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第1章


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朝日が窓から差し込んでいるのに気が付いて、VIPは目を開けた
少しだけ頭の中がぼやけている感覚があったが、少ししたらすぐ目が覚めた
目が覚めるのと同時に何でこんなに早い時間に起きたのかということを思い出してVIPは急いでベットから飛び降りた
そういえば今日は日曜日じゃない、月曜日だ!
「やっべ、急がないとまたガイドラインに怒られる!」
VIPは時計を見ながら急いで制服に着替える
時計は既に8時15分を回っていて、あと5分以内に家を出ないと完璧に遅刻だ
「お兄ちゃん!早くしないと僕、先に学校にいくからね」
「ちょwww待ってwwww俺もすぐ着替えるwwww」
靴を履いている音を聞いてVIPは急いで部屋から飛び出し転がるように階段を下りた。
玄関に弟の天国の姿があり、VIPは息を整えながらすぐに靴を履く
「かばんは?」
「いらねぇよ!学校に全部おいてあるから!」
「ふぅん」
天国は先に玄関を開けると外に出ていく、VIPも急いで家を出て扉に鍵をかけた

急いで外に出たのもあって歩いても十分に間に合う時間だった
2ch高校のVIPは2年、天国は1年生だ
2ch高校には2ch中学があり、エスカレーター式に上がれるようになっている
VIPは2ch高校の中でも良く知られる『馬鹿』として有名だ
楽しいことはやるが嫌なことは絶対にしない
授業中によく教室を抜け出したりとやりたい放題しているのだ
「お兄ちゃん、これ、パンだけど」
「なんだよ?」
「いや、お腹減ってるかなって思って」
「持ってんならさっさとよこせ!」
VIPは天国の手から素早くパンを奪うと自分の口に運んだ
天国はVIPの行動は毎日のように見ているせいか嫌な気分だったがまぁいいかと許してしまう
「・・・ありがと」
ボソボソと呟くのが聞こえるが、聞こえないようにしてないとまた怒るからVIPには世話が焼ける
実際天国の方が大人びていてVIPは子供っぽいことが多い

「おーっす!VIP!今日は遅刻しないのかよ」
「おいすー」
「おはようございます」
VIPの挨拶に続いて天国が笑顔で挨拶をする
シベリアは自転車で徒歩の二人にスピードを合わせながら天国には笑顔を向けVIPの頭を軽く小突いた
VIPは丁度パンを食べようとしていたところで、小突かれた所為でパンが地面に落ちた
「あっー!」
「うはwwwごめんwwww」
「ちょっと署まで来てもらおうか」
VIPは落ちたパンを拾うとシベリアに向かって投げつける
天国は二人のやり取りをみて、いつもの事ながらよくこんな子供っぽいことができるなと思いながら見ていた
シベリアは笑いながら自転車でスピードを上げていってしまい、VIPは追いかけたが疲れたのか戻ってきた
「あれ?なんで戻ってきたの?」
「別に・・・悪いかよ!」
「べっつに」
笑いそうになったが、真っ赤になって反論するVIPに天国は笑いを堪えた
ちょっとした事を必死になって言い訳するVIPが天国には小さい弟を見ていると思えば許容範囲だ
VIPの行動に一々何癖を付けるのはラウンジくらいだ

ラウンジは見た目はお嬢様という感じだが、中身はVIPと同じようなものだ
楽しいことには目がないがVIPのやることは程度が低いと言って余り好きではないという感じ雰囲気を持っている
VIPは周りの言葉を聴かないし、周りの気持ちを考えることもしないから結構嫌われている
そのことにVIPが気がついていないのが現実なのだが
「ちょっと!邪魔なんだけど」
「あ?なんだよラウンコ!市ね!」
「うっさいゴミVIP!あーあ、朝から気分が悪いわ」
いつも同じ場所で会うんだから違う道通ればいいのにと天国は思いながら二人に巻き込まれない様にさっさと学校へ歩き続ける
一方VIPとラウンジは同じペースで歩きながら言い合いをやめない
毎日やっていてよく飽きないものだ、と天国は背中で言い争いを聞いていた
「だいたい、あんた学校来る意味ないんじゃない!?」
「だったらお前が来るなよwwwwwラウンコwww」
「は?私は学校で勉強してるし!VIPは将来フリーターしかなれないから勉強しても意味無いか」
「俺の将来の夢は引き篭もりニートだっつーのwwwwwww」

