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こなたからの手紙を読むと。 私はつい、泣いてしまった。 無論、嬉し涙だったんだけれど。 私は、ますますあいつを好きになってゆく。 ―――――――――――――――――― white chocolate (3) ―――――――――――――――――― 雪が降り出した。 朝からそんな気はしていたよ。 でも、まさかこのタイミングで降り出すなんて。 これは私への罰なのかな。 2人を傷つけてしまった、私への罰。 雪は強くはなかったけれど、寒さは充分すぎた。 今、何時なんだろう。 辺りは真っ暗で。 時間の確認はしたくなくて。 ただ、待っていた。 なんで時計を見ないのかな。 大切なのは、時間じゃないからかな。 寒い。 風は吹いていないけれど。 今の全てが吹雪のようで。 私は公園の、屋根付きのベンチ――昼間は日陰になって、テーブルもある――に座っていた。 辺りは人っ子一人いない。 当たり前か、雪だもんね。 街頭が灯っている。 真っ白な光。 でも、お世辞にも明るいとはいえない。 私は公園の広場を歩いてみた。 うまれたばかりで舞い降りた真っ白な欠片が、音もなく消えていって。 消えたら、またその上に舞い降りる結晶。 ひたすら、その繰り返し。 でも…段々と。 そこには欠片が積もりゆく。 段々と、辺りは白くなってゆく。 空からこぼれた氷の粒は、そうやって積もってゆくんだね。 私の想いも似たようなものだった。 いつからだったか、好きだった。 最初はすぐに消えてしまってわからなかったのだけれど。 だんだん、積もっていったんだ。 気付いたら、信じられないくらい深くなっていて。 少しずつ、ゆっくりと。 ◇ 走っていたら、雪が降り出した。 風が冷たくて、でもそんなのは関係なくて。 もうすぐ公園に着く。 かがみなら、きっと待っているよね。 公園に着くと、公園の中央の広場に。 かがみが、いた。 あてもなく、なんとなく歩いていた。 雪の中に、寒そうにしながら。 私は何も疑わず、かがみに急いで走り寄って。 後ろから、抱きしめた。 ◇ いきなりだった。 後ろから突然抱き締められた。 すぐにわかった。 こんなにも小さな体。 こなた…来てくれたんだね。 「…遅くなって、ごめん……」 私の背中に顔をうずめて、そう言った。 「…来てくれて…ありが、とう…」 嬉しくて、涙が溢れた。 「…もう、浮気しちゃだめだよ…」 …まだ、誤解はとけてなかった。 でも、不安にさせたことには変わらない。 「…不安にさせて、ごめんね…」 こなたの抱きしめる力が強くなった。 ギュッと。強すぎず、弱すぎず。 ◇ 「でもね、あれは誤解だよ?」 かがみはそう、語りだした。 今は公園の屋根付きベンチで、2人で一緒に座ってる。 こんなにも冷たくさせてしまった。 今度は、暖めてあげるからね。 「実はね…朝、げた箱に手紙が入ってたんだ」 「…聞いてないよ」 そういえば今朝、何か隠していたような…。隠していたのは、その手紙だったんだ。 「本当にごめん。言うべきだったね…」 「これからは隠し事は無し、ね」 「うん。本当、ごめん」 「いいよ…で、それで?」 私はその続きを聞きたかった。 「中にはね、放課後屋上に来て下さい、渡したいものがありますって書いてあったんだ。それでね、行ったら…相手は日下部だったんだ」 …そうか、そういうことだったんだね。 「でも…かがみはみさきちからチョコレートを受け取ってたよね…」 「それなんだけど…誤解なんだよ。あれはつい、取っちゃって」 「説明になってないよ?かがみん」 「あぁ、そうじゃなくって…ええと、なんてゆうか、あいつが落としそうになったから…」 私は思わず、笑ってしまった。 「…なんで笑うのよ?」 「だって、必死に説明するかがみが可愛いから…」 かがみは少し怒った様子で、でも喜びが押さえられない様子になって、言った。 「まったく…人が一生懸命説明してるのに酷いじゃない」 「ごめんごめん…」 「でも…また、こんな風に話せて嬉しいよ…こなた…」 …私だって嬉しいよ。 