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一つのドアがあった。
横には警備らしき人物が立っている。
ドアは鉄板やパイプで適当に作られており、何だか重苦しかった。
上には大きな文字で、「客室」と殴り書きしてある。
そして、そのドアに向かって歩いてくる人物三人が小さい点になる位まで見えてきた。
廊下はドアと同様、古くて質素で歩くたびに軋む様な廊下だった。
「で、あのドアの向こうに、さっき説明された第一施設総長・・・大総長殿が居ると?」
少年が前で案内する青年らしき人物に聞く。
「いや、まだ来てないよ、ゼロ君。」
「大総長には、無礼の無いように御願いします。」
青年の横で歩いている少女が注意する。
「分かってるよ、『キール総長殿』。」
ゼロと呼ばれた少年は鬱陶しそうに答えた。
「その態度が心配なんです。」
キールと呼ばれた少女はバカにする様に言った。
暫く2人とも睨み合った。
「大総長の前でも、そんな調子でやらないでくれよ?それこそ無礼だ。」
青年が茶化すように言う。
「やるワケないですよ、シロタカ。」
「そう言うヤツがやるんだろ?」
そしてさっきより鋭い視線で睨み合う。
シロタカと呼ばれた青年は、呆れ果てて溜め息をついた。
そうしている間に、さっきまで小さな点に見えたドアの前へと着いた。
「お疲れ様です、総長殿並びに副長殿。」
ドアの横に立っている警備と見られる人物が、キールとシロタカに挨拶をする。
「大総長は?」
「あともう少しで到着だそうです。」
それを確認したシロタカは、質素な鉄のドアを開いてキールとゼロを先に入れる。
「ん?俺はただの隊員だから、俺が自分でやらないといけないんじゃ・・・・。」
「今日は客扱いだからね。」
と、シロタカは丁寧に答えた。
ゼロは「ふぅーん。」とだけ言って、部屋の中へと入っていった。
部屋の中はドアや廊下とは違い、かなり豪華だった。
床には絨毯が敷いてあって、靴を履いていてもふわふわする。
家具も綺麗に装飾されていて、どこかの高級ホテルの様だった。
ゼロは驚いて暫く硬直する。
キールとシロタカは何も気にせず、部屋の真ん中の真っ白なソファーに座った。
そして、
「何突っ立っているんですか、早く座ってください。」
と、キールが強い口調で言う。
ゼロはムスッっとしながらイスに恐る恐る座った。


暫く待っていると、老化が軋む音が聞こえてきた。
その音は段々と大きくなり、ドアのすぐ向こう側まできて鳴り終わった。
ドアの横に立っている隊員と、他の誰か・・・多分歩いてきた人物の声がした後、ドアがゆっくりと開いた。
開いたドアの向こうには、一人の人物が立っていた。
歳は20代程だろうか、背もそれなりに高い。
モノクロの制服を着ており、体格は普通と言った所か。
綺麗な黒い髪は後ろで束ねてあった。
その人物が、やっと口を開く。
「どうも、初めまして。私が第一施設総長のケイン・ホークだ。」
ゼロの顔を見て、丁寧に挨拶をする。
「ゼロ・クラシスです。初めまして。」
ゼロも丁寧に挨拶をする。
さっきまでの態度とはまるで違う。
その様子を見ていて、キールは少し驚いていた。
「シロタカは、久しぶり。」
シロタカはこちらこそ、と一言だけ言って敬礼をした。
キールも挨拶を済ませ、本題へと入る。
「さて、ゼロ君。君はIMは使えないが、武器は出せる様だね。」
「そうらしいです。」
ゼロが短く答える。
「検査の結果によると、IMの値は高いのですが、何故か出せない様です。」
キールは書類をケインに渡しながら言う。
ケインは一通り書類に目を通すと、
「これは凄い、今まででは見た事も無い値じゃないか。」
と、驚いてみせた。
ゼロはそんなに凄いのか?と隣に座るシロタカに聞く。
シロタカは顔を縦に振って答えた。
「だったら先に教えてくれよ。」
「自分の力を過信されると困るから。」
ゼロはムスっとしてイスに座りなおす。
「さて、今日はちょっと御願いがあって来たのだが・・・。」
ケインは改まって話し始めた。
「ウチの施設の方に来ないかい?」
「・・・・・は?」
三人とも同時に言う。
「いや、だからウチの施設に来ないかって。君のIMの覚醒の役に立てるかもしれないし。」
キールとシロタカはポカンと口を開いて驚いている。
ゼロは良くは分からないが、キール達を見て凄い事なのかと感じる。
「で、どうするね、ゼロ君。」
ゼロは少し考え込むと、
「・・・・行きます。」
と、短く答えた。
「そうか、いや良かった!では早速連絡を!」
ケインはキール達が持っているような携帯を取り出し、そして連絡し出した。
「今日はもう帰ります、学校やら有るので。」
「いや、その心配は無いよ。」
「?」
そう言うとケインはゼロを引っ張って、部屋を小走りで出て行く。
そのまま廊下を右に行ったり左に行ったりしていると、この前も来た駐車場へと着いた。
あまり変わった様子は無い。
一つ違うのは、すぐ目の前に大きい車がエンジンをかけて止まっていること。
ボディはピカピカ、タイヤも新品みたく新しい。
まるで、金持ちがキャンプにでも出かけるときに使う様な車だった。
「さぁ、これに乗って!」
「え、でも家に連絡・・・・・。」
「後で何とでもなるって。さ、乗って乗って!」
言われるがままにゼロは渋々車に乗る。
「そうだ、一応2人も来てね。手続やら何やら面倒なのがあるから。」
と、2人の手も無理矢理引っ張って行く。
「一応連絡・・・・・。」
「あっちについてからできるよ。」
と、爽やかに流しポイポイと投げ入れるように2人を車に入れる。
車の中に入ると、また高級そうな家具やらソファやらが並んでいた。
こんな物に俺が乗って良いのか、とゼロは思ってしまった。
「はい、早く座って。」
呆然と入り口付近で立つゼロを押して、そのままソファへと座らせるケイン。
ふと何かを思いつくゼロ。
「・・・もしかして、この人前のここの総長?」
シロタカの耳元で囁くゼロ。
「よく分かったね、まぁあんな人はどの施設探し回ってもあの人ぐらいか。」
と、シロタカもゼロの耳元で囁いた。
「何か言った?」
ケインの一言に、2人は飛び上がった後
「言ってない言ってない」
と、2人同時に言う。
漫画か、と突っ込みたくなる程見事にハモッていた。
「そう。」
とだけ言って、ケインは車に付いた高級そうなDVDのリモコンをいじくり始めた。


「・・・・なぁ。」
ゼロはケインが付けた良く分からんDVDを見ながらシロタカに質問する。
因みにケインとキールは二人揃ってDVDに集中してるので、聞かれる心配は全く無い。
「何?」
シロタカは疲れた声で、ゼロの問いかけに答えた。
「あの人達って、いつもああなのか?」
「・・・・そうだよ。」
本当に疲れきった、そして呆れきった声で、答えた。


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