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「うわっ、ショボイなコレ」
「このショボさが良いんです。」
ケインとキールはテレビの画面に映し出されるアニメの映画を見ながら雑談をしていた。
ゼロとシロタカも見てはいるが、どうも子供っぽいのはニガテな様で、ただ漠然と画面を眺めているだけだった。
そのまま時間だけが過ぎ、数十分後にやっとエンディングが流れた。
時計を見ると、もう1:36。
「面白かったね、キール。」
「面白かったですね。」
2人は微笑みながら言葉を交わす。
振り返るとゼロとシロタカは、詰まらなさそうな顔をして寝ていた。
その様子を見たケインとキールは、微笑した後に、しまってあった大きい毛布一枚を2人にふわっとかける。
「ちょっと運転手に会ってくる、一人じゃ寂しいだろうし。」
と、ケインは助手席へと歩いていった。
一人になったキールは眠気を飛ばすために、とりあえず車の上の小さな部屋へと上がる事にした。
そこまで大きくは無いが、狭くも無い。
丁度風が良い感じに入ってくるように、小さな窓が付いている。
天上はガラス張りで、夜空に点々と見える星を眺めれるようになっていた。
キールはそこで一息つくと、ころっと横になり星空を眺めた。




同刻、ゼロ達が乗っている車が走る高速道路付近。
4人の影がゴソゴソと動いていた。
一人は服から髪の毛から手袋から靴から、とにかく全身が真っ黒で、黒くないといえば少しだけ出ている顔だけ。
もう一人は全体的に淡い色で、和服か洋服か良く分からない格好をしていて、唯一濃いのは、金髪の髪の毛だけ。
この2人は言うまでも無く、ますたぁやキールが戦った相手だった。
あとの2人のうちの一人は、その背丈と顔には歳からして似合わない軍服を着ている。
もう一人もその背丈や歳からして似合わない軍服を着ている。
どうやら双子の様だ。
そしてその4人組は、どうやら何かを待ち伏せしている様だった。




「ゼロー!シロタカー!起きろー!」
ゼロは耳を劈くような大きい声に驚き、がばっと飛び起きた。
目の前には第一施設総長・・・ケインがフライパンを持って立っている。
「あ、やっと起きた。」
「やっと起きたじゃなくて・・・・・・。」
ゼロはこの状況でもまだ寝ているシロタカを起こし、フラフラと立ち上がる。
ケインは時計をゼロの目の前まで持っていき、しっかりとゼロに時刻を見せた。
「学生は起きる時間だよ!」
「いや、でも今日は、学校には行かないんじゃ・・・・・」
「生活バランスは整える、じゃないといざとゆう時力出せないよ!」
「はぁ・・・・。」
ゼロは頭を掻き毟る。
そんな中、シロタカは
「ふぁーあ、おはよぅ・・・・・グー」
起きたにもかかわらずまたすく寝息を立てて寝ようとした。
それを見たケインはニヤリと笑い、大きく息を吸って、
「起きろトマトクーン!!!」
と、シロタカの耳元で思いっきり叫んだ。
シロタカはやっと目を開き、その寝ぼけ眼のまま
「・・・・あー、おはようございます。ゼロに総長。」
と暢気に挨拶をした。
それを見たケインは「あとはキールだな」と呟き、キールが寝ているらしい二階へと梯子を上っていく。
ゼロは一緒に取り残されて、また寝そうなシロタカを起こして、とりあえず待つ事にした。




「あれ?キール起きてたの?」
「・・・・寝れませんでした。」
「へぇ、珍しい。」
「どうしても、気になる事があるんです。」
「ますたぁの事かい?俺は何にも感じなかったよ?」
「それじゃないんです。もっと他に、何か引っ掛かるんですよ・・・・・。」
「ふーん、そっか。」
「・・・・・・。」
「そうだ、キール。朝ごはんできるよ。」
「分かりました・・・・。」




