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邪竜百年戦争オルレアン


 レフ教授が見せたカルデアスは、あと一年以内に起こる現実の出来事のことだと、Drロマンが言った。
 人類滅亡を企むレフ教授の思惑は不明だが、これを防ぐためには新たに起こった特異点を解決することこそが
 最優先事項だと、ダ・ヴィンチちゃんが言った。
 そして、八神マリアは、現在、再びレイシフトしてフランスへとやって来たのだが・・・・・

「ド、ドラゴン!?」
「はい、あれはドラゴンの亜種でワイバーンです!」

 冬木のガイコツといったモノより急にサイズが大きくなって襲撃してきた敵に、マリアは叫ばずには居られなかった。

「先輩! 私の後ろに」
「必要ない」

 一閃。アルテラの剣がワイバーンの首を刎ねた。
 マリアとマシュが共に目を丸くしてしまうほどにそれは速かった。

「敵はまだまだ来るだろう。油断はするなよ、マスター」
「う、うん。行こう、マシュちゃん。早くこの特異点の聖杯を見つけないとね」
「はい、先輩」

 今回の舞台は百年戦争中のフランス。
 正確には、その休戦時で、先程のような規格外の脅威は別として比較的安全に探索できるわけだが、手掛かりが早々に見つかるわけもない。

「う~ん、どうしようか?」
「と、とにかく、どこかの街に行ってみましょう! 何か手掛かりがあるはずです」

 二人で頭を悩ませていると、通信機が鳴った。

『RPGだと、この場合、酒場なんかで情報集めたりするよねぇ』

 と、呑気に言い放ったDrロマンに、マシュの目つきが変わった。
 今はオルガマリー所長亡きあと、彼が所長代理を務めており、こうしてマリア達のバックアップをしている。

「先輩。現実とゲームの区別もつかない大人に一撃いれてもバチは当たりませんよね?」
「あはは・・・・・マシュちゃん、笑顔だけど目が笑ってないよ……」
『いや、止めてくれよ! マリアくん!』

 苦笑いするしかなかったマリアだった。
 しかし、そんな和やかな空気は長くは続かなかった。

「気を付けろ、マスター……何かくる」

 アルテラに言われてマリアも“その気配”に気づいた。
 肉眼では確認できないが、自分達に向けられている殺気。
 一同に緊張が走る。
 アルテラとマシュは、マリアを挟む形で構えた。

「!」

 そして、襲撃者は現れた。
 どこからともなく、剣で襲いかかったのだ。
 それをアルテラは受け止めた。

「ハァッ!」

 アルテラが剣を捌くと、襲撃者はすかさず距離をとった。
 そして、アルテラは今の一撃で何かを感じとった。

「……本気ではないな? 試しているのか?」

 襲撃者は何も答えない。そんな態度にアルテラの眉が少しばかり顰めた。

「ならば……」

 と、アルテラの剣が光りを放ち始める。
 それと同時にマリアは全身の力が抜けていくのがわかった。
 言わずともわかる。
 アルテラは宝具を使おうとしているのだ。

「アルテラさん、待ってくだ・・・・・うっ!」

 マリアは制止させようとするも、言葉を最後まで紡ぐことができなかった。
 それだけ自身から抜ける魔力量が莫大なのだ。

「先輩! アルテラさん、今、宝具を撃ったら先輩が!」

 マシュの制止の声も聞かず、アルテラが構えに入ったその瞬間、全てを黙らせるほどの声が響き渡った。

「待ちなさい! 破壊の大王!」

 襲撃者の後ろから飛んできた、それはアルテラの剣を旗で受け止めた。

「……何者だ? いや、お前は……」
「私はルーラーのサーヴァント……ジャンヌ・ダルクです」

 ジャンヌ・ダルク。
 農夫の娘として生まれ、神の啓示を受けたとして百年戦争のフランス軍を勝利に導いたとされている。

「ルーラー? カルデアでは聞いたことないクラスだけど……」

 と、マリアの視線は同意を求めるかのようにマシュへと向けられたが、マシュは頭を振った。

『ルーラーは、記録では聖杯戦争の、言わば管理者といわれているクラスだ』

 答えを出してくれたのは、通信端末から発せられた声の主、Drロマンだ。

「あれ? でも、私達は今、聖杯戦争しているわけじゃないですよね……なら、何故?」
「すみません。実は私にもよくわからないのです。どうやら、私が英霊の座についたのは最近なので」

 思わぬジャンヌの言葉にマリアとマシュは口をポカンとさせた。

「それはさておき、どこか落ち着く場所を見つけましょう。詳しい話はそこで・・・・・」
「待て、ルーラー。あのセイバーは何者だ?」

 アルテラが剣先を襲撃者に向けながら尋ねた。

「すみません。紹介が遅れました。彼はジーク・フリード。故あって協力してもらうことになりました。
 そして、あなた達も彼と同じく私に協力してもらえればと思い」
「お前達の実力を試させてもらった。すまなかった」

 ジャンヌの言葉を挟んでジーク・フリードが謝罪した。
 アルテラは剣こそ収めたものの、目だけは未だに殺気を込めている。