あれから数年が立ち…

私は魔界で元の地位へ戻っていた…

そして閻魔大王の謁見で彼女に偶然再会したのだ…


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彼女は閻魔大王の傍で側近として仕えており…

そして彼女は無理やり魔に転化させられたと耳にした…

魔になってから僅かだというのに…

彼女から溢れ出る魔の気配は私が惹かれる程に強かった…

それだけの魅力を放っていたのだ…

そして私は謁見が終わった後…

居ても経っても居られず彼女の後を追った…

彼岸花の咲き乱れる閻魔大王の宮殿の庭園に…

黒い和装姿で彼女は立っていた…


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「貴方は…?」
『私は7代魔公の一人…アスモデウス…貴方は?』
「この度、閻魔様の直属の側近として仕える事となりました…藤岡皐月と申します…」
『失礼ですが…昔…黒い犬を飼っていませんでしたか?』
「御免なさい……まだ記憶が曖昧で覚えていないんです…」


以前、死者が魔に転化した際…

生前の記憶の一部を失うと聞いてはいた…

生前の記憶全てを覚えている事自体が稀と呼ばれている程…

恐らく私との記憶は抜け落ち消えていたのだろう…

だが、私は諦められなかった…

そして彼女と過ごした日々の断片を彼女に語った…


『ワイズと言う名の黒い犬…銀の腕輪を付けた…覚えていませんか?』
「ワイズ……確か…何処かで?」
『雨の中で傷つき…そして一人の少女に救われました…』
「私……そうだ…誰かと一緒に……」


断片を話すと彼女は必死に思い出そうと混乱し…

そして頭を両手で抑えてそのまま彼岸花の花園に倒れ込んだ…

私は彼女を抱き上げ…

そのまま私の居城へと連れ去った…


=続=