「付いて来ないでよ!」
「付いてきてねぇよwwwお前が俺の前に居るのが悪いんだろwww」
「この変態!」
「ブヒヒ・・・すみませんwwww」
下駄箱に靴を入れながら二人は言い争いをやめない
学校に着くまでずっと言い争いで会話をしていて疲れないのかと周囲は二人を見ている
「まぁまぁ二人とも落ち着いて」
ボランティアはいつものように笑顔で二人に話しかける
話しかけなきゃいいのにと周りが思っていてもボランティアは話しかけずにはいられないのだ
喧嘩を止める事もボランティアだと思ってやっているんだから仕方が無い
「「だまれ偽善者」」
「酷いなぁ、僕は偽善者じゃなくてボランティストって呼んでよ」
「はいはい偽善者偽善者」
「じゃあボランティア君、ちょっと教室までカバンを運んでくださる?」
「よろこんで!」
ラウンジはボランティアの扱いを完璧に心得ているようで、荷物を全部持たせてさっさと教室へ入っていった
VIPは鼻で笑いながら二人の後ろについて教室に入った
教室の中はいつも一人で死んだように何かやっている●と小型のゲーム機を必死にやっているゲーム攻略がいた
後の奴は何人かでまとまって話をしていたり勉強をしたりしている
この二人が地味すぎてよく目立っていた、浮いているとも言えるが

「VIP!おーい、さっきは悪かったって」
「ん?なんだよシベリア」
「ほら、パン買ってきてやったぞ」
「うはwwwありがてぇwww」
VIPはシベリアからパンを貰おうと手を伸ばすがシベリアはさっとパンを持った手を引いた
VIPの手はどうしたらいいのかと空中で迷いながらゆっくり机の上に下ろされた
「半分やるってw」
「半分かよ!」
じゃあいらねーよ!っと言いながら右手を伸ばして枕にしながら寝た振りをしてるVIP
それを見てシベリアは「ほら」っとパンを半分伸ばしてる手に握らせる
VIPはパンを握って勢い良く顔を上げると嬉しそうな顔をしながらパンを盗られないようになのか急いで口に入れた
「別に誰もとらねぇよ」
「うっへぇ!」
「食いながら喋るなキタねぇ」
「把握」
VIPが食ってる間にシベリアはVIPの前の席に座って1時間目の教科書を鞄の中から取り出している
シベリアはこれでも成績は優秀な方で友達は多い、人望は薄い
隣の席にラウンコが座り斜め前に●が座っている
●は常にぼーっとしていて、座り方も椅子の上で正座なんかしてるような奴だ
とにかく変な奴だが悪い奴というわけじゃない、話しかける話題が誰にも無いだけだ