「あ、キールも来た。」
ゼロはシロタカをブンブン振りながら、キールに「おはよう」と言う。
キールも元気は無いが一応挨拶をした。
「ご飯できたよー。」
ケインの声が向こう側の部屋から聞こえてきた。
ゼロとキールはシロタカを引き摺りながらその部屋へと入っていく。
車は丁度止まっていたので、移動するのも楽だった。
「はい、皆それぞれ席に座ってねー。」
例の如く豪華な机や椅子を見て、ゼロは眩暈がしそうだった。
そして、その机の上に乗っている、豪華な食器の上の料理も凄く豪華だった。
「・・・・これ、ケインが作ったのか?」
「そだよ、ここにはシェフは乗ってないしね。」
ケインの格好を見ると、フリルの付いた真っ白なエプロンを着ている。
何だか似合っていた。
「さぁ座った座った。冷めない内にご飯食べるよ。」
ケインに押されるがままに、ゼロとキールは席に座った。
シロタカはまた眠ってしまっている。
「シロタカ、まだこの癖治ってないの?」
「ええ、総長が居た頃とまったく一緒です。」
2人は長く溜め息をついた。
「シロタカって、寝起き悪いのか?」
ゼロが何気に質問する。
「そうだよ。まったく、子供じゃないんだから早く起きてよ。何もしないと9:00まで起きないんだ。」
ケインはそう言うと、シロタカの口を強引に開いて、99%と書かれたチョコを少しだけ投げ入れた。
暫く黙っていたが、いきなり顔が青くなり
「・・・・・・苦いいいいいいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃいいいぃぃぃ!!!」
と絶叫して起き上がった。
「おー、起きた起きた。」
ケインは微笑しながら先程のチョコを棚にしまう。
「もうっ、総長!この起こし方だけは止して下さいよ!」
シロタカは涙目になりながら叫ぶ。
「仕方ないじゃん、こうしないと起きないんだもん。」
ケインはエプロンを外しながら席に座る。
シロタカは返す言葉がなく、そのままドスンと席に座った。
「・・・シロタカってチョコ嫌いなのか?」
「80%以上のチョコ限定です。」
「・・・ふぅん。」
ゼロはそう言うと、黙って食事を食べ始めた。
キール達もそれぞれ食べ始める。
シロタカだけは、水で口を濯いでからだった。




皆が食べ終り、車がまた走り出した頃。
「・・・・もうそろそろか。」
何も走っていない高速道路の脇で、一人の黒い人間が呟いた。
「そうなんじゃない?あの人の情報だと♪」
「そうそう、あの人の予報、狂った事ないもんねー☆」
「ねー♪」
顔や背格好に似合わず、軍服を着ている二人の少年も呟く。
「・・・待つしかなかろう。」
和服なのか洋服なのか、分からない格好をしている少女も呟いた。




