分かたれた者達

    

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アルコールの匂いとベタつく光沢が染み込んだ、小さな樫の木のテーブル。
その前でグラスを片手に椅子に腰掛けながら、俺はカウンターの奥の壁にかけられた丸時計へと目をやった。
「あの・・・」
突如背後からかけられた、おどおどした小さな声。正に時間通りだ。
俺は顔色1つ変えずに後ろを振り向くと、そこに立っていた小柄な町長の姿に目を止めた。
「この度はありがとうございました。これが・・・謝礼の金貨50枚です」
そう言って、町長がズッシリと金貨の詰まった麻袋を俺の前に差し出す。
「ああ、悪いな。また何かあれば言ってくれ。すぐに駆けつけるよ」
「は、はい・・・」
俺が金貨の袋を受け取りながらそう言うと、町長は俺に対してある種の恐れでも抱いているのかしどろもどろに歯切れの悪い返事を返してきた。
その様子を一瞥し、ガタンという音を立てながら軋む椅子から立ち上がる。
そして呆然と俺の後ろ姿を見送る町長をその場に残して、俺は町で唯一の寂れた酒場を後にした。

この謝礼金は、ここ数日夜になると町の中に現れて人々を脅かしていたドラゴンを退治したことによるものだ。
まあドラゴンとは言うものの、まだ若くて体もそれほど大きくないそいつはドラゴンの習性や弱点を知る人間の知恵の前ではほとんど無力にも等しいものだった。
俺はドラゴンスレイヤー・・・その名の通り、ドラゴンを殺す職業に就いている。
まだ小型のドラゴンしか狩ったことはないのだが、人里を襲ったりするのは大抵が自分の力を誇示したがる若い雄である場合がほとんどのため、見上げるような巨大なドラゴンを相手にするというようなことはまずない。
それでもそこらの農民や商人達が多少寄り集まった程度で歯が立つ相手というわけでもなく、俺は今日もこうして食い扶持を稼ぐことができるというわけだ。
そのうち1度は何百年も生きているような大きなドラゴンを倒してみたいものだが、今はまだドラゴンスレイヤーとして色々と経験を積むのが先だろう。

「さて・・・金も手に入ったことだし、しばらくはゆっくりと羽でも伸ばすことにしようかな」
人も疎らな町の中を歩きながら、俺は旅の支度を整えることにした。
ここから西の方へ行くと、周囲を山に囲まれた農村があるらしい。
元々俺には特に行くあてもないのだから、次の目的地としてはまあ悪くないだろう。
手に入れた金貨で町の店を回って古くなった装飾品や衣服を買い替えると、俺は頭をすっぽりと包む鉄製の兜と軽い薄手の鎧を身に着けて町を後にした。

隣の村までは、険しい岩山を1つ越えなくてはならなかった。
切り立った断崖や不安定な足場が多く、その谷間には幾本にも分かれた川が流れている。
だがそんなものをいちいち障害にしていたら、そもそもドラゴンの棲んでいる洞窟や高地にすら辿り着くことなどできないのだ。
町から延々と続く荒野を歩き通し、いよいよ眼前に聳え立った高い岩山を見ながら小さく呟く。
「さて・・・久々の山越えだな・・・」
暖かいベッドで眠ることができるのは、もうしばらく後になることだろう。
俺はそう覚悟を決めると、山裾からなだらかに天蓋へと消えている険しい道へと足を踏み入れた。

砂や小石で滑りやすい坂道を1歩1歩踏み締めるようにして1時間ほど山を登ると、山肌から数十cmほど張り出している細い絶壁の縁が目に入った。
崖の高さは約5、60mといったところで、眼下には青々とした水を湛える川が流れている。
俺が薄手の鎧を身に着けているのは、こういう場所を通る時に重くて大きな鎧を着けていると崖から足を踏み外す可能性が大きいからだ。
その上、水に落ちれば沈んでしまうだろう。