「さー席につけ、HR始めるぞ!」
教壇の前に立った少し年老いた雰囲気の先生は昔先生、このクラスの担任だ
2ch高校の昔先生は40代前半で娘もこの学校の1年に娘がいる
なんでも娘は結構可愛いらしいが、見たことはない
「VIPは今日は珍しく居るのか」
「悪いかよwww」
「これからも遅刻はしないように」
「把握」
VIPはため息を付きながらそういうとまた寝たフリをしながら窓の外を見た
今日は快晴のようで空には小さな雲がひとつだけ流れていた
遠くで虫の鳴き声がして、太陽はジリジリと地面を照りつけている
もう7月なんだな、そう思いながらVIPは窓から入ってくる気持ちの良い風を浴びながらゆっくり目を閉じた
昔先生が出て行ったのかまた教室の中がガヤガヤと音が戻ってくるような気がした
「VIP!こら!起きなさいよ!!」
「んだよ・・・」
「先生の話くらい聞きなさい!」
「うっさいなぁ、お前に関係ないだろ」
「・・・私は、アンタの為に言ってるのに」
「は?」
VIPは眠そうな顔をラウンジに向ける
ラウンジはその間抜けな声に怒りを覚えたのかVIPの頭に拳骨を落とす
「いったぁ・・・何すんだよ!」
「打ち所がよかったら頭が少しは直るんじゃないかと思って」
「このラウンコ・・・」
VIPはそう言ったは良いが何故か気が抜けたようなため息をついてまた寝る体制になった
いつもと違う反応にラウンジは驚いたような顔でVIPを見る
二人のやり取りを聞いていたシベリアも不思議そうにVIPの方を見た

「なんていうか、変なんだよな」
「何が?」
シベリアとラウンジは声が被ったが二人とも気にしなかった
「なんていうか、いっつも変な夢を見るんだよ」
「どんな?」
「どんなって言われてもなぁ・・・なんつーか、不気味な夢だよ」
不気味な夢?それをみてVIPがこんなに憂鬱になってしまうほどの夢?
二人は首をかしげた
どんなに酷い言い方をされても何倍にして返すVIPでも流石に夢には逆らえない
それが積み重なって精神的に疲れてしまったんだろ
VIPは少しだけ疲れたような顔をしてラウンジとシベリアの顔を見上げた

「なんていうか、職員室に突撃する夢なんだけど」
「・・・」
「・・・」
二人は本当に無言だった
本当に心配しているというのにこいつはそんな夢で悩んでいるのかと二人は顔を顰めている
「いやいや、職員室で何か見るんだ」
「テストの回答?」
「違う!!!」
ふざけながら言うラウンジにVIPは思いっきり声を張り上げて叫んだ
いつもと違うVIPの声にクラス全員が静かになってVIPの顔を見ていた
VIPはいつも笑顔が絶えないキャラだった、なのに変に緊張したような顔をしている
誰もが不審に思わない筈はなかった
「・・・とにかく職員室に一人で行くのも・・・って思って」
「職員室?俺は行かない。めんどい」
シベリアはひらひらと手を振りながら次の時間の教科書を開いている
虫の鳴き声がやけに近く聞こえた気がした
「しかたないなぁ・・・」
「・・・別にこなくていいっつーの」
「私も職員室に用事があるだけだから」
二人は職員室に向かって歩き出した

「何を見るの?」
ラウンジは不思議そうな声でVIPに尋ねるが、VIPは少し考える顔をしながら思い出そうとしているようだ
「なんて言えばいいんだ?なんか気持ちの悪い香具師がいて・・・」
VIPはそこまで言うと目を驚いたように開く
職員室の扉の前に不思議な雰囲気の男が立っていた
その男の服装を見ようとしたがVIPがその姿を観察する前にその男は一瞬で消えうせた
「どうしたの?」
「さっき・・・のなんだ?」
頭を押さえながらVIPは自分を落ち着かせようと深くため息をついた
夢だとどうなるんだっけ?この後、俺は、職員室で、何だろう・・・?
「保健室、いく?」
「うっせぇな!ラウンコ!職員室いく」
心臓の音がまるでドラムでも叩いているかのように早く大きく感じて虫の鳴き声が血の流れる音に聞こえた
普通に歩いているだけなのに空気がやたらと重い
しかも誰一人廊下にいないのだ
授業はまだ始まっていないっていうのに・・・

