創作発表板 ロボット物SS総合スレ まとめ@wiki

第1話 ストレンジ

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sousakurobo

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――――誰だ?

「気付いた?」

気付くも何も……てか何だその耳は?

「これには訳が……。じゃなかった。それよりも緊急事態です」

それより? というか誰だ、お前は?

「そういう事は後々。ええっと……お父さ……じゃなかった、未来の貴方からメッセージがあります」

未来の……俺? ちょ、ちょっと待ってくれ、意味が良く……。

「お願いです。聞き逃さない様に、耳をしっかりと傾けてください」

「時間の歪みのせいで、貴方が――――」


「起きろ!」

瞬間、俺の目の前を火花が散った。

「いってぇ~……あ、会長」
「あ、会長。じゃない! 少しは書記として自覚を持ったらどうなのよ!」

しまった……また眠っちまったみたいだ。にしても変な夢だったなー。狐耳か……悪くない。何言ってるかはさっぱり分からなかったけど。
しっかし背表紙の方で叩くか? 幾ら俺が男だっつってもな……。クラスの奴らは羨ましがるけど、あいつらは会長の事を全く知らないからあーいう事言えるんだよな。

俺の頭を思いっきり辞典で叩いた女は氷室ルナと言って、学園全体を仕切る生徒会長を担っている。
名前がカタカナだが別に親がアレって訳でなく、むしろ両親はエリート中のエリートで知られており、父親は外資系有名企業の重役、母親はフィンランド人で元モデル……。
と、俺の様な人間には天の、いや、大気圏を突きぬけたほど遠い人間だ。氷室の凄さは生まれだけじゃない。

その両親から受け継いだ、完璧な美貌に眩しいほどの銀髪を結いだツインテール、そして他のちんちくりんな同級生の女子とは別次元のスタイルの良さ。
おまけに全学年トップの成績(無論体育も含めて)に、その能力の高さを任されて生徒会長と言う大きな役職を前会長から直々に受け継いでいるのだ。
実際、氷室が生徒会長になってから、学校全体が風紀的にも資金的にも底上げされている。元々そんなに悪い学校じゃないけど。

そんな漫画みたいなキャラである氷室だが、一応人間だ。ちゃんと欠点がある。それは……。

「あー! まーた野球部の支出を書き間違えてる! 何度言えば分かるのよ!」
「何で? ねぇ何でまだ茶道部の部長を決めかねてるの? もう二日も経ってるよね?」
「だーかーらー! 私が認めているのは文庫本よ? ライトノベルとかどこをどう読めば文庫本に入るのよ、このスットコドッコイ!」

氷室は非常に固いのだ。融通が利かないとも、頑固とも言える。言うなれば……クソ真面目なのだ。
だから自らが課した事が達成できないと、今の様にズバズバと物を云う。それも男女関係無く、だ。
その物云いは常に正論、痛烈、何より的確な為、反論できるような奴は殆どいない。氷室の口喧嘩の強さは、生徒会では暗黙の了解となっているほどに。
まぁだからこそ、今の学校は結構良い環境であるんだけどな。で、だ。そんな俺が何故生徒会に入ってのかと言うと……。

……何となく、だ。なんか生徒会に入った方が後々有利になるんじゃね? と思った限りの浅はかな加入だ。
クラスの阿呆な同級はお前あの会長の下で働けるなんてすげーじゃねーか! とか会長と仲良くなって俺らに紹介してくれ! とか言ってたな。
俺も実際、あの会長の近くで働けるなんてラッキーだと思ってたさ。それに選んだ仕事は書記だ。決まった事や出た案をその都度ノートや黒板に書くだけで良い。
中学の時から何となく部活って入る気になんなかったし、どうせ高校で帰宅部になるくらいなら入っちまえ。そう思って入った次第。

甘かった。本当に甘かった。俺が入ったのは書記じゃねえ。書記と言う名の雑務係だ。
氷室の命令の元、荷物運びから各委員が集う会議のセッティング、先生との打ち合わせから無断欠席の生徒の調査まで色んな事をやらされる。いや、押しつけられる。

