――――2月14日、バレンタインデー。
これもまたクリスマスと同様、大多数の人にとって……何より恋する乙女にとって、とても大事な日だ。
そして、ここ“ロボスレ学園”にも――――
これもまたクリスマスと同様、大多数の人にとって……何より恋する乙女にとって、とても大事な日だ。
そして、ここ“ロボスレ学園”にも――――
ロボスレ学園:血のバレンタイン
2月13日(土)、バレンタイン前日、3年B組、帰りのホームルームにて。
授業という戦いに耐えた学生という名の戦士達が、戦いの終わりを謳歌し、明日のバレンタインへ向けて戦力を整えようと闘志を燃やしている、その時だった。
「おいおまえら、席につけ」
金髪ポニテの、ジャージ姿の女性教諭が教室に入ってきた。担任の玉藻・ヴァルパインだ。
何人かは注意に従ってちゃんと着席したのだが、一部のやんちゃな生徒達は未だ騒がしいままだ。
「Shut Up!! 口でクソ垂れてないで着席しろ糞餓鬼共! おまえら一応受験生だろうが! 態度不可にされたくなかったらとっとと座れ! 話し掛けられた時以外は口を開くな! Do you maggots understand that!?」
あー……、ちなみに担当は英語である。
なんか教室の後ろのほうでどっかの海上都市で重装甲強化服を乗り回してそうな屈強な腐れマラの皆さんが「Ma'am! Yes! Ma'am!」なんて言っていたような気がするが、気のせいだ、多分。
さて、たまちゃんの某軍曹っぽい叱咤によって静寂を取り戻した教室内は、次の瞬間再び騒然となった。
「明日はバレンタインだ、せいぜい満喫するといい。だが、翌日の月曜に不要物を持ってくる事は断固として許さん」
教室中からブーイングの嵐が巻き起こ
「Shut Up!! 帰りたくないのか、腐れマラ共!」
ったのは一瞬だった。
※当然女の子もいます。あと、なんか教室の後ろで「Ma'am! No! Ma'am!」と屈強な(以下略)
そんなこんなで、学校にチョコを持ってくる事は禁止となった。
だが、バレンタインは休日だ、カップルにとっては特に問題はない。だが――――
授業という戦いに耐えた学生という名の戦士達が、戦いの終わりを謳歌し、明日のバレンタインへ向けて戦力を整えようと闘志を燃やしている、その時だった。
「おいおまえら、席につけ」
金髪ポニテの、ジャージ姿の女性教諭が教室に入ってきた。担任の玉藻・ヴァルパインだ。
何人かは注意に従ってちゃんと着席したのだが、一部のやんちゃな生徒達は未だ騒がしいままだ。
「Shut Up!! 口でクソ垂れてないで着席しろ糞餓鬼共! おまえら一応受験生だろうが! 態度不可にされたくなかったらとっとと座れ! 話し掛けられた時以外は口を開くな! Do you maggots understand that!?」
あー……、ちなみに担当は英語である。
なんか教室の後ろのほうでどっかの海上都市で重装甲強化服を乗り回してそうな屈強な腐れマラの皆さんが「Ma'am! Yes! Ma'am!」なんて言っていたような気がするが、気のせいだ、多分。
さて、たまちゃんの某軍曹っぽい叱咤によって静寂を取り戻した教室内は、次の瞬間再び騒然となった。
「明日はバレンタインだ、せいぜい満喫するといい。だが、翌日の月曜に不要物を持ってくる事は断固として許さん」
教室中からブーイングの嵐が巻き起こ
「Shut Up!! 帰りたくないのか、腐れマラ共!」
ったのは一瞬だった。
※当然女の子もいます。あと、なんか教室の後ろで「Ma'am! No! Ma'am!」と屈強な(以下略)
そんなこんなで、学校にチョコを持ってくる事は禁止となった。
だが、バレンタインは休日だ、カップルにとっては特に問題はない。だが――――
喪盟のメンバーは、違うのだ。
♪ ♪ ♪
放課後、3年B組にて。
「――――なぁ、どうすんだよ」
喪盟がリーダー、マスター草川こと草川 大輔が呟いた。
「どうするって……なぁ?」
「いや、俺に振るなよ」
喪盟のメンバー、ライことライディース・グリセンティとタカ坊こと鈴木隆昭、バカこと松尾亮也が顔を見合わせる。
「学校にチョコを持ってきちゃいけないだなんて、有り得ないだろう!? もうこれファッキンティーチャー共の嫌がらせでしかねぇよ!」
「はいちょっと待ってマスター、たまちゃん混じってる、たまちゃん混じってるから」
「ああ、落ち着け草川」
「そうだぞ、まずは落ち着けって」
怒り狂うリーダーを落ち着けようと、なだめすかす喪盟のメンバー達。だが――――
「これが落ち着いていられるものかよオラァァァァァァァ!!」
マスターくさかわ は すでに さくらん している!
