クリフトとアリーナの想いは @ wiki

2012.01.24

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kuriari

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クリフトのアリーナの想いはPart12.5
120 名前: この命尽きようとも Mail: sage 投稿日: 2012/01/24(火) 01:56:30.25 ID: ZDvbHHfr0

その日、サントハイムの城内に緊張に満ちた囁きが走った。
魔王が倒されて以来、王宮にここまでの緊迫感が漂ったのは久しいことである。
そしてその噂はやがて、城内の教会で暮らすクリフトの耳にも伝わった。

「何…ですって…。」
その噂を聞いて、衝撃のあまりクリフトは思わずよろめいた。
肌が髪と同化して見えるほどに、顔面蒼白になっている。
クリフトに話を伝えにきた城の従者は、わななきながら頭を垂れた。
「…クリフト様…何と申し上げれば…。」
クリフトは従者を諌めるように手を上げた。
しかし、その手がわずかに震えているのに気づき、それを隠すように握りこむ。

自分を落ち着かせるように、クリフトは軽く深呼吸した。
「…以前は、私もひ弱な神官でしたが…あの辛い旅の中、
 それなりに修行も積んできました。薬草の知識も、癒しの技も覚えました。」
ぐっと唇を引き結び、無理に笑顔を作ると、クリフトは従者に告げた。
「…大丈夫です。私のことは、心配なさらないでください。
 今日は私が生を受けた日です。神様も憐れみをかけてくださるでしょう。」
「…っ、クリフト様…っ!」
従者はそれ以上続けることができず、涙にくれた。
「ほらほら、泣くんじゃありません。そのような態度は姫様に失礼ですよ。」


その日。
朝起きたアリーナが
「今日はクリフトの誕生日ですもの!
 腕によりをかけて、特別製のケーキを作ってプレゼントするわ!
 誰も手伝ったら駄目だからね!私一人で作るんだから!」
と宣言したのであった…。


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