俺はゴツゴツと凹凸のある壁にそっと背をつけると、足元を確認しながら慎重に道を渡り始めた。
20mほど進めば、ほんの少し今までよりも道幅が広くなる。そこまで行けば、後はもう楽なはずだ。
だがそう思って次の1歩を踏み出した瞬間、ピシッという嫌な音が耳に響いた。
何事かと思う間もなく足元の岩にヒビが入り、ガバッという音とともに足場が崩れ落ちる。
「う、うわああああ!」
手で掴む場所を本能的に探して山肌を叩いてみたが、俺は成す術もなく無数の岩の塊とともに川の流れの中へと呑み込まれていった。

「今日の食事はなかなか悪くなかったな・・・」
幸せな満腹感と雲1つない晴れ渡った空に誘われて、私は岩山の小道を歩いていた。
腹を満たした後はいつも川で水を飲むのが、私の最近の習慣になっている。
砂利で覆われた山の中の砂浜といった感じの川原へと到着すると、私は川の流れに手足をつけながらゴクゴクと水を飲み始めた。
冷たい水が喉の奥へと流れ込み、美味い肉を食った後の幸福感が更に大きく膨らんでいく。
「ん・・・?」
その時、私は不意に川の流れが乱れたのを感じて上流へと視線を向けた。
何かが、いや・・・あれは人間だ。1人の人間がうつ伏せで水面に浮いたまま、こちらに流されてきている。
つい反射的に、私は流れていく人間の体を口で軽く咥えると白い砂利で覆われた地面の上にそっと降ろした。
頭には頑丈そうな鉄兜をかぶり、腰には剣を身に着けていたであろう皮の腰巻が巻かれている。
だが肝心の剣そのものは川に落ちた時の衝撃で外れてしまったようだった。

「何故人間がこんな所に・・・?」
私は人間のかぶっていた兜を掴むと、ゆっくりとそれを脱がせてやった。
まだ20代前半といった若い男のようだが、物々しい装備品の割に顔にはどことなく幼さを残している。
ぐったりと弛緩しているのと水に濡れているせいもあるのだろうが、童顔といってもいいくらいだ。
その無力な人間の顔をじっと見つめているうちに、何とも形容し難い不思議な感情が湧き上がってくる。
とりあえず、ここに放置していても仕方がない。私の巣に連れて帰るとしよう。
私は気を失っている男の体にそっと長い尻尾を巻きつけると、最後にもう一口だけ水を飲んでから来た道を引き返し始めた。
申し訳程度に生えた木々や行く手を遮る岩々を避けながら、住処である洞窟へと向かって歩き続ける。
背中の上で尻尾に包まって揺れている人間が目を覚ます気配はなく、私はやがて見えてきた暗い洞窟の中にそっと入っていった。

ペロ・・・ペロ・・・
「う・・・ぅ・・・」
湿り気を含んだ大きな物で頬を擦り上げられるような感触に、俺はしばらくの間失っていた意識を取り戻した。
薄っすらと目を開けると、ぼやけた視界の中を白と紅が埋め尽くしている。
そして次の瞬間、俺は自分の身に起こっている事態を理解した。
体高だけでも2m近くあるとてつもなく巨大なドラゴンが、その舌で俺の顔を舐め上げていたのだ。
「ひ、ひぁ・・・」
悲鳴を上げようとした途端に恐怖で喉が詰まり、声がピタリと堰き止められてしまう。
俺は慌てて腰に手をやったものの、身に着けていたはずの剣はどこかへ消えてしまっていた。
「あ・・・はぁ・・・」
絶望に崩れた虚ろな顔でドラゴンを見上げていると、ドラゴンは俺が意識を取り戻したのに気がついたのかそっと舌を離した。
そして俺の顔を覗き込むようにして、蒼く輝く2つの眼が見開かれる。
殺される・・・!
それはドラゴンスレイヤーとして何匹ものドラゴンを殺してきた俺にとって、至極自然に行きついた結論だった。