「良い? 書記だからってただ物事を書いて貰うだけじゃ仕事でも何でもないんだからね! これから書記としてきっちり、生徒会に貢献して貰うわよ!」

今更ながら、書記として着任した時に氷室が言っていたこの発言の意味を嫌というほど理解している。
実際仕事は休日除くとほぼ毎日あり、しかも部活の下校時間と共に終わる為、実質部活をしてると同じくらい……いや、雑務を考えると正直文化系の部活よりキツイと思う。
何故だか毎日毎日、山の様に仕事があるのだ。氷室が作っているのか、良い学校に見えて実は問題山積みなのかは分からんが。
そのせいか、一度仕事が一段落するとすげー眠くなる。その度に会長にいろんな方法で起こされるのだが、どれもドSだから困る。

で、今はと言うと、月に一回の株主総会……じゃなかった、もとい、各委員が揃っての総会な訳で。
現時点での全ての部活動に関する云々や、生徒から出ている要望、不満、その他学校の関わる事柄について決める日なのである。
それでだ。案の定会議はグダグダ。決めるべき事もなかなか決まらず、会長は実におかんむりな訳で。
こ―いう時には書記は書記に戻れるものの、何時もの激務と違って黒板やノートにその都度の経過や結果を書くだけで正直暇な為、睡魔に襲われる。

そう言えば最近、同級の阿呆達と遊んでないな。というか、書記になってからあいつらとは学校生活以外に付き合いが減っちまった。
そうそう、いつもは非常に厳しい書記だが、その分休みはちゃんと休みとして確保されてる。……まぁ、俺が帰宅部なだけだが。
しかし休みの日っつってもなーんもやる事無いんだよなぁ。阿呆共の休日はしっかり部活とバイトで埋められてるし。
そうか、バイト……は別に欲しいもんも無いな。家に帰って適当にパソコンで遊んでりゃ一日潰れるし。

……アレ? 俺、輝かしい青春を無駄に……?

「鈴木君、鈴木君、起きなきゃまずいですよ……」
「あぁっとごめん。いやぁ、申し訳ない、木原さん」

危ない危ない。またも氷室から辞典で殴られる所だった。俺の肩を揺らして起こしてくれた木原さんに感謝せねば。
今俺を起こしたのは、俺と共に書記を担当している木原町子さん。肩程度まで伸びた黒髪と、野暮ったい黒ブチ眼鏡が印象的な今どき見ないほど……地味な子だ。
どんな雑務でも器用にこなしており、なおかつ一生懸命な姿が氷室には好印象なのか、あんまり怒られない。まぁたまに小さいポカやって小言を言われるけど。
ずっと前に何故書記になりたかったのかを聞いたら、氷室の様に強い人になりたいと答えた。強いというか……まぁ強いよね、うん。

俺がうつらうつらしてる間にも、木原さんはしっかりと実務をこなしている。申し訳無いと思うが良くやるなぁとぶっちゃけ思う。
何となくで入った俺と違い、氷室みたいになりたいって目標を持って生徒会に入ったんだろうなぁ、木原さんは。ホント、俺にとっちゃ頭が上がらんわ。

そういやもうすぐ定刻か……。つっても今のグダグダだと、何時帰れるか分かんねえな。
出来るだけ今日決めたかったんだがなぁ。明日は明日でま―た忙しいし。でもまぁ無理なら無理……で……。


「さっきはすみません……。まだちょっと調子が悪いみたいで……」

ん、んん? あぁ、またお前か。で、さっきはなんて言いたかったんだ?

「何処から話せばいいのでしょう……分かりました。あの、ずっと先の未来……きゃっ!」

どうした!

「……大丈夫、ちょっと余波が通っただけ。それで……」

ずっと先の未来がどうしたって?

