな体が飛び込んでくる。  ブルーのロングヘアに、実用一点張りの子供っぽい服――こなただ。 「体調どう?」 「別に、あんまり変わんないわね」 「じゃあ体重は?赤ちゃんじゃなくてかがみの」 「ああ、そっちも順調に増え……って、をい」  捕まえて頭をぐりぐりしてやろうと伸ばした手をかいくぐって、ニヤニヤこっちを見つめるこなた。  こっちがロクに動けないのをいいことに、毎回やりたい放題だ。  まぁ、退屈で殺風景な病室では、そんなこなたの悪ふざけも貴重な癒しなんだけど。 「おや?今の初デート中の中学生みたいな視線……どうしたのかなかがみんや?」 「別に気のせい、何でもないわよ」  ……こなたにバレたら一生後悔しそうだから、絶対言えないけどね。 「けどさこなた、あんたも別に無理して通わなくてもいいのよ?」  とりあえず、絡まれる前に話題転換。 「こなただって仕事あるんだし、最近新しいネトゲも出たんでしょ?私の方は、ご飯とかの心配は  いらないし、みゆきやつかさだって……」 「かがみ、それ以上言ったら怒るよ」  普段からは想像できない、強い口調。  それを聞いて今更のように、心にもないこと言い過ぎたかなと反省する。  そうだよね、もし逆の立場で、こなたにそんなこと言われたら、私だって怒ってるもんね。  でも、こいつは。 「本当は四六時中『好き』って言って欲しいのに、思わず強がっちゃう寂しがり屋のかがみ萌え」 「そっ、そんなこと……別に、……」  時々酷過ぎる失言をしても、こんな身勝手な私をからかってくれる。 「ね、覚えてる?どっちが『産む』か話した時に、『こなたは取材とか趣味とか色々あるでしょ?  だから、今回は私に産ませて』って言ってくれたよね」  吐息がくすぐったい位の距離まで、可愛い顔を寄せて。 「でも、そんなの言い訳だよね。本当は、大好きな私との子供を産みたいから、私が無理をして、  お母さんみたいになっちゃうのが嫌だったから……そうだよね」 「え、なんで……」 「あれからすぐつかさに聞いたけど……本当は、あの時から知ってたよ。かがみは昔から、  嘘つくのが下手だから……どんなに隠しても、すぐ分かっちゃうんだよ」  何も言えずに固まる私を、さわさわと撫でてくれるこなた。  恥ずかしいのに、隠してた自分を今更後悔してるのに、思わず優しい感触に甘えてしまう。  かなわないな、こなたには。  子供を宿してる私以上に、だだっ子をなだめるのがうまいみたい。 「だから、こういう時くらい、もっと私のこと頼ってよ。私だって、そんな優しいかがみを支えたいし、  少しでも一緒にいたい。勘違いしてるみたいだけど、私はアニメとかゲームより、かがみが  一番好きなんだから……。  あ、でも、一緒にアニメ見たり音楽聞いたりするくらいはいいよね?」 「勝手にどうぞ。そこにプレーヤーあるから」 「おぉ~、さんきゅーっ! これであと10年は戦えるヨ♪」  アニメを承認した途端に瞳を輝かせるこなたに、小さくため息。  ほんと、あんたも素直じゃないんだから。恥ずかしさとしんみり感に、思わず茶化しちゃって。  でも、そういうどうしようもない所も、愛してるんだけどね……。  早速流れ始めたBGMに合わせて『だんごっ、大家族ぅ~♪』とか口ずさむこなたに、  (本人にはバレないように)くすっと笑みを零す。 「……って、やば!某としたことがっ」  それまでののんびりした仕草から一転、こなたは突然立ち上がってあたふたし始めた。  もしかして忘れ物?放置してた仕事を思い出したとか? 「どうしたの?まさか本当は締め切りとかあったの?」 「いや、ゆーちゃんがお見舞いに来たいって言ってたのすっかり忘れてて……本当は荷物置いて  すぐ戻る予定だったんだけど、いやーお姉さんうっかりだー」 「おいおい……」  ド忘れてた割には案外平然とした顔で、けらけらと笑う。  ああ、やっぱりこいつは昔も今も……というかその前に人の決め台詞パクるな。 「とゆーわけだから、ゆい姐さん直伝走行でちょっくら行ってくるね♪」 「普通に行きなさいよ。事故に遭ったら嫌だから」 「ぐふっ、さすがかがみん、何度食らってもそのデレは反則……」 「変なこと言ってないで、さっさと行ってきなさいっ!」  プレーヤーから聞こえるこなたらしい歌と、元気に手を振りながら駆け足……もとい早歩きで  一時撤退いくこなたの声を聞きながら。 「貴方も、こなたみたいないい子に育ってね……ヲタクな所は似ちゃだめだけど」  私はお腹の中で足踏みしている命を、そっと手でさすった。  ……ちなみに。 「って、きしめんってなんじゃこりゃあああああっ!!!」 「かがみさん、大声を出すと他の患者さんがびっくりしてしまいますよ。確かに妊娠中に大声を  出したり好きな歌を歌ったりしても赤ちゃんに影響が出たりはしないそうですが以前米国の(ry  こなたメドレーの余りのオワタっぷりに思わず絶叫したかがみが、回ってきた桃色長髪眼鏡の  ないすばでいな女医さんに見つかり、  その後保健体育や病院でのマナーについて小一時間語り倒されたのは、また別の話。 **コメントフォーム #comment(below,size=50,nsize=20,vsize=3) - GJ! -- 名無しさん (2022-12-23 20:26:13)

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