クリフトとアリーナの想いは @ wiki

2008.09.14

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kuriari

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クリフトとアリーナへの想いはPart9
401 名前: 無自覚な恋1/2 ◆HDjZd37Phw  Mail: sage 投稿日: 2008/09/14(日) 17:44:20 ID: J1vQD44h0

いつでもどこでも直球勝負の姉さんが、単刀直入、アリーナさんに
「クリフトのこと、どう思ってんの?」と、にやけながら尋ねた。
「どうって訊かれてもなぁ……」
小首をかしげながら、「うーん」と考え込んでいるアリーナさんは
まるで幼子のようで、質問の意図を正しく理解しているのかも怪しかった。

「小さい頃からずっと一緒にいたから、お兄ちゃんみたいだよ」

「おにいちゃん?!」
私達は頭のてっぺんから抜けるような、素っ頓狂な声をだしていた。
ああ、可哀想に。
クリフトさんはお兄ちゃん……。
姉さんが苦笑いしながら、人差し指でこめかみをポリポリと掻いた。

「だけどあんまり強くないし、シャキっとしてないし、なんだか頼りないよね」

―――トドメの一言。
幾らなんでもあんまりな言いようよ、それは!
クリフトさんが貴女のために、いつもいつも苦労してるのを知らないのね。
私はお気楽極楽に、ひたすら我が道だけを往く人間に振り回される苦労を、よーく知ってるわ。
他人事とは思えなくて、クリフトさんの不憫さに、こっちが泣いちゃいそう。

他人(クリフトさん)の不幸は蜜の味―――
あからさまに嬉々とした顔の姉さんが、
「融通きかなくて頭カタいし、いいとこナシね」なんて罵倒した。

とたんにアリーナさんの表情が一変した。
口を尖らせ、ちょっと顔を赤くして……目なんかも、心なしか釣りあがってる?

「そんなことないよー!いいとこだって、たっくさんあるんだから!!
 クリフトは本をいっぱい読んでるから物知りだし、勉強熱心だし。
 ときどき物語を聞かせてもらうんだけどね、すんごくいい声なの。
 空気に溶けてくみたいに柔らかくて、少ーし低めの声でね、
 あの声聞いてるだけで、ホッとするんだよ」
一気にまくし立ててから大きく息を吸い込むと、また話し始めた。

「回復魔法だって、あんなにあったかいの他に知らないよ。
 実は、皆と一緒になってから気づいたんだけどね。
 ミネアのとも、ソロのとも違う温かさで、なんかこう、
 むぎゅーって、ちょうどいい力加減で包まれる感じがするの」
むきになってきたのか、まだ続く。

「それに、サントハイムではモテてたんだって!
 最初は信じられなかったけど、旅をして、いろんな人を見てわかった気がする。
 あんまりいないよね、クリフトみたいな人。
 背もまあ高いし、顔だってカッコいいほうだよね?
 誰にでも優しいし、気配り上手だし、礼儀正しいし……」

「だあーっ!ごめんごめん、もうわかった、もういいよ!!」
姉さんが「降参」と、両手を頭の上に挙げてひらひら振っている。
……確かに、参ったわ。
これだけクリフトさんを好きなのに、まったくの無自覚だったのね。

「降参って、なにが?」
きょとん、と不思議そうに姉さんを見ているアリーナさんが、
急に可愛くて可愛くて仕方なくなった。
だけどこればっかりは、私達があれこれ口を挟むものでもないわね。
流石の姉さんも私と同じ考えらしく、黙ってアリーナさんの髪を撫でていた。
私達にできるのは、見守ることくらいかしら……。

クリフトさんの為にも、一日も早く自分の恋心に気づいてね、お姫様!




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