クリフトとアリーナの想いは @ wiki

2006.07.05

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kuriari

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クリフトのアリーナへの想いはPart5
556 :【仲直り】1/2 ◆cbox66Yxk6 :2006/07/05(水) 10:56:38 ID:bEx0EcEk0

―――――いつも仲良しな二人が喧嘩をした。
そんな報がサントハイム城を駆け巡ったものの、城の者たちは「すぐに仲直りするだろう」と笑って流した。しかし、数日の後には問題が深刻化し、大臣が胃薬を片手に彼らに近しい者のもとへ駆け込むこととなる。
「お願いです。何とかしてください!!」


数時間後、王の執務室にブライとクリフトが現れた。
執務室の中にはアリーナとサントハイム王。
アリーナは腕組をして、サントハイム王は溜息をついて彼らを出迎えた。


大臣が胃薬を持って駆け込んできたとき、彼らはのんびりとお茶の時間を愉しんでいた。
忙しい日々の幸福なひと時を邪魔されたふたりは渋い顔をしたものの、サントハイム一大事とあっては動かざるを得ない。
いい歳して周りまで巻き込んで喧嘩するとは、と溜息を覚えたが、彼らの意地っ張りな性格を思えば、これ以上悪化する前に手を打つしかなかった。
ふたりはおのおの説得すべき相手のもとを訪れ、そして再三の説得の上、漸く二人を対面させることが出来たのである。それに費やされた時間はもちろん彼らの休憩時間だったわけで。

往生際悪く、この期に及んで意地を張り通す二人に、説得組のふたりは顔を見合わせて、同時に溜息をついた。その溜息に気づいた二人が居心地悪そうに身動ぎした。そして気まずげに喧嘩相手に視線を送ると、おずおずと口を開いた。
「・・・・・・あの・・・」
「うっ・・・・・・・」
再び押し黙ってしまった二人を見て説得組のふたりも遂に切れた。
「お父様!!」
「ブライ様!!」

「「『ごめんなさい』は?」」


そう、喧嘩をしていたのはサントハイム王とブライ。ちなみに喧嘩の理由は、王がブライの大切にしていた『梅昆布茶』を無断で飲み、それに怒ったブライが王秘蔵の『塩せんべい』をやけ食いしたことに端を発す。
これが一介の人間のすることなら、何も仲裁役などいらないであろう。
しかし悲しいかな、サントハイム王とブライは王国にとって最重要人物であり、それ故、王とブライの不仲はサントハイムの政治の中枢を直撃し、非常に厄介な事態を引き起こしていたのだ。


ふたりっきりの甘いティータイムを愉しんでいたアリーナとクリフトは、非常に機嫌が悪かった。
アリーナは腕組みをしながら父王を睨んでいたし、クリフトはいつもどおりの穏やかな笑顔を口元に浮かべていたものの、目は笑っていなかった。
アリーナとクリフトの剣幕に押されたのか、王とブライが同時に小さな声で呟いた。
「「ゴメンナサイ」」


仲良きことは美しき哉。
サントハイムを震撼させた世紀の大喧嘩はこうしてあっさりと幕を下ろした。
                                        (終)
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