だが俺の予想に反して、ドラゴンが穏やかな声で語りかけてくる。
「・・・怪我はないか・・・?」
「え・・・?」
そう言われて、俺は無意識の内に体を動かした。
「うあっ!」
膝を曲げようとした途端、右足にズキンとした痛みが走る。
骨は折れていないようだが、どうやら足を岩かどこかにぶつけて酷く内出血を起こしているらしい。
「うぅ・・・」
痛みに顰めた俺の顔を愛しそうに眺めながら、ドラゴンが再び口を開いた。
「怪我がよくなるまでここにいるがいい・・・お前の食える物は魚くらいしかないがな・・・」
「あ、ああ・・・」
俺の返事を聞くと、ドラゴンがようやく俺から顔を離した。
全身を覆った堅牢そうな赤い鱗が、キラキラと光を反射している。どうやら、水に濡れているようだ。
腹の辺りはブヨブヨと波打つ柔らかそうな白い皮膜で覆われていて、そこにもいくつか水滴が残っている。

「あ、あんた・・・川に落ちた俺を助けてくれたのか?どうして?」
「偶然私の水飲み場にお前が通りかかっただけのことだ。放っておけば滝に呑まれて命を落としただろうからな」
「そうか・・・」
それを聞いて、俺はようやく緊張させていた体の力を抜いた。
どうやら、このドラゴンは俺を食うためにこの洞窟へ連れ込んだわけではないらしい。
だがもし俺の正体をドラゴンに知られたら、その時は命の保証はないだろう。
たとえよく研がれた剣と重厚な鎧を身に着けていたとしても、この巨大なドラゴンが相手ではとても太刀打ちなどできそうになかったからだ。

突然目の前に現れた巨竜に荒くなっていた息を整えると、俺はもう1度ドラゴンの顔を見つめてみた。
これまで遭ってきた邪気に溢れる若いドラゴン達とは違い、どことなく包容力のある優しげな顔をしている。
「あんた・・・綺麗だな」
「何?」
ドラゴンが死の恐怖以外の物に対して驚いた顔を見たのは、多分今回が初めてだろう。
「私が・・・綺麗だと・・・?人間のくせにおかしなことを言う奴だな」
確かに、普通の人間ならドラゴンに対してそんなことは言わないだろう。
だがたくさんのドラゴン達をこの目で見てきた俺には、雌の成竜の丸みを帯びた顔は実に美しく見えたのだ。
「人間のくせにっていう割には、俺のことは殺さないのか?」
「お前をどうするかは私が決めることだ。食料を獲ってきてやるから、そこに黙って寝ておれ」
それだけ言うと、ドラゴンは俺の返事も待たずにそそくさと洞窟の外に向かって歩いて行った。

一体何だというのだ、この感情は?
あんな人間を生かしておいたところで私には何も・・・
それに、私を見て綺麗だなどとふざけたことを抜かしおって・・・
魚を獲るために川へと向かう途中、私は洞窟に残してきた人間のことで頭が一杯だった。
初めてあの男を川で見つけた時、何故殺そうとは思わなかったのだろう?
ただでさえも死にかけていたあまりに無力な様子に、とどめを刺すことを躊躇ってしまっただけなのだろうか?
いや・・・違う。
何が引き金になったのかはわからぬが、私はあの若者に恋心を抱いているのだ。
幼い顔の裏に何か強い力と業のようなものを隠した彼の様子に、惹かれるものがあったのだろう。
相手はちっぽけな人間だというのに・・・!