「さーて、もうそろそろ着くと思うけど。」
ケインが背伸びをしながら呟く。
「もうそろそろって?」
ゼロはソファーに座りながら質問した。
「・・・1時間弱?」
「長いじゃん。」
そんな会話をしながら、ただ到着するのを待っていると、
「敵デス!気をツケて下サイ!!!」
どこかで聞いたことのある叫び声が部屋に響いた。
その叫び声と共に、急にガクンと速度が落ちた。
ゼロ以外はその反動で吹っ飛ばないように何かに掴まる。
「な、なな、何?」
ゼロは引っくり返った状態で言う。
「さっきも敵だと言ったでしょう。」
「いやそれは分かるんだが。」
ゼロは慌てながらも、呆れた声で言う。
「シロタカ、ゼロの護衛をよろしく。キールは私の援護。」
「了解。」
「了解です。」
そう言ってケインとキールは車のドアから身を半分だけ出して外を見る。
「・・・・例の少女と黒装束のヤツです、あとの2人は初めて見ます。」
「へぇ、何が目的なんだろうね。」
と、2人は冷静に状況を判断する。
「そうだ、シャオス出てきてね。自分だけ楽しようなんて許さないよ?」
「あれ、バレちゃいまシタ?」
ケインの指摘に、運転席からシャオスが歩いてくる。
「・・・シャオス?!」
「あれ、居ルの知らナカったデスか?」
ゼロは顔を縦に振り答えた。
「さて、敵は4人だよ。人数的にはちょっと不利かなぁーっ。」
「楽しそうに言わないで下さい。」
キールは鋭く注意する。
ケインはハイハイ、と返事をすると、車の外へと出て行く。
4人の敵から5m程離れた所で足を止めた。
「さてー、君達が俺の新入り君を襲う人達かな?」
「そんな事はどうでもよかろう、大総長殿。」
金髪の少女が返事をする。
「へぇ、俺の事まで調べてあるんだ。内部の人間の仕業かな?」
「そんな事、どうでもよい。ゼロ・クラシスを渡してもらう。」
ケインは一瞬表情を歪めたが、すぐにまたにこやかな顔になり
「あの子?あの子に何の用なのかな?」
と言った。
「お前等なんかに教えてやらないよー☆」
「そうそう、言っても意味ないもんねー♪」
軍服を着た双子と見られる二人の少年は、楽しそうに答える。
「そっか、こっちも乱暴な事はしたくないし、できれば下がって欲しいんだけど。」
「それはできんな。」
「まったく、聞き分けの無い子達だね。」
ケインはふぅ、とわざとらしく溜め息をつく。
暫くの静寂の後。
先に動いたのは4人組の方だった。
ケインに殴りかかろうとする。
しかし、
「まったく。」
ケインはその場から消えた。
「?」
4人は止まって、辺りを見回す。
だが、どこにも居ない。
「ここだよ。」
突如、ケインが金髪の少女の目の前に出現した。
少女は驚いて、拳を目の前に突き出す。
しかしまたケインは消え、攻撃は外れる。
「・・・・。」
少女は硬直して辺りをまた見渡す。
だが、やっぱりケインは居ない。
「こっちだよー。」
ケインは黒装束の人間の後ろに立っていた。
黒装束とケインの距離、僅か約50cm。
黒装束の人間は、慌ててナイフを後ろに突きつける。
しかし、気付くとやはりそこにケインは居ない。
「あっれー?凄くないアイツ☆」
「すっごいねー♪」
軍服を着た双子は、驚くどころか興奮している。
そして、その2人の顔の間に、突如として顔が出現した。
「褒めてくれてありがとう。」
ケインが後ろに出現していた。
「うぁ!?」
「おぁ!?」
2人は一緒に真横にあるケインの顔を見る。
しかし、見た瞬間にケインはまた消えてしまう。
「・・・どうなってるんだ?」
金髪の少女が呟く。
「・・・どうなってるんだろーっ☆」
「・・・面白いねー♪」
2人は子供の様にはしゃぎながら、そこらじゅうを飛び回る。
黒装束の人間はその2人の首を掴み、
「・・・だめ。」
それから無言で頭を叩いた。
「いてっ」
「いたっ」
2人は痛そうに唸りながらしゃがみこむ。
「・・・・アンタ、普通の能力じゃないな。」
黒装束の人間が、やっと口を開いた。
暫くしてクスクスと笑い声が聞こえ、
「能力も半分ぐらいばれちゃったかな?」
車の前に、ケインの姿が現れた。
ケインは拍手をして、
「反応が良いね、君達全員。特に黒い人。」
と楽しそうに言う。
「施設の隊員になって欲しいぐらいだ。」
「・・・遠慮する。」
黒い人は短く言う。
ケインは楽しそうな顔をしながら、
「そう。」
と一言だけ言った。