だってだって…大好きなんだもん。 かがみのことが、ね。 ◇ 「私も、謝らなくちゃ」 こなたが言った。 …こなたが謝ることなんてないと思うけれど。 「かがみのこと、全然信じてあげられなかった。みさきちと何かあるって直ぐに信じこんじゃって。…ごめんね」 「そんな…こなたは悪くないわよ。私が悪いんだから」 「えー、私の方が悪いよ~。かがみは悪くないよ」 「こなたは悪くないってば」 「かがみは悪くないって」 「こなたは悪くない…って、私たちってもしかして…」 「バカップル?」 こなたは嬉しそうに言った。 バカップルか。それも、悪くないよね。 「…バカップルじゃないカップルなんて、恋人じゃないよ」 と、こなたは言った。 私は聞かなきゃならないことがあった。 「ねぇ、こなた…今、幸せ?」 「え、いきなり何言ってんの…?」 なんか照れくさそうなこなた。可愛らしい仕草。 「…しあわせ、だょ…?」 こなたは言ってくれた。 幸せ、だと。 …日下部、約束守ったよ。 日下部の想いには、私は答えることはできない。 日下部、ありがとう。 私は心で、そう思った。 「かがみは幸せ?」 今度はこなたが聞いてきた。 私は言う。そんなの… 「当たり前よ…♪」 ◇ 「今更だけどさ…私が投げちゃったアレ…どこにある?」 かがみは自分の鞄から、私の想いの欠片を出した。大切に、大切に扱ってくれた。 「それさ、少しだけ返して…?今からもう一回、渡しなおしたいんだ。駄目かな?」 「いいに決まってるわよ。はい」 やっぱり優しいかがみ。 じゃ、もう一度渡すよ。 「あ、待って。私もあるから…交換しよう」 かがみは鞄から、今度は自分の包みを取り出した。 「じゃあ、はい。交換こ♪」 「交換こ…」 お互いに受け取った。 「開けていい?」 贈り物は直ぐにでも開けたくなる質。 「じゃあ、私も開けていい?」 「勿論♪」 2人で、それぞれ、開けた。 「わぁ…」 お互いに、同じように声をもらした。 そこにあったのは、真っ白なチョコレートだった。 真っ白な、ホワイトチョコレートだった。 実は私があげたのも、ホワイトチョコレートだったんだ。 「同じチョコレートだったね、かがみ…」 「そうね…。なんだか、嬉しいわね」 「私も…」 目と目が合った。 どちらともなく、目を閉じて。 どちらともなく、唇を近付けた。 それは、真っ白な、キス。 純白な、キス。 ◇ 帰り際は手を繋いで帰った。 こなたを送った後、自分の家に着いた。 上の姉たちにはなんか羨望の眼差しが注がれた。 部屋に入る。 なんだか、久し振りな気がした。 今朝だってここにいたのに、おかしいね。 私はこなたに貰ったチョコレートを食べた。 甘くて、心が幸せに染まってゆく気がした。 全部食べちゃわないで、少しずつ食べよう。 入っていた箱を見ると、紙が入っていたことに気づく。 チョコレートの下にあったのは、手紙だった。 勿論それは…こなたからの、手紙。 中には、こう、書いてあった。 *** かがみへ この手紙、見つけてくれた? かがみのことだから、チョコレートだけ食べて後は捨てちゃうなんてことありそうだネ。 今でも思い出すよ。 告白した、あの日。 忘れもしない、あの日。 時が止まった、あの瞬間。 ずっとずっと、好きだった。 私の気持ちは、あの時から変わっていないよ。 変わるはずがないんだ。 多分、これから先も、ずっと。 かがみの恋人、こなたより *** ◇ 家に着くと、私の家族が待っていた。 お父さんはなんか感動してて、ゆーちゃんはとても嬉しそうで。 部屋に入った。 入って、かがみからのチョコレートを食べようとしたら… 「こなたお姉ちゃん、入っていい?」 ゆーちゃんがやって来た。 「ゆーちゃんもちゃんと貰った?チョコレート」 「…うん。お姉ちゃんは?」 「貰ったよ~。ほら、見て」 私はかがみからのチョコレートを見せた。 「おいしそうだね~。同じ、ホワイトチョコレートだったんだね」 「凄い偶然だよね。あ、ゆーちゃんも貰ったチョコレート見せてよ」 「ええ~。