「お前らはいいよな! ひとつ屋根の下で女の子と過ごせてよぉ! あぁ!? 義理チョコとか貰えんだろう畜生このやろう! タカ坊は」
「お前までタカ坊言うか」
「メルフィーちゃんにマチコさんに姉ちゃん、何より会長! 勇者ライディーンは」
「僕はゴットバードチェンジしねぇよ」
「遥先輩にヴァイス先輩、珍じゅ……リタ先輩、まどかちゃん、彼方ちゃん、たまちゃん先生に! チョコを貰える可能性が! 高いんだからな!」
他にも心当たりがあったりしたが、一応二人は黙っておくことにした。火に油を注ぐのはよくない。
「なあ俺は?」
「ばっ、馬鹿。あくまで可能性だろ? 確実じゃないって」
「そうそう、ライの言う通りだ……つかライ羨ましいな、なんでお前ばっか……」
「いやなんでそうなるの!? というかアレだからね!? 約一名チョコという名のBC兵器作るからね!?」
「なあ俺は?」
「うるせぇ、戦いは数だよアニキ!」
――――もう、何が何やら。仲間割れを起こして崩壊寸前であった。
「――――なぁ、どうすんだよ」
喪盟がリーダー、マスター草川こと草川 大輔が呟いた。
「どうするって……なぁ?」
「いや、俺に振るなよ」
喪盟のメンバー、ライことライディース・グリセンティとタカ坊こと鈴木隆昭、バカこと松尾亮也が顔を見合わせる。
「学校にチョコを持ってきちゃいけないだなんて、有り得ないだろう!? もうこれファッキンティーチャー共の嫌がらせでしかねぇよ!」
「はいちょっと待ってマスター、たまちゃん混じってる、たまちゃん混じってるから」
「ああ、落ち着け草川」
「そうだぞ、まずは落ち着けって」
怒り狂うリーダーを落ち着けようと、なだめすかす喪盟のメンバー達。だが――――
「これが落ち着いていられるものかよオラァァァァァァァ!!」
マスターくさかわ は すでに さくらん している!
