クリフトとアリーナの想いは @ wiki

2006.02.26

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kuriari

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クリフトとアリーナの想いは Part4.2
336 :匿名投稿者 ◆qmWfr1RSgM :2006/02/26(日) 23:37:57 ID:+rH4r7MgO

ふと、目が覚めた。
窓から月が見える。頭上を若干通り越している。日付は変わっているようだ。
辺りは暗い。
ソロさん、ライアンさんのイビキが聞こえる。
私の名はクリフト。通称「ザキ魔神官」。
職業は神官だが、明らかに死を運ぶ技を使う私。


完璧に目が覚めてしまった。ベッドに入っても寝つけない。
そうして私は、階段を降りて1階の床に足をつけた。
ここ、エンドールの町は昼間は賑やかだが、夜は非常に静かだ。

1階を通り過ぎ、私は地下1階にあるカジノへ向けて歩き出した…

カジノは夜でも営業している。
別に遊ぶために入ったわけではないが、部屋に居るよりマシだと思い、来てしまった。
カジノに入ると、カウンターに居るお姉さんが色っぽい目で私にウインクしてみせた。
しかし、そんな事で私の心は動じる事はない。
何故なら今は一人の女性にしか想いを寄せてないから…

とりあえずカジノ奥にあるモンスター格闘場に来た。
夜中だというのにモンスター達は闘っていた。本当にご苦労な事です。
下のモンスターから目を上げ、何処か座れる場所は無いかと椅子を探した。
ちょうど先客が居るようだが、気にしない。
先客の人は椅子に座りながら寝て居るようだ。顔が伏せられていて見えない。
しかし、どこかで見たことがある…
紫のドレス。美しい髪。黒ずんだ手袋…
まさか…「姫様?」
思わず出てしまった言葉。そして、先客の体がゆっくりと動き、こちらを見て一言
「クリフト?」

「クリフト…どうしてここに…?」
それは紛れもなく、我が主君。まだ幼いながらもサントハイムの姫君。
そして…私が想いを寄せているたった一人の女性…アリーナ姫だった。
「どうしたの?クリフト」
返事が無い私を気遣ってくれたのか、姫様はもう一度、私の名を呼んでくれた。
「あ、いえ、大丈夫です。」と簡潔に返事してしまう私。
「ふーん…ねぇ、どうしてここに居るの?」と聞いてくる姫様
「眠れないので…来てしまいました」と返事をした。
すると、姫様が「そう…私も同じよ。眠れなくて…」
「ねぇ、クリフト?」
「どうされましたか?」
「実はね…クリフトの事考えてたの…そんな時にクリフトが横に来たからびっくりしちゃった」という姫様の声には恥ずかしさが混ざっていた。それを無言で聞く私。
「あのね。クリフト。私ね…」
「…やめましょう姫様。それに早く帰らないとお風邪を召されますよ?」私はアリーナ様の言葉を遮ってしまった。内容はどうあれ、今は聞きたくなかった。
「そうね。帰りましょ。」と、私は腕を引っ張られながら姫様と共にカジノを後にした。

「クリフト。」
「なんでしょう?」
「私ね…クリフトの事がね…」
また遮ろうとしたが、今度はできなかった。
それに、今は姫様の気持ちも聞きたくなった。
「クリフトの事…好き」
姫様から発せられた言葉。言って欲しかった言葉であったが、今はまだ言って欲しくない言葉でもあった。
「クリフトは?私の事…」
「好きですよ。」簡単に返した。姫様の私の手を握る力がちょっと強くなった気がした。
「そう…良かった…ごめんなさいね。ガラでもない事言っちゃって…」
「構いませんよ。それに、私も嬉しいです。」
と、姫様に笑ってみせた。姫様も笑ってくれた。
部屋の前まで来て、部屋に入ろうとした時、姫様が私の腕を引き寄せ、私の頬に印を残した。
「おやすみ」顔を赤くしながら言う姫様
「おやすみなさいませ」と少々照れながら言う私。
そして扉の閉まる音。






この夜、私はかけがえのないものを手に入れた。
とても値段のつけられない、決して手放せない物を…




     THE END.
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