オニ/ヒト プロローグⅠ



―――これは全ての始まりの物語である。


はるか昔、この世界には“鬼”が存在した。

人と同じ外見を持ちながら、人を遥かに凌駕した力を持つモノ。

いつしか、彼らは人を支配し、二つの大国を作り上げた。

『紅き国』と『蒼き国』

鬼達の中でも最も巨大な力を持つ二鬼が王として君臨するこの国々は

建国当初こそ友好的であったものの

月日が経つにつれ、次第にその関係が悪化していく。

そして二つの国が成立し、およそ100年の時が経過した時代―――

とうとう、二国の間で戦争が始まった。

互いの国の全てが懸けられたこの大戦争は

一進一退の攻防が繰り返し続くこととなり

数年後には、ただ国力を疲弊させるだけの膠着状態へと陥ってしまう。

そんな折―――

かつて互いの国が協力して研究を重ねていた『とある兵器』が

両国でそれぞれ、時を同じくして完成した。

鎧を纏った巨大な妖異

全ての敵を破壊し尽くさんとする巨大兵器


『鬼士』


『紅き国』にて誕生したそれを―――『赤煉』


『蒼き国』にて誕生したそれを―――『蒼覇』


王より名を授かった二国それぞれの鬼士は

完成と同時に、即、戦争へと投入された。

互いの鬼士が互いの国の王を乗せて

鬼が、あるいは奴隷と化した人が争う戦場の中心で

力と力をぶつけ合った―――


鬼士同士の争いは、果たして三日三晩続いた。

互いの全力を懸けた戦いに、流石に疲弊を隠せない、両国の王。

決着は近い。

国の誰もがそう思いながら

鬼士同士の戦いを固唾を飲んで見守っていた―――


その時―――


“彼ら”は唐突に姿を現した。

『紅き国』と『蒼き国』に、それぞれ一体しか存在しないはずの鬼士

それが、一体の白い鬼士を筆頭に、群をなして戦場に現れたのである。

二人の王の戸惑いなど構わず

鬼士の軍団は、両国へ侵攻。

そして、互いの国の象徴たる二体の鬼士の戦いにもまた

彼らは容赦なく介入した。


赤煉

蒼覇

白き鬼士の軍団


三つ巴の攻防は

乱入した白き鬼士の軍団が圧倒的有利と思われていた。

しかし、赤煉と蒼覇は―――紅き王と蒼き王は、倒れることなく

疲弊した身でありながら、凄まじい力でもって白き鬼士の軍団に抵抗し続けた。

続く争い。

白き鬼士の軍団には想定外であったろう、赤煉と蒼覇の力は

最後の最後、ついに白き鬼士の軍団を退けることに成功する。

しかし

その代償はあまりにも大きく

白き鬼士の軍団の二国への侵攻と

赤煉、蒼覇、白い鬼士による三つ巴の攻防の余波によって

大地は大きく裂かれ

二つの国は跡形もなく滅びてしまったのである。

そして同時に

争い続けた三体の鬼士は―――

力を失い、裂かれた大地の底で、深い眠りにつく。

共に戦った、両国の王と共に―――



オニ/ヒト プロローグⅡ



―――現代

科学技術が発展し、人が豊かさを手に入れながら生きている世界。

戦争も久しく、人々が争いを忘れかけていたこの時代では

『紅き国』と『蒼き国』は、もはやお伽噺の存在でしかなかった。

そんな平和な現代に

“彼ら”は唐突に、地の底から姿を現した。

人と同じ外見を持ちながら、人を遥かに凌駕した力を持つモノ。

それと同時に現れた、鎧を纏った巨大な妖異

それは紛れもなく『鬼』と『鬼士』であった。

とある大陸で、果てしない時の眠りから目を覚ました彼らは

目覚めるや否や、自らを『白鬼士団』と名乗り、世界に向けて宣戦布告。

圧倒的戦力でもって、瞬く間に、人間社会を征服し始めた。


―――2年後

既に地球上の大陸の三分の一以上が、強大な力を持つ鬼達によって支配されていた。

“オービ”と名乗る女鬼をリーダーとする白鬼士団は、今も徐々に、人間世界に侵攻し続けている。

無論、人類も黙っていたわけではない。

各国の軍隊を結集し結成した連合軍は

ヴェルオー博士の研究の下

対鬼士用起動兵器である『メタルオーガ』を開発し、白鬼士団に対抗を続けていた。

しかしそれでも、鬼達への十分な対抗力にはならず

白鬼士団の世界への侵攻を十全に止めることは、未だ不可能な状況にあった。


―――物語は、ここから始まる。

白鬼士団の世界への侵攻が進む現代

地図に載らない程に小さな孤島にて

紅き咆哮を上げながら目覚める者達があった―――