「お前らはいいよな! ひとつ屋根の下で女の子と過ごせてよぉ! あぁ!? 義理チョコとか貰えんだろう畜生このやろう! タカ坊は」
「お前までタカ坊言うか」
「メルフィーちゃんにマチコさんに姉ちゃん、何より会長! 勇者ライディーンは」
「僕はゴットバードチェンジしねぇよ」
「遥先輩にヴァイス先輩、珍じゅ……リタ先輩、まどかちゃん、彼方ちゃん、たまちゃん先生に! チョコを貰える可能性が! 高いんだからな!」
他にも心当たりがあったりしたが、一応二人は黙っておくことにした。火に油を注ぐのはよくない。
「なあ俺は?」
「ばっ、馬鹿。あくまで可能性だろ? 確実じゃないって」
「そうそう、ライの言う通りだ……つかライ羨ましいな、なんでお前ばっか……」
「いやなんでそうなるの!? というかアレだからね!? 約一名チョコという名のBC兵器作るからね!?」
「なあ俺は?」
「うるせぇ、戦いは数だよアニキ!」
――――もう、何が何やら。仲間割れを起こして崩壊寸前であった。
「ちくしょうお前らもう喪盟から出ていけ――――!」
「なあ俺はぁぁぁぁ――――!?」
♪ ♪ ♪
一方、女の子組は。
――――昇降口にて。
「ねぇねぇシロちゃん」
「はいはいなんでしょう遥さん」
なんだか凄く嬉しそうな顔で近付いてきた遥を、いつも通りの冷めた目で見るヴァイス・ヘーシェン。
どちらも小学生と見紛うような外見だが、これでも一応受験生である。もう受験終わったけど。
「帰りにみんなでチョコの材料、買いに行こうよ」
「Why?」
「ほら、明日バレンタインだし」
「ギャレンタインですか」
「バ レ ン タ イ ン だ し」
続いてポニーテールが眩しい少女、メリッサ・ファルシオンがヘーシェンに近寄った。
「ああ、そういえば明日は聖ヴァレンティヌスが処刑された日でしたね」
「いや、まあ確かにそうだけど、日本人的には違うじゃない」
「ああ、ユニウスセブンに、青き清浄なる世界のためにと核ミサイルがブチ込まれた日ですね!」
いつの間にかそこにいた珍獣ことリタ・ベレッタ。
「正直あの世界の人間はおかしいと思います」
「いや何言ってんのあんた達。てかあんた達がそれを言うか」
こめかみに手を当てながら、ジュリア。
「でも、学校にチョコ持ってきちゃ駄目なのよね。私は雪人にあげるだけだからいいけど……」
苦笑しながら、由希音。ちなみに雪人とは彼女の弟の事である。そう、彼女はブラコンなのだ。
「あれ? 全裸教師にはあげないの?」
黒髪ロングの宮部 都が首を傾げた。
ちなみに全裸教師とは、ファルバウト・バギンズという外国人教諭の事だ。あだ名の通り露出癖がある変態である。が、生徒からの人気は高い。最近ユトの兄とつるんでいるらしいが、それはまた別のお話。
「どっちみち学校にチョコは持ってけないし……あ、そうだ!」
由希音がポンと手を打った。
「どうしたの? 紫藤さん」
「没収されたチョコって、どうなると思う?」
「もったいないから、先生達が食べるんじゃないか?」
「そう、つまり、そのチョコにちょこっと細工をね」
ああ、チョコだけに、と納得してから、場にいた全員の視線がリタに集中する。
「ねぇ、リタちゃん?」
「はい、なんでしょう!」
ちなみにリタは壊滅的に料理が下手だったりする。
「人数分だけチョコを作ってきて欲しいんだ」
するとリタはしばし黙考し、
「食堂で今度奢ってあげるから」
「いいでしょう! その依頼、引き受けます!」
物に釣られてすぐに落ちた。
「はいはいなんでしょう遥さん」
なんだか凄く嬉しそうな顔で近付いてきた遥を、いつも通りの冷めた目で見るヴァイス・ヘーシェン。
どちらも小学生と見紛うような外見だが、これでも一応受験生である。もう受験終わったけど。
「帰りにみんなでチョコの材料、買いに行こうよ」
「Why?」
「ほら、明日バレンタインだし」
「ギャレンタインですか」
「バ レ ン タ イ ン だ し」
続いてポニーテールが眩しい少女、メリッサ・ファルシオンがヘーシェンに近寄った。
「ああ、そういえば明日は聖ヴァレンティヌスが処刑された日でしたね」
「いや、まあ確かにそうだけど、日本人的には違うじゃない」
