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狂気

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人は皆、内なる狂気を抱えて生きている。

狂気とは人生の軌跡であり、重大な事柄を核とした結節点である。積み重ねた経験が、精神の中枢に狂気として結晶することで、その者の行動に、微細だが決定的な影響を与える。

実際のところ、これらのほとんどは狂気としてではなく、嗜好、信仰、思想、恋愛感情、職業意識などの性格として扱われることが多い。その度合いは様々で、ある物は単なる好み、あるものは抗えないほど深い精神の傷である。

狂気の深さはランクによって表現され、ランクが高くなるほど極端になる。3は行動規範程度、5で堅い信念程度、7で盲信程度。8は命を賭けることに何らの躊躇もない狂信の域である。
とはいえ、内に抱えた狂気によって実際に発狂してしまうまでには、かなりの余裕がある。

例1
幼い頃の彼女は貧しく、テレビの中で見る流行にいつも憧れていた。
学校で皆に馴染めなかったのは、古臭い服や貧しい生活のせいだと今でも信じている。
独立し、能力を認められてある程度裕福になった今でもその思いは残り、彼女は今も、流行と金銭を追い続けている。
≪ランク5:流行に対する強迫観念的な追従≫≪ランク4:金銭価値を判断基準の上位に置く≫

例2『献血有理』
学生。恋人が不死者となり、彼女をサポートするためにSIACに入った。暇を見つけては献血活動の最前線で尽力している。
不死者への蔑視から、彼自身もまた危険に晒されることがあり、そのため祖父が青春時代に使っていたヘルメットと、手頃な角材を持ち歩いている。最近では献血の看板や啓蒙活動の横断幕のため、ハケ使いも堂に入ってきた。
「コレはゲバ棒じゃなくてグライダーの骨ッスよ!」
≪ランク5:恋人のためならあらゆる労力を惜しまない≫≪ランク3:祖父の影響で学生運動的な表現に共感している≫


狂気の種類

狂気は精神的な拠り所である。
宗教的な信仰心がその代表例であるが、出世欲のために並ならぬ努力をする、恋人のために死の恐怖を振り払って前進するなど、なにか強く信じることがあれば、人は強くなれる。

同時に狂気は精神の鎖である。
信じることは、そのことに囚われるということだ。狂信のあまり妥協ができない、欲望のために正常な判断を誤るなど、強い狂気は精神を縛る。

明確にな線引きができるものではないが、狂気は概ねいくつかの種類に分けられる。


  • 狂気(普通の狂気)
ほとんどの狂気は普通の狂気である。
嗜好、信念、約束、情熱、恋愛、恐怖、思想、愛着、禁忌などのほか、侮りや軽視などの感情も含まれる。
おおよそ全ての精神的な要素が狂気となり得る。

  • 抵抗(あるいは鈍化)
ある事柄を身に沁みて理解していることで、特定の事象に関していちいち注意を払わなくなること。
ガラスの壁のようなもので、過負荷がかかると割れてしまい効果を示さない。

生活の場が戦場である生粋の傭兵なら≪戦場の死体を見飽きている≫だろうし、≪降り注ぐだけの弾幕を恐れない≫だろう。しかしそれでも(ランクによっては)、見渡す限り積み重なった死体や、遮蔽さえままならない弾の壁となれば別である。
化学者は、普通の人々であれば一生関わることがないような≪危険な薬品の扱いに慣れている≫ため、それがどれほど危険であっても、注意を払いながら躊躇せずに扱う。だがそれも、その薬品が全く未知の極端な反応を示したり、地震で棚が倒れかかってくるような状況では別である。
≪自分が負けるはずがない≫と高を括っている者は、相手が何をしようと動揺せずにいられる。過ちに気付くまでは……
抵抗に属する狂気を持つ場合、対象が『狂気ランク未満ならば』対象となる事象を完全に無視『してもよい』。ただし無視しない場合でも、その見方が通常とは異なるのが普通である。端から見れば異様に見えるものの、経歴を知れば納得できる程度の物が多い。