「・・・・何が起きたんだ?」
ゼロは呆然としている。
「体を気体化させてるんです。」
冷静にキールは言う。
「・・・・IM?」
「その通り。良く分かったね・・・・って言いたいけど、まぁこれだけ見れば大体分かるか。」
シロタカは軽く答えた。
「総長は体を気体にスルことができるんデスよ。体の其々の物質に分けてネ。」
シャオスは、車が壊れてないか確認しながら説明した。
「でも、この能力は大変危険で、もとの姿に戻るとき一つでも構成を間違えると厄介なんです。」
「人間の姿じゃなくなってしまうんだ、それこそゾンビやキメラさ。」
シロタカは苦笑いをしながら言う。
「でも、総長は違います。かなりの才能を持っていて、体の隅々・・・血液までも構成、分解が自在にできるんです。」
キールは外で未だに茶化すように戦うケインを見ながら言った。
「天才ってヤツか。」
「その通り。」
と言いかけると、大きな爆発音が辺りに響いた。
爆発で発生した煙の中に見えたのは、楽しそうに攻撃を避けたり受け流したりしているケインの姿だった。
「・・・楽しんでるな、あの人。」
「いつもの事さ、今日は久々だからいつもより楽しそうだけど。」
シロタカは呆れ気味に言う。
「・・・シロタカー、シャオスー、出番だよー!限界限界!使いすぎると僕分解しちゃう!キールは交代、シロタカと交代!キールだと多分相性悪い!」
ケインの声に2人はゆっくりと立ち上がり、ケインの元へと歩いてゆく。
敵も2人に気付いたようで、黒い人間が2人に向かってナイフを投げた。
2人はナイフが飛んできているにもかかわらず歩く。
シャオスはゆっくりと左腕を上げると、
「・・・・危ないデスよ。」
と、静かに呟いた。
すると、ナイフは上がっている右腕へと「方向を変え、直進した」。
ナイフは握り締めている左手にはめてある金属に垂直に当たり、垂直にくっついた。
突き刺さってるワケではない。
普通なら落ちるが、跳ね返るどころか揺れもしない。
「・・・・・やはりか。」
黒い人間は驚きもしないで、平然と言う。
他の3人は、まだケインと戦っていた。
「その様子ダト、私の能力は分かっている様デスネ。」
シャオスは浮いているナイフを反対側の手で取り、投げ捨てる。
「ああ、電気だったか?」
「その通りデス、今のは手の武器の中に仕込んであるコイルに電流を流シタんデス。」
「・・・・余裕だな、タネ明かしとは。」
「エエ、そりゃアモう。」
シャオスは微笑しながら返事を返す。
相手は微動だにせず、深く被った帽子の中からシャオスを睨んでいた。




「さて、僕は誰の相手かな?」
とシロタカが呟く。
暫くすると、
「僕たちが☆」
「相手だよ♪」
と、飛び跳ねながらシロタカの前まで来た。
「へぇ、君達?」
「そうだよオッサン☆」
「オッサンオッサン♪」
シロタカはそれを聞いて露骨に怒りを顔に出した。
「オッサンじゃない、まだ18さ・・・・・」
「オッサンオサン☆」「オッサンー♪」
シロタカの発言は双子の声にかき消される。
シロタカはもっと怒り、大声で
「うるさい餓鬼共!」
と叫んだ。
双子はほぼ同時にピタリと止まり、暫く硬直する。
「・・・・・餓鬼って言った?」
「・・・・・言ったよね?」
2人は呆然と確認し合う。
「・・・・・怒っちゃうぞー☆」
「怒っちゃう♪怒っちゃう♪」
2人は可愛く発言しているが、形相は物凄かった。
眉間には皺ができ、口元にも醜く皺が浮き出ている。
まるで連続殺人鬼のような壊れた顔だった。
「・・・ありゃ、本性出した?」
シロタカが言う間に、2人はシロタカに飛び掛る。
「打っ殺せ☆」
「打っ飛ばせ♪」
そう言いながら拳を目の前に突き出してくる。
シロタカはそれをひょいと避けた。
「ぶっ潰せ☆」「ぶっ潰せ♪」
と叫んだ後、2人は何か呪文のような言葉を呟き始めた。
すると、シロタカの下の地面がどす黒く光り始める。
「?!」
シロタカはすぐさま後ろに退き、光の円の外に出る。
「take1・gravity☆」
と双子の片割れが叫ぶと、その場は円形にへこんだ。
アスファルトがベキベキと悲鳴を上げ、へこんでゆく。
おそらく人間なら複雑骨折だけでは済まない。
「あり?失敗しちゃった☆」
双子の片割れは舌を出して言う。
それを確認するともう片方は、
「take2・buoyancy♪」
と楽しそうに叫んだ。
すると、いきなりシロタカの体が浮き始める。
「あ・が・れ♪あ・が・れ♪」
シロタカはどんどん上がっていく。
「・・・・クッソ!」
シロタカは咄嗟に掌から細い氷の柱を車に向かって突き出す。
車に氷の柱が当たると、その反動でシロタカは浮力が働いている枠内から放り出された。
しかし5mはあったので、受身を取るもダメージは大きい。
「あれ、こっちも失敗♪」
こちらも同様、舌をだして言った。


