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ここは何処かの大きな部屋。
そこそこ高級で、家具など生活に必要最低限の物は揃っている。
どれもモノクロカラーで統一してあった。
お洒落と言えば、お洒落である。
それは、先日キールに質問攻めしていた、第3施設総長の部屋だった。
「さて、今日だね。あの子が『あそこ』に行くのは。」
第3施設総長、ヒロはチェスの駒を手の中で動かしながら、その対戦相手へと話しかける。
対戦相手は、コクリと頷いて答えた。
「そう、じゃあそろそろかな?」
そう言ってコツン、と手に持っていた駒を盤へと置いた。
対戦相手は素早く自分の駒を動かし、自分に有利な戦況へと変えていく。
ヒロはそうきたか、と一言だけ言って暫く黙り、
「今日は君は行かないのかい?いつも誰よりも先に行くのに。・・・黒金君。」
と言った。
「・・・・今日は良い、疲れている。」
黒金は駒が幾つも置いてある盤を見つめながら低く小さい声で答えた。
ヒロはふーんとだけ答えて、やっと駒を盤へと置く。
「うっ・・・・・。」
黒金はさっきまでとは違い、苦虫を噛んだような顔をする。
ヒロは楽しそうに笑い、盤の横に置いてある菓子を摘んで食べる。
「・・・サイモンは来ているのか?」
「ん?来てるよ。多分風呂に入ってる。」
「そうか。」
「ずっと寝てたからね。さっき浴室まで歩いていったよ。」
「では、心配はいらないな。」
黒金は下げていた青い頭を上げて、駒をコトンと一つだけ動かし、
「チェック・メイト。」
と静かに、ゆっくりと言った。
ヒロは少し黙ると、
「だああああぁぁぁぁ!」
と言って盤上の駒をぐちゃぐちゃにしてしまう。
黒金はそれを黙って見る。
暫くの静寂の後。
「・・・・変わらんな、ヒロ。」
「そりゃ、変わり様が無いでしょ。」
「まぁ、な。」
そんな何気ない会話を遮るように、ドアが開く音が聞こえた。
「相変わらず、だな。」
と、重たくて少し低い声が開いたドアから響いた。
聞こうとしなければただの重低音にしか聞こえないような声。
暗いドアの向こうから、やっと少女が出て来た。
「やっと出たんだね、サイモン。」
「三日も風呂に入っていなかったからな。」
「それは、それは。」
ヒロとサイモンと呼ばれた少女は何気ない会話を交わす。
「・・・・さて、ふざけるのもこれ位にして。」
ヒロの表情か変わった。
「準備は出来ているんだね?サイモン・・・・いや、『ニーシャ』。」
ニーシャと呼ばれた少女は頷いた。
ヒロはクスクスと笑い出す。
「じゃあ、『あの方』の指令を始めよう。」
ヒロは窓へと足早に歩いていき、カーテンを勢い良く開き、その向こうの夜景に向かい思いっきり叫んだ。
「さぁ、ゲームを始めようじゃないか!」


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