そうた、自分の名前を言うのを忘れていた。
私は、ゼィル・ハイム。
何故、親が「ゼィル」なんて読みにくい名前にしたのかは知らない。
ジル、とでも呼んでくれ。
私は今、パンと、スープと、少しの野菜―――朝食を食べ終わり、仕事にかかっている。
私の仕事は、「文士」だ。
もっと簡単に言うと、「小説家」。
売れている訳ではないが、売れていない訳でもない。
ある程度、生活できるぐらいの収入は得ている。
今日も、淡々と、文をある程度、書き続ける。
時々、ルーが誤字を教えてくれる。
頭に知識として、「そのまま入ってくる」ので、とても分かりやすい。
その度、私はお礼を言う。
ありがとう、と。