  • 重力と浮力か、ちょっと厄介だな。
しかしおかしい、IMじゃない。
あの光の模様、確かに何かの陣だった。
IMに陣は必要ではないハズ。
じゃあコイツ等、・・・あの術を?-


「なぁーに驚いた顔してんの、オッサン☆」
「僕達の能力、IMじゃないの、分かってるんだね♪驚いてるでしょ♪」
双子は飛び跳ねながら楽しそうに言う。
「・・・・君達のその力、何?」
シロタカは真剣な顔で質問する。
「教えてやる義務なんて無いもんねっ☆」
「無いもんねっ♪」
シロタカは露骨にムスっとすると、手に氷を張り出す。
それは段々と大きくなり、大きな腕の形を成した。
「じゃあ力尽くでも、教えてもらおうね。」
シロタカは周りにいきなり氷を張り始める。
それはシロタカと双子の周りをあっとゆう間に包み、半球型の氷のフィールドを作り出す。
「君達を凍らせるのも良いけど、死ぬといけないから。」
シロタカはニッコリと笑いながら言う。
しかし双子は
「あんまナメると痛い目みるぞ☆」
「本気でいこっかなー♪」
と、はしゃいでいる。
シロタカは「ふぅ。」と静かに溜め息をつくと、少年達に向かって、氷で形成された怪物のような手で指差す。
そしてすぅっと息を吸うと、
「動け、氷達。全ての角度へと進行し、全ての物質を破壊しろ。」
と、静かに呟いた。
すると、氷で形成されている半球型の壁の内側から、突起物のような氷が顔を出す。
「ヤバい☆」
「ヤバイかも♪」
双子はやはり笑いながら飛び跳ねている。
「君達の『それ』と同じさ。あまり使わない術だけど、使わせてもらうよ?」
とシロタカが言うと、氷が一斉に動き出した。
氷の向かう先には、双子が飛び跳ねながら笑っている。
もう少しで肩を貫こうとゆう所で、
「発動☆」
双子は先程の術を発動、重力により近づく氷の全てを破壊した。
「ふっふーん、この術は目標を指定できるんだよ、オッサン☆」
「そして、目標以外には重力はかからない♪」
双子はその陣の中で飛び跳ねながら言った。
氷は重力の前では歯が立たず、陣から出る光に触れた瞬間にバキバキと下に打ち付けられてしまう。
「そ・し・てー、僕は能力を使ってないからー・・・・」
少年は手をシロタカに向け、キッと睨む。
「能力使い放題♪」
すると、またシロタカの下に陣が浮かび上がる。
シロタカは回避するが、やはりまたシロタカの移動する先へと出現する。
「へっへーん、僕は隣のと違って連続で出せるんだよ♪」
「ふっふーん、どんなもんだい☆」
やはり双子は飛び跳ねる。





