クリフトとアリーナの想いは @ wiki

2014.01.09

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kuriari

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【クリアリ】クリフトとアリーナの想いは Part13【アリクリ】
537 2 名前: ペギー ◆e.sLpeggy2 Mail: sage 投稿日: 2014/01/09(木) 21:49:14.71 ID: 13SZsV6+0

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このたび、「リッカの宿」という異世界の宿にお招きいただいたのですが、どうもおかしいのです。

こちらには姫様が先にいらしているはずなので、姫様を探しに部屋を出たのですが
先ほどすれ違った派手な女性が、いきなり「アンタが例の神官君ね。」と話しかけてこられました。
神官の証のついた帽子は脱いでいたのに、どうして私が神官だということが分かったのでしょう。
今も、バーバラさん、とおっしゃるお嬢さんとごあいさつさせていただいたのですが
バーバラさんは私の目を覗き込んで「なるほど、晴れた日の湖のように青い、というのは
なかなか的を射た表現ね。」と独り言をつぶやいておられました。

それにしても姫様はいずこにおいでなのでしょう。
カウンターに座っておられる、赤い服を着た銀髪の青年に尋ねてみましょうか。

「御くつろぎのところを申し訳ございません。」
私が声をおかけすると、その青年はこちらを振り向き、目を見開きました。
そして満面の笑みを浮かべると、私の肩をバンバンと叩くのです。
「アンタ、よく来たな!ホント待ってたぜ~!」
「え、あの、私は…。」
私は彼を存じ上げておりません。当然のことですが。
「どなたかとお間違えではありませんか?」
しかし彼は笑いながら私に指を突き付けてきました。
「間違ってないさ、アンタ、クリフトだろ?すぐ分かったよ。」
「は…。」
私の当惑をよそに、彼は体をそらして私を眺めると、うんうんと一人納得したようにうなずきました。
「確かにアンタが基準じゃ、俺が修道院育ちって信じてもらえないのも仕方ないかもな。」
「あの…あなたはもしや、姫様とお知り合いで…?」
「ああ、これは失礼。俺はククール。アンタらと同じスペシャルゲストさ。
アリーナなら裏でナインと手合せしてるから、奴がのされるまえに助け出してやってくれ。」
ククールさんはにやりと笑って窓の方を指さしました。
「あ、ありがとうございます!」
私はククールさんに礼を言うと、足早にその場を離れました。

背後でククールさんがカウンターの中の美しい女性と話しているのが聞こえました。
「…なんだか、『初対面』て感じが全くしなかったわね。」
「まあ、そりゃそうだろうなあ。」
また、不可解なことを聞きました。私からすると、あの女性とは完全な初対面なのですが。




そこでドアを開けて外に出たクリフトには、ククールの溜息混じりの呟きは届かなかった。
「あれだけ毎日、『そういえばクリフトがね』って聞かされた日には、なあ…。」

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