「ああ、ユニウスセブンに、青き清浄なる世界のためにと核ミサイルがブチ込まれた日ですね!」
いつの間にかそこにいた珍獣ことリタ・ベレッタ。
「正直あの世界の人間はおかしいと思います」
「いや何言ってんのあんた達。てかあんた達がそれを言うか」
こめかみに手を当てながら、ジュリア。
「でも、学校にチョコ持ってきちゃ駄目なのよね。私は雪人にあげるだけだからいいけど……」
苦笑しながら、由希音。ちなみに雪人とは彼女の弟の事である。そう、彼女はブラコンなのだ。
「あれ? 全裸教師にはあげないの?」
黒髪ロングの宮部 都が首を傾げた。
ちなみに全裸教師とは、ファルバウト・バギンズという外国人教諭の事だ。あだ名の通り露出癖がある変態である。が、生徒からの人気は高い。最近ユトの兄とつるんでいるらしいが、それはまた別のお話。
「どっちみち学校にチョコは持ってけないし……あ、そうだ!」
由希音がポンと手を打った。
「どうしたの? 紫藤さん」
「没収されたチョコって、どうなると思う?」
「もったいないから、先生達が食べるんじゃないか?」
「そう、つまり、そのチョコにちょこっと細工をね」
ああ、チョコだけに、と納得してから、場にいた全員の視線がリタに集中する。
「ねぇ、リタちゃん?」
「はい、なんでしょう!」
ちなみにリタは壊滅的に料理が下手だったりする。
「人数分だけチョコを作ってきて欲しいんだ」
するとリタはしばし黙考し、
「食堂で今度奢ってあげるから」
「いいでしょう! その依頼、引き受けます!」
物に釣られてすぐに落ちた。
――――三日後、ロボスレ学園が休校になったのは言うまでもない。
♪ ♪ ♪
おまけ
雪が、降っていた。自分の長い髪をつまんで、それが雪と同じ白だという事をなんとなく確認する。
緊張は、していないと言えば嘘になるだろう。まあ、ほんの少し、ほんの少しだけなんだけど。
景色も白い、吐く息も白い。
――――ああ、今日は寒いなぁ。なんて事をぼんやりと考える。
今頃やおよろず荘ではリタがBC兵器を大量生産中だろう。おそらく明後日は休校だ。
だがそんな事は今は関係ない、迫るその時に集中しようではないか。
霜を踏む時の、ざくりという足音が近付いてくる。
きた――――!
嬉しくてほっぺが緩みそうになるのをぐっと堪える。キャラが崩れるのは、よくない。
「よう、ヘーシェン。どうしたんだ? 呼び出したりなんかして」
やってきたのは、赤い髪の青年だ。
「せっかくのバレンタインなので、私も浮かれてみようかと思いまして」
頑張ってラッピングしたチョコを渡す。大丈夫、いつもの顔、いつもの顔。
「おお、珍しいな。サンキュー、ヘーシェン」
「ホワイトデー、期待してますよ」
照れ隠しに、手を握って急接近。
「おう、任せろ。男の料理ってやつを見せてやんよ! ルガーがな!」
青年の傍らで、白い恋人がクスリと笑った。
「他力本願なんですね、最低です」
緊張は、していないと言えば嘘になるだろう。まあ、ほんの少し、ほんの少しだけなんだけど。
景色も白い、吐く息も白い。
――――ああ、今日は寒いなぁ。なんて事をぼんやりと考える。
今頃やおよろず荘ではリタがBC兵器を大量生産中だろう。おそらく明後日は休校だ。
だがそんな事は今は関係ない、迫るその時に集中しようではないか。
霜を踏む時の、ざくりという足音が近付いてくる。
きた――――!
嬉しくてほっぺが緩みそうになるのをぐっと堪える。キャラが崩れるのは、よくない。
「よう、ヘーシェン。どうしたんだ? 呼び出したりなんかして」
やってきたのは、赤い髪の青年だ。
「せっかくのバレンタインなので、私も浮かれてみようかと思いまして」
頑張ってラッピングしたチョコを渡す。大丈夫、いつもの顔、いつもの顔。
「おお、珍しいな。サンキュー、ヘーシェン」
「ホワイトデー、期待してますよ」
照れ隠しに、手を握って急接近。
「おう、任せろ。男の料理ってやつを見せてやんよ! ルガーがな!」
青年の傍らで、白い恋人がクスリと笑った。
「他力本願なんですね、最低です」
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