「……私が居た世界、つまり貴方が居る世界の未来では巨大ロボット同士を使った娯楽が流行していました。国民の間で熱狂的なほどに。
 しかしその巨大ロボットに目を付けた悪しき者達がそのロボットを使い、世界に宣戦布告したのです。……代理戦争という名の」

巨、巨大ロボット? 戦争? おいおい、ちょっと訳が……。

「それで……何時しかその戦争は熾烈を極め、ある出来事がきっかけで時空に歪みが出来、その時空の歪みを掌握せんと、行動を開始しました」

……そのとてつもなく壮大な話が俺にどう関係あると?

「……その巨大ロボットの開発には、貴方が携わっています」

……はぁ。……は?

「厳密には、貴方をそそのかした……っつ! うう……」

おい、大丈夫か! 何処か怪我でもしてるのか!?

「くっ、もうこんなに早く……ごめんなさい、ちょっと通信を切ります」

おい、ちょっと待ってくれ! 重要な部分が何も……。

「ヴィルティック」

え?

「貴方の――――機体名です」


『ヴィルティック・シャッフル』

 第一話:ストレンジ

……ん、またあの夢か。何なんだ、あの狐みたいな耳を頭に付けた女は……言ってる事も電波入ってて訳分からんし。
巨大ロボット? 代理戦争? どこの厨二小説だよ……いまどきそんなベタベタ設定、どの作家も書かねえよ。
俺、日々の業務で疲れてるのかなぁ。最近ちょっとばかし腰が痛いし。……腰は関係ないか。
つか会議はどんだけ……と……氷室? 何でそんなニコニコしちゃって……。

「良い夢は見れたかしら?」


「いてぇ……」
思いっきり事典の角で叩かれた頭を擦りながら、俺は家路へと足を進める。

「大丈夫ですか? 思いっきり叩かれたみたいですけど……」
木原さんが心配そうに俺に言った。あぁ、良い子や。彼女とは偶然いつも帰る方向が同じ為、業務が終わると一緒に帰ってるのだ。
俺は頭を振って手を振る。何時もこれくらいだからなー。変に慣れちまったというか。あ、一応言っておくが俺はMじゃない。

「それより木原さん、悪いけどノート貸してくれるかな? 寝ちゃったせいで黒板の決定事項が書けなかったんだ」
まさか全部消されるとは思わなかった。氷室……悪魔め! まぁ氷室と言うか、皆まじめにやってるのに寝ちゃった俺が悪いんだけどな。
木原さんはため息をつくと、カバンからノートを引き、俺に渡してくれた。

「今度はちゃんと書いてくださいね」
「いやぁすみません……明日返します」

ノートを受け取り、木原さんと挨拶を交わして別れる。にしても……駄眠中に見た夢の内容が気になる。
突然目の前に狐の様な耳を生やした(つけてるのかも知れんが)女の子が、俺に対してやけに馴れ馴れしい口調で、実に電波チックな事は喋っていた。
しかも言い掛けて止めたが、どうやらあの女の子にとって俺は叔父に当たるらしい。そしてその叔父……というか未来の俺が、俺に対して何か頼みごとがあるらしい。
まぁそこを考えるとなんかもう訳が分からないので、女の子が喋っていた、未来について考えよう。

どうやら未来だと巨大ロボ……とやらに乗る遊びが流行っているらしい。なんじゃそりゃと思うが、流行っているならしょうがない。
そんでその巨大ロボで代理戦争……だったか。いや、手っ取り早く言っちまえばどっかとどっかが戦争してるんだろう。
その戦争中に何らかの事件が起きて、時空とやらに異変が起きたらしい。そんで、その異変をどうにかする為に……俺?
おいおい、俺が一体何したってんだ。女の子はその原因となる巨大ロボを俺が作ったとか言ってたが……はぁ、本当に訳分からん。

日々の疲れが積もったせいで頭がおかしくなってんだ。そういう事にしておこう。
早く家に帰って飯温めて食って風呂入って寝よう。俺はそう頭を切り替えて、自宅へと足を早めた。
……さっきから背後に妙な視線を感じるが、スル―だ。ここはスル―の精神で通すんだ。俺には霊感は無い。

