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2006.04.09_2

    

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クリフトとアリーナの想いは Part4.2
861 : 【そこに居るという事】1/6:2006/04/09(日) 23:36:48 ID:omMVSeXl0

ザッザザザザ・・・・
草を掻き分け走る二つの影。
一人は蒼髪に緑色の神官服をまとった青年
もう一人は栗色の髪の女性、しかし彼女がはためかせている青いマントは
無残にも切り裂かれ、彼女自身の背中にも深々とした傷を付けていた。

突然のモンスターの襲撃にパーティーは分裂させられ、アリーナは深手を負った。
一時撤退をし状況を立て直そうにも、後ろから追ってくる複数の影を引き離せずに居た。
アリーナの顔には焦りが浮かんでいた。
幾ら不意打ちとはいえ、魔物に遅れをとった上に一矢報えることもなく撤退。
別れ離れになった仲間も気になる。それに未だに追っ手を引き離せずにいる。
とうとうアリーナは痺れを切らせた。
「クリフト!応戦するわよ!」
「姫!?無茶です!!」
クリフトが止めるのも聞かず、ザっと振り返り身構えた。

最初に追いついて来た一匹目の魔物の爪を体をひねって避け、
そのまま廻し蹴りを喰らわし吹っ飛ばす!
着地と同時に踏み込み前に跳び敵をキラーピアスで引き裂いた。
しかし決定打には成らなかったらしく、鋭い爪のついた腕を振り下ろしてきた、
慌てて体を反らして避けようとしたが、ズキッと背中が痛み反応が鈍った。
「ッツ!」
避け切れなかった爪は服を破り胸に赤い線を刻んだ。
「こっのぉ~!!」
怒りに任せてトドメを討ったが、すぐ傍から殺気を感じた。
(まずい!ヤラれる!!)
しかしその瞬間、魔物の足元から紫色の煙が立ち昇った。
クリフトが放った死の魔法『ザラキ』だ。
一瞬にして敵の息の根を止める事が出来る魔法だが、あっけなく振り払われてしまった。
だが敵の動きを止めるには十分な時間だった。
銀色の閃光が走り、クリフトの剣が魔物の体を貫いていた。

体勢を整え後続の敵に飛び込んで行こうとするアリーナを抱きかかえ静止する。
「離して!大丈夫まだやれるわ!!」
額に脂汗を浮かべながら言い放すアリーナを見て思わずクリフトは声を荒げた。
「勇気と無謀は違います!今の状況がわからないのですか!!」
普段声を荒げる事のないクリフトに驚き、アリーナは幾分冷静さを取り戻せた。
クリフトはすぐさま次の詠唱に入り追い付いてくる奴らにマヌーサを掛けてから走り始めた。

ッチッチチチ・・・ピュイピュイ・・・・

やけに近くからの鳥のさえずりでアリーナは目を覚ました。
まだボーとする頭で胸の辺りを擦ってみる。
昨日切り裂かれたはずなのに破れ目が見つからない。
不思議に思い視線を移すと、クリフトのいつもの服が着せてあった。
それにもう傷も痛まない。

今思えばあの傷で魔物と戦うのはやっぱり無茶だった気がする。
クリフトが止めてくれて良かった。それにこの上着のお礼も言わないといけない。
なんだかちょっと嬉しくなってキュっとクリフトの上着に顔を埋めた。
それから頭だけを動かして近くに居る筈のクリフトの姿を探す。
見当たらない。
「・・・クリフト?」
不安になって彼の名を口にしながら体を起こした。
それでも彼の返事は返っては来ない。
不安がむくむくを大きくなる。

昨日はいつココに来て眠りについた?
思いだせない。

いつから記憶が無い?

クリフトがあたしを支えながら走っていた。
傍らで終始何か唱えていた・・・
そうだ、あれは回復呪文だった。
走りながらあたしを癒してくれてた。
それから、それから・・・・・・どうなったの?
そこであたしの記憶はプッツリと途切れていた。

もしかして魔物を撒けなかったの?

ザァっと全身の血が引くのが判った。
最悪な事態が頭をよぎった。
クリフトはあたしをココに置いて、囮になりにいったの?
うそ・・・・
アリーナは両手で顔を覆った。
あたしのせいだ、あの時痺れを切らせて敵に飛び込んだから。
そしたら余計な傷を受けずに逃げ切れたかもしれない。
全部あたしのせいだ・・・
零れ落ちそうになる涙を唇を噛締めてなんとか飲み込む。
こんな所で泣き崩れるわけには行かない。クリフトを探しに行かなくては。
きっとどこかで動けなくなってるだけだ。助けに行かなくちゃ。
腕で目じりをぬぐい立ち上がった。

「お目覚めになられましたか、姫さま」
後ろから声を掛けられ振り向くと、そこにはケロっとした顔をしたクリフトが立っていた。

カァーーっと顔が赤くなる。
「どこ行ってたのよ!勝手に居なくならないでよ!!」
勝手に心配してたあたしがバカみたいじゃない!
クリフトに詰め寄り胸ぐらあたりを拳をにぎりドンドンと叩く、
「ホントに・・・本当に心配したんだから・・・」
そこまで言うと緊張の糸が切れてしまった。
クリフトの胸に顔を埋め溢れる涙を止めることが出来なかった。
それまで黙って叩かれてたクリフトが遠慮がちに背中に手を回してきた。
「申し訳ございません、目が覚めるまでお傍に居るべきでした。」
クリフトの温もりが伝わってくる、クリフトの匂いがする。夢でも幻でもなく、
今ココにクリフトが居てくれる。すごく気持ちが安らいでいく。

「・・・みんなは大丈夫かな?」
「は、はい。先ほど様子を探りに行ってきましたが、周辺から邪気は消えてます。
たぶん勇者さん達が倒されたんだと思います。」
クリフトがそう言ってくれると、みんな無事だと信じることができた。
あたしの足りない所はクリフトが補ってくれる。
クリフトが後ろから支えてくれるからあたしは前に進めるんだ。
もっとクリフトを感じたくて背中に手を回してくっついた。
「もう勝手に、居なくなったら許さないんだから」
「そうですね、離れてしまったら姫さまは何をするか判りませんから、
嫌と申されましてもお傍に居ますよ。」
軽く冗談を交えながら優しく微笑んでくれた。
「クリフト・・・一生一緒に居てくれる?」
「ええ、一生お仕えします。」
顔をあげクリフトを見つめ
「じゃぁ、誓いのキスして」
クリフトの心拍数が跳ね上がるのを聴きながらあたしは目をつぶったのであった。

            ~ FIN ~