悲劇の秘薬

    

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「うぅ・・・うあぁ熱い!熱いよお姉ちゃん!」
「しっかりしてマルコ!ああ、どうすれば・・・」
全身汗だくになりながら高熱にうなされる少年。

―――3日前
昼間、マルコは遊びに行くと言って村の隣にある森に入ったまま行方がわからなくなった。
やがて夜になってから姉のミリーがそれを心配して村人総出の捜索を始めたところ、明け方になって大きな木の下で倒れているマルコが見つかったのだった。
そしてその日を境に、マルコは40度の熱を出してうなされ続けていた。

「だめじゃ、毒蛇に噛まれたのか、虫に刺されたのか、はたまた植物毒か・・・全く原因がわからん」
「お願いです、マルコを・・・弟を助けてください!」
「原因がわからなければ治しようがない。すまぬがワシの手には負えんよ・・・」
「そんな・・・」
村の医者に見放され、ミリーは絶望に苛まれていた。
日一日と、マルコは衰弱していく。小さな少年の死は時間の問題だった―――

コンコン・・・
「はい」
4日目の朝、苦しそうに喘ぐマルコをベッドに残し、ミリーは突然の訪問者を迎え入れた。
「おはようミリー、ちょっといいかな?」
訪ねてきたのは村に住む1人の学者だった。地域の伝説や伝承については村の長老よりも博識だというが、今までミリーとマルコには全く関係のない世界の人間だったし、お互いに言葉を交わしたことも無かった。
「あの・・・どういったご用件でしょうか?」
学者をマルコの呻き声が聞こえない別の部屋に通すと、ミリーは不安げに聞いた。
すると、彼は懐から一冊の本を取り出した。大分古ぼけた印象のあるそれは、いつか長老の家の書架で見かけたことのある伝承について書かれた本だった。
「君の弟のことだが・・・治す方法があるかもしれない」
突然予想外のことを言われ、ミリーは困惑した。
「治す・・・?弟を治す方法があるんですか?」
その問に、学者は黙って本を手に取った。付箋の貼ってあるページを開き、ミリーに見えやすいように本を回してテーブルの上を滑らせる。
「ひや・・・く?」
そのページには、村の南に聳える山に万病をたちどころに治してしまう幻の秘薬がある、という内容の文章が載っていた。赤黒い液体のようなものがガラスのビンに入っている様子が、荒いイラストで描かれている。
「そうだ。だが残念なことに、赤い液体だということしか分からないんだ」
そして、思いついたように付け足す。
「もしかしたら何かの樹液か果汁の類なのかもしれない」
「でも・・・これは伝承なのでしょう?」
「確かにそうだ・・・だが、医者に見放されてしまった以上、何か他に手があるかね?」
学者のその言葉に、ミリーは南の山に秘薬を探しに行く決意を固めた。
「わかりました。私が行って確かめてきます」
「君が・・・?君が行くっていうのか?」
学者はとんでもないという風に手を振った。
「馬鹿を言っちゃいけない。あの山は険しい岩山だし、所々に深い裂け目もある。とても1人じゃ無理だ」
「でもマルコのためよ。私のたった1人の家族ですもの、他人にはまかせられない」
毅然としたミリーのその態度に、学者は引き下がらざるを得なかった。
「わかった・・・でも無茶はするなよ。彼にとっても、君がたった1人の家族だってことを忘れるな」
「ええ、ありがとう」

学者が帰ると、ミリーはすぐに支度を始めた。液体を溜められる小さなビンを持ち、登山の準備をする。
「待っててマルコ。きっと治してあげる」
すっかり準備を終えて家を出たとき、空には既に夕焼けが広がっていた。
「ミリー」
年老いた村の長老が、家の前でミリーを呼び止めた。
「話は学者の彼に聞いた。本当に1人で行くのか?」
「はい。私のいない間、マルコをお願いします」
「神の御加護があらんことを・・・」
長老が十字を切った。ミリーは一礼して答えると、南に聳える巨大な岩山に向かって歩き出した。

