クリフトとアリーナの想いは @ wiki

2006.11.22_2

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kuriari

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クリフトのアリーナへの想いはPart6
549 :【破れ網タイツの運命】 ◆cbox66Yxk6 :2006/11/22(水) 16:26:05 ID:W/oUYed30

「アリーナさん、その網タイツお捨てになるのですか?」
よろしかったら私にください。
そういって微笑むトルネコに、アリーナは小首を傾げる。
「え、でも、これ破れてるし。……第一、トルネコさん、装備できないでしょ?」
アリーナの至極尤もな返答に、トルネコはでっぷりと太った腹を揺らして笑った。
「えぇ、確かに装備できませんよ。できたとして、見たいと思う人はいないでしょうが」
苦笑交じりにそう言うと、トルネコは人のよい顔に少し困惑の色を滲ませる。
「……まぁ、こんなことを一国のお姫様に申し上げるのもなんだとは思ったのですがね。
ついついもったいない精神が働いたというか、まだ使えるのに捨てられる姿を見るのが忍びなかったというか。その……破れたタイツでも使い途はあるんですよ」
「破れているのに?」
アリーナの疑問にやんわりと笑うと、トルネコはアリーナが思いつきもしなかった破れタイツの使用法を、身振り手振りを交えて伝えた。
「たとえば、こう玉ねぎを入れまして、ひとつずつ結んでいくんですよ。で、使うときにひとつずつ鋏で切って……まぁ早い話、風通しのよい保管袋になるんですよ。他にも、こう丸めてスポンジの代わりにしたり……」
トルネコの話を黙って聞いていたアリーナは、その話のすばらしさに眼を輝かせ、にっこりと笑った。
「わかったわ。じゃ、このタイツ、トルネコさんにあげる」
その言葉にトルネコはとても嬉しそうに頷いた。
「そうですか。では大切に使わせていただきますね」

アリーナが歩み去ったあと、トルネコは己の手の内にある黒い物体を見て何度も頷いた。
「でもね、アリーナさん。もっとも有効な使い途は……」
そこまで言うと鼻血を噴いて寝込んでいる青年を思い浮かべ、抜け目ない商人の顔を覗かせた。

「さて、いくらに化けてくれるんでしょうね」

価値のないものに、価値を生み出す。それが一流の商人。
トルネコがただで手に入れたもの、それは彼の手によって世界一高価な『破れ網タイツ』
となる運命のようだ。
                                      (終)
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