やがて水飲み場の川原まで辿り着くと、私は心を掻き乱すあの若者のことを頭の中から強引に消し去った。
今は考えるのをよすとしよう。
清らかな流れの中に体を浸し、徐々に深みを増す川の奥の方へと入っていく。
そして水の中を泳ぎ回る魚達を見つけると、私は手から生えた長い爪を引っ込めて腕を振るった。
バシャッ!
激しく舞う水飛沫とともに、1匹の魚が水中から叩き出されて砂利の上へと落ちていく。
バシャッ!バシャッ!
いくら抑えつけても次から次へと湧いてきてしまう疼きにも似た感情を吐き出すようにして、私は一心不乱に魚達を獲り続けていた。

太陽が西に傾き洞窟の中にも夕焼けの手が伸びてきた頃、俺は頭をつけていた地面から伝わる振動でドラゴンの帰りを察知していた。
確かにこちらに近づいてきてはいるが、そうかと言って真っ直ぐ向かってきているわけではない。
どうやら、何かを迷っているような印象を受ける。
だがやがて洞窟の中にドラゴンが姿を見せると、彼女は大量の水とともに口から魚達を吐き出した。
「そ、そんなに獲ったのか?」
20・・・いや、軽く30匹はいるだろうか?
魚の種類にはあまり明るくないので名前はわからないが、俺は突如目の前に出現した魚の山に思わず声を上げた。
「ああ・・・つい獲り過ぎてしまった・・・一緒に食うとしよう」
そう言ってどこか申し訳なさそうに頭を垂れたドラゴンの様子に、俺はいつしか気を許し始めていた。

パチ・・・パチパチ・・・
燃えた枯れ枝の弾ける音が、夕闇に暮れた洞窟の中に響いていた。
焚き火の炎に照らされたドラゴンの体が、その赤い体色と相俟って煌煌と輝いている。
そして宝石を思わせる澄んだ蒼い両眼が、魚を焼く俺の姿を飽きもせずにじっと見つめ続けていた。
「ほら、焼けたぞ」
こんがりと程よい焦げ目のついた魚を、それを突き刺した木の枝ごとドラゴンの方へと差し出す。
「どれ・・・」
それを受けてドラゴンは俺の体も鷲掴みにできるような大きな手をこちらへ伸ばすと、細い木の枝を器用に掴んで焼けた魚を自らの口元へと持っていった。
そして鋭く伸びた牙の間で音もなく魚を枝から扱き取り、ムシャムシャと咀嚼を始める。
「ふむ・・・よく焼けている。お前も食うがいい」
「ああ・・・」
火照るような焚き火の熱を顔に受けながら別の枝を手に取ると、俺はホクホクと湯気を上げる魚に食いついた。
ガブッ・・・モグ、ムグ・・・
「美味いか?」
「ああ、美味い。ドラゴンの炎で焼くと、魚も美味くなるのかな?」

俺は軽い冗談を飛ばしたつもりだったのだが、ドラゴンの方はというと何も言わずにそっと俯いただけだった。
もしかして・・・照れているのだろうか?
「なあ・・・」
「何だ?」
俺の声でハッとしたように、ドラゴンがこちらへと視線を戻す。
「あんた、優しいドラゴンなんだな」
「フフフ・・・お前が今まで殺してきた私の同胞達は、皆さぞかし凶暴だったのだろうな」
「え・・・?」
予想だにしていなかったドラゴンの切り返しに、俺は心臓の鼓動がドクンと跳ね上がるのを感じていた。
「どうしてそれを・・・」
「初めてお前を見た時には気がつかなかった。だがその姿とドラゴンへの慣れ方を見れば、大体の想像はつく」
「・・・じゃああんたは・・・仲間を殺した俺が憎いだろう?」
そう言うと、ドラゴンは焚き火の上にヌッと首を突き出して俺の顔を覗き込んできた。