  • 無理解(あるいは免疫)
ある事柄を理解しないが故に、特定の事象を気に掛けずに済むこと。漠然と理解できる半無理解と、全く概念の外に居る全無理解がある。

半無理解は、不死者が持つことが多い≪血を飲むことに対する嫌悪感の薄さ≫のようなものであり、ランクが上がるほど『ふとそれが異常なことだと思い出す』ような、意識に上らないものになってゆく。葬儀屋が、自分の仕事場で死体を見ても動揺しないのも同じである。

全無理解は、猫が持つ≪死を理解しない≫のようなものであり、その概念が初めから考えに上らない。猫からすれば死体であっても変わらず人間であり、動かないということは『中の人間』が別の人間に入ったのだ、としか思わない。悲哀の感情を示したとしても、それは婉曲表現ではない『別れ』のためである。
無理解に属する狂気を持つ場合、対象となる事象を完全に無視『する』。ただし端から見れば最も異常である。

  • 結局のところ……
全無理解を別にすると、全ての狂気の境界は非常に薄い。ある事象にとっては抵抗として働いた狂気が、ある事象には通常の狂気として働くことは充分にあり得るし、抵抗が有効なうちは半無理解と区別が付かない。
ややこしければ普通のと無理解だけでいいよ! 修正候補


狂気度

 八芒星のうち半分、すなわち四芒星を基本単位として構成される。
 人物像は、少なくとも四芒星を二つ重ね合わせた八芒星を自らの『狂気度』として持つ。リソースの限界は八芒星三つ分。
(付属のシートでは、4項目ごとの色分けが6個という表現)

狂気度の点灯

何らかの要因で精神的な損傷を受けた場合、損傷の強度(ランク)を星の鋭角が持つ円の中に記入する。これを点灯と呼ぶ。

一度に点灯する数は、最大で損傷の強度に等しい。最大数の場合、強度1の場合は1を一つ記入、強度3の場合は3を三つ記入する。
ただし、内なる狂気が弾けた場合を除き、最大数が点灯することは稀である。

全ての狂気度が点灯した場合、人物像は一時的、あるいは恒久的に正気を失う。
それが『PC』である場合、人物像は『PL』の支配を離れ、大抵の場合は取り除かれる。
正気を取り戻すのは、少なくとも点灯の数が最大値の半分以下になった時である。


狂気度の消灯

狂気度は普通、時間経過によって消灯する。
以下に消灯までのおおよその期間を示す(括弧内部は本来の値。本来の値がないものは、誤差程度のため利便性を優先した結果)
強度1 1時間
強度2 半日
強度3 9日
強度4 1月半(41日)
強度5 半年(140日)
強度6 1年
強度7 2年半
強度8 5年半
強度9 10年半
強度10 19年
強度11 33年
強度12 54年
強度13 86年
時間経過による狂気度の消灯は同時に進行するものではなく、1度に1つの狂気度しか消灯しない。

精神的な損傷の原因となったものを撃退および消滅させた場合、対応する狂気度を1つ消灯する。それらに際して、自身が中心的(あるいは決定的)な役割を果たしたならば、対応する狂気度をさらに1つ消灯する。

また、稀なことではあるが、特定の点灯を全て消灯するような世界観や認識の変化が訪れることがある。その場合、消灯した数と同じランクの内なる狂気を得る。この場合、ランクは8以上にはならず、8個を超えた分の点灯は消灯しない。消灯する点灯は、強度の低い順に選択する。


通常の狂気(精神)判定

狂気判定には、主因と副因という概念がある。
主因は精神的な損傷を与え得る要因のうち主要なもの、副因は主因を助長するものをいう。


  • 主因と副因
要因にはそれぞれランクがある。
主因はランクごとの基準値そのものを数値として持ち、副因はランクごとの基準値の半分を数値として持つ。

  • 場の狂気
喧嘩の現場や凄惨な殺人があった場所、暗い夜道など、場に狂気が渦巻いていることがある。そういった『場』は狂気を助長してさらなる狂気をもたらす。
ただし場の狂気はあくまで主因となる狂気を助長するものであり、原則として、場の狂気のみによって狂気判定を行うことはない。
例外は、場の狂気の原因が、恐怖症やフラッシュバックを誘発する場合のみである。