は、恥ずかしくて見せられないよ…」 なんと。そんな恥ずかしいものを頂いたの? 「実は…あのね…は、はぁとの形で…」 顔を紅くしながら、ゆーちゃんは言ってくれた。 「私たちに負けないくらいバカップルだねぇ、ゆーちゃんたち」 「うぅ~……あ、そうだ、手紙は…?お姉ちゃん、手紙書くって言ってなかった?」 見事に話題を変えたゆーちゃん。 多少強引だったけれども。 「書いたよ。ゆーちゃんも書いたんでしょ?」 「…うん」 実は私、手紙を書いたんだ。 普段から思っていること、全部。 かがみに、伝えるために。 最初はゆーちゃんが考えたのだけれど、私も真似して書いたんだ。 想いを伝えるのは、喋った言葉だけじゃない。 ◇ こなたからの手紙を読むと。 私はつい、泣いてしまった。 無論、嬉し涙だったんだけれど。 私は、ますますあいつを好きになってゆく。 窓越しに外を眺めた。 雪はまだまだ、降り止まない。 これからも、ずっと降り続けそうだった。 これから段々と暖かくなってゆく日々が来る。 春の日々は暖かいけれど、それはきっと今が寒いから何だね。 冬が寒いから、春は暖かいんだね。 当たり前のことなのに、ひどく新しい発見をしたような気がした。 2月14日。 一年にたった一度の、今日。 恋人の始まりか、恋人の確認か。 いずれにしても、それは、乙女による乙女の為の乙女の日。 fin. **コメントフォーム #comment(below,size=50,nsize=20,vsize=3) - 二人ともよかったでずね。 -- 名無しさん (2010-01-07 02:24:36) - みさおのはチョコレート、俺がもらってあげたい。 -- 名無しさん (2009-12-26 10:25:11) - すごく…良かったです。 &br()心が暖かくなりました。 -- 名無しさん (2009-02-27 21:35:45) **投票ボタン(web拍手の感覚でご利用ください) #vote3(8)
こなたからの手紙を読むと。 私はつい、泣いてしまった。 無論、嬉し涙だったんだけれど。 私は、ますますあいつを好きになってゆく。 ―――――――――――――――――― white chocolate (3) ―――――――――――――――――― 雪が降り出した。 朝からそんな気はしていたよ。 でも、まさかこのタイミングで降り出すなんて。 これは私への罰なのかな。 2人を傷つけてしまった、私への罰。 雪は強くはなかったけれど、寒さは充分すぎた。 今、何時なんだろう。 辺りは真っ暗で。 時間の確認はしたくなくて。 ただ、待っていた。 なんで時計を見ないのかな。 大切なのは、時間じゃないからかな。 寒い。 風は吹いていないけれど。 今の全てが吹雪のようで。 私は公園の、屋根付きのベンチ――昼間は日陰になって、テーブルもある――に座っていた。 辺りは人っ子一人いない。 当たり前か、雪だもんね。 街頭が灯っている。 真っ白な光。 でも、お世辞にも明るいとはいえない。 私は公園の広場を歩いてみた。 うまれたばかりで舞い降りた真っ白な欠片が、音もなく消えていって。 消えたら、またその上に舞い降りる結晶。 ひたすら、その繰り返し。 でも…段々と。 そこには欠片が積もりゆく。 段々と、辺りは白くなってゆく。 空からこぼれた氷の粒は、そうやって積もってゆくんだね。 私の想いも似たようなものだった。 いつからだったか、好きだった。 最初はすぐに消えてしまってわからなかったのだけれど。 だんだん、積もっていったんだ。 気付いたら、信じられないくらい深くなっていて。 少しずつ、ゆっくりと。 ◇ 走っていたら、雪が降り出した。 風が冷たくて、でもそんなのは関係なくて。 もうすぐ公園に着く。 かがみなら、きっと待っているよね。 公園に着くと、公園の中央の広場に。 かがみが、いた。 あてもなく、なんとなく歩いていた。 雪の中に、寒そうにしながら。 私は何も疑わず、かがみに急いで走り寄って。 後ろから、抱きしめた。 ◇ いきなりだった。 後ろから突然抱き締められた。 