「はあ、はあ・・・」
山の麓に辿りつき、きつい岩の坂を登り始めたのは深夜になってからだった。
辺りはすでに真っ暗になり、手にした松明の炎だけがミリーの周辺を照らしていた。
時々せり出した小岩に躓き、手足を擦り剥いた。だが、立ち止まるわけにはいかない。
マルコは今日明日にも力尽きるかもしれない身なのだ。
ふと、何気なく足を踏み出そうとして下を見たマリーはぞっとした。
そこには、まるで地の底にまで続くかのような巨大な岩の割れ目がパックリと口を開けていた。
「あ、危なかった・・・」
穴を迂回しようとした刹那、山肌を吹き降ろす突風がミリーに叩きつけられた。
「きゃっ!」
ミリーは突然の風にバランスを崩した。
そして、体勢を立て直そうと地面を強く踏ん張った・・・はずだった。
だがそこには地面ではなく、冷たく犠牲者を飲み込む岩のクレバスがあった。
「きゃあ!いや、いやあぁぁぁ!!」
ふっと体が重力から解き放たれた気がした。
大きく裂けた岩の割れ目に、ミリーはあっという間に飲み込まれていった。

数時間後、ミリーは真っ暗な闇の中で目を覚ました。
瞼を開けても何の変化もない漆黒の世界。手にしていたはずの松明はどこかへ消えていた。
「ここは・・・ああ、なんてこと・・・」
かなりの高さから落ちたはずだったが、ミリーは不思議と体に大した痛みを感じなかった。
だが、どこかわからない真っ暗な空間に閉じ込められ、彼女は深い絶望に襲われた。
「運がよかったな、人間の娘よ」
その時突然、大気を震わせるような大きな声が辺りに響いた。
「え!?」
驚いて辺りを見回すが、どこを見ても何も見えない。謎の声は更に続けた。
「私の体の上に落ちなければ、命はなかっただろう」
「体の・・・上?」
その時、ミリーが落ちてきた穴から突如月明かりが降り注いだ。淡く白い光が周囲をほんのりと照らす。
そして、ミリーは見た。目の前にいる巨大な生物を。
毛皮のような柔軟な黒い皮膚に覆われ、背中にも黒いたてがみと翼を背負った巨大なドラゴンが、彼女を見下ろしていた。
「ひっ・・・!」
ミリーはあまりの驚きに声を上げた。だが、息が詰まり後が続かない。
「案ずるな娘。殺しはせん」
そうは言うものの、ドラゴンの目には妖しい輝きが宿っていた。
「お前のような娘がなぜ1人でこんな山を登っているのだ?」
「お、弟を・・・弟を助けたいんです」
ミリーはようやく衝撃から立ち直ると、おずおずと言った。
「この山に万病を治す秘薬があると聞いて・・・探しに来たのです」
「フン、秘薬か・・・」
ドラゴンはしばらく何かを考えているようだったが、やがて口を開いた。
「娘よ、朝までの数時間、私の慰み者になるというのなら秘薬のありかを教えてやろう」
「え・・・?」
「お前の体を私に差し出すのだ」
そんな・・・これまで守ってきた貞操をこんな怪物に・・・でも、マルコを救うためには・・・
「ほ、本当に・・・秘薬のありかを教えてくれるのですね・・・?」
「無論だ」
ミリーは意を決した。そして服を脱ぐと、冷たい岩の地面に体を横たえた。

「フン・・・そうまでして助けたい命ということか」
ドラゴンはそう言いながら、巨大な体でミリーに覆い被さった。
そしてミリーの体を押さえつけると、ゆっくりと肉棒を彼女の膣に差し込んだ。
「覚悟はよいな・・・?」
そう言うと、ドラゴンはミリーの返事を待たずに腰を振り始めた。
グシュッ、グボッ、ヌチッ・・・
巨大なドラゴンの肉棒が突き入れられる度に、ミリーの体に苦痛とも快感ともつかぬ感覚が流し込まれた。
「ああ、あ、うあぁ・・・」
激しい痺れの奔流に、ミリーは体を捩って悶えた。
だが、ドラゴンはさらに彼女のふくよかな乳房に長い舌を這わせ始めた。
「うああっ!」
突如敏感な頂きを舌の先で突つかれ、彼女の体がビクンと跳ねる。
だが、巨大なドラゴンに組み敷かれている今、彼女に許されているのは喘ぐことだけだった。
キュッ
「ああっ!」
舌が乳頭に巻き付き、さらに乳房にも巻き付けられた。根元からもみしだくような振動が加えられ、更に舌の先端がキリッと締め上げられている乳頭を弄んだ。
「ひぁっ、あ~~~~~~~~!」
胸の丘陵を蹂躙するドラゴンの舌に耐え切れず、彼女は絶頂を迎えた。
膣がギュッと締まり、熱い愛液が噴き出す。
「ククク・・・そろそろ、私のも味わってもらおうか」
そう言うと、ドラゴンは快楽の絶頂で悶えるミリーの膣内に熱湯のように熱く滾る精を放った。
「あああ!あぐ、うあああぁ~~!!」
体の内側を焼かれるような苦しみに、ミリーはついに気を失った。

