むかしむかしあるところに、黒い髪をしたロボットの女の子がいました。女の子はいつもひとり、丘の上の木の下で笛を吹いて過ごしていました。
雨の日も、風の日も、雪の日も、毎日毎日ひとりで笛を吹いて過ごしていました。
そんな女の子に、ある日友達ができました。
その友達は白くてふわふわしていて、何故か手にはタンバリンを持っていました。
女の子が笛を吹くと、白い友達がリズムに乗せてタンバリンを叩きます。
女の子と友達は、いつまでもいつまでもふたりだけの演奏会を続けました。
しかし、そんな日もいつか終わりを告げます。生き物はいつか死んでしまうのです。
ですがロボットの女の子はそれを知りません。女の子は友達が起きるのをずっと待っていました。ずっとずっと、待っていました。だけど友達は起きません。
ある時通り掛かった旅人が、女の子に友達はもう起きない事を教えました。女の子はまたひとりになってしまったのです。
ですが旅人はこうも言いました。
君が彼の事を忘れない限り、彼は君の中で生き続けるんだよ。
友達のお墓を作った後、女の子は笛を口にくわえて、優しく息を吹きました。
小鳥の囀りのようなその音色は、二人の思い出を乗せて、いつまでもいつまでも響き渡っていました。
おしまい。
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