エレベーターで昇り、廊下を通って自宅に着く。鍵を開けると、既に玄関と言うか部屋が明るかった。
珍しいな……親父もお袋も姉貴もまだ帰ってくる時間じゃないと思うんだが。まぁ、そういう事もあるのかな?
「ただいまー」

声を掛けたが反応無し。むむ、むむむ。もしかしてシャワーでも浴びてんのかな? そう考えると帰って来たのは姉貴か?
耳を澄ましたがTVの音は無し。親父なら帰ってきたらまずTVを付けるから、親父でも無し。そして最後の線。
俺がただいまーと言うとすぐにおかえりーと返してくれるお袋。しかし声が何も返ってこなかったからお袋でも無し。
このしょっぱい推理からして導き出される答えは……姉貴か。にしても最近は同僚の人と飲んでるから深夜に帰って来ると思うんだが、どうしたんだろう。

外が暑かったし、汗掻いてるからシャワー浴びたかったんだけどな。姉貴がシャワー使ってるなら仕方ないか。
リビングでTV見よう。カバンをソファーに放り投げ、俺はTVを付けた。別に内容はどうでも良いんだが、静かなのもアレだしな。
その時、カバンに入れてある携帯が鳴った。取り出して誰からか見る。……何だ。

「おう、お前か」
「お前とは失礼だな! お前の親友の草川君からだぞ! 少しは」
「わぁーたわぁーた、で、何の用件だ? いっとくが会長にお前の事は紹介してないからな」

今俺が話している喧しい奴は草川大輔。俺と付き合いがある阿呆共の中でも飛び抜けて阿呆な奴。
中学の頃からの付き合いで、女好きで軟派なお調子者、典型的な……なんつうか良くある脇役キャラだ。うん、奴には脇役って言葉が似合う。
いつも草川は会長を紹介してくれとのたまうが、俺でさえ馴れ馴れしく付き合えないのにお前が付き合える訳無いっつーの。と耳がタコになるほど言っているが聞く由も無い。
まぁ、そんな阿呆だから話していて気が楽になるけどな。頭を使わないで話せるってのは本当に良い。

「ホントかぁ? 実は俺に会長を取られるのに嫉妬……」
「切るぞ」
「まぁ待て! ちょっと待て! 実はお前に聞きたい事があってよ。ちょっち電話を掛けてみたって訳さ」

喉が渇いたので冷蔵庫から牛乳を取り出す。このプレーンな味が喉を潤すのには実に良い。コップに注いでごっくん。

「んで、その聞きたい事とは?」
「あぁ。お前って、お姉さんが1人いるよな」
「おう。で、それが?」

ふと、誰かがリビングに歩いてくる音が聞こえる。姉貴がシャワーから上がったんだろう。
もうシャツがベトベトだ。早くシャワーを浴びたい。俺は草川にその用件とやらを早く言う様急かした。
何故だか草川は迷っているようだ。何だ何だ? 好きな女でも出来たのか? どっちにしろ、俺にはそんな与太話を聞く気は無い。

「おい、いい加減にしろ。何も無きゃ切るぞ」
「待て! すまん隆昭。なんつうかビックリして上手く言えないんだが……」

「ほら、俺とお前って帰る道が同じだろ? それで帰ってる時にさ……すげえ美人の女の人に声かけられたんだよ。お前の家は何処かって」

「……教えたのか?」

「いや、お前のマンションの方を指差しただけで、番地とかは言ってねえよ!」

「当り前だ馬鹿! ……一つ、お前に聞きたい事がある。その美人の女ってのはその……頭に、変な物被ってなかったか? こう……猫耳、みたいな」

「ん? あぁ、言われてみればそんなのしてたな。てかお前それって知ってるって事だよな? ……隆昭? おい、隆昭」

「すまん、明日学校で話してやる。色々な」
俺は電話を切り、目の前でバスタオルに身を包んだ、変な女に視線を向ける。
異常に鼓動が速くなるが、胸を抑える事で無理やり鼓動を沈めながら、俺はその女の姿を観察する。