すぐにわかった。 こんなにも小さな体。 こなた…来てくれたんだね。 「…遅くなって、ごめん……」 私の背中に顔をうずめて、そう言った。 「…来てくれて…ありが、とう…」 嬉しくて、涙が溢れた。 「…もう、浮気しちゃだめだよ…」 …まだ、誤解はとけてなかった。 でも、不安にさせたことには変わらない。 「…不安にさせて、ごめんね…」 こなたの抱きしめる力が強くなった。 ギュッと。強すぎず、弱すぎず。 ◇ 「でもね、あれは誤解だよ?」 かがみはそう、語りだした。 今は公園の屋根付きベンチで、2人で一緒に座ってる。 こんなにも冷たくさせてしまった。 今度は、暖めてあげるからね。 「実はね…朝、げた箱に手紙が入ってたんだ」 「…聞いてないよ」 そういえば今朝、何か隠していたような…。隠していたのは、その手紙だったんだ。 「本当にごめん。言うべきだったね…」 「これからは隠し事は無し、ね」 「うん。本当、ごめん」 「いいよ…で、それで?」 私はその続きを聞きたかった。 「中にはね、放課後屋上に来て下さい、渡したいものがありますって書いてあったんだ。それでね、行ったら…相手は日下部だったんだ」 …そうか、そういうことだったんだね。 「でも…かがみはみさきちからチョコレートを受け取ってたよね…」 「それなんだけど…誤解なんだよ。あれはつい、取っちゃって」 「説明になってないよ?かがみん」 「あぁ、そうじゃなくって…ええと、なんてゆうか、あいつが落としそうになったから…」 私は思わず、笑ってしまった。 「…なんで笑うのよ?」 「だって、必死に説明するかがみが可愛いから…」 かがみは少し怒った様子で、でも喜びが押さえられない様子になって、言った。 「まったく…人が一生懸命説明してるのに酷いじゃない」 「ごめんごめん…」 「でも…また、こんな風に話せて嬉しいよ…こなた…」 …私だって嬉しいよ。 だってだって…大好きなんだもん。 かがみのことが、ね。 ◇ 「私も、謝らなくちゃ」 こなたが言った。 …こなたが謝ることなんてないと思うけれど。 「かがみのこと、全然信じてあげられなかった。みさきちと何かあるって直ぐに信じこんじゃって。…ごめんね」 「そんな…こなたは悪くないわよ。私が悪いんだから」 「えー、私の方が悪いよ~。かがみは悪くないよ」 「こなたは悪くないってば」 「かがみは悪くないって」 「こなたは悪くない…って、私たちってもしかして…」 「バカップル?」 こなたは嬉しそうに言った。 バカップルか。それも、悪くないよね。 「…バカップルじゃないカップルなんて、恋人じゃないよ」 と、こなたは言った。 私は聞かなきゃならないことがあった。 「ねぇ、こなた…今、幸せ?」 「え、いきなり何言ってんの…?」 なんか照れくさそうなこなた。可愛らしい仕草。 「…しあわせ、だょ…?」 こなたは言ってくれた。 幸せ、だと。 …日下部、約束守ったよ。 日下部の想いには、私は答えることはできない。 日下部、ありがとう。 私は心で、そう思った。 「かがみは幸せ?」 今度はこなたが聞いてきた。 私は言う。そんなの… 「当たり前よ…♪」 ◇ 「今更だけどさ…私が投げちゃったアレ…どこにある?」 かがみは自分の鞄から、私の想いの欠片を出した。大切に、大切に扱ってくれた。 「それさ、少しだけ返して…?今からもう一回、渡しなおしたいんだ。駄目かな?」 「いいに決まってるわよ。はい」 やっぱり優しいかがみ。 じゃ、もう一度渡すよ。 「あ、待って。私もあるから…交換しよう」 かがみは鞄から、今度は自分の包みを取り出した。 「じゃあ、はい。交換こ♪」 「交換こ…」 お互いに受け取った。 「開けていい?」 贈り物は直ぐにでも開けたくなる質。 「じゃあ、私も開けていい?」 「勿論♪」 2人で、それぞれ、開けた。 「わぁ…」 お互いに、同じように声をもらした。 そこにあったのは、真っ白なチョコレートだった。 真っ白な、ホワイトチョコレートだった。 実は私があげたのも、ホワイトチョコレートだったんだ。 「同じチョコレートだったね、かがみ…」 「そうね…。