翌朝、彼女は目を覚ました。ドラゴンは既にミリーを解放し、天井から降り注ぐ光の中で佇んでいた。
「気がついたか娘よ」
ミリーはまだ意識が朦朧としていたが、不意にマルコのことを思い出した。
「あの、秘薬のありかは・・・」
ミリーがそう聞くと、ドラゴンは腕を振り上げた。鋭い爪が指の先から伸びている。
そして、光が一閃した。ミリーは恐怖に思わず身を縮めた。
だが、爪はドラゴン自身の腕を切り裂いていた。
真っ赤な鮮血が傷口から滴っている。
「さあ、持っていくがよい」
ミリーはその様子に呆気に取られていたが、ようやく事態を察した。
ドラゴンの腕から滴る血が、彼女の追い求めていた秘薬なのだ。
彼女は急いで荷物から小ビンを取り出すと、その血を掬った。そして、厳重に蓋をして布に包んだ。
「あ、ありがとうございます!」
ミリーはそういうと、山の中腹に口を開けた洞窟から外に出ようとした。
その時、背後からドラゴンの言葉が聞こえてきた。
「娘よ、我らの血は病んだ者には薬になるが、そうでない者には毒となる。決して飲ませてはならぬぞ」
ミリーは一度ドラゴンの方を振りかえった。そして1度頷くと、足早に山を下り始めた。

ミリーが村に辿りついたのは昼過ぎだった。
とにもかくにも、マルコのもとに急ぐ。蹴り開けるように家の扉を開け、マルコの部屋へと走る。
だが、今までずっと聞こえていたマルコの苦しむ声が聞こえなかった。
まさか・・・
ミリーは緊張と恐怖に胸が張り裂けそうになりながら、マルコを覗き込んだ。
マルコはぐったりと力なくベッドに横たわっていた。
「マルコ?マルコッ!?」
必死で呼びかけると、マルコが薄っすらと目を開けた。
「・・・あ・・・お姉ちゃん・・・」
「ああ、よかった・・・さあ早くこれを・・・」
急いでドラゴンの血の入った小ビンを取り出す。
「だめ・・・もう僕何も・・・見え・・・」
高熱に霞む視界の中で、ミリーが何かを叫んでいるのが聞こえる。
「お願い!飲んで!お願いだから、マルコ!」
「ごめんね・・・お姉ちゃ・・・」
ミリーが今まさにマルコの口の中へドラゴンの血を流し込もうとした時、マルコはそう言ったかと思うとガクリと力尽きた。
「マルコ?マルコ!?そんな・・・嘘でしょ?目を覚まして!マルコ!」
ミリーは必死で弟の名前を呼んだが、彼が返事をすることは2度となかった。
「ああ・・・そんな・・・」
ミリーはペタンと床にへたり込んだ。
間に合わなかった。あと10秒・・・いや、あと5秒早ければ助けられたかも知れないのに・・・
あそこで躓かなければ・・・もっと早く走っていれば・・・もっと早く目覚めていれば・・・
間に合わなかった理由が次々と頭に浮かんでは消えていった。だが、全てが遅すぎた。
「間に合わなかった・・・役に立たなかった・・・ごめんね・・・マルコ」
大切な物を失ってまで手に入れた秘薬。だが、それを飲む前にマルコは息絶えてしまった。
「ああ、あああああぁ・・・」
床に突っ伏したまま、ミリーは泣き崩れた。

どれくらい泣いていただろうか。ミリーは、ふと手にした小ビンを見てドラゴンの言葉を思い出した。
―――我らの血は病んだ者には薬になるが、そうでない者には毒となる・・・
もう生きていけない。真っ暗な悲壮感に打ちひしがれ、ミリーは深紅のドラゴンの血を一気に飲み干した。
「ああっ!」
痙攣したミリーの手から空になった小ビンが滑り落ち、乾いた音を立てて砕け散った。

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