ある休日の午後の事。突如として街に巨人が飛来した。
皮膚の代わりに装甲で、骨の代わりにフレームで構成された、ビルより大きな鉄の巨人。
数ヶ月から地球にちょくちょく侵攻してくる“ラージ・カリスト”という地球外知的生命体が使う戦闘ロボット“チタネス”だ。
そして、今まさに街を蹂躙せんとしているシンプルな黒い機体は、“ラジソルジャー”。
ラージ・カリストの主力機で、このラジソルジャーの活躍によってラージ・カリストは地球の軍隊に対して圧倒的とも言える優位性を誇っていた。
その優位性が揺らぎ始めたのは、つい二週間前の事だ。
立ち並ぶビルを破壊せんと腕を振り上げたラジソルジャーが、突然弾き飛ばされた。
何事だ――――ラジソルジャーが状況を確認しようとぐるりと頭部を巡らせる。
東方、20km先。脅威は確かにそこにいた、驚異は確かにそこにあった。切り離した腕を元に戻し、ラジソルジャーを睨み据える橙色の双眸。機体色は夜空の紺碧。
ラジソルジャーは人工知能で動く。だがラジソルジャーの感情なき人工知能は、この時確実な恐怖を感じていた。
ソイツの名前は“ダイソード”。人類の希望、“ダイ・アームズ”が一機、ダイソード。
ダイソードが背中の大剣をずらりと引き抜き、その切っ先を相手に向けた。まるでホームランの予告のように。
鉄の兵士が後ずさり、鉄の剣士が剣を担ぐ。
体勢低く、ビルの間を駆け抜ける巨体。対する兵士は手に持つマシンガンで応戦するが、鉄壁のダイテツ鉱に守られた機体はびくともしない。
接近、接触、一刀両断。
振り下ろされた白刃が、ラジソルジャーの身体を真っ二つに分断した。
崩れ落ちる巨体。
勝負は決した、ダイソードの勝利だ。
ダイソードは剣を収めると、背部のブースターに点火した。巨体が宙に浮き、やがてどこかへ飛んでいく。
小刻みに揺れるダイソードのコックピットの中で、鶴来 健一(つるぎ けんいち)は溜め息をついた。
――――どうしてこうなったんだろう。
操縦をマニュアルからオートに切り替え、シートに体重を預ける。睡眠不足で瞼が重い。
――――何がどうなって、ただの学生だった自分が異星人なんぞと戦っているんだろう。
ぼんやり考えながら、二度目の溜め息。
すべてのはじまりは、二週間前の日曜日だった――――
皮膚の代わりに装甲で、骨の代わりにフレームで構成された、ビルより大きな鉄の巨人。
数ヶ月から地球にちょくちょく侵攻してくる“ラージ・カリスト”という地球外知的生命体が使う戦闘ロボット“チタネス”だ。
そして、今まさに街を蹂躙せんとしているシンプルな黒い機体は、“ラジソルジャー”。
ラージ・カリストの主力機で、このラジソルジャーの活躍によってラージ・カリストは地球の軍隊に対して圧倒的とも言える優位性を誇っていた。
その優位性が揺らぎ始めたのは、つい二週間前の事だ。
立ち並ぶビルを破壊せんと腕を振り上げたラジソルジャーが、突然弾き飛ばされた。
何事だ――――ラジソルジャーが状況を確認しようとぐるりと頭部を巡らせる。
東方、20km先。脅威は確かにそこにいた、驚異は確かにそこにあった。切り離した腕を元に戻し、ラジソルジャーを睨み据える橙色の双眸。機体色は夜空の紺碧。
ラジソルジャーは人工知能で動く。だがラジソルジャーの感情なき人工知能は、この時確実な恐怖を感じていた。
ソイツの名前は“ダイソード”。人類の希望、“ダイ・アームズ”が一機、ダイソード。
ダイソードが背中の大剣をずらりと引き抜き、その切っ先を相手に向けた。まるでホームランの予告のように。
鉄の兵士が後ずさり、鉄の剣士が剣を担ぐ。
体勢低く、ビルの間を駆け抜ける巨体。対する兵士は手に持つマシンガンで応戦するが、鉄壁のダイテツ鉱に守られた機体はびくともしない。
接近、接触、一刀両断。
振り下ろされた白刃が、ラジソルジャーの身体を真っ二つに分断した。
崩れ落ちる巨体。
勝負は決した、ダイソードの勝利だ。
ダイソードは剣を収めると、背部のブースターに点火した。巨体が宙に浮き、やがてどこかへ飛んでいく。
小刻みに揺れるダイソードのコックピットの中で、鶴来 健一(つるぎ けんいち)は溜め息をついた。
――――どうしてこうなったんだろう。
操縦をマニュアルからオートに切り替え、シートに体重を預ける。睡眠不足で瞼が重い。
――――何がどうなって、ただの学生だった自分が異星人なんぞと戦っているんだろう。
ぼんやり考えながら、二度目の溜め息。
すべてのはじまりは、二週間前の日曜日だった――――
■豪華剣乱ダイソード
次回に……続く?
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