「うっ・・・」
顔を真下から炎に照らされたそのドラゴンの迫力に、思わず背後へと仰け反ってしまう。
「そうだな・・・初めから竜殺しだと知っていれば、私はお前を助けたりなどしなかっただろう」
「い、今はどうなんだ?」
ドラゴンスレイヤーだという素性がばれてしまった俺はドラゴンの鋭い視線に今にも食い殺されてしまうのではないかという恐怖を感じはしたものの、何とかか細い声を絞り出した。
「お前のその身を私に委ねるというのなら、見逃してやろう・・・どうだ?」
「し、信じるよ・・・」
「それなら、今はまずその空腹を満たすがいい・・・」
仰け反った拍子で地面に取り落としてしまった魚の代わりに、ドラゴンはなおも火にくべられていた別の魚を取って俺の前へと差し出した。
「あ、ありがとう」
満足げな笑みを残して首を引いたドラゴンの様子に、俺は魚を手にしたままホッと胸を撫で下ろしていた。

山のようにあった美味い魚も、気がつけばいつしか1つ残らず食べ尽くしていた。
焼くもののなくなった焚き火の灯かりが、洞窟の壁面をゆらゆらと照らし出している。
満腹になった腹を抱えたままドラゴンを見上げると、彼女は地面の上に座り込んで俺を手招きしていた。
「腹が膨れたのなら、こちらへくるがいい」
言われるままに腰を上げ、痛む足を引きずるようにしてドラゴンのもとへと近づいていく。
やがてドラゴンの手が届く所まで行くと、彼女は突然俺の体を巨大な手でガシッと掴んで持ち上げた。
「わっ・・・」
だが驚いたのも束の間、ドラゴンは後ろに仰向けに倒れ込むと俺の体を大きく広がった腹の上でパッと離した。
バフッ・・・
そして声を上げる間もなく、白い皮膜で覆われたドラゴンの腹へと墜落してしまう。
まるでゼリーの詰まった風船のように、どこまでもどこまでも深く沈んでいくような無上の柔らかさと暖かさが俺の体をギュッと包み込んでいった。

「う・・・あぅ・・・」
雌のドラゴンの腹がこんなに柔らかいなんて知らなかった・・・
恐らく子供を暖めるためなのだろうが、あまりに掴み所のない柔肉の海で思わず溺れそうになってしまう。
しばらくバタバタと暴れた後で両手足を一杯に広げて力を入れると、俺はようやく体が沈んでいくのを止めることができた。
「お、俺を溺れさせる気か?」
「・・・気に入ったか?」
「あ、ああ・・・凄く柔らかくて、気持ちいいよ・・・」
それを聞くと、ドラゴンは洞窟の天井を見上げながら俺の頭に背後からそっと手を添えた。
そして優しく摩るようにして、巨大な手をゆっくりと動かし始める。
「なあ・・・もしかしてあんた・・・俺のことが好きなのか?」
だがそう言った瞬間、背中を撫で下ろしていたドラゴンの手がピタリと止まった。

まずい・・・変なことを言って怒らせたのだろうか・・・?
ドラゴンが人間を、しかもドラゴンスレイヤーを好きになるなど、到底考えられる話ではないのだ。
俺を腹の上にギュッと押さえつけたまま、ドラゴンが表情の読めない顔と視線を俺へと向ける。
「あ、い、いや・・・つまりその・・・」
「何故わかったのだ?」
「・・・え・・・?」
不安にゴクリと唾を飲み込んだ瞬間、ドラゴンがキョトンとした顔でそう呟いた。
まさか・・・本当に・・・?
そしてお互いに声が出せぬまま数分が経ち、俺の方も意を決して言ってみた。
「俺も、あんたが嫌いじゃないよ。今までドラゴンなんて恐怖と憎しみの対象でしかなかったけれど・・・」
「ならば・・・人間のお前が、この私を受け入れてくれるというのだな・・・?」
「ああ・・・もちろんだ」
その返事を聞くと、ドラゴンは爪の先で俺の履いていたズボンをそっと押し下げ始めた。