なんだか、嬉しいわね」 「私も…」 目と目が合った。 どちらともなく、目を閉じて。 どちらともなく、唇を近付けた。 それは、真っ白な、キス。 純白な、キス。 ◇ 帰り際は手を繋いで帰った。 こなたを送った後、自分の家に着いた。 上の姉たちにはなんか羨望の眼差しが注がれた。 部屋に入る。 なんだか、久し振りな気がした。 今朝だってここにいたのに、おかしいね。 私はこなたに貰ったチョコレートを食べた。 甘くて、心が幸せに染まってゆく気がした。 全部食べちゃわないで、少しずつ食べよう。 入っていた箱を見ると、紙が入っていたことに気づく。 チョコレートの下にあったのは、手紙だった。 勿論それは…こなたからの、手紙。 中には、こう、書いてあった。 *** かがみへ この手紙、見つけてくれた? かがみのことだから、チョコレートだけ食べて後は捨てちゃうなんてことありそうだネ。 今でも思い出すよ。 告白した、あの日。 忘れもしない、あの日。 時が止まった、あの瞬間。 ずっとずっと、好きだった。 私の気持ちは、あの時から変わっていないよ。 変わるはずがないんだ。 多分、これから先も、ずっと。 かがみの恋人、こなたより *** ◇ 家に着くと、私の家族が待っていた。 お父さんはなんか感動してて、ゆーちゃんはとても嬉しそうで。 部屋に入った。 入って、かがみからのチョコレートを食べようとしたら… 「こなたお姉ちゃん、入っていい?」 ゆーちゃんがやって来た。 「ゆーちゃんもちゃんと貰った?チョコレート」 「…うん。お姉ちゃんは?」 「貰ったよ~。ほら、見て」 私はかがみからのチョコレートを見せた。 「おいしそうだね~。同じ、ホワイトチョコレートだったんだね」 「凄い偶然だよね。あ、ゆーちゃんも貰ったチョコレート見せてよ」 「ええ~。は、恥ずかしくて見せられないよ…」 なんと。そんな恥ずかしいものを頂いたの? 「実は…あのね…は、はぁとの形で…」 顔を紅くしながら、ゆーちゃんは言ってくれた。 「私たちに負けないくらいバカップルだねぇ、ゆーちゃんたち」 「うぅ~……あ、そうだ、手紙は…?お姉ちゃん、手紙書くって言ってなかった?」 見事に話題を変えたゆーちゃん。 多少強引だったけれども。 「書いたよ。ゆーちゃんも書いたんでしょ?」 「…うん」 実は私、手紙を書いたんだ。 普段から思っていること、全部。 かがみに、伝えるために。 最初はゆーちゃんが考えたのだけれど、私も真似して書いたんだ。 想いを伝えるのは、喋った言葉だけじゃない。 ◇ こなたからの手紙を読むと。 私はつい、泣いてしまった。 無論、嬉し涙だったんだけれど。 私は、ますますあいつを好きになってゆく。 窓越しに外を眺めた。 雪はまだまだ、降り止まない。 これからも、ずっと降り続けそうだった。 これから段々と暖かくなってゆく日々が来る。 春の日々は暖かいけれど、それはきっと今が寒いから何だね。 冬が寒いから、春は暖かいんだね。 当たり前のことなのに、ひどく新しい発見をしたような気がした。 2月14日。 一年にたった一度の、今日。 恋人の始まりか、恋人の確認か。 いずれにしても、それは、乙女による乙女の為の乙女の日。 fin. **コメントフォーム #comment(below,size=50,nsize=20,vsize=3) - GJ!!(T ^ T)b -- 名無しさん (2023-06-25 01:37:25) - 二人ともよかったでずね。 -- 名無しさん (2010-01-07 02:24:36) - みさおのはチョコレート、俺がもらってあげたい。 -- 名無しさん (2009-12-26 10:25:11) - すごく…良かったです。 &br()心が暖かくなりました。 -- 名無しさん (2009-02-27 21:35:45) **投票ボタン(web拍手の感覚でご利用ください) #vote3(8)

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