「オイ、シロタカ見えなくなっちゃったぞ!」
半球型の氷のドームを見て、ゼロは少しだけ慌てていた。
「大丈夫です、多分。」
「多分ってアンタ、一応援護した方がいいんじゃ?あの人達は別として。」
ゼロはケインとシャオスを見ながら言う。
ケインとシャオスは、凄いスピードで戦っていた。
2人は両方共接近戦でやっているのだが、敵が金髪少女の遠距離からの射撃と、黒い人の接近戦なので、ケイン達からすれば少し分が悪い。
それでも2人は対等に戦っていた。
ナイフが飛んだり、風が飛んだり、地面がヘコんだり、攻撃を受け流すのが少しだけと見えたり。
映画顔負けの戦いだった。
「・・・・あれだけは、どうにもならなさそうだな。」
「私達は入り込めそうにないです。」
キールは即答した。





しばらくすると、大きな音と共に氷のドームに亀裂が入った。
氷のドームは大きな音をたてながら崩れ、ただの半透明な瓦礫となった。
その中から、シロタカが飛び出してきた。
しかしシロタカは、かなり傷付いている。
打って腫れたり、アザになったり。
「ふっふーん、舐めてかかるからだよ☆」
「子供だからってなめないでね♪」
瓦礫の中から、飛び跳ねながら双子が出てきた。
「くっそ、何なんだよもう・・・・。」
シロタカは歯を食いしばって痛みを堪えている。
キールはすぐにシロタカの前に周り、シロタカを庇う形で構えた。
「どいてよー☆」
「とんじゃうよー♪」
双子は楽しそうに言う。
「退く訳には行きません、死んでは困ります。」
キールは銃を構えて言う。
「へぇ、もしかしてガールフレンドかな☆」
「ひゅーひゅー、お熱いねぇー♪」
「うっさい、餓鬼共。」
シロタカの一言で、また双子は表情を変えだす。
「また言ったー☆」
「怒っちゃうぞ♪」
そしてまた、シロタカの下にまた魔法陣のような模様が出てきた。
「逃げろ!」
シロタカが叫ぶ。
「見ていたから分かっていますよ。」
キールはあっさりとシロタカを持ち上げて、一歩だけ退いて、攻撃をかわす。
そしてまた魔法陣が出て来るのだが、それも一歩であっさりとかわされた。
「・・・・あれ?」
「・・・・おろ?」
双子は首を傾げる。
「まったく。単純なんですよ、その攻撃。」
キールは溜め息をつきながら言った。
「えーなんでなんでー☆」
「二重の攻撃でスキが無いハズなのにぃー♪」
双子はやっぱり飛び跳ねる。
「1秒も発動までに間があるのに?かわすのなんて一歩で十分ですよ、一歩で。」
キールはチラっとシロタカを見る。
シロタカはビクリと動いた後に、慌てた様子でそっぽを向いた。
キールはふん、と鼻で笑うと銃を構えた。
「まだ子供なのに使うなんて、リーダーを見てみたいですよ。」
と言って、普通に銃を撃つ。
その瞬間、双子の片方の右足から赤い飛沫が上がる。
飛沫の上がった足を見ると、脈に合わせてドクドクと血が流れ出している。
「・・・・ぁぁぁああああああ?!」
双子の片方はやっと痛みに気付いた様子で、足に開いた穴を手で塞ぎ痛がっている。
ゼロは双子とキールを見てから、そのまま固まってしまった。
あの怪物の様な物が傷付こうが死のうが、動じなかったのに。
どうしても人間が相手だと、恐怖が沸く。
「クソがぁ!いてぇ!このアマがぁ!」
「大丈夫か?!」
「マトモに撃ちやがった!正気かアイツ!」
2人は慌てた様子で痛がったり心配したりしている。
しかし、それを待たずに3発、双子の足元が弾ける。
「痛がっている暇なんてありませんよ?」
キールはそう言うとまた、お構い無しに2発を双子のそれぞれの心臓に向けて発射する。
しかし、
「ナメんじゃねぇぞ、このアマァァァァァァァァッ!!」
撃たれた方が怒鳴り声を上げると、双子とキールの間にまた陣の様な紋様が出現した。
すると、双子の心臓へと直進していた銃弾は、その陣の上で動きを止めたと思うと、そのまま地面へと落下した。
