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守護機兵Xガードナー 第二話
第二四期独立防衛部隊Xガードナー、その旗艦エホバ・バイシクルは“神の車輪”の意味を持つ白き戦艦。
「すごいでしょ。私が艦長なんだよ」
白い軍服に身を包んだ少女、ルーナ・ルージュは頬を赤らめていった。
「ん?あぁ…」
シュートはブリッジを見渡す。二段構えの真新しいその空間には自分達を含め通信士と操舵士の四人いた。
「統連軍の試作艦なんだけど試験も兼ねてお父さまに頂いたの」
「で?ここまで連れてきたのは親父が呼んだんだろ?」
「そ、そうなんだよね。でも呼んだのはその」
「それについては私が…」
二人は振り返る。青い軍服を着た男が立っていた。
「あ、失礼、私はグラン・バール。この艦の副長を勤めています」
「色々サポートしてくれるんだよ。本当に助かっちゃう」
「とんでもないですよ。シュート君、君を呼んだのは私たちXガードナーの総司令、ルディーオ・ルージュ大将です」
「ルーナの親父?」
「艦長、司令から通信です」
オペレータのサラー・リベルトは明瞭な声で報告した。
「丁度いいタイミングですね。繋いで下さい」
グランが答える。空中に巨大なウィンドウが現れる。
『よぉ久しぶりだな!一年ぶりか?大きくなったなぁ』
髭面の熊男は豪快に笑う。
何処から見ても田舎の漁師にしか見えないこの男こそガードナー隊の司令、ルディーオ・シュバルツ・ルージュである。
「叔父さん久しぶりです…」
『まぁ何だ、さっそくだが単刀直入に言う。ガードナー隊に入れ』
「やっぱりそうきましたか、叔父さん俺が軍隊嫌いなのは知ってるでしょう?」
『シュートよ、まだ“あの事”怒ってるのか?』
「怒るとかそう言う事じゃないでしょ。訳の分かんない実験のせいで兄さんが…!」
「シュート!…落ち着いて」
熱くなるシュートをルーナがなだめる。
「…とにかく俺は軍に何か入るつもりは無いっすからね!」
そう言ってシュートはブリッジを出ていった。
格納庫では整備員たちが慌ただしく働いてる。なのにもライド・デンサーは隅のコンテナでゲームに勤しんでいた。すると何処からか、
フォン。
と、風を切る音がした。ヘッドセットしているライドには聞こえなかったが、頭に激痛が走った。
「何をしているデン!サボってないで自分の機体の整備でもせんか!」
親方の怒号が飛ぶ。足元にはスパナが転がっていた。血は付いてない。
「わぁーったよ!やるよ!」
ライドは立ち上がる。
「なにもスパナを投げんでもいいだろうに…」
電子ゴーグルを外して壊れていないか確認する。大丈夫なようだ。
ライドが自分の機体へと向かう。
ガードナーX03。砲撃戦仕様のライド専用機。緑の迷彩色で一番のお気に入りである。
「やっぱり僕のが一番カッコいいねぇ」
となりの機体を見る。黄色の一番機。ゴツゴツと武装された三号機と比べると、とてもスリムかつシンプルな体型である。
「あれ?なんだ」
ライドはゴーグルで一号機の胸の辺りをズームする。誰かが一号機に乗り込もうとしていた。それも軍服ではない。
「おい誰だ!勝手に乗り込むんじゃない」
ライドが叫ぶとコックピットに入ろうとする少年も返す。
「うるさい!俺はココを出ていくんだ。止めるなッ!」
「出ていくんなら勝手に出てきゃいいだろうけど。盗みはよくないだぜー!」
「とにかくどけ!踏みつぶされても知らないからな!」
一号機が起動する。アラームが格納庫に響きわたると同時に艦長と副長が入ってきた。
「シュート!バカな真似は止めて」
『黙れ!こいつは俺が貰っていく』
一号機は隔壁へ向かい無理矢理に出ていった。
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