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短編34

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「VIP!待ってってば!」
クラウンの声にVIPは服の襟を摘んでパタパタと扇ぎながら振り返る
虫が煩いほどの声で上からギャーギャー叫んでいて、その更に上で太陽がジリジリ照り付ける
コンクリートが鉄板の様になっていて、ミミズがミイラになって道路に転がっている
「なんだよ?」
「なんだよ?じゃないってば!」
VIPの真似をしながらクラウンはVIPの傍にズカズカと歩いてくるとふぅっと溜息を吐いた
なんとなく宿題でも写しにラウンジの家に行ったら見事にラウンジとは入れ違い、不幸なことにクラウンに捕まってしまった
クラウンはVIPの手を掴むと嬉しそうに笑う
その掴んできた手を握り返しながらVIPは不機嫌そうにそっぽを向いた
「何々?こんなに可愛い女の子とデートできるのに」
「えー・・・かわいくねぇもん」
「それは失礼だよ!」
手を離してクラウンはVIPを睨むと一人で歩き出した
VIPはそんなクラウンをみて溜息をつくとクラウンを追いかけて歩き出した
太陽がギャーギャー鳴いている様な、そんな気がした
いつもの駄菓子屋の前でクラウンが止まるのを見てVIPも足を止めた
「どうした?」
クラウンがアイスの入っている冷凍庫を指差すのを見てVIPの顔が引き攣る

「アイス」
「・・・アイス」
「奢って」
「・・・やだ」
しばらく二人の間を沈黙が流れ、太陽だけがギャーギャー叫んでいる
「だってだって、お小遣いもう20円だもん」
「俺だって200円しか持ってねぇよ」
二人が自分の全財産を見せ合うと、アイス1つの値段を見る
一番高いアイスが220円だ・・・220円・・・二人の所持金は220円・・・
「一緒に食べよ」
「俺の方がどう考えても多く出す事になるだろうが!」
クラウンはVIPを上目遣いで見上げながら強請る
「・・・うっざい!」
VIPの拳骨にクラウンは小さい悲鳴を上げると目に涙を溜める
また泣くのかと思ったが、何も言わずに目をゴシゴシ擦っている
      • はぁ・・・
VIPは駄菓子屋に入るとレモンの輪切りが乗ったカキ氷を買って外に出た
クラウンは何も言わずに目の周りを赤くして頭を擦っている
「ほら、これでいいだろ?」
「あ・・・」
「ありがとうは?」
「ありがと・・・」
クラウンの作戦にVIPがはまっている事にVIPは気が付いていない


「お兄ちゃん!VIPおにいちゃん!」
クラウンに腕を引っ張られてVIPは顔を引きつらせながら引かれる方に進む
携帯電話にクラウンからの着信があり、何なのかと電話をしてみればこの有様だ
ラウンジがいない間にケーキを作ったのだが、手伝ってほしいということだそうだ
それならお菓子に頼んだほうが良いような気もしたが、クラウンはまだ中学生か・・・
「で?俺は何をしたらいいの?」
「これを混ぜて!」
ボールの中にはほんのりと薄く甘い匂いのする液体のようなドロドロとしたものが入っている
それをぐりぐり混ぜろということか・・・テレビを見ながらVIPはグリグリ適当に混ぜる
「だめ!ちゃんとやってよぉ!」
「あーいあい」
ぐしゃぐしゃと混ぜだしたVIPをみてクラウンはテキパキと準備を進めている
どうやらクラウンも料理には結構自信があるらしい
ケーキも初めて作るものではないのだろう
「何ケーキ?」
「シフォンケーキだよ」
クラウンはうれしそうに笑いながら言った

綺麗に焼けた
オーブンをあけると綺麗な色をしたシフォンケーキが出来上がっていて、匂いが部屋いっぱいに広がる
準備していたクリームやイチゴ、バナナ、チョコレートをクラウンは嬉しそうに並べる
VIPはシフォンケーキを机の上で逆さまにしてコップの上に乗せる
「これでいいのか?」
「そうやって、冷やすの」
「ふーん・・・」
VIPはそう言うと背伸びとあくびを同時にする
手を洗って一息ついたクラウンはエプロンを外しているようだ
その姿になんとなくVIPは不思議な感覚を覚えた

綺麗にフルーツを盛り付けしてシフォンケーキに挟む、それを繰り返してケーキは完成した
シフォンケーキというのはケーキのスポンジだけというシンプルなケーキ
そのケーキを利用してなんでも作ることができる
「へぇ・・・うまそう」
「食べる?」
クラウンの声にVIPは食べる食べる!と嬉しそうに飛びつく
「はい」
フォークに刺したケーキをクラウンがVIPの口の前に持っていくとVIPがそれを食べる
しばらく無言で食べていたが、VIPは思い出したようにつぶやく
「うめぇうめぇ、お前も料理うめぇな」
「でしょぉ!」
クラウンのケーキは中々美味しかったがイチゴのヘタまで入ってました