三点方式では主因か副因のいずれか、突発方式では大抵は副因と同等の効果を発揮する。最も要素が多い形では、『主因』『副因』『副因』『場の狂気』の合計となる。

  • 突発方式
原因となる事態が急で、状況を考える余裕がないときに用いられることが多い。
主因ひとつ(と場合によって場の狂気)だけで判定を行う。

  • 三点方式
三点方式は、おもに状況を考える余裕があるときに用いられる。
精神的な損傷にはランクがあり、それがそのまま主因となる。それを助長する要素が副因となる。副因は二つまで考慮されるが、場合によっては主因がひとつ、副因がひとつと定められることもある。。
『飢えた虎が自分を標的にして迫る』という状況であれば≪飢えた虎(戦力としての脅威)≫≪自分を標的にしている(自身の身の危険)≫を主因と副因に切り分ける。この状態で、≪対抗手段が見つからない(心理要因)≫などが加わると、副因が二つになる。
主因はランクごとの基準値を、副因はランクごとの基準値の半分を持つ。それらは合計される。

  • 判定方法
三点方式であれば、人物像は提示された要因に対し、自らの狂気や周囲の状況から主因と副因二つを選び出す。一点方式であれば、人物像は主因ひとつのみを選ぶ。
それらはGMが認めれば有効となり、要因の合計値から提示した主因と副因のランク基準値(副因の場合は半分)を差し引く(認められない場合は別の要素を選べる)。

減った数値を判定値として2D10による判定を行い、その値を狂気チャートと比較する。結果は同じクラスの狂気の中から任意に選択する。そして、指定された狂気度(KP判断により可変)を点灯させる。

精神抵抗値は、チャートのクラス自体を、数値に等しいだけ移動させられる。
しかしながら、狂気度の点灯四つごとにクラス自体を悪化させる。

狂気の深い状態でプレイする場合など、些細な原因であまりに重篤な症状を誘発することをよしとしない場合、移動させるクラスは、最大で三段階であるとしてもよい。


内なる狂気の崩壊

自分が強く信じてきたことに裏切られた場合、精神が被る反動は極めて大きくなる。失意のあまり自殺、裏切った恋人を惨殺など、感情に任せての極端な行動に出ることもあるだろう。
精神を守るためにより強い別の狂気に縋りつく場合もある。そうして狂気の度を深めていけば、最後に訪れるのは破滅でしかない。

崩壊

内なる狂気と矛盾する事柄を真実と考えるしかない状況に陥ったとき――具体的には、熱心なキリスト教徒が異形の神を神と認識した場合や、命に替えても守ると誓った恋人が目の前で殺された場合、復讐を誓った相手が完全な誤解だと知った場合などに――内なる狂気が崩壊する。

  • 崩壊を受け入れる
崩壊を受け入れた場合、即座に狂気ランクの基準値×2を判定値として狂気チャートを振る。さらに、狂気ランクと等しいだけの強度と数で、狂気度を点灯させる。
この効果は一切軽減できない。

  • 崩壊に抗う
目の前の真実から内なる狂気の崩壊を防ぐために、狂気を別の狂気で上塗りする。それは必ず、崩壊すべき内なる狂気に関連することでなければならないが、どの程度関連するかは人物像の持ち主に任されている。
いずれにせよ内なる狂気は設定し直され、その際、狂気ランクは+1あるいは+2される。
人間が持てる狂気ランクの限度は8であり、それを超えるような抗いかたはできない。

  • 自然崩壊
狂気となっていた長年の目標を果たしたときや、復讐を遂げたときなど、内なる狂気が緩やかな崩壊を迎える場合がある。
その場合、即座に狂気ランクの基準値を判定値として狂気チャートを振る。この際、場にそぐわない結果は無視してもよい。
その後、狂気ランク-1の強度と狂気ランクの半分の数で、狂気度を点灯させる。ただしこの点灯は狂気として機能しない。
この効果は一切軽減できない。
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