職員室の扉の前で気持ち悪いような感覚に襲われた
これを開けたらもう戻ってこれないような気がする
それならラウンジだけでも教室に戻らせた方がいい気が・・・
「あ、もう授業始まるんじゃないか?」
「え?あ!やっば!早くしてよVIP!」
「先に戻っといてwww」
VIPがいつもの様に笑いながら言うとラウンジは少しだけ顔を顰めた
いつもの笑顔とは違う、何かを隠しているような笑顔だった
「何言ってんの?私も職員室に用事があるんだってば!」
ラウンジの言葉にVIPは少し苦笑いしながら
「俺が用事済ませてやるって、用事って何?」
「余計なお世話!しなくていいから!さっさとしてよ!!」
一々区切りながら叫ぶラウンジにVIPは言葉を詰まらせる
「わかったよ・・・」
VIPは職員室の扉に手を伸ばし、少し力を込めて扉を開けた
ガガガっと削れるような音で扉が開き、開いた扉から昔の体がいきなり廊下に向かって倒れた
昔の胸には何かが刺さったような穴が開いていて、職員室の扉は血で固まっていた
あの削れる音は血が少し乾いてきていた所為だったのか・・・?
二人共何故か悲鳴を上げれなかった
不思議な感覚だった、どうしたら良いのか頭が理解できない
目の前にあるのは確かに自分のクラスの担任の死体なのに、頭では何もわかっていない
VIPは昔の死体を跨いで職員室に入った

職員室の中は血の海、まさにその言葉が合うだろう
真っ赤に染まった壁には赤いペンキをぶつけて書いたような文字が残っている
だが、その文字はなんて書いてあるかも読めなかった
何かが欠けていて読めないのだ
「・・・せんせい・・・?きゃぁぁぁぁああ!!!」
初めて口を開いたのはラウンジだった、叫びながらラウンジは床に座り込むと震えながら廊下の隅でガタガタ震えている
VIPは近くの掃除道具入れから壊れた箒の柄を持って口元を押さえながら職員室にある電話に手を伸ばす
こういうときは警察か!?救急車?119?117?どれだ!?
頭の中で混乱していて指が番号の前でふらふら彷徨っている
はやくはやくはやくはやく!!頭の中が爆発しそうなくらい心臓の音が大きく聞こえた
―ポタ―
何かが落ちてきた?電話機の番号の上に赤い点が落ちた
―ポタポタ―
2個、3個、赤が増える
―ボタボタボタ―
VIPは震えながら天井を見上げる
ポタポタと赤を流しながら首が背中から生えていて、両手両足で天井にへばり付いている不気味な生き物が居た
VIPは息を呑んだ
その生き物が口をあけるとボタボタと勢い良く赤が口から溢れて電話機の上に落ちる

「ギヒィィィィイイイ!!!!」
そうとしか聞こえない声だった
何かの悲鳴のような声、VIPは体から血が抜けるような感覚に襲われて床に尻餅を付く様に転んだ
恐怖、これが怖いってやつだろうか・・・
ホラー映画の主人公が幽霊に凸撃しない理由がわかった
本能的にわかってしまうんだろう、こいつには絶対に近寄らない方がいい、そうとしか思えなかった
その生き物が目の前に落ちてきて、電話機を押しつぶした
目は充血したように赤く血管が浮き出ている
口からは相変わらず血のようなものがダラダラと流れていた
「だ・・・だずげて・・・」
「ひっ」
声が出ない、怖い、その化け物は鼻と目から血を流しながらもう一度呟いた
「ぐるじい・・・だずげてよおおお!!」
いきなり飛び掛ってきたその生き物にVIPは何もできずに頭を両手で隠す
両手両足はかなりの太さがあり、人間とは思えないような力を持っているらしい
VIPは自分の目の前にある光景がスローモーションになって、そいつの苦しそうな顔を眺めていた
「ああ、ここで死ぬんだ」
そうとしか思えなかった
この状態で何が助けに来るって言うんだ?
正義の味方?伝説の勇者?なんでもいいから助けてくれ、昼飯くらい奢るから