ムニュムニュと形を変えるドラゴンの腹に顔を埋めつつ、俺はされるがままにドラゴンに服を脱がされていた。
ドラゴンと竜殺しがお互いに想うことなど、奇跡にも等しいことだろう。
だが俺にとってはこの優しげな母性と包容力が、ドラゴンにとっては彼女に慣れてしまった俺という存在そのものが、それぞれ愛しく手放せないものになってしまったのだろう。
すっかり全身の纏いを脱ぎ捨てると、俺は露わになった裸の体をドラゴンの腹の上で捩った。
白い皮膜がまるで俺を飲み込むかのように体重を受け止め、柔らかな肉が俺の背中側にまで回り込んでいく。
やがてその甘い抱擁にじっと身を委ねていると、俺は何時の間にかドラゴンの腹から顔だけを出したような状態になっていた。
手足や体はすっぽりと余すところなく柔肌に包み込まれていて、その暖かさと心地よさにもはや自力で抜け出すことすら困難に思えてしまう。
「ああ・・・」
だが、俺はとても言葉では言い表せないほどの幸福感を感じていた。
完全に腹に埋もれた俺の顔を蒼い瞳で見つめながら、ドラゴンがそっと微笑む。
それは、俺がこれまで相手にしてきたあらゆるドラゴンの持つ険悪なイメージとは明らかに異質のものだった。
竜殺しのこの俺が不安も恐れも抱くことなく、こうして安心して身を委ねていられるのだから。

どうやら、この若者はすっかり私のことを信頼してくれているようだった。
そうでなければ、とてもこれほどまでに無防備な姿を私の前に晒すことなどしないだろう。
私は腹から突き出している若者の幸福に酔った顔を、ペロリと舐め上げてやった。
身に着けていた鎧を脱ぎ去って緊張を解いた竜殺しの顔は、今ではどこにでもいる青年、いや、少年といっても過言ではないほどのあどけなさと純真さを溢れさせている。
今なら認めよう。私は、彼のこの顔に惚れてしまったのだ。
少しばかり腹に力を入れてやると、反発された男の体が私の腹の上へと持ち上げられる。
そして尾の生え際に大きく口を開けた膣へと若者の肉棒をそっと誘うと、私は何の抵抗も示さぬまま突き入れられたそれを優しく搾った。

ギュッ・・・ヌリュ・・・
「はぁ・・・」
全身を包み込む暖かさの中に混じって、俺は何時の間にかピンと張り詰めていたペニスをドラゴンの膣の中に捕えられていた。
背筋を震わせるような甘い刺激が送り込まれ、その快感に恍惚の表情を浮かべてドラゴンの顔を見上げてみる。
彼女の方も脈動と共に微かに上下する俺のペニスに感じているのか、赤く美しい顔が更に紅潮していた。
「お前も・・・もっと深く突いてくれぬか・・・」
快楽に表情を蕩けさせるドラゴンの口から漏れた言葉を聞き、俺は地面に足を突っ張って腰を軽く浮かせた。
そして怒張した自らの槍で、ドラゴンの最奥を貫き通す。
ジュブッ
「うあっ!」
「あああっ!」
愛液を滴らせるむっちりとした肉壁にペニスが擦れ合い、俺とドラゴンはほとんど同時に嬌声を上げた。
なおも先を続けろとばかりに、ドラゴンが尻尾の付け根で俺の股間をそっと持ち上げる。
ヌリュッ・・・グブッ・・・ヌチュ・・・
「は・・・はぁ・・・」
「おお・・・い、いいぞ・・・」
俺は脳が沸騰するような極上の快感に負けじと最後の力を振り絞って腰を浮かせると、そのままほとんど力尽きたかのように倒れ込んでとどめの一刺しをドラゴンに加えた。
ギチュッ
「う、うああ~~~!」
声もなく絶頂を迎えて溢れ出したドラゴンの愛液に、ペニスがどっぷりと浸される。
そしてお返しとばかりに膣壁にペニスを締め上げられ、俺も限界を迎えてドラゴンの中に熱い飛沫を放っていた。

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