クリフトとアリーナの想いは @ wiki

2007.01.14

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kuriari

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クリフトのアリーナへの想いはPart6
764 :【新年の抱負】1/4:2007/01/14(日) 02:43:13 ID:C8GLoWLF0

その日、世界を救った一行は、新年を祝うため、エンドールにあるトルネコの家に集まっていた。
最初は、マーニャが有志を募って、今年の初カジノに挑むという企画だったのだが、堅苦しい祝賀パーティーが苦手なライアン、田舎の正月が3日で飽きたソロ、新年の挨拶と称してお見合いさせたがる父親から逃げてきたアリーナ、子守のブライ、お見合いを横目で見ながら気が気でなかった煩悩神官ことクリフト、姉の財布の監視役ミネア、と予想外に人が集まってしまい、ついでということで、トルネコの家にやっかいになっているわけだ。

ネネの家庭料理を味わい、エンドールの地酒が回り始めたところで、ソロが急に立ち上がった。
「ここいらで、今年のみんなの抱負を聞きたいと思います。まず、ライアンさんから」
周囲は、ソロの唐突な提案にあっけにとられながらも、一斉にライアンの方を向いた。
ライアンもいささか面食らったのか、数瞬動きが止まる。
「私は、今年も、バトランドのために尽くすつもりです」
若干の沈黙。
「・・・・・・それだけ?」
「そうだが・・・ソロ殿、何かご不満でも?」
「いや、別にないけど・・・・・・じゃあ、次はブライさん」

指名を受けたブライは、コホンとひとつ咳をして、居住まいを正す。
「ワシの今年の抱負は・・・・・・」
「今年も最後まで生きられますように」
ソロがふざけて十字を切った。
「ちょっと、ソロ、それ洒落になってないって!」
そういいつつも、マーニャは半分噴き出しそうになっている。
「おぬしら! 正月くらいおとなしくワシの話が聞けんのか!
本来ならサントハイムのパーティーに出ておる頃なのに、姫様がどうしてもと仰るからわざわざ・・・・・・ぶつぶつ」
この後、新年の抱負ではなく、お説教が30分近く続くことになった。

「ミネアさんは?」
「私は、そろそろ自分の店を持ちたいと思っています」
「ミネアさんならきっといい占い師になれるわよ! 私が保証する!」
アリーナが相槌を打つ。
「ふふ、ありがとう」
確かに、ミネアの本気モードの占いは外れたことがなかった。
ところが、人とは面白いもので、百発百中の占いはかえって不気味に感じるらしい。
現に、このメンバーの中で、ミネアに重要なことを占ってもらおうとする人間はいなかった。
「今年の初占いで、アリーナちゃんの恋愛運を見てあげるわ」
「ダメです! 絶対にダメです!」
思わず大声をあげてしまった神官。気まずい雰囲気が流れる。
「ちょっとー、何がダメなのよ」
マーニャがニヤニヤしながらクリフトを小突く。
「クリフトったら、ミネアさんの占い嫌いなの?」
アリーナだけが、神官の心の叫びを理解していないようだ。
「そ、そうではなくてですね、れ、恋愛というものは、姫様のご意志で決めるべきで、いくらミネアさんの占いが正確だからと言って、それに左右されるのは・・・・・・ぼそぼそ」
「しかし、部屋を借りるとか小道具を集めるとか、いろいろとお金がいりそうですね」
神官を差し置いて、トルネコが話を現実に引き戻す。
「今頃は溜まってたはずなんですけどね。誰かさんが無駄遣いしなければ・・・・・・」
そう言って姉を一瞥する。
「さ、さあ、何のことやら・・・・・・」

「では、浪費家マーニャさんの抱負を」
「今年こそカジノで一発大儲けね、さあ、次の方」
「ちょっとミネア! 私の台詞取らないでよ! しかも浪費家って誰のことよ!」
「じゃあ、姉さんの本当の抱負は?」
「それはね、今年こそスロットで・・・・・・って違うわよ、今年こそいい男を見つけるのよ」
マーニャは自信ありげに髪をかきあげて見せる。
それは、抱負と言うよりも、普段から聞かされている願望と同じなのではないだろうか。
ふと、そんな考えが一座の脳裏を掠めた。

「次、トルネコさんの番」
新年早々の姉妹漫才を他所に、ソロはトルネコを指名する。
「私ですか。私は商人ですからね、今年も商売繁盛、と言いたいところですが、冒険と商売で家族サービスがおろそかになっていたので、今年はなるべく家族と過ごせるように努力しますよ」
「へえ、トルネコさん、案外いいこと言うじゃない」
「姉さん、一言余計よ」
勇者やブライならツッコミが入るところだが、そこはトルネコ、顔色ひとつ変えない。
「そうそう、もうひとつ。マーニャさんに貸した1000Gを、今年こそきっちり返してもらいますから」
「姉さん、また借金なんかして!」
「そ、それは時効よ。ね?」
「はて、時効ではなく利息ならつきますがね」

「アリーナは?」
「決まってるじゃない! 今年もますます強くなるのよ!」
アリーナは袖をまくって、力瘤を作ってみせる。
「少しは、お年頃らしいことを仰ってもらわないと・・・・・・ぶつぶつ」
ブライは茶を啜りながら、効き目のない小言を繰り返す。
「姫様がお強くなられるのは構いませんが、あまり筋肉質になられるのは・・・・・・
い、いえ、もちろんいかがわしい意味ではなくてですね・・・・・ぼそぼそ」
一人で勝手に頬を染める神官。どうやら、彼の煩悩は108つでは済まなそうだ。

「あれ、アリーナに同じこと言われちゃったな」
ソロはバツが悪そうに頭をかく。
「へー、ソロもなんだ」
逆にアリーナは、鍛錬仲間ができて顔がほころびる。
「だって、勇者がそのへんの兵士に負けるとかカッコワルイだろ?」
「そうだよね。今度お手合わせ願おうかしら」
「いいな。呼ばれたらいつでもいくぜ!」
意気投合する二人。それを傍目に、黒いオーラを出す神官。
「ザ・・・ザラ・・・」
「めでたい席で不吉なことをするでないぞ、クリフト・・・・・・」

「最後、クリフト」
いよいよ自分の番になったクリフトは、殺気を決してすまし顔になる。
「今年も、敬虔な信徒として神にお仕えしたいと思っております」
「つまんなーい!」
マーニャが即座に横槍を入れる。
「あんた、本当は別の抱負があるんでしょ? 『今年も』じゃなくて『今年こそ』さあ・・・・・・」
「な、何もありません!」
「えー、なになに、クリフトったら隠し事してるの?」
隠し事の対象が身体を前に乗り出してくる。
「隠し事などしておりません!」
「あ、さては、またザラキしてザオリクしたんでしょ」
「姫様の中で私のイメージはどうなってるんですか(涙」
「あのねえ、クリフトは・・・・・・」
「マーニャさん! 本気でザラキしますよ!」
「もう、クリフトったら煩いわよ!」
クリフトは、それから一時間近くマーニャとアリーナに弄ばれることになったという。



もちろん、このあとでマーニャがカジノですっからかんになったのは言うまでもない。
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