不思議だこんな死にそうな状況なのに、心臓の音がとても高なるのがわかった
怖いからだと思ってた、だけどこれは違う
化け物の手がVIPに振り下ろされる
VIPの腹に爪が刺さってえぐられた所為で血が床に散らばる
「は・・・っは・・・っは・・・っ」
まるで呼吸しかできないかのように血を流しながら苦しそうに息をする
辛うじて避けれたのは本当に運が良かっただけだ、漫画みたいにいきなり強くなるわけがない
VIPは出口に向かって思いっきり床を蹴った
VIPが出口に向かうのと同時に化け物はVIPが居た場所に向かって飛び掛り勢いあまって床に激突する
「ラウンジ!!!」
震えているラウンジの腕を掴むとVIPは走り出す
体力と足の速さだけは自信があった
小学校と中学校では陸上部でマラソン大会で5位以下になったことはない
「早く!!」
ラウンジは震えている所為か走ることができない
職員室のドアを突き破って化け物の顔がこちらを覗くのが見えてVIPはラウンジの腕を強く掴む

ラウンジを引き寄せると自分の体から血が滝のように流れているのにも係わらず走り出した
自分が今まで走ってきた中で一番早く走っているような気がする
―ドンッ!トドンッ!―
まさに床が爆発を起こしているかのような音だ
―ズドン!―
真後ろで廊下が爆発したような音が響く、もうダメか・・・どうしようもない・・・
外に出る扉までまだ10メートルほどある
「うわぁぁぁああああ!!!!」
死にたくない死にたくない死にたくない!!!
頭の中で叫びながらラウンジを抱きしめて目を瞑る
もう、なんでも良い!死にたくない!まだ、何も、してないのに

あれ?死んでない
まだラウンジを抱きかかえてる自分がある
後ろには気配はしない、さっきのは夢だったんだろうか・・・?
息を整えながらVIPはゆっくりと出口に向かって歩き出した
吐き気がする、息をするだけで今にも倒れそうだ
「ラウンジ・・・おい」
「V・・・VIP・・・」
震えながら涙を目に溜めて顔を上げたラウンジは恐る恐る後ろを見て更に息を飲み込む
化け物が職員室の扉を突き破って化け物の顔がこちらを覗くのが見えた
.・・・どういうことだ?さっきもあの光景を見ていたのに・・・
とにかく逃げることが最優先だ!早く!早くしないと!!
VIPはラウンジを抱きかかえるように外へ出る扉に飛びつくと隙間から素早く外に出た
扉から出て一番近くにある体育館の倉庫にラウンジを連れて逃げ込んだ
逃げ込む瞬間閉めた扉を化け物が体当たりして突き破り出てくるのが見えた
落ち着け・・・落ち着け俺・・・
「VIP・・・まさか・・・」
「何もしないで死ぬなんて絶対に嫌だ」
「ダメ!一人にしないで!」
「ここに居ろ、絶対に大丈夫」
VIPは息を整えながら鉄の棒を手に取ると強くそれを握り締めた
冷たい鉄で目がさえる、やらなきゃ、いけないんだ
「あんな化け物、俺がちょちょいのぱーだ」

体育館の倉庫を出るとニタニタと笑いながら化け物がゆっくりと歩いていた
目と鼻と口から血を流しながら笑っている顔が不気味で気持ちが悪い
まさに夢に見そうな顔だ・・・
「そんなに面白いかよ!!」
「ギ・・・ヒヒヒ・・・」
ゾクゾクと背筋に寒気が走る
こちらへゆっくりと歩いてくる様子を見ると余程余裕を持っているのだろう
歩くたびにコンクリートが砂のように簡単に砕けるのが見えていた
一撃でもまともに当たれば命は無い
「うあぁぁぁぁぁ!!!!」
VIPは走りだし化け物に向かって一直線に距離を詰めた
化け物は相変わらず笑った顔のまま腕を振り上げ、VIPに向かって振り下ろされる
振り下ろされる腕に足が震えてまともに走れなくなるのを感じて目を閉じながら鉄の棒を振り上げて化け物の体に振り下ろした
VIPの体が簡単に吹き飛び、鉄の棒は空を切ったようでグルグルと回転しながら飛んでいった
コンクリートに叩きつけられる、息が出来ないほどの衝撃に体中の骨が砕けたんじゃないかと思うほどだ
「はっ・・・げほ・・・」
初めて血を吐いた
鼻の奥で鉄の臭いが広がって、腰の皮が弾けているのか背中がスースーとして痛い