「・・・・ナメんじゃねぇぞ、ああ?!」
双子の片方は足の痛みも気にしていないかのように立ち上がる。
「てめぇら、いい加減にしろよぉ?」
「どうすんの?アレの仲間はなるべく殺すなって言われたじゃん。」
「殺しはしない・・・・殺しは。」
「ああ・・・・殺しはしないの、ね♪」
「そう☆」
2人はまたゲッゲッゲッとか不気味に笑いながら、
「苦しませればいいじゃんかぁ!」
と、同時に叫んだ。
2人は、片方ずつ手を前に勢い良く出す。
すると、馬鹿みたいに大きい魔方陣が現れる。
それはもう敵とか仲間とか関係なしに張られていた。
「ッ!?」
「何をする気だ!」
金髪の少女と黒い人が叫ぶが、もう遅かった。
「あはははぁ!!!」
「潰れちゃえぇぇぇぇ!!!」
2人がそう言うと、魔方陣の全体が輝き始める。
すると、いきなり体が重くなった。
とゆうより、空気に潰された。
身動きが、取れない。
周りにあった木の枝は、一瞬でねじ折れ、地面に落ちる。
殆どの木の枝は無くなってしまった。
しかし、地面には亀裂も入らなければ、へこんでもいない。
人間がグチャグチャになるような事は無かった。
ただ、シロタカは右足を骨折、キールは利腕である右腕を骨折してしまった。
そして、魔方陣が消え、やっと身動きが取れるようになる。
「あっれー、威力が落ちちゃった☆」
「何でだろうね♪」
双子はぴょんぴょん跳ねながら喜んでいる。
「・・・・意図的に弱めたんだね。」
重力の影響を受けないために、気体化していたケインが体を生成する。
「お前等、私達が慣れていなければ骨折していたぞ。」
金髪の少女が落ちた枝の山の中から出て来る。
黒い人は、さっきまで陣があった丁度手前で立っていた。
どうやら重力の影響を受けずに済んだ様だ。
「まったく、お前等、その癖どうにかしろ。」
「キレる度に重力かけられると、私達にいくら命があっても足りない。本来の予定はゼロの捕獲だ。」
「はーい☆」「分かったよー♪」
2人は楽しそうに言う。
一方、その捕獲されそうなゼロは呆然としていた。
残った三人に目立った外傷は無いが、状況は不利だ。
「・・・どうすんだよ、アンタ達だけで勝てるのか?」
「心配無用。」
「結構弱いし、イケルと思いマスけど。」
2人はちょっと楽しそうにゼロの前に立つ。
「・・・・俺も戦う。」
ゼロは立ち上がり、日本刀を生成する。
「無茶です!ただでも経験不足なのに」
「・・・俺だってアンタ達が言う『物』ってのを、それこそ何百匹も殺してきたんだ。殺されそうにもなった。」
ゼロは真剣な面持ちで立ち上がると、敵を見据える。
「自分の身は自分で守る。アンタ達が何と言おうと、これは俺が決めたことだ。」
「そう、それじゃあ戦おうか。」
ケインが即答。
「ちょっと、ケインッ・・・・・・。」
「俺もこの子の強さを見たい、それに」
ケインはちょっと機嫌の悪そうなゼロの方を向いた。
「言っても聞いてくれなさそうだしね。」
「・・・・分かりました。でも、本気でやって下さいね、総長。」
キールは諦めたようで、左腕でシロタカを引き摺ってその場を離れる。
「本部への連絡を忘れていましたので、今してきます。」
キールはわざとっぽく言う。
「ご苦労であります、隊長。」
ケインもわざとっぽく言う。
そして、やっとケインは本気っぽい顔になる。
「さて、キールちゃんからの頼みだし、ちょっと本気出そうか。」
ケインはシャオスの肩を叩いた。
「元本部戦闘総隊長・現第3施設起動隊長、シャオス・レン・ガルオン殿。」
ケインが早口で、しかし聞き取りやすい声で言った。
そういえばフルネーム聞いてなかったけど何かすっごい長い肩書きだな。と、ゼロは思ってしまった。



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