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「エゼキエルさん風に書いたロボット戦」

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 天座す日輪が黒き雲に遮られる直下、それはあたかも水中の魚のように、しかして羽毛のような静けさを持って大空を飛んでいた。
 身の丈は樹よりも大きく、胴体から一方に向かい二本の脚、反対側にしなやかなる二本が生えていた。輪郭は甲冑のようであり、貝殻を乱雑に積み重ねているように見受けられた。
 不思議なことに、かの者いくところ体から白い雲が生まれ出る。
 あたかも稲妻のように鋭角に曲がりながら、かの者は大いなる力を振るった。
 空を二分するかと思われた眩い光が生じるや、かの者の手から剣となり大気つんざく轟音と、神の息吹を巻き起こし地上を舐めた。空に浮かぶ雲は断ちきられ、たちまちかの剣に飲み込まれた。
 剣を受けるは、数えきれない翼を持つ者。
 翼は四方八方に伸ばされ、その先には動物の瞳のようなものがあった。その瞳眺める先に大いなる剣があった。
 数えきれない翼の根元には、車輪が二つあり、中央に大いなる力を有する不可思議な太陽があった。太陽は目がくらむほどの栄光を振りまき、渦巻く二枚の車輪を自在に操っている。
 剣で斬らんとした者が一度切っ先を収めるや、次に卵のようなものを見えざる手で投げつけた。それは魚の嘴を背後に持ち、火山の噴火のように煙を吹きながら殺到した。
 見よ、光を。
 太陽すら翳る大閃光が卵から孵化した。天地の境を蹴り飛ばしたかと錯覚する一撃。怒りが周囲に並び、たちまちかの翼を持つものの下の大地が膝をつく。流星が天から落ちる。空気が怒り声を上げ、大地を這う者どもをあっという間に薙ぎ倒す。近くに居た者どもは大いなる光を受け跡形も無く消え去ってしまった。見る見る内に死を孕んだ雲が産声をあげた。全てが死で覆われてしまった。何もかも死で覆われたが、彼らの戦いの前の戦いで命あるものは大方奪われてしまっていた。
 放った存在も放たれた存在も血を流すこともなく戦いを再開した。
 何やら、硝子細工のようなもので身を守った翼を持つものに、肢体を持つものの呼びかけでたちまち意思を持つ剣達が集まり襲いかかった。
 だが、翼を持つ者の翼が睨みを利かせると、剣達は委縮して次々に壊されていった。
 剣を持つものは、剣に祈りと力を込めて握り直すと、一撃を食らわす為に斬りかかった。

 わたしに傷をつけるか。
 お前はここで私に倒されてしまえ。

 そのような会話があったかを察することは畏れ多い。
 翼を持つ者の前に精霊達が一枚の壁を張った。剣が押しとどめられる。剣を持つ者の体が聖なる光を放つ。空を覆い尽くすほどの竜巻が数千と生じ、彼らは弾かれた。
 剣を持つものを、数えきれない翼を持つものが嘲笑した。
 すると、翼の瞳が瞬いて、車輪と車輪が擦れ合い、狼の大群が一斉に吠えるような声をあげた。後光が差す。小さき太陽が突如、天に座す太陽そのものであるかのように膨れ上がり、剣を持つものを熱で飲み込もうとした。
 剣を持つ者はまた剣達を呼んだが、後光に飲み込まれて地に叩き落とされた。火炎で包まれる穢れた場所に。
 彼の体は傷ついているようにみえた。
 すかさず翼を持つ者は自らの翼をはためかせると、今は閉じてしまっている瞳をあけようとした。それは太陽の体の表面にあり、人の目の奥が広まるようにして道を開け、筒のような、漆黒のものを取りだした。
 見るからに強き力を有しているのが分かった。筒のようなものを流星が手を繋ぎ円を作る。見る間に太陽は光を失い、筒の先に理解しがたきなにものかの手が現れたように思えた。虹を煮詰めたようだった。
 剣を持つものが立ち上がり、己の武器、剣を持ち上げると、流星群を寄り合わせたような剣を作り上げた。切っ先は、見ることができない。なぜなら地平線の彼方まであり、山を貫いているようにみえた。
 狼の吠え声と、大水が人々を苦しめるかのような音が、轟いている。
 剣を持ちしものは、剣を高々と掲げると、その身を神なる意思に包み宙に造られた階段を駆け上がるように突撃した。
 翼を持ちしものは、筒の先から伸ばされた手で、制裁を食らわそうとした。
 天が裂かれた。輪が広がる。音は大地を抉り、地表の雑多なものを跡形も無く消してしまった。踊り狂う疾風が絶叫した。雷電が彼らの戦いで生み落とされた。それらは水晶を割ったかのような甘美な讃美歌を謳い、理を揺らした。
 剣は、翼を持ちしものを半ばから斬り裂いていた。
 翼が燃える。太陽が燃える。手が燃える。車輪が驚き、たちまち軸を失うと、逃げ出してしまった。そして彼は大地に落ち、召されてしまった。
 剣を持つ者は、武器を掲げ勝鬨を上げた。

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