……俺より背が高い。そして顔立ちは……うん、美人だ。鼻が高くてすらっとしてて、切れ長の口にクリっとした目。
それにその……バスタオルから分かるくらい胸がデカい。多分氷室より。……まるで変態じゃないか、俺。胸から目を逸らして、他の所を見る。
髪の毛は銀……銀色? 氷室と同じなのか……。それでだ。俺が一番驚いているのは、その女の耳からぴょこんと生えている……。
狐の、耳だ。俺の中でふわふわしていた疑念という気体が確信と言う名の固体とる。目の前にいる女は……間違いない。

―――――さっき見ていた夢に出てきた、あの狐耳の女だ。

どうする? どう動けばいいんだ。何というか狐に化かされてるってこういう事かと思う。いや、冷静に語ってる場合か。
というかどうやってこの部屋に入ったんだ。俺が来た時には鍵が閉まってたぞ。ピッキングか? 中国窃盗団御用達のピッキングなのか?
ここは8階だぞ。地上から~……結構高い所だ。普通に泥棒が窓から入れる様な所じゃない。両隣の部屋は人が住んでるし、窓伝い出来る程スペースが無いし。
本当にどうやってこの部屋に入ったんだ……。そうだ、警察を呼ぼう。それが一番手っ取り早いじゃないか。

「鈴木隆昭さん……ですね?」
女が今まさにボタンを押そうとした俺に声を掛けてきた。

「は、はいぃ!」
しまった、驚いた弾みに携帯を落としてしまった。は、早く拾わなければ……。
だが呼びかけられたせいで体が動かない……。額から汗がぽとりと落ちる。

「そ、そうですが……何か?」
うわっ、情けねぇ。だが自然に声がブレまくる。身動き出来ねェ……。
女はじっとした眼で俺を見る。な、何をする気だ? と、女はバスタオルから何かを取りだした。黒色に黄色いラインが一本入った……カ、カード?

「トランスインポート」
女がそう唱えた瞬間、カードの絵柄から何かが浮き出て……驚くべき事に、女の掌で物々しい物体へと変化した。
新手のマジックなのか? それともやっぱり俺は狐に化かされてるのか? というかさっきから言いたかったがお前誰なんだよ!

「家族構成は両親に姉一人……在籍中の高校は遥市立遥ノ川高校……」
女は俺にその物体を向けて、何かブツブツ言っている。物体の大きさは……一般的な携帯電話くらい。
色は真っ黒で、黄色いラインが一本入っていてその真ん中にカメラのレンズ……レンズ?
どういう事だ? 俺を観察してるのだろうか……まさか見られると命を取られるとかないだろうな……。

と、女がその物体を宙に放り投げた。すると物体は瞬時にカードに戻り、女は手を上げて、器用に人差し指と中指の間にカードを挟んだ。
そして再度、俺の方に顔を向けた。まずい……気付けば俺の腰は抜けていて、後ずさりしていた。
女が近づいてくる。やばい、やばいやばいやばい。何とか、何とかこの場から離れなきゃ……。

女が立ち止まる。駄目だ、何をすればいいか分からない。もう……駄目だ……。俺はぐっと目を閉じ、頭の中で辞世の句を……。

「突然お邪魔した上に、シャワーを無断で借りてしまい、申し訳ありませんでした」

……え? 

俺は何でか分からないが、ガードしていた両腕をゆっくりと話して、女に顔を向けた。女は俺にそう言って深く頭を下げると、ゆっくりと顔を上げた。

「貴方を60年前の鈴木隆昭本人と確認しました。お願いします――――」

「私と共に、未来を救ってください」


                                     予 告

              突如として現れた謎の狐耳少女。彼女は隆昭に告げる。このままでは未来が危ないと。
            少女の言葉にどうするべきかを迷う隆昭。だが町には着実に、平和な日々に別れを告げる危機が迫っていた。       
           そして隆昭に降りかかる。周囲のあられも無い誤解 精神的な意味でも危機が迫っている隆昭に、安息の日々はもう来ない。

                             次回、『ヴィルティックシャッフル』

                                    エンゲージ

                             その「カード」を引く時、「未来」は訪れる

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