くそ!こうなったらこれしかない!!
化け物がこっちを見るのを睨みながらVIPは両手を空に向かってかざす
「頼む・・・VIPPERのみんな!オラに元気をわけてくれっ!!」
化け物は驚いたような表情を作ると、口から血を撒き散らしながらこちらに注目しているようだ
「いっけぇぇぇ!!」
VIPは勢い良く両手を振り下ろし、自信がありそうな顔で化け物を見て笑ってみせる
化け物も何が起こったんだと言わんばかりに両手で顔を守るように両手を上げた
―ガンッ!ガンッ!グシャ!―
まるで硬かった物が潰れたかのような気持ちの悪い音が辺りに響き渡った
化け物の体が急に力が抜けたように両手を地面に下ろす
.・・・化け物の顔が潰れてる・・・だが潰れた顔も笑っていた・・・
化け物のすぐ後ろで肩で息をしているラウンジの姿があり、血で染まっていた

化け物に近づいて顔をよく見てみるとその顔はオカルトに似ている・・・
オカルトは樹海に旅立ったはずなのに何でここに居るんだ?
「ひひ・・・たすかった・・・」
最後にオカルトはそういうと闇に溶けるように消えてなくなった
ラウンジの手に握られていた鉄の棒は真っ赤に染まっていて、ラウンジはそれを力が入らなくなったのか落とした
「いてぇ・・・」
「・・・」
二人が腰を地面につけるのと同時に時間が動き出したかのように周りに音が戻ってきた
虫の声がする、太陽がジリジリとコンクリートを焼いてる
さっきまでの時間が本当に一瞬に思えた
「もう、終わり?」
「わかんね・・・」
VIPの体にある傷はまったく消えていない、あの化け物が壊した跡も・・・だ
学校の中が急に騒がしくなって、一階の教室から伝染したのか沢山の悲鳴が聞こえた
こんなに面白くない日は初めてだと思いつつ・・・VIPはその場に倒れた

「それで、オカルト君が化け物になっていて、昔先生や農学先生を殺した・・・と」
「はい・・・」
医歯薬看護先生はVIPとラウンジの話を丁寧に書き取ると優しい笑顔を向けた
「貴方達は悪くないわ、あんなこと二人ができるわけないもの」
医歯薬看護先生はそう言いながらVIPの包帯を巻き、ふぅっとため息をついた
「それでも、二人が生きててよかった・・・ホントによかった」
そう言って微笑んで涙で目を潤ませる医歯薬看護先生にVIPは少し頬を赤くする
ラウンジはその光景を見て少し不貞腐れた様な顔をしながら外を眺めていた
「おい!!二人とも大丈夫か!?」
シベリアは走ってきたんだろうか?息を切らせて保健室に飛び込んでくるとVIPの怪我を見て驚きを隠せない顔をする
「・・・さっきまで喋ってたのにもう昔先生ももう喋ることないんだって」
シベリアの言葉が静かに発せられ、カーテンが風に靡く音でその声も少し掻き消された
「昔先生、VIPのことを馬鹿だなんて一度も言わなかった」
VIPは何も言わずにシベリアの言葉を聴きながら、死ぬってそういうことなのか・・・と感じた
全てが過去のものになるんだ
自分が生きていたことも、全部、過去系にされる・・・?
「・・・生きてて、よかった」
シベリアがそう言ってくれてよかったと思えた
VIPは自分が泣いていることに気が付かなかった
いつも、もう死にたいだとか言ってるけど、あの時は思わなかった
生きたい